2014/11/09(日) - 22:31
ツール・ド・おきなわ男子チャンピオンクラスは13名の先頭集団から増田成幸(宇都宮ブリッツェン)がラスト10kmでアタックし、圧巻の独走劇で優勝。女子国際は金子広美(イナーメ・信濃山形)が2位に4分19秒の大差で圧勝を飾った。
11月9日(日)に行なわれたツール・ド・おきなわ。3つの国際レースはいずれも逃げ切りで勝負が決まった。朝7時前から2時間ほどは雨風が強く寒ささえも感じらたが、昼になるにつれ晴れあがり、半袖でも暑い夏の天候に。終始北よりの強風があり、これら天候条件に対する構えも勝敗の分かれ目となった。
男子チャンピオンレース:増田成幸のアタックが成功し独走勝利を飾る
UCI 1.2クラスの男子チャンピオンクラスは名護市内発着の210km。コースは昨年と同じだが、特に天候の影響を受けたクラスといえる。序盤からアタックがかかりすでに7km地点で約20名が先行し、差はすぐに1分ほどに広がる。本部半島を巡り、大宜味村へ入る頃には約10名の追走集団が形成された。
1回目のKOMを経て、先頭を行くのは畑中勇介(シマノレーシング)、阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン)、石橋学(鹿屋体育大)、岡篤志(EQA U23)の4人。ここへ追走集団が合流し約20名の先頭集団ができ、宇都宮ブリッツェン3名、ブリヂストンアンカー3名、マトリックスパワータグ3名、チーム右京2名、シマノレーシング2名など、各チームとも複数を入れてきた。
2回目のKOMを越え先頭は15名ほど。この集団は阿部や清水都貴(ブリヂストンアンカー)が仕掛け、その都度分裂と吸収を繰り返す。第2集団とは1分半ほど離れており、メンバー構成から逃げ切りの公算が高くなる。小さなアタックはかかるが決まらず、清水がほぼ先頭固定とも言える強力な牽引で集団を率いた。
そしていよいよ羽地ダムへの上りへ13名で入る。増田と鈴木真理(宇都宮ブリッツェン)、ホセ・ビセンテ、サルバドール・グアルディオラ、平井栄一(チーム右京)、清水、内間康平(ブリヂストンアンカー)、ベンジャミン・プラデス、エドワード・プラデス(マトリックスパワータグ)、畑中勇介、入部正太朗(シマノレーシング)、山下貴宏(シエルヴォ奈良ミヤタ・メリダ)、武末真和(ロヂャースレーシングチーム)がそのメンバーだ。
ほぼ清水が先頭固定で、上りながら縦一列状態で頂上へと差し掛かると、ここでベンジャミン・プラデスの仕掛けに対して内間が反応したが、差をつけるまでには至らない。その後の小さなアップダウンの区間で平井が抜け出し、これを一呼吸置いてから増田が追う。増田が強烈な牽きで先頭に立つと平井が脱落し残り10km。ここから増田の独走が始まった。
増田がアタックを仕掛けた場所は強い向かい風で、さらに集団内にはスプリンターの鈴木真理もいたため他チームは一瞬見合ってしまう。すぐに増田と後続との差は30秒まで開き、国道58号に入ってからは追い風に乗り増田はゴールまでひた走る。後続からはラスト6kmで入部が抜け出し、それをホセ・ビセンテが追い合流。先頭の増田は2位以下に34秒差をつけて優勝を飾った。2位争いのスプリントはホセ・ビセンテが、そして後続集団は鈴木真理が先頭でゴールへと入った。
終盤の先頭集団は全員が実業団Jプロツアーでワンシーズンを通して戦ってきた選手たち。その中でも増田の力は群を抜いていた。ブリッツェンとしては終盤に3選手を送り込み、その3人がそれぞれの持ち味を発揮できたことが大きな勝因だろう。阿部はすべてのアタックに反応し、得意の下り区間では自然と前に出てアタック状態を生み出し、最終盤にスプリンターの鈴木真理がいたことが他チームへのプレッシャーになった。
