2014/05/01(木) - 11:58
オーストラリア北東部、クイーンズランド州のケアンズで開催されたMTBワールドカップDHI第2戦を、日本人選手達の活躍を中心にレポートする。
今大会の会場は1996年にMTB世界選手権が開催された場所。通常はスキーリゾート等で開催されるMTB競技の会場とは違い、ジェームスクック大学の裏山とも言っても過言ではない不思議な立地だった。会場へのアクセスは大学の正門から入り、講堂の間を進んだ大学敷地内の駐車場の、まさに目の前に広がる山が会場である。
25日に行われたダウンヒルの予選、日本からは井手川直樹(ダビンチ/ストライダー)、永田隼也(アキファクトリーチーム)、井本はじめ(ラブバイクス)、九島勇気(玄武/ターナー)、黒沢大介(ファスト)に加え、イギリスのマディソンサラセンに移籍した清水一輝が開幕戦が行われた南アフリカから直接現地入りし、6名がリストに名を連ねた。
コースは全長1900m、高低差300mで前半はスイッチバックの連続、そしてロックガーデン、高速ジャンプエリアと続き、後半はフラットなペダリングセクションで構成されていた。しかし、各セクションの要素が何であろうが関係ない程に難易度を高めてしまったのが、練習日から降り続いた雨である。粘土質の路面は乾きにくく、巻き上げられた泥はロックや木の根にへばりつき、コースを歩くのすら困難なほどのコンディションにライダーは苦しめられた。
ライダーが通過する度にラインは変化し、雨が止んだとたんに泥は重くなっていく。昨年度のワールドチャンプ、グレッグ・ミナーですら「こんなにキツいコースは経験がない」と言う程の極悪のコンディションの中、98名が出走して行われた予選ではニュージーランドのサム・ブレンキンソップ(ラピエール)がトップ通過。
上位80名までが通過となるこの予選ボーダーラインは、現在の日本のトップライダーにとって、第一目標となっているのが現状で、今回参加しているメンバーの実力的には、全員が予選を通過する力を持ってはいるが、ミスをすると簡単にレースを落としてしまう、まさに日本人ライダー同士でのギリギリの椅子取りゲームの様相となった。
ミス無く走れたライダーがほとんどいないであろう状況の中、永田隼也が73位、九島勇気が78位、井本はじめが80位で予選を通過。井本は最後の1人に滑り込んだが、81位の選手とはコンマ077秒の僅差だった。
ワールドカップでの自身最高位ではあったが、中盤で転倒を喫した黒沢大介は82位。うまく流れをつかめなかったという昨年の全日本チャンプ、井手川直樹は83位。大会前から風邪を患い、ベストコンディションとは程遠い体調だった清水一輝が84位で予選を通過できない結果となった。
翌日の決勝は朝から晴れとなり、簡単には乾かない粘土質のコースは、コンディションの読みにくい状況に。予選順位のリバーススタートとなる決勝には第一走者として井本はじめが登場。中盤のジャンプセクションでは両足がペダルから離れる危険な場面もあったが66位でフィニッシュした。九島勇気が70位、今大会の日本人最高リザルトは永田隼也の63位となった。
上位陣が登場しはじめるレース中盤、アダム・ブライトン(イギリス)がコース中間部のジャンプセクションで転倒し競技続行が不能となったが、そこで救護を受けている最中に観客の1人がコース脇に置いてあったアダムのバイクに乗車、そのままコースを暴走し、プロテクターもヘルメットも未装着の状態で激しく転倒、大けがをするという前代未聞のアクシデントが発生。
これによってレースは40分間以上の中断、また、この観客の救護のためにレースの妨害を受けてしまったスティーブ・ピート(サンタクルズ・シンジケート)が再出走となるなど、現場は大きく混乱してしまった。
再開されたレースは予選6位通過のジー・アサートン(GTファクトリー)がトップタイムをマーク。開幕戦で優勝したアーロン・グィン(スペシャライズド)、予選トップのサム・ブレンキンソップもこのタイムを上回る事ができず、レースはジー・アサートンの優勝で幕を閉じた。
現在のレースシーンで最もライダーの成長が早く、層が分厚いと言われているオーストラリア。ヨーロッパからの参戦が少なかった事もあって出走者は98名と少なかったが、そのレベルはとても高い印象を受けた。ワールドカップDHIの第3戦は6月6日〜9日、スコットランドの名門コース、フォートウィリアムにて開催される。
その他中川カメラマンによるレース写真はフォトギャラリーから!
MTBワールドカップDHI第2戦 ケアンズ 結果
photo&text:Hiroyuki.NAKAGAWA/SLm
今大会の会場は1996年にMTB世界選手権が開催された場所。通常はスキーリゾート等で開催されるMTB競技の会場とは違い、ジェームスクック大学の裏山とも言っても過言ではない不思議な立地だった。会場へのアクセスは大学の正門から入り、講堂の間を進んだ大学敷地内の駐車場の、まさに目の前に広がる山が会場である。
25日に行われたダウンヒルの予選、日本からは井手川直樹(ダビンチ/ストライダー)、永田隼也(アキファクトリーチーム)、井本はじめ(ラブバイクス)、九島勇気(玄武/ターナー)、黒沢大介(ファスト)に加え、イギリスのマディソンサラセンに移籍した清水一輝が開幕戦が行われた南アフリカから直接現地入りし、6名がリストに名を連ねた。
コースは全長1900m、高低差300mで前半はスイッチバックの連続、そしてロックガーデン、高速ジャンプエリアと続き、後半はフラットなペダリングセクションで構成されていた。しかし、各セクションの要素が何であろうが関係ない程に難易度を高めてしまったのが、練習日から降り続いた雨である。粘土質の路面は乾きにくく、巻き上げられた泥はロックや木の根にへばりつき、コースを歩くのすら困難なほどのコンディションにライダーは苦しめられた。
ライダーが通過する度にラインは変化し、雨が止んだとたんに泥は重くなっていく。昨年度のワールドチャンプ、グレッグ・ミナーですら「こんなにキツいコースは経験がない」と言う程の極悪のコンディションの中、98名が出走して行われた予選ではニュージーランドのサム・ブレンキンソップ(ラピエール)がトップ通過。
上位80名までが通過となるこの予選ボーダーラインは、現在の日本のトップライダーにとって、第一目標となっているのが現状で、今回参加しているメンバーの実力的には、全員が予選を通過する力を持ってはいるが、ミスをすると簡単にレースを落としてしまう、まさに日本人ライダー同士でのギリギリの椅子取りゲームの様相となった。
ミス無く走れたライダーがほとんどいないであろう状況の中、永田隼也が73位、九島勇気が78位、井本はじめが80位で予選を通過。井本は最後の1人に滑り込んだが、81位の選手とはコンマ077秒の僅差だった。
ワールドカップでの自身最高位ではあったが、中盤で転倒を喫した黒沢大介は82位。うまく流れをつかめなかったという昨年の全日本チャンプ、井手川直樹は83位。大会前から風邪を患い、ベストコンディションとは程遠い体調だった清水一輝が84位で予選を通過できない結果となった。
翌日の決勝は朝から晴れとなり、簡単には乾かない粘土質のコースは、コンディションの読みにくい状況に。予選順位のリバーススタートとなる決勝には第一走者として井本はじめが登場。中盤のジャンプセクションでは両足がペダルから離れる危険な場面もあったが66位でフィニッシュした。九島勇気が70位、今大会の日本人最高リザルトは永田隼也の63位となった。
上位陣が登場しはじめるレース中盤、アダム・ブライトン(イギリス)がコース中間部のジャンプセクションで転倒し競技続行が不能となったが、そこで救護を受けている最中に観客の1人がコース脇に置いてあったアダムのバイクに乗車、そのままコースを暴走し、プロテクターもヘルメットも未装着の状態で激しく転倒、大けがをするという前代未聞のアクシデントが発生。
これによってレースは40分間以上の中断、また、この観客の救護のためにレースの妨害を受けてしまったスティーブ・ピート(サンタクルズ・シンジケート)が再出走となるなど、現場は大きく混乱してしまった。
再開されたレースは予選6位通過のジー・アサートン(GTファクトリー)がトップタイムをマーク。開幕戦で優勝したアーロン・グィン(スペシャライズド)、予選トップのサム・ブレンキンソップもこのタイムを上回る事ができず、レースはジー・アサートンの優勝で幕を閉じた。
現在のレースシーンで最もライダーの成長が早く、層が分厚いと言われているオーストラリア。ヨーロッパからの参戦が少なかった事もあって出走者は98名と少なかったが、そのレベルはとても高い印象を受けた。ワールドカップDHIの第3戦は6月6日〜9日、スコットランドの名門コース、フォートウィリアムにて開催される。
その他中川カメラマンによるレース写真はフォトギャラリーから!
MTBワールドカップDHI第2戦 ケアンズ 結果
1位 ジー・アサートン(GTファクトリー)
2位 ジョシュ・ブライスランド(サンタクルズ・シンジケート)
3位 ネコ・ミュラリー(トレックワールドレーシング)
4位 アーロン・グィン(スペシャライズド)
5位 サム・ヒル(チェーンリアクション)
6位 サム・ブレンキンソップ(ラピエール)
7位 スティーブ・ピート(サンタクルズ・シンジケート)
8位 サム・デール(マディソン・サラセン)
9位 トロイ・ブロズナン(スペシャライズド)
10位 マルセロ・ビレガス(ジャイアント)
63位 永田隼也(アキファクトリーチーム)
66位 井本はじめ(ラブバイクス)
70位 九島勇気(玄武/ターナー)
2位 ジョシュ・ブライスランド(サンタクルズ・シンジケート)
3位 ネコ・ミュラリー(トレックワールドレーシング)
4位 アーロン・グィン(スペシャライズド)
5位 サム・ヒル(チェーンリアクション)
6位 サム・ブレンキンソップ(ラピエール)
7位 スティーブ・ピート(サンタクルズ・シンジケート)
8位 サム・デール(マディソン・サラセン)
9位 トロイ・ブロズナン(スペシャライズド)
10位 マルセロ・ビレガス(ジャイアント)
63位 永田隼也(アキファクトリーチーム)
66位 井本はじめ(ラブバイクス)
70位 九島勇気(玄武/ターナー)
4:00.70
4:04.93
4:07.63
4:07.80
4:07.88
4:09.28
4:10.78
4:10.99
4:11.24
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4:57.99
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5:07.57
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photo&text:Hiroyuki.NAKAGAWA/SLm
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