19kmの個人タイムトライアルでモビスターがステージと総合を獲る活躍。「ギア選択を誤った」というテイラー・フィニーを3秒差で下したアドリアーノ・マローリが一番時計をマークし、好走したナイロ・キンタナが総合首位に浮上した。

ステージ優勝したアドリアーノ・マローリ(イタリア、モビスター)ステージ優勝したアドリアーノ・マローリ(イタリア、モビスター) (c)Cor.Vos
ステージ優勝を逃したテイラー・フィニー(アメリカ、BMCレーシングチーム)ステージ優勝を逃したテイラー・フィニー(アメリカ、BMCレーシングチーム) (c)www.toursanluis.comいよいよ7日間の日程も佳境に突入したツール・ド・サンルイス。大会5日目となる1月24日は総合を占う上で重要となる個人タイムトライアルが行われた。

「チームにとって最良の一日となった」ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)「チームにとって最良の一日となった」ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) (c)www.toursanluis.comアルゼンチン中部の街サンルイスを発着するコースの総延長は19.2kmで、折り返し地点はスタート/ゴールよりも標高が90m高い。つまり往路はおよそ1.2%の登り、復路は1.2%の下りというプロフィール。コーナー数も全体で4つと純粋な独走力が問われるコースだが、この日も強く吹き付けた風がレースを難しいものとし、わずか数秒差のステージ優勝を左右した。

好走したナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)好走したナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) (c)Cor.Vosこの日のステージ最有力候補に挙げられていたのは、BMCレーシングのテイラー・フィニーだ。しかし朝の試走の段階でフィニーは55T、56Tのビッグギアを選択せず、この判断ミスによってチャンスを逃してしまうこととなる。

次々とタイムが更新されていく中、ベストタイムを計測したのは今期モビスターに移籍したばかりのアドリアーノ・マローリ(イタリア)。平均速度51.9km/h、22分11秒のタイムでフィニッシュラインを駆け抜けると、26番手後ろでスタートしたフィニーの走りに注目が集まった。

ステージ10位のペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール・プロサイクリング)ステージ10位のペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール・プロサイクリング) (c)www.toursanluis.comしかし「大きなギアは今日要らないと思った。でも追い風に乗って75〜78km/h出てしまい、何度も脚を止めなければならない区間があったんだ。力はあったし、ペース配分も全く問題が無かった。でもより大きなギアをつけなかったことで数秒を失ってしまった。」と後に語るフィニーはマローリに僅か3秒届かず2位に。最終的にマローリのタイムを破る者は現れず、ステージ優勝を決めた。

個人タイムトライアルを走るマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)個人タイムトライアルを走るマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ) (c)www.toursanluis.comそして注目は、わずか4秒差と拮抗していた、キンタナとフィリップ・ガイモン(アメリカ、ガーミン・シャープ)による総合争いに移行する。

ステージ表彰台 中央はアドリアーノ・マローリ(イタリア、モビスター)ステージ表彰台 中央はアドリアーノ・マローリ(イタリア、モビスター) (c)www.toursanluis.com「初めてちゃんとTTバイクで走った」というクインターナがマローリから1分18秒遅れの16位と好走を見せた一方、ガイモンは1分48秒遅れのステージ33位に。両者の30秒差が総合順位をひっくり返した。モビスターはマローリのステージ優勝とキンタナの総合首位浮上という最良の一日となった。


リーダージャージを手にしたナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)リーダージャージを手にしたナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) (c)www.toursanluis.comステージ優勝を飾ったアドリアーノ・マローリ(イタリア、モビスター)
正直に言うと勝てるとは思っていなかった。(テイラー)フィニーがステージ優勝を強く狙っていたし、彼にとってピッタリなコースレイアウトだったんだ。でも一旦走り出してからは、自分に力強さがあることに気づいた。去年は5位になっていたからもちろんコースについては良く分かっていたし、良いタイムが出るなと分かっていた。

これは僕にとって大事な勝利だし、特に体力的な面からみても良い結果になったと思う。まだ1月24日だし、この結果は本格シーズンインした後のリマインダーにもなるよ。僕の次の目標は、ドバイツアーのタイムトライアルでまた良い結果を出すことだね。