ブリヂストンアンカーは地元の内間をエースとして戦い、清水と井上がアシストに回った。なかでも清水の引きは強烈で、平坦も上りも強力に引き続けるため後方が中切れを起こすほどのもの。清水の引きで鈴木真理もいったんは後方に追いやられていた。後半はその1/3は先頭を引いた清水。チームとしての優勝はできなかったが、キャリア最後の走りは強烈な印象を残した。
優勝した増田成幸(宇都宮ブリッツェン)
「もちろんゴールまで逃げ切る意思でアタックした。その場所は向かい風だったが国道に出れば追い風になるとわかっていたので狙ってアタックした。集団に真理さんがいることを確認してから。もし僕がつかまっても真理さんでいけるからで、これはチームミーティングで決めていた作戦。Jプロツアー後半は年間のポイントの関係で自分の走りができず、ストレスがたまっていたので、今日は自分の力を証明したい気持ちがあった。」
女子国際レース:100km中60kmを独走した金子広美が優勝
国頭村奥やんばるの里をスタートした国際女子カテゴリーは「普久川ダムの登りで仕掛けようと決めていた。」という言葉通り、金子広美(イナーメ・信濃山形)がペースアップしたことでレースが動く。牧瀬翼(Team ASAHI)と樫木祥子(駒沢大)の2人のみが金子をフォローできたが、次の登りでは金子が持ち前の登坂力で独走態勢を築き上げた。
「一人になってからゴールまでは60kmほどありました。不安が無い訳ではありませんでしたが、積極的なレース展開を作っていきたかったんです。」と言う金子は次第にリードを広げ、結局ゴールでは4分19秒という大差をもって独走勝利。60kmに渡る独走劇を成功してみせた。
「やっとですね、やっと勝つことができました。」と安堵感を口にした金子。「正直言うと出場メンバーがやや寂しかったこのですが、全日本選手権も自分がイメージしていたよりも下の順位でしたし、ジャパンカップも2位と自信を無くしていましたから、ここで勝てないと苦しかったですね。今シーズンはコンディション作りの難しさも学びましたし、この勝利をうまく来年に繋げていきたいと思います。」と加えた。
ジュニア国際レース:マッチスプリントに持ち込んだオランダのマースが勝利
孫崎大樹(北桑田高)と成海大地(普天間高)らを中心に登りで集団が活性化し、2回目の普久川ダムの登りでは20名ほどにまで減少。最終的に8名の精鋭グループが羽地ダムの登りに到達し、ここでフー・ファンカ(香港)がヤン・マース(南西オランダ選抜)を引き連れてアタック。この2名がゴールまで逃げ切り、圧倒的なスプリントを披露したマースが勝利した。
そして58秒遅れの3着グループの頭を獲ったのはユー・リュンカ(香港)。しかしゴール後、フーとユーのバイクにギア比違反があったとして(ジュニア選手の最小カセット歯数は14T)残念ながら2名の失格という判断が下された。繰り上げでレースを動かした北西佳輔(甲南高)が2位に、成海が3位に入っている。
ツール・ド・おきなわ2013 チャンピオンレース
女子国際レース100km
ジュニア国際レース140km
text&photo:Hideaki.Takagi,So.Isobe
11月9日(日)に行なわれたツール・ド・おきなわ。3つの国際レースはいずれも逃げ切りで勝負が決まった。朝7時前から2時間ほどは雨風が強く寒ささえも感じらたが、昼になるにつれ晴れあがり、半袖でも暑い夏の天候に。終始北よりの強風があり、これら天候条件に対する構えも勝敗の分かれ目となった。
男子チャンピオンレース:増田成幸のアタックが成功し独走勝利を飾る
UCI 1.2クラスの男子チャンピオンクラスは名護市内発着の210km。コースは昨年と同じだが、特に天候の影響を受けたクラスといえる。序盤からアタックがかかりすでに7km地点で約20名が先行し、差はすぐに1分ほどに広がる。本部半島を巡り、大宜味村へ入る頃には約10名の追走集団が形成された。
