世界選手権開催を1週間後に控えた1月26日、フランス東部のノメにて開催されたUCIシクロクロスワールドカップ最終戦は地元フランスのムレーをスプリントでねじ伏せたメーウセンが優勝。4位でレースを終えたファンデルハールがワールドカップ年間王者に輝いた。日本人選手のコメントも紹介する。



フランシス・ムレー(フランス、FDJ.fr)を突き放しに掛かるトム・メーウセン(ベルギー、テレネット・フィデア)フランシス・ムレー(フランス、FDJ.fr)を突き放しに掛かるトム・メーウセン(ベルギー、テレネット・フィデア) (c)CorVos

地元レースで果敢な走りを見せたフランシス・ムレー(フランス、FDJ.fr)地元レースで果敢な走りを見せたフランシス・ムレー(フランス、FDJ.fr) (c)CorVosUCIシクロクロスワールドカップのシリーズ最終戦となる第7戦の舞台は、2009年以来4年ぶりの開催となるフランス東部のノメ(Nommay)。コースはスタート直後の階段や5つの大きなキャンバーを含みながらも平坦路とのバランスがとれた2.88km。今大会に出走したのは15ヶ国から79名の選手たちで、前回大会の覇者であるニールス・アルベルト(ベルギー、BKCPパワープラス)も含まれる。

終盤にかけて積極的な走りを見せたフィリップ・ワルスレーベン(ドイツ、BKCP・パワープラス)終盤にかけて積極的な走りを見せたフィリップ・ワルスレーベン(ドイツ、BKCP・パワープラス) (c)CorVosスタートから力強い走りを披露しのはトム・メーウセン(ベルギー、テレネット・フィデア)で、1周目の中盤から早くもトップに躍り出る。これにチームメイトのコルヌ・ファンケッセル (テレネット・フィデア)とドイツチャンピオンのフィリップ・ワルスレーベン(ドイツ、BKCP・パワープラス)らが続くが、つかず離れずの展開に。

年間王者獲得へ向けて着実なレース運びを展開したラルス・ファンデルハール(オランダ、ラボバンクデ  ベロップメント)年間王者獲得へ向けて着実なレース運びを展開したラルス・ファンデルハール(オランダ、ラボバンクデ ベロップメント) (c)CorVosさらに後方では地元の期待を一身に集めるフランシス・ムレー(フランス、FDJ.fr)や年間ランキングに首位のラルス・ファンデルハール(オランダ、ラボバンクデベロップメント)が上位を伺い、2周目の終盤ではムレーが第2パックから飛び出しを図る。

優勝争いは(手前から)ムレーとワルスレーベン、メーウセンの3人に絞られた優勝争いは(手前から)ムレーとワルスレーベン、メーウセンの3人に絞られた (c)CorVos3周目の中盤でムレーがブリッジを成功させたのも束の間、先頭集団からはワルスレーベンがアタック。この動きに反応したメーウセンと共にギャップを拡大していく。さらにファンケッセルが落車によって遅れを喫し、ムレーは再び単独での追走を強いられることに。

終盤にかけて力強くもミスのない走りをみせたワルスレーベンがやがて単独先頭に。再度追い上げを見せたムレー、そしてメーウセンと続き、優勝争いはこの3人に絞られる。後続ではシリーズランキングで首位を維持してきたファンデルハールがケヴィン・パウエルス(ベルギー、サンウェブ・ナポレオンゲームス)と第2パックを形成し、タイトル確定へ向けて着実なレース運びを進める。

残り3周になるとムレーとメーウセンがワルスレーベンに追いつき、先頭は再び3人のパックとなる。そして是が非でも地元レースで勝利を飾りたいムレーはそのまま先頭へ。後続は逐一動きに反応するワルスレーベンに対して得意なセクションで差を詰めるメーウセンという風に対応が別れた。

そして最終周。最初の3周以降一度も先頭に出ることの無かったメーウセンがアタックを仕掛けるも決定的な差には至らず。今度はバイク交換後の下りを利用してムレーが会場を大いに沸かせるアタックを繰り出すも決まらない。最後はゴールスプリントとなり、ムレーが先頭でスプリントを開始するも最後はメーウセンが先行し、ワールドカップ最終戦を制した。

ポイントリーダーのファンデルハールは4位でゴールし、危なげなくワールドカップ年間王者を確定させている。日本から参戦した竹之内悠(ベランクラシック・ドルチーニ)と小坂光(宇都宮ブリッツェンシクロクロス)は共に先頭から2周遅れの55位と58位でレースを終えた。

UCIシクロクロスワールドカップ2013-2014第7戦表彰台UCIシクロクロスワールドカップ2013-2014第7戦表彰台 (c)CorVosUCIシクロクロスワールドカップ2013-2014シリーズランキング表彰台UCIシクロクロスワールドカップ2013-2014シリーズランキング表彰台 (c)CorVos

キャンバーをこなす日本チャンピオンの竹之内悠(ベランクラシック・ドルチーニ)キャンバーをこなす日本チャンピオンの竹之内悠(ベランクラシック・ドルチーニ) photo:Sonoko Tanaka下りをこなす小坂光(宇都宮ブリッツェンシクロクロス)下りをこなす小坂光(宇都宮ブリッツェンシクロクロス) photo:Sonoko Tanaka


竹之内悠と小坂光のコメント
小坂「試走からいいイメージをもってレースに臨めた。序盤から身体もよく動いていて、周りの選手とパックで走れたのでよかった。終盤で脚が攣ってしまいパワー不足を感じたが、世界選手権に向けていいイメージが掴めた」
竹之内「張り切ってスタートを切ったが思うように身体が動かなかった。トレーニングで追い込んだからだと思う」



女子エリートは現世界王者マリアンヌ・フォスが圧勝

女子は前戦で年間王者を確定させたケイティ・コンプトン(アメリカ、トレック・シクロクロスコレクティブ)が花粉アレルギーによる喘息が原因でリタイアした中、現世界チャンピオンのマリアンヌ・フォス(オランダ、ラボバンク-リブ)が2位に1分以上の大差をつけて優勝。世界選手権へ向けて弾みをつけた。

喘息に苦しんだケイティ・コンプトン(アメリカ、トレック・シクロクロスコレクティブ)はこの後リタイア喘息に苦しんだケイティ・コンプトン(アメリカ、トレック・シクロクロスコレクティブ)はこの後リタイア (c)CorVos現世界王者の貫禄を見せ優勝したマリアンヌ・フォス(オランダ、ラボバンク-リブ)現世界王者の貫禄を見せ優勝したマリアンヌ・フォス(オランダ、ラボバンク-リブ) (c)CorVos


UCIワールドカップ最終戦を走る豊岡英子(パナソニックレディース)UCIワールドカップ最終戦を走る豊岡英子(パナソニックレディース) photo:Sonoko Tanaka
今シーズン、UCIワールドカップにフル参戦を果たした豊岡英子(パナソニックレディース)は26位。「いまの実力どおりの結果だったと思う。世界選手権でもいい結果が出せるように、あと1週間、しっかりと調整して世界選手権には万全のコンディションで挑みたい」と語り最終戦を締めくくった。



U23、ジュニアには4人の日本人選手が参戦

エリートカテゴリーや、豊岡と同じくワールドカップを転戦した沢田時(チームブリヂストン・アンカー)に加え、U23には横山航太(篠ノ井高校)、ジュニアには中井唯晶(瀬田工業高校)と竹内遼(TEAM Pro Ride)がスポット参戦した。 

U23 ワールドカップを転戦した沢田時(ブリヂストン・アンカー)は最終戦を37位で終えたU23 ワールドカップを転戦した沢田時(ブリヂストン・アンカー)は最終戦を37位で終えた photo:Sonoko TanakaU23 日本代表ジャージを着用して走る横山航太(篠ノ井高校)U23 日本代表ジャージを着用して走る横山航太(篠ノ井高校) photo:Sonoko Tanaka

