2013/09/30(月) - 09:57
9月22日(日)、東京都心を舞台としたサイクリングイベント「東京シティサイクリング」が開催された。このイベントは環境問題の解決や、健康増進の手段としてのサイクリングを一般にPRすると共にサイクリスト自身が自転車に乗ることの良さを再確認するというものだ。
大会開催日の丁度2週間前に2020年夏季オリンピックの開催が決定したばかりの首都東京を、自転車で走り抜けるイベントが東京シティサイクリング。平成13年から開催されるこのイベントは、アメリカの大都市ニューヨークを舞台に、35年以上に渡って開催される「BIKE NEW YORK(Five Boro Bike Tour)」をモチーフとしている。
「YES! TOKYO IS COOL. 東京の魅力を再発見!」をコンセプトに掲げる本大会は、新宿区や渋谷区、港区、千代田区、中央区、江東区、墨田区の7つの区を巡りながら、車や電車からは見えない景色や、休日の朝だからこそ見える風景を楽しむというもの。
コースは新宿の都庁前をスタートし、井の頭通りから晴海通りに抜けて有明で折り返し、業平から両国、江戸橋、霞ヶ関を経由して千駄ヶ谷の神宮外苑へゴールする43kmが設定された。そして、大雨に見舞われた昨年の大会とは対象的に今年の天気は晴れで、秋らしく突き抜けるような青空が広がる。早朝や高層ビル群の日陰では連日続いた肌寒さ感じたものの、イベントが始まると少し汗ばむくらいの陽気になった。
スタートを前に集合受付場所になっている東京都庁前都民広場には続々とサイクリストがやってくる。関東を中心に、遠方では宮城や沖縄から1681名が集まった。自走で来た人、近隣県から輪行で来た人、仲間とクルマを乗り合わせてきた人など、アプローチは様々。
7:30スタートのA組から、9:30スタートの最終E組まで、大きくは5グループに分かれてスタートしていく。それぞれを数十名ずつに区切り、2km地点の参宮橋辺りまでは1車線をカラーコーンで大会専用道路に区分けするなど、自転車の集団が交通の邪魔にならない様に配慮されていた。
程なくして4km地点の代々木公園に到着する。園内にはサイクリングコースがあるが、ストイックに走る込むランナーや休日の散歩を楽しむご婦人まで様々な人々が訪れるため、少々ゆっくり目に走る必要があった。所々の分岐では迷ったこともあったが何とか「脱出」し、日本のファッションの中心地「表参道」へと出る。
昼ごろともなれば人と自動車でごった返す表参道も、午前8時の段階では静かで普段のイメージとは違う顔を見せる。それでも、シャネルやルイヴィトンといった有名ブランドの店舗や表参道ヒルズは華やかな印象で、装飾品や展示された商品が朝日に反射して少し眩しいぐらいだ。
若者の街、そして青山霊園を抜けると8km地点の東京メトロ乃木坂駅の辺りからは、六本木ヒルズをはじめとした赤坂や六本木の高層ビル群が見えてくる。続いてロールスロイスなどの超高級外車が行き交う東京ミッドタウンの北側を半周する様に通過し、六本木交差点を経て外苑東通りに抜けると第1エイドステーションの機械振興会館に到着した。
第1エイドの目の前にそびえるのは東京タワー。開業から半世紀がたち電波等の役目を終えた今でも、東京のシンボルであり続けいていると感じさせるほどの存在感を持っており、多くの参加者が立ち止まって記念撮影を行っていた。
東京タワーを後にすると、古くからの地名が残る地域を走る。14km地点では、水産物をはじめ青果、鳥卵、漬物、加工食品の5品目を取り扱い、世界最大の取引額を誇る築地市場を通過。休日のため市場は開いていないものの周りの飲食店などは営業しており、市場グルメを求めて訪れる多くの観光客で賑わいを見せていた。
15km地点手前では隅田川に架かる勝どき橋を渡る。東京の橋といえばレインボーブリッジや東京ゲートブリッジが有名だが、ゴジラやウルトラマンにも登場している有名なスポットだ。また、国内に現存する数少ない可動橋としても名が知れている。この辺りは古くからある道のため道幅が少し狭いため走りずらい印象があった。
勝どき橋に続いて晴海大橋を渡ると、コースは東京の中でも比較的新しい街である「東京臨海副都心」に。そして、東京ビッグサイトや有明コロシアムがある有明地域をグルっと1周し、新築マンションが多く建築される豊洲を抜けると、「下町」と呼ばれる地域に進む。
東京の猟師町である深川から、東京の新たなシンボルであるスカイツリーまでの約5kmはほぼ1直線。後々地図で確認してみると、この辺りは碁盤状に道路が通っており、古くからある街である事が分かる。そして道幅が狭いため気を使うが、どんどんと近づいてくるスカイツリーに思わずペースが上がる。
そして、スカイツリーの麓に到着する。麓の撮影スポットはいくつかあるものの、最も参加者が集まっていたのは「逆さスカイツリー」を見ることが出来る源森橋であった。青く晴れ渡った空に伸びるように世界一高いタワーは正に圧巻の一言だが、少し古めかしいカラーの東武伊勢崎/日光線とのコントラストもまた良い雰囲気を醸し出している。
源森橋を離れると、すぐに2つ目のエイドステーションが設置される墨田区役所に到着する。ここでは隅田川と下町を眺めながらバナナと水、塩飴を頂くことが出来た。比較的短いサイクリングイベントながらエイドがしっかりしている点はうれしいポイント。エイドを出発すると9月場所期間中で色鮮やかな幟(のぼり)が立つ両国国技館を横目に都心に戻る。
80年以上の歴史を誇る老舗デパート「三越」の前を通過する辺りから高層ビルが多くなると同時に道幅が広くなり、車線の数が多くなる。そのまま西へ進み山手線の高架を抜けると皇居を囲う内堀通りに入る。丁度CW編集部が到着したころは、平川門と祝田橋の間を封鎖してサイクリングコースとする「パレスサイクリング」が開催中であった。そして、2020年東京オリンピックが開催される際にはロードレースのスタート地点になることを話題にする参加者もちらほら。個人的には皇居をゴール地点に設定してほしいと思う次第だが。
皇居ではコース上で交通規制が行われていたために多くの参加者が足止めとなった。交通規制は12時ごろに解除され、順次再スタートを切っていく。国会議事堂前や赤坂のオフィス街、赤坂御用地など都内ではアップダウンがある地域を抜けるとゴールまではあと少し。そして、皇居同様に休日のみサイクリングコースとなる神宮外苑サイクリングコースに入り、アイドルグループ「嵐」のコンサートで賑わう国立競技場の脇を抜けてゴール。
東京に住み、通ったことのある道や普段から頻繁に使用する道路をコースに含む今大会であったが、様々な再発見があった様に感じた。参加者の皆さんの中にも「電車で移動すると時間が掛かるけど、自転車だと近い」とか、「今走っている道ってあの駅につながっているんだ」と思った方が多かったはず。また、東京に土地勘がない参加者の方には十分に都心サイクリングの魅力が伝わったのではないだろうか。
photo&text:Yuya.Yamamoto
大会開催日の丁度2週間前に2020年夏季オリンピックの開催が決定したばかりの首都東京を、自転車で走り抜けるイベントが東京シティサイクリング。平成13年から開催されるこのイベントは、アメリカの大都市ニューヨークを舞台に、35年以上に渡って開催される「BIKE NEW YORK(Five Boro Bike Tour)」をモチーフとしている。
「YES! TOKYO IS COOL. 東京の魅力を再発見!」をコンセプトに掲げる本大会は、新宿区や渋谷区、港区、千代田区、中央区、江東区、墨田区の7つの区を巡りながら、車や電車からは見えない景色や、休日の朝だからこそ見える風景を楽しむというもの。
コースは新宿の都庁前をスタートし、井の頭通りから晴海通りに抜けて有明で折り返し、業平から両国、江戸橋、霞ヶ関を経由して千駄ヶ谷の神宮外苑へゴールする43kmが設定された。そして、大雨に見舞われた昨年の大会とは対象的に今年の天気は晴れで、秋らしく突き抜けるような青空が広がる。早朝や高層ビル群の日陰では連日続いた肌寒さ感じたものの、イベントが始まると少し汗ばむくらいの陽気になった。
スタートを前に集合受付場所になっている東京都庁前都民広場には続々とサイクリストがやってくる。関東を中心に、遠方では宮城や沖縄から1681名が集まった。自走で来た人、近隣県から輪行で来た人、仲間とクルマを乗り合わせてきた人など、アプローチは様々。
7:30スタートのA組から、9:30スタートの最終E組まで、大きくは5グループに分かれてスタートしていく。それぞれを数十名ずつに区切り、2km地点の参宮橋辺りまでは1車線をカラーコーンで大会専用道路に区分けするなど、自転車の集団が交通の邪魔にならない様に配慮されていた。
程なくして4km地点の代々木公園に到着する。園内にはサイクリングコースがあるが、ストイックに走る込むランナーや休日の散歩を楽しむご婦人まで様々な人々が訪れるため、少々ゆっくり目に走る必要があった。所々の分岐では迷ったこともあったが何とか「脱出」し、日本のファッションの中心地「表参道」へと出る。
昼ごろともなれば人と自動車でごった返す表参道も、午前8時の段階では静かで普段のイメージとは違う顔を見せる。それでも、シャネルやルイヴィトンといった有名ブランドの店舗や表参道ヒルズは華やかな印象で、装飾品や展示された商品が朝日に反射して少し眩しいぐらいだ。
若者の街、そして青山霊園を抜けると8km地点の東京メトロ乃木坂駅の辺りからは、六本木ヒルズをはじめとした赤坂や六本木の高層ビル群が見えてくる。続いてロールスロイスなどの超高級外車が行き交う東京ミッドタウンの北側を半周する様に通過し、六本木交差点を経て外苑東通りに抜けると第1エイドステーションの機械振興会館に到着した。
第1エイドの目の前にそびえるのは東京タワー。開業から半世紀がたち電波等の役目を終えた今でも、東京のシンボルであり続けいていると感じさせるほどの存在感を持っており、多くの参加者が立ち止まって記念撮影を行っていた。
東京タワーを後にすると、古くからの地名が残る地域を走る。14km地点では、水産物をはじめ青果、鳥卵、漬物、加工食品の5品目を取り扱い、世界最大の取引額を誇る築地市場を通過。休日のため市場は開いていないものの周りの飲食店などは営業しており、市場グルメを求めて訪れる多くの観光客で賑わいを見せていた。
15km地点手前では隅田川に架かる勝どき橋を渡る。東京の橋といえばレインボーブリッジや東京ゲートブリッジが有名だが、ゴジラやウルトラマンにも登場している有名なスポットだ。また、国内に現存する数少ない可動橋としても名が知れている。この辺りは古くからある道のため道幅が少し狭いため走りずらい印象があった。
勝どき橋に続いて晴海大橋を渡ると、コースは東京の中でも比較的新しい街である「東京臨海副都心」に。そして、東京ビッグサイトや有明コロシアムがある有明地域をグルっと1周し、新築マンションが多く建築される豊洲を抜けると、「下町」と呼ばれる地域に進む。
東京の猟師町である深川から、東京の新たなシンボルであるスカイツリーまでの約5kmはほぼ1直線。後々地図で確認してみると、この辺りは碁盤状に道路が通っており、古くからある街である事が分かる。そして道幅が狭いため気を使うが、どんどんと近づいてくるスカイツリーに思わずペースが上がる。
そして、スカイツリーの麓に到着する。麓の撮影スポットはいくつかあるものの、最も参加者が集まっていたのは「逆さスカイツリー」を見ることが出来る源森橋であった。青く晴れ渡った空に伸びるように世界一高いタワーは正に圧巻の一言だが、少し古めかしいカラーの東武伊勢崎/日光線とのコントラストもまた良い雰囲気を醸し出している。
源森橋を離れると、すぐに2つ目のエイドステーションが設置される墨田区役所に到着する。ここでは隅田川と下町を眺めながらバナナと水、塩飴を頂くことが出来た。比較的短いサイクリングイベントながらエイドがしっかりしている点はうれしいポイント。エイドを出発すると9月場所期間中で色鮮やかな幟(のぼり)が立つ両国国技館を横目に都心に戻る。
80年以上の歴史を誇る老舗デパート「三越」の前を通過する辺りから高層ビルが多くなると同時に道幅が広くなり、車線の数が多くなる。そのまま西へ進み山手線の高架を抜けると皇居を囲う内堀通りに入る。丁度CW編集部が到着したころは、平川門と祝田橋の間を封鎖してサイクリングコースとする「パレスサイクリング」が開催中であった。そして、2020年東京オリンピックが開催される際にはロードレースのスタート地点になることを話題にする参加者もちらほら。個人的には皇居をゴール地点に設定してほしいと思う次第だが。
皇居ではコース上で交通規制が行われていたために多くの参加者が足止めとなった。交通規制は12時ごろに解除され、順次再スタートを切っていく。国会議事堂前や赤坂のオフィス街、赤坂御用地など都内ではアップダウンがある地域を抜けるとゴールまではあと少し。そして、皇居同様に休日のみサイクリングコースとなる神宮外苑サイクリングコースに入り、アイドルグループ「嵐」のコンサートで賑わう国立競技場の脇を抜けてゴール。
東京に住み、通ったことのある道や普段から頻繁に使用する道路をコースに含む今大会であったが、様々な再発見があった様に感じた。参加者の皆さんの中にも「電車で移動すると時間が掛かるけど、自転車だと近い」とか、「今走っている道ってあの駅につながっているんだ」と思った方が多かったはず。また、東京に土地勘がない参加者の方には十分に都心サイクリングの魅力が伝わったのではないだろうか。
photo&text:Yuya.Yamamoto
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