フィニーは今最もカンチェラーラやマルティン、そしてウィギンズらTTスペシャリストに近い選手。彼を打ち負かしたことは、そうした世界最高のメンバーに少し近づいたことを意味していると思う。ウンスエ監督ともそんなことを話していたんだ。

この勝利は僕のガールフレンドや友達に捧げたい。僕は今思っていた以上の良いフィーリングでいるし、(移籍してから)1ヶ月以上をチームの皆と共に過ごしてきた。メンバーは皆強い絆で結ばれているし、何より凄く皆が強いと思っているよ。僕の勝利と、ナイロ(クインターナ)の総合獲得なんてチームにとって最高の一日になったね。明日はベントソがスプリントで勝てるように彼のことを手助けするつもりだよ。


総合首位に浮上したナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)
チームにとって最高の一日になったし、それが何よりも僕にのって嬉しいよ。特にマローリは凄い走りを見せてくれたし、僕もリーダージャージを奪う走りができた。僕はこの個人TTでタイムを失わないことと、TTでの脚の調子を確かめることによりフォーカスして走ったのだけれど、でも僕の走りは良かったと結果が証明してくれたよ。

新しいTTバイクに今日初めてちゃんと乗ってみたんだけれど、凄い調子が良かったんだ。驚くくらいの性能だったし、反応も良かった。機材の良さは僕を集中させてくれたね。僕は最終の山岳ステージで攻める走りをすると思っていたけれど、予想とは違ってリーダージャージを守ることになる。

逃げグループができてそれを追う動きがいくつも発生するだろうけれど、強力なチームが付いていてくれることはとても大きな安心材料になるし、自身になるんだ。これは明日だけじゃなくて、シーズン全体を通して言えること。今はこのジャージを日曜日までキープできることを考えているよ。その後はチームプレゼンテーションのためにスペインに戻り、また子供の誕生に立ち会うためにコロンビアに戻ってくる。そのステージ(=レースとかけている)だけは逃すことができないね!


ツール・ド・サンルイス2014第5ステージ結果
1位 アドリアーノ・マローリ(イタリア、モビスター)           22'11"(Avg51.931km/h)
2位 タイラー・フィニー(アメリカ、BMCレーシングチーム)         +03"
3位 ジョージ・ジアシンティ(アルゼンチン、サンルイス・ソモストドス)   +29"
4位 ローレンス・ウォーバッス(アメリカ、BMCレーシングチーム)      +48"
5位 アンドレイ・アマドール(コスタリカ、モビスター)           +52"
6位 マヌエル・クインツァート(イタリア、BMCレーシングチーム)      +53"
7位 トム・ボーネン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)     +57"
8位 ダニーロ・ホンド(ドイツ、トレック・ファクトリーレーシング)     +1'02"
9位 エロイ・テルエル(スペイン、ジェーミス・ハーゲン)          +1'03"
10位 ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール・プロサイクリング)  +1'05"

個人総合成績
1位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)            17h18'14"
2位 フィリップ・ガイモン(アメリカ、ガーミン・シャープ)           +26"
3位 ダニエル・ゴドイ(アルゼンチン、サンルイス・ソモストドス)        +2'01"
4位 ジョシュ・モヤーノ(アルゼンチン、サンルイス・ソモストドス)       +2'17"
5位 マルク・デマール(オランダ領キュラソー、ユナイテッドヘルスケア)     +2'47"
6位 ピーター・ステティーナ(アメリカ、BMCレーシングチーム)         +2'57"
7位 ジュリアン・アレドンド(コロンビア、トレック・ファクトリーレーシング)  +2'59"
8位 エデュアルド・セピヴェダ(アルゼンチン、ブルターニュ・エンヴァイロメント)+3'13"
9位 ダーウィン・アタプマ(コロンビア、BMCレーシングチーム)         +3'21"
10位 ミゲルアンヘル・ルビアーノ(コロンビア、コロンビア)          +3'30"

山岳賞
ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)

新人賞
アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・グリーンエッジ)

チーム総合成績
サンルイス・ソモストドス


text:So.Isobe
photo:Cor.Vos、www.toursanluis.com


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