北のクラシックを支配したカンチェラーラが首位　アルデンヌ3連戦開幕迫る

ファビアン・カンチェラーラ（スイス、レディオシャック・レオパード）の圧勝で幕を閉じた「北のクラシック」。いよいよシーズンはアルデンヌ・クラシックに差し掛かる。ジロ・デ・イタリア開幕まで1ヶ月を切っており、グランツールレーサーは最終調整段階に入る。

パリ〜ルーベ　砂埃を巻き上げて進むプトロン photo:Cor Vos2013年、UCIワールドツアーレースは合計28戦開催される。当初は10月にツアー・オブ・杭州が開催される予定だったが、開催の見通しが立たないとして、2年連続中止が決まっている。最終戦は昨年から引き続き10月15日のツアー・オブ・北京だ。

UCIワールドツアー28戦のうち、4月10日の時点で終了しているのは以下の10戦。フランスのパリ〜ニースとイタリアのティレーノ〜アドリアティコの後、選手たちはクラシック組とステージレース組の二手に分かれてそれぞれレースに参戦。北のクラシックを狙う選手たちがベルギーに集まる一方で、グランツールやアルデンヌ・クラシックを狙う選手たちはスペインのカタルーニャ一周とバスク一周に集まった。

2013年度UCIワールドツアーレースとその優勝者
1月22日〜27日　ツアー・ダウンアンダー　　　　　トムイェルテ・スラグテル（ブランコ）
3月3日〜10日　パリ〜ニース　　　　　　　　　　　リッチー・ポルト（スカイ）
3月6日〜12日　ティレーノ〜アドリアティコ　　　　ヴィンチェンツォ・ニーバリ（アスタナ）
3月16日　　　　ミラノ〜サンレモ　　　　　　　　ゲラルド・チオレック（MTNキュベカ）
3月18日〜24日　カタルーニャ一周　　　　　　　　ダニエル・マーティン（ガーミン）
3月22日　　　　E3ハレルベーク　　　　　　　　　ファビアン・カンチェラーラ（レディオシャック）
3月24日　　　　ヘント〜ウェベルヘム　　　　　　ペーター・サガン（キャノンデール）
3月31日　　　　ロンド・ファン・フラーンデレン　ファビアン・カンチェラーラ（レディオシャック）
4月1日〜6日　　バスク一周　　　　　　　　　　　ナイロ・クインターナ（モビスター）
4月7日　　　　　パリ〜ルーベ　　　　　　　　　ファビアン・カンチェラーラ（レディオシャック）

パリ〜ルーベ　先頭でパヴェ区間を抜けるファビアン・カンチェラーラ（スイス、レディオシャック・レオパード）とセプ・ファンマルケ（ベルギー、ブランコプロサイクリング） photo:Riccardo ScanferlaUCIワールドツアー個人ランキングで首位に立ったのは、E3ハレルベーク、ロンド・ファン・フラーンデレン、パリ〜ルーベで連勝したファビアン・カンチェラーラ（スイス、レディオシャック・レオパード）。シーズン前半を勢い良く駆け抜けたカンチェラーラは、シーズン後半に向けてここで短い休養期間に入る。

ヘント〜ウェベルヘム　ウィリーでゴールするペーター・サガン（スロバキア、キャノンデールプロサイクリング） photo:Riccardo Scanferlaカンチェラーラに首位を奪われたのは、ティレーノ〜アドリアティコでステージ2勝を飾り、ヘント〜ウェベルヘム優勝、ミラノ〜サンレモ2位、E3ハレルベーク2位、ロンド・ファン・フラーンデレン2位のペーター・サガン（スロバキア、キャノンデールプロサイクリング）。サガンはアルデンヌ・クラシックに集中するためパリ〜ルーベを欠場している。

サガンは昨年アムステル・ゴールドレースで3位表彰台。サガンには重量級選手に有利な北のクラシックと軽量級選手に有利なアルデンヌ・クラシックの両方で勝てる脚がある。現在ここまで幅広くクラシックで活躍出来る選手はサガン以外にいない。

現在カンチェラーラとサガンは39ポイント差。4月14日のアムステル・ゴールドレース、4月17日のフレーシュ・ワロンヌ、4月21日のリエージュ〜バストーニュ〜リエージュでポイントを稼ぐことが出来れば、サガンが個人ランキング首位に返り咲く可能性が高い（アムステルは1位80ポイント、2位60ポイント、3位50ポイント）。

カンチェラーラとサガンに続くのは、春先のステージレースで活躍したリッチー・ポルト（オーストラリア、スカイプロサイクリング）、ナイロ・クインターナ（コロンビア、モビスター）、そしてホアキン・ロドリゲス（スペイン、カチューシャ）ら。昨年のUCIワールドツアーリーダーであるロドリゲスもアルデンヌ・クラシックでポイントを稼ぐだろう。

UCIワールドツアーランキング（2013年4月7日発表）
1位　ファビアン・カンチェラーラ（スイス、レディオシャック・レオパード）　　　　　　　　351pts
2位　ペーター・サガン（スロバキア、キャノンデールプロサイクリング）　　　　　　　　　　312pts
3位　リッチー・ポルト（オーストラリア、スカイプロサイクリング）　　　　　　　　　　　　200pts
4位　ナイロ・クインターナ（コロンビア、モビスター）　　　　　　　　　　　　　　　　　　182pts
5位　ホアキン・ロドリゲス（スペイン、カチューシャ）　　　　　　　　　　　　　　　　　　144pts
6位　シルヴァン・シャヴァネル（フランス、オメガファーマ・クイックステップ）　　　　　　142pts
7位　フレフ・ファンアフェルマート（ベルギー、BMCレーシングチーム）　　　　　　　　　　140pts
8位　アルベルト・コンタドール（スペイン、サクソ・ティンコフ）　　　　　　　　　　　　　124pts
9位　ゲラント・トーマス（イギリス、スカイプロサイクリング）　　　　　　　　　　　　　　117pts
10位　トムイェルテ・スラグテル（オランダ、ブランコプロサイクリング）　　　　　　　　　 111pts

4月10日には、アルデンヌ・クラシックの前哨戦として知られるブラバンツ・ペイル（UCI1.HC）がベルギーで開催。新城幸也（ユーロップカー）、宮澤崇史（サクソ・ティンコフ）、佐野淳哉（ヴィーニファンティーニ）、西薗良太（チャンピオンシステム）が出場を予定している。

なお、これまでアムステル・ゴールドレースのゴール地点は名物カウベルグの頂上に置かれていたが、今年からゴールが頂上1.8km先の平坦路に移動。フィリップ・ジルベール（ベルギー、BMCレーシングチーム）が勝った昨年のUCIロード世界選手権と同じレイアウトのゴールが採用される。

アムステル・ゴールドレースのゴール地点が昨年ロード世界選手権と同じ平坦路に移動する photo:Kei Tsuji「ユイの壁」にゴールするフレーシュ・ワロンヌ photo:Kei Tsuji

スイスの山々を走るツール・ド・ロマンディ photo:Kei Tsujiアルデンヌ・クラシックが終わると、間髪入れずにスイスでツール・ド・ロマンディが開幕。ディフェンディングチャンピオンのブラドレー・ウィギンズ（イギリス、スカイプロサイクリング）はロマンディを欠場し、同時期にイタリアで開催されるジロ・デル・トレンティーノ（UCI2.HC）に出場する。ジロ・デ・イタリアに調整を合わせるためのスケジュール変更だ。

また、アルデンヌ・クラシックと同時期にトルコではツアー・オブ・ターキー（UCI2.HC）が開催される。北のクラシック連戦出場を終えた別府史之（オリカ・グリーンエッジ）や宮澤崇史（サクソ・ティンコフ）らが出場を予定している。

今後のUCIワールドツアーレース予定
4月14日　アムステル・ゴールドレース（オランダ）
4月17日　フレーシュ・ワロンヌ（ベルギー）
4月21日　リエージュ〜バストーニュ〜リエージュ（ベルギー）
4月23日〜4月28日　ツール・ド・ロマンディ（スイス）
5月4日〜5月26日　ジロ・デ・イタリア（イタリア）
6月2日〜6月9日　クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ（フランス）
6月8日〜6月16日　ツール・ド・スイス（スイス）
6月29日〜7月21日　ツール・ド・フランス（フランス）
7月27日　クラシカ・サンセバスティアン（スペイン）
7月27日〜8月3日　ツール・ド・ポローニュ（ポーランド）
8月12日〜8月18日　エネコツアー（ベルギー／オランダ）
8月24日〜9月15日　ブエルタ・ア・エスパーニャ（スペイン）
8月25日　ヴァッテンフォール・サイクラシックス（ドイツ）
9月1日　GP西フランスプルエー（フランス）
9月13日　GPケベック（カナダ）
9月15日　GPモントリオール（カナダ）
10月5日　ジロ・ディ・ロンバルディア（イタリア）
10月9日〜10月13日　ツアー・オブ・杭州（中国）
10月16日〜10月20日　ツアー・オブ・北京（中国）

text:Kei Tsuji