1回目のKOMを経て、先頭を行くのは畑中勇介(シマノレーシング)、阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン)、石橋学(鹿屋体育大)、岡篤志(EQA U23)の4人。ここへ追走集団が合流し約20名の先頭集団ができ、宇都宮ブリッツェン3名、ブリヂストンアンカー3名、マトリックスパワータグ3名、チーム右京2名、シマノレーシング2名など、各チームとも複数を入れてきた。
2回目のKOMを越え先頭は15名ほど。この集団は阿部や清水都貴(ブリヂストンアンカー)が仕掛け、その都度分裂と吸収を繰り返す。第2集団とは1分半ほど離れており、メンバー構成から逃げ切りの公算が高くなる。小さなアタックはかかるが決まらず、清水がほぼ先頭固定とも言える強力な牽引で集団を率いた。
そしていよいよ羽地ダムへの上りへ13名で入る。増田と鈴木真理(宇都宮ブリッツェン)、ホセ・ビセンテ、サルバドール・グアルディオラ、平井栄一(チーム右京)、清水、内間康平(ブリヂストンアンカー)、ベンジャミン・プラデス、エドワード・プラデス(マトリックスパワータグ)、畑中勇介、入部正太朗(シマノレーシング)、山下貴宏(シエルヴォ奈良ミヤタ・メリダ)、武末真和(ロヂャースレーシングチーム)がそのメンバーだ。
ほぼ清水が先頭固定で、上りながら縦一列状態で頂上へと差し掛かると、ここでベンジャミン・プラデスの仕掛けに対して内間が反応したが、差をつけるまでには至らない。その後の小さなアップダウンの区間で平井が抜け出し、これを一呼吸置いてから増田が追う。増田が強烈な牽きで先頭に立つと平井が脱落し残り10km。ここから増田の独走が始まった。
増田がアタックを仕掛けた場所は強い向かい風で、さらに集団内にはスプリンターの鈴木真理もいたため他チームは一瞬見合ってしまう。すぐに増田と後続との差は30秒まで開き、国道58号に入ってからは追い風に乗り増田はゴールまでひた走る。後続からはラスト6kmで入部が抜け出し、それをホセ・ビセンテが追い合流。先頭の増田は2位以下に34秒差をつけて優勝を飾った。2位争いのスプリントはホセ・ビセンテが、そして後続集団は鈴木真理が先頭でゴールへと入った。
終盤の先頭集団は全員が実業団Jプロツアーでワンシーズンを通して戦ってきた選手たち。その中でも増田の力は群を抜いていた。ブリッツェンとしては終盤に3選手を送り込み、その3人がそれぞれの持ち味を発揮できたことが大きな勝因だろう。阿部はすべてのアタックに反応し、得意の下り区間では自然と前に出てアタック状態を生み出し、最終盤にスプリンターの鈴木真理がいたことが他チームへのプレッシャーになった。
ブリヂストンアンカーは地元の内間をエースとして戦い、清水と井上がアシストに回った。なかでも清水の引きは強烈で、平坦も上りも強力に引き続けるため後方が中切れを起こすほどのもの。清水の引きで鈴木真理もいったんは後方に追いやられていた。後半はその1/3は先頭を引いた清水。チームとしての優勝はできなかったが、キャリア最後の走りは強烈な印象を残した。
優勝した増田成幸(宇都宮ブリッツェン)
「もちろんゴールまで逃げ切る意思でアタックした。その場所は向かい風だったが国道に出れば追い風になるとわかっていたので狙ってアタックした。集団に真理さんがいることを確認してから。もし僕がつかまっても真理さんでいけるからで、これはチームミーティングで決めていた作戦。Jプロツアー後半は年間のポイントの関係で自分の走りができず、ストレスがたまっていたので、今日は自分の力を証明したい気持ちがあった。」
女子国際レース:100km中60kmを独走した金子広美が優勝
国頭村奥やんばるの里をスタートした国際女子カテゴリーは「普久川ダムの登りで仕掛けようと決めていた。」という言葉通り、金子広美(イナーメ・信濃山形)がペースアップしたことでレースが動く。牧瀬翼(Team ASAHI)と樫木祥子(駒沢大)の2人のみが金子をフォローできたが、次の登りでは金子が持ち前の登坂力で独走態勢を築き上げた。
「一人になってからゴールまでは60kmほどありました。不安が無い訳ではありませんでしたが、積極的なレース展開を作っていきたかったんです。」と言う金子は次第にリードを広げ、結局ゴールでは4分19秒という大差をもって独走勝利。60kmに渡る独走劇を成功してみせた。
「やっとですね、やっと勝つことができました。」と安堵感を口にした金子。「正直言うと出場メンバーがやや寂しかったこのですが、全日本選手権も自分がイメージしていたよりも下の順位でしたし、ジャパンカップも2位と自信を無くしていましたから、ここで勝てないと苦しかったですね。今シーズンはコンディション作りの難しさも学びましたし、この勝利をうまく来年に繋げていきたいと思います。」と加えた。
ジュニア国際レース:マッチスプリントに持ち込んだオランダのマースが勝利
孫崎大樹(北桑田高)と成海大地(普天間高)らを中心に登りで集団が活性化し、2回目の普久川ダムの登りでは20名ほどにまで減少。最終的に8名の精鋭グループが羽地ダムの登りに到達し、ここでフー・ファンカ(香港)がヤン・マース(南西オランダ選抜)を引き連れてアタック。この2名がゴールまで逃げ切り、圧倒的なスプリントを披露したマースが勝利した。
そして58秒遅れの3着グループの頭を獲ったのはユー・リュンカ(香港)。しかしゴール後、フーとユーのバイクにギア比違反があったとして(ジュニア選手の最小カセット歯数は14T)残念ながら2名の失格という判断が下された。繰り上げでレースを動かした北西佳輔(甲南高)が2位に、成海が3位に入っている。
ツール・ド・おきなわ2013 チャンピオンレース
1位 増田成幸(宇都宮ブリッツェン)
2位 ホセ・ビセンテ(チーム右京)
3位 入部正太郎(シマノレーシング)
4位 鈴木真理(宇都宮ブリッツェン)
5位 畑中勇介(シマノレーシング)
6位 平井栄一(チーム右京)
7位 内間康平(ブリヂストン・アンカー)
8位 サルヴァドール・グアルディオラ(チーム右京)
9位 ベンジャミン・プラデス(マトリックスパワータグ)
10位 武末正和(ロジャースレーシング)
2位 ホセ・ビセンテ(チーム右京)
3位 入部正太郎(シマノレーシング)
4位 鈴木真理(宇都宮ブリッツェン)
5位 畑中勇介(シマノレーシング)
6位 平井栄一(チーム右京)
7位 内間康平(ブリヂストン・アンカー)
8位 サルヴァドール・グアルディオラ(チーム右京)
9位 ベンジャミン・プラデス(マトリックスパワータグ)
10位 武末正和(ロジャースレーシング)
5h30'00"
+34"
+36"
+43"
+34"
+36"
+43"
女子国際レース100km
1位 金子広美(イナーメ・信濃山形)
2位 針谷千紗子(Live GARDEN BICI STELLE)
3位 大堀博美(Racing Team UNO)
4位 佐藤咲子(OPUS)
5位 松田百合子
6位 米田和美(Ready Go JAPAN)
2位 針谷千紗子(Live GARDEN BICI STELLE)
3位 大堀博美(Racing Team UNO)
4位 佐藤咲子(OPUS)
5位 松田百合子
6位 米田和美(Ready Go JAPAN)
3'16"29"
+4'19"
+4'21"
+4'29"
+4'19"
+4'21"
+4'29"
ジュニア国際レース140km
1位 ヤン・マース(南西オランダ選抜)
2位 北西佳輔(甲南高)
3位 成海大地(普天間高)
4位 孫崎大樹(北桑田高)
5位 竹村拓
6位 重満丈
2位 北西佳輔(甲南高)
3位 成海大地(普天間高)
4位 孫崎大樹(北桑田高)
5位 竹村拓
6位 重満丈
4h11'56"
+58"
+2'34"
+58"
+2'34"
text&photo:Hideaki.Takagi,So.Isobe
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