2013/08/26(月) - 17:17
8月25日、ドイツ北部のハンブルグを舞台に第18回ヴァッテンフォール・サイクラシックス(UCIワールドツアー)が開催され、集団スプリントでジョン・デゲンコルブ(ドイツ、アルゴス・シマノ)が勝利。開催国ドイツに12年ぶりの勝利をもたらした。
ヴァッテンフォール・サイクラシックスは今年で開催18回目を迎える比較的若いクラシックレース。ドイツ唯一のUCIワールドツアーレースだ。
246kmコースの勝負のポイントは、終盤にかけて登場する最大勾配15%のヴァーゼベルグを含むテクニカルな周回コース。毎年のようにこのヴァーゼベルグでアタックが繰り返され、スプリンターチームが逃げを潰しにかかる。スプリンター向きだが、逃げ切りの可能性もあるワンデークラシックだ。
逃げに乗るアシスト、または終盤に向けたスプリンターのポジション取りを担当した宮澤崇史(サクソ・ティンコフ)は「久しぶりに260kmと長いレース。スプリントに持ち込まれる可能性が高く、最終局面にフォーカスしてレースを進める事がミーティングで決まった。10人ほどの逃げがいくようであればボアロ、ヨナス、自分が反応して行く。4人の逃げにヨナスが入り、逃げは序盤であっさりと決まった」と語る。レースはヨナス・ヨルゲンセン(デンマーク、サクソ・ティンコフ)ら4名が先行する形で進行する。
アルゴス・シマノやロット・ベリソル、FDJ.frといったスプリンターチームがメイン集団を率い、逃げグループを追撃。残り50kmで逃げが早くも吸収されると、続いてマヌエーレ・ボアーロ(イタリア、サクソ・ティンコフ)らがカウンターアタックを仕掛けたが決まらない。
「前半の100kmは横風が強く、気を使う場面もあったが落ち着いて後半へ向けて進み、この大会の目玉であるワズベルグの上りへ。400mほどの上りだが15〜18%ほどある。ここを4回通過するが、後半の2回は特にポジションが大事だ。チームでまとまっていい形で入り、周回をこなした」と宮澤。
細くてテクニカルなコーナーが続く周回コースが残り2周に差し掛かったところで、パリ〜ルーベ2位のセプ・ファンマルク(ベルギー、ベルキンプロサイクリング)やワウテル・モル(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)、イアン・スタナード(イギリス、スカイプロサイクリング)、ニキ・テルプストラ(オランダ、オメガファーマ・クイックステップ)がアタック。
ここから抜け出したテルプストラが最後のヴァーゼベルグを先頭で駆け上がったが、ハンブルグ市内に向かう平坦区間でリードは削られる。結局テルプストラは残り8kmで吸収され、約100名によるゴールスプリントに持ち込まれた。
アルゴス・シマノやカチューシャ、ロット・ベリソルがリードアウトトレインを組んで残り1km。完全に主導権を得るようなチームは現れず、混戦状態のままハンブルグの最終ストレートになだれ込む。
早めに仕掛けたダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、サクソ・ティンコフ)やホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター)は徐々に失速。その後ろから飛び立ったデゲンコルブが、先輩ジャーマンスプリンターのアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)を振り切った。
ジロ・デ・イタリア第5ステージに続くシーズン2勝目を飾ったデゲンコルブ。チームメイトのマルセル・キッテル(ドイツ)と比較すると、登りも登れる軽量スプリンターという位置づけだが、スプリント一騎打ちでグライペルを下してみせた。
「調子が良く、ゴール勝負まで力を残すことが出来た。ゴールに向けてチームの動きは最高だったよ。危険な動きを封じ込めて、パーフェクトな動きで良いポジションに僕を落としてくれた。最後は勘に頼って220mでスプリントを開始。そのタイミングは間違っていなかった。これまで180km以上のレースで勝ったことがなかったから、この勝利は自信になるよ。自分の国の一番大きなレースで勝つ意味は大きい」とデゲンコルブは喜ぶ。その一方で、レース中に落車したチームメイトのクーン・デコルト(オランダ)は今年2度目の鎖骨骨折を負っている。
サクソ・ティンコフの宮澤はトップと同集団でゴール。チームメイトのマッティ・ブレシェル(デンマーク)が9位に入った。「最終周回も問題なく上りを終え集団スプリントになる。マティ、ベンナーティを中心にスプリントへ。マティが9位でゴールした。表彰台は狙いたかったので残念な結果になってしまった。帰りのバスでニコラ(ロッシュ)がブエルタで勝った!と聞いて皆で祝杯を上げた。次は自分達も脚気を出す走りをしたい」。
選手コメントはチーム公式サイト他より。
ヴァッテンフォール・サイクラシックス2013結果
1位 ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、アルゴス・シマノ) 5h45'16"
2位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)
3位 アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ) +01"
4位 ホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター)
5位 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、キャノンデールプロサイクリング)
6位 ボーイ・ファンポッペル(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)
7位 ニコラス・マース(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)
8位 トル・フースホフト(ノルウェー、BMCレーシングチーム)
9位 マッティ・ブレシェル(デンマーク、サクソ・ティンコフ)
10位 アルノー・デマール(フランス、FDJ.fr)
62位 宮澤崇史(日本、サクソ・ティンコフ) +09"
text:Kei Tsuji
photo:Riccardo Scanferla
ヴァッテンフォール・サイクラシックスは今年で開催18回目を迎える比較的若いクラシックレース。ドイツ唯一のUCIワールドツアーレースだ。
246kmコースの勝負のポイントは、終盤にかけて登場する最大勾配15%のヴァーゼベルグを含むテクニカルな周回コース。毎年のようにこのヴァーゼベルグでアタックが繰り返され、スプリンターチームが逃げを潰しにかかる。スプリンター向きだが、逃げ切りの可能性もあるワンデークラシックだ。
逃げに乗るアシスト、または終盤に向けたスプリンターのポジション取りを担当した宮澤崇史(サクソ・ティンコフ)は「久しぶりに260kmと長いレース。スプリントに持ち込まれる可能性が高く、最終局面にフォーカスしてレースを進める事がミーティングで決まった。10人ほどの逃げがいくようであればボアロ、ヨナス、自分が反応して行く。4人の逃げにヨナスが入り、逃げは序盤であっさりと決まった」と語る。レースはヨナス・ヨルゲンセン(デンマーク、サクソ・ティンコフ)ら4名が先行する形で進行する。
アルゴス・シマノやロット・ベリソル、FDJ.frといったスプリンターチームがメイン集団を率い、逃げグループを追撃。残り50kmで逃げが早くも吸収されると、続いてマヌエーレ・ボアーロ(イタリア、サクソ・ティンコフ)らがカウンターアタックを仕掛けたが決まらない。
「前半の100kmは横風が強く、気を使う場面もあったが落ち着いて後半へ向けて進み、この大会の目玉であるワズベルグの上りへ。400mほどの上りだが15〜18%ほどある。ここを4回通過するが、後半の2回は特にポジションが大事だ。チームでまとまっていい形で入り、周回をこなした」と宮澤。
細くてテクニカルなコーナーが続く周回コースが残り2周に差し掛かったところで、パリ〜ルーベ2位のセプ・ファンマルク(ベルギー、ベルキンプロサイクリング)やワウテル・モル(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)、イアン・スタナード(イギリス、スカイプロサイクリング)、ニキ・テルプストラ(オランダ、オメガファーマ・クイックステップ)がアタック。
ここから抜け出したテルプストラが最後のヴァーゼベルグを先頭で駆け上がったが、ハンブルグ市内に向かう平坦区間でリードは削られる。結局テルプストラは残り8kmで吸収され、約100名によるゴールスプリントに持ち込まれた。
アルゴス・シマノやカチューシャ、ロット・ベリソルがリードアウトトレインを組んで残り1km。完全に主導権を得るようなチームは現れず、混戦状態のままハンブルグの最終ストレートになだれ込む。
早めに仕掛けたダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、サクソ・ティンコフ)やホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター)は徐々に失速。その後ろから飛び立ったデゲンコルブが、先輩ジャーマンスプリンターのアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)を振り切った。
ジロ・デ・イタリア第5ステージに続くシーズン2勝目を飾ったデゲンコルブ。チームメイトのマルセル・キッテル(ドイツ)と比較すると、登りも登れる軽量スプリンターという位置づけだが、スプリント一騎打ちでグライペルを下してみせた。
「調子が良く、ゴール勝負まで力を残すことが出来た。ゴールに向けてチームの動きは最高だったよ。危険な動きを封じ込めて、パーフェクトな動きで良いポジションに僕を落としてくれた。最後は勘に頼って220mでスプリントを開始。そのタイミングは間違っていなかった。これまで180km以上のレースで勝ったことがなかったから、この勝利は自信になるよ。自分の国の一番大きなレースで勝つ意味は大きい」とデゲンコルブは喜ぶ。その一方で、レース中に落車したチームメイトのクーン・デコルト(オランダ)は今年2度目の鎖骨骨折を負っている。
サクソ・ティンコフの宮澤はトップと同集団でゴール。チームメイトのマッティ・ブレシェル(デンマーク)が9位に入った。「最終周回も問題なく上りを終え集団スプリントになる。マティ、ベンナーティを中心にスプリントへ。マティが9位でゴールした。表彰台は狙いたかったので残念な結果になってしまった。帰りのバスでニコラ(ロッシュ)がブエルタで勝った!と聞いて皆で祝杯を上げた。次は自分達も脚気を出す走りをしたい」。
選手コメントはチーム公式サイト他より。
ヴァッテンフォール・サイクラシックス2013結果
1位 ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、アルゴス・シマノ) 5h45'16"
2位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)
3位 アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ) +01"
4位 ホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター)
5位 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、キャノンデールプロサイクリング)
6位 ボーイ・ファンポッペル(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)
7位 ニコラス・マース(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)
8位 トル・フースホフト(ノルウェー、BMCレーシングチーム)
9位 マッティ・ブレシェル(デンマーク、サクソ・ティンコフ)
10位 アルノー・デマール(フランス、FDJ.fr)
62位 宮澤崇史(日本、サクソ・ティンコフ) +09"
text:Kei Tsuji
photo:Riccardo Scanferla
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