ベルギーで行われたセミクラシック、ル・サミン(UCI.1.1)。ゴールスプリントでルーベ・リールメトロポールに所属するマキシム・ヴァントム(ベルギー)がナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr)らを打ち破る金星を挙げた。



前年度覇者アレクセイ・ツァテヴィツク(ロシア、カチューシャ)を下したマキシム・ヴァントム(ベルギー、ルーベ・リールメトロポール)前年度覇者アレクセイ・ツァテヴィツク(ロシア、カチューシャ)を下したマキシム・ヴァントム(ベルギー、ルーベ・リールメトロポール) photo:Cor.Vos
今年で46回目の開催を迎えるセミクラシックレース、ル・サミンの舞台となるのは、フランスの国境ともほど近いベルギーのワロン地方。195kmというコースは全体に平坦基調であり、毎年ゴールスプリントに持ち込まれることが通例だ。

ハンドルを投げ込むマキシム・ヴァントム(ベルギー、ルーベ・リールメトロポール)ハンドルを投げ込むマキシム・ヴァントム(ベルギー、ルーベ・リールメトロポール) photo:Tim de Waeleハンドルをたたいて悔しがるアレクセイ・ツァテヴィツク(ロシア、カチューシャ)ハンドルをたたいて悔しがるアレクセイ・ツァテヴィツク(ロシア、カチューシャ) photo:Tim de Waele今年は昨年覇者アレクセイ・ツァテヴィック(ロシア、カチューシャ)らの他、日本からは別府史之(トレック・ファクトリーレーシング)や竹之内悠(ベランクラシック・ドルチーニ)が出場した。

トロフィーを受け取るマキシム・ヴァントム(ベルギー、ルーベ・リールメトロポール)トロフィーを受け取るマキシム・ヴァントム(ベルギー、ルーベ・リールメトロポール) photo:Cor.Vosこの日逃げを打ったのは地元ベルギーのコンチネンタルチーム勢。だが追走するメイン集団では徹底的にオメガファーマ・クイックステップやカチューシャらがコントロールを担ったことに加え、コンチネンタルチームの選手達が活発に動いたことでゴールまで60kmを残して吸収。レースはここから活発にアタックが掛かり続ける激しい展開となっていく。

まずはオメガファーマが人数を揃え、先週日曜日のクールネ〜ブリュッセル〜クールネを思わせる総攻撃を開始する。一時的に9名(うち6名がオメガファーマ)が抜け出したもののメイン集団の追走を振り切ることはできず吸収され、その後も超高速状態からのアタック合戦が続くこととなる。

一時的にはアレクシ・グジャール(フランス、AG2Rラモンディアール)とトーマス・デヘント(オランダ、オメガファーマ・クイックステップ)の逃げによって集団は落ち着いたものの、ゴールまで20kmを残して吸収。

次いでグリゴリー・ヘンダーソン(オーストラリア、ロット・ベリソル)ら10名の強力な逃げグループが先行するが、これまで先手を打ち続けてきたオメガファーマはこの動きにメンバーを載せることができず、勝利へ向けてのシナリオが崩れてしまう。

先頭10名とメイン集団の差は常に1分弱。先行グループからはアタックが、メイン集団からはブリッジが掛かり続けたが決定的な動きにはならず、メイン集団は統率したコントロールを行うチームが現れないまま、崩壊した逃げグループを飲み込みながら最後のストレートへと突入した。

ダニー・ヴァンポッペル(フランス)を勝たせたいトレック・ファクトリーレーシングが、ナセル・ブアニ(フランス)を勝たせたいFDJ.frがスプリントの主導権を握るべく先頭に立つ。そんな中、右側のラインからマキシム・ヴァントム(ベルギー、ルーベ・リールメトロポール)が一足早く抜け出した。

軽快な加速で抜け出したヴァントムは、昨年覇者のアレクセイ・ツァテヴィック(ロシア、カチューシャ)やブアニの追い上げを交わしてロングスプリントを成功させ、ゴールラインで力強いガッツポーズを繰り出した。

「今日は多くの優勝候補がいたけれど、最後は自分のレースができた。FDJ.frが良い体勢でいる一方、タイミングを待つことができたんだ。僕はカチューシャ時代に多くのことを学んできた。(今日は)キャリアで最も美しい勝利。とても嬉しいよ」とゴール後のインタビューに答えたヴァントム。一昨年までカチューシャに所属していた27歳が、プロ2勝目、キャリア最大の勝利を手に入れた。

この日、別府は集団から52秒遅れの95位で完走し、「今日のレースは沢山動けて改めて自分のコンディションの良さを実感出来た。結果には繋がらなかったけど、今はギュッと耐えてその時を待ちたい。」と自身のTwitterでコメント。竹之内はバイクトラブルでDNFだった。


ル・サミン2014結果
1位 マキシム・ヴァントム(ベルギー、ルーベ・リールメトロポール)  4h36'20"
2位 アレクセイ・ツァテヴィック(ロシア、カチューシャ)
3位 ナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr)
4位 エワン・コーブル(フランス、ブルターニュシュレー)
5位 クリスティアン・スバラグリ(イタリア、MTNキュベカ)
6位 ストゥブ・シェネル(フランス、AG2Rラモンディアール)
7位 ダニーロ・ナポリターノ(イタリア、ワンティフロープホーベルト)
8位 ゲラルド・チオレック(ドイツ、MTNキュベカ)
9位 ジコ・ワイテンス(ベルギー、トップスポーツフラーンデレン)
10位 トム・デルニーズ(ベルギー、ワロニー・ブリュッセル)

text:So.Isobe
photo:Cor.Vos,Tim de Waele


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