ジュニア 序盤の落車から追い上げを図る竹内遼(TEAM Pro Ride)ジュニア 序盤の落車から追い上げを図る竹内遼(TEAM Pro Ride) photo:Sonoko Tanakaジュニア 海外レース初参戦の中井唯晶(瀬田工業高校)ジュニア 海外レース初参戦の中井唯晶(瀬田工業高校) photo:Sonoko Tanaka


U23に出場した沢田時と横山航太のコメント
横山「中盤から泥にも慣れてリズムが掴めてきたところで、機材が壊れてしまい、ランニングでピットまで行ったので、そこで脚を使ってしまった。しかし、いい感触は掴めたので世界選手権ではトラブルがないようにしたい」
沢田「昨日の試走で機材トラブルがあり、ナショナルチームのメカニックたちがいなければ、スタートラインに立つことができなかったと思う。その感謝の気持ちを結果で返したかったが、体調が万全ではなく、いい結果は出なかった。しかし、泥に少し自信がついたので、世界選手権では頑張りたい」

ジュニアに出場した中井唯晶と竹内遼のコメント
竹内「スタートで落車してしまい、最初から単独で追い上げる形となってしまったが気持ちを切らさず前を向いて走ることができた」
中井「初めての海外レースで楽しもうと思って走った。内容はダラダラしてしまった部分もあるので、世界選手権に向けてしっかりと走るようにしたい」



シクロクロスUCIワールドカップ第7戦結果
エリート男子
1位 トム・メーウセン(ベルギー、テレネット・フィデア)               1h00'45"
2位 フランシス・ムレー(フランス、FDJ.fr)                    
3位 フィリップ・ワルスレーベン(ドイツ、BKCP・パワープラス)              +5" 
4位 ラルス・ファンデルハール(オランダ、ラボバンクデベロップメント)         +1’01"
5位 ラドミール・シムネク(チェコ、クワドロ・スタンナー)               +1’18"
6位 ケヴィン・パウエルス(ベルギー、サンウェブ・ナポレオンゲームス)         +1’23"
7位 ウィエツ・ボスマンス(ベルギー、BKCP・パワープラス)               +1’30"
8位 ロブ・ピータース(ベルギー、ファーストフットサービス)
9位 バルト・アルノーツ(ベルギー、AAドリンク)                    +1’39"
10位 クラース・ヴァントルノウト(ベルギー、サンウェブ・ナポレオンゲームス)     +1’51"
55位 竹之内悠(ベランクラシック・ドルチーニ)                    -2Laps
58位 小坂光(宇都宮ブリッツェンシクロクロス) 

エリート女子
1位 マリアンヌ・フォス(オランダ、ラボバンク-リブ)               44’16”
2位 ヘレン・ワイマン (イギリス・コナファクトリーレーシング)           +1’32”
3位 エヴァ・レクネル(イタリア、セントロ・スポルティーボ・イゼールチト)     +1’46” 
26位 豊岡英子(パナソニックレディース)                     +6’17” 

U23
1位 ワウト・ファンアールト(ベルギー)    54’20”
2位 マテュー・ファンデルポール(オランダ)   +12”
3位 ミハエル・ ヴァントルノウト (ベルギー)  +34”
37位 沢田時(ブリヂストン・アンカー)    +8’17”
42位 横山航太(篠ノ井高校)          

ジュニア
1位 タイス・アーツ(ベルギー)   40’41”
2位 アダム・トウパリク(チェコ)    +8”
3位 ヤニック・ピータース (ベルギー) +9”
46位 中井唯晶(瀬田工業高校)   +6’47”
47位 竹内遼(TEAM Pro Ride)   +7’23”


text:Yuya.Yamamoto
photo:Cor.Vos, Sonoko Tanaka