2013/03/08(金) - 19:12
年末の前回の記事でフレームとパーツをなんとか揃えることができ、RiseRideの鈴木祐一さんに組立を始めてもらった。で、昨年11月に完成。以来、今シーズンに野辺山シクロクロスを皮切りにGPミストラル、湘南シクロクロスなど4レースほどを走った。
シクロクロスシーズンは終わったので、記事のアップが遅いと叱られそうだがそこは個人の趣味のページなのでなにぶんお許しを…(汗)。今回の記事では組立の際のお話と、レースを走ってのインプレなどを綴ってみよう。
ヘッド部などには特に念入りにグリスを塗布し、防水性に気を配りながら組み上げてくれた鈴木さん。お気に入りのグリスはヴィプロスのデ・マリーングリース。「耐塩水グリース」というタイプで、シール性が強く、塩分に強いため汗のかかるヘッド部には最適だそうだ。
パーツ組み付けにあたって鈴木店長を困らせたのが駆動系、とくにチェーンホイール周り。手持ちのデュラエースのクランクに42Tのスギノのチェーンリングを取り付けるのだが、かなりマッチョな造りのデュラエースクランクは専用チェーンリングを取りつけるのは簡単でも、サードパーティのギア板を取り付けるには加工が必要だった。
角張ったクランクを削り、リングが通るようにするまで悪戦苦闘してもらった。このへんは「そんなもの使うからだ」という声も聞こえてきそうだが、シクロクロス用チェーンホイールとして発売されたものはやはりギアがアウター46Tと大きすぎて自分には踏めない。
ロードの世界で今やコンパクトクランクがホビーライダーに標準ギアとして定着したように、CXギアも42Tぐらいがホビーの標準と強く提唱しておきたい。シマノさん、来季はそれでつくってください。きっと売れますから。
ギア板が取り付けらたクランクは、角が出っ張ってなんとも不恰好だが、そこはヨーロッパプロみたいで逆にカッコイイと自分を納得させる。ちなみに角を埋めるキャップはプロ限定で配布されているようですが、日本のシマノ関係者に頼んでも手に入れることはできませんでした(笑)。
あと、困ったのはフロントディレイラーだ。アルテグラのFDが余っていたのでそれが使えるだろうと思ったら、取り付けてみれば羽根(プレート)のアールがギア板に合わない。使えないことはないが、そこはCX専用のFDを調達した。
手持ちのロードパーツなどを流用しての組立ができるというイメージがあったのだが、いざ組んでみるとどんどん使えるパーツは減っていくのだ。
ホイールはFFWD F6D 240S をチョイス。ハブにはセンターロックのディスクローターを取り付けるフランジがある。リムはなんとトラック用と兼用だそうだ。ブレーキ当たり面が必要ないからということで驚きながらもナットク。
タイヤはハイエンドチューブラーのシュワルベのレーシングラルフをチョイス。鈴木さんのインプレでディスクの制動力にも耐えられそうな高グリップがあることが証明されたからだ。鈴木さんイチオシ(笑)。
タイヤ貼りも鈴木さんにお願いしたが、数日おきにリムセメントを塗り重ねては乾かし、3層以上塗り重ねての貼り付けには3週間かかった。レース中に剥がれないように、隙間から水が侵入しないようにするには、どうしてもそれぐらいはかかるとのこと。チューブラーは大変である。でもこれは仕方ない。
「チューブレスで画期的ないいタイヤが出てこないかなぁ〜」と思ってはいますが、シクロクロスは低圧で走ることがどうしても前提になるので、クリンチャーという選択肢は自分の中にはありません。
完成したシクロクロスバイク リドレーX-FIRE
レースを走ってのインプレ
それではここからはレースを実際走ってのインプレをお届けしよう。
まずはフレームの感想から。24tグレードのカーボンを使用したフレームは、かなりしっかりしたつくりで、走っていてどこにもブレが出ない。とくにハンドル回り、フォーク周りが頑丈で、急なコーナーやドロップオフをこなしても、華奢な感じが皆無でとにかく安心して攻められる。この安心感はまるでMTBのよう。
ディスクブレーキを採用したことで、ブレーキングは独特のものになる。シマノのBR-CX75はシクロクロス用に開発された上級のメカニカルディスク。ディスクを使用することで心配していた、「ブレーキが効きすぎてタイヤのグリップ力が負けてスリップする」という現象が起こらない。シクロクロスに特化したブレーキ特性に設定してあるのか、制動がマイルドで、コントロールしやすい。まさにカンティの良さを再現したようなディスクだった。当て効き状態もいい感じ。かつ泥や水の影響を受けないので、悪条件ほどライバルに差を付けられる。
不満点を挙げるとすれば、それを心配していたのに失礼な話だが「ロックしない」こと。レバーを強く握りこんでもガツッとは効かないので、たとえば急坂下りでハードブレーキングしてもずるずると停まらない。こういうMTB的な乗り方はシクロクロスにはないので問題ないが、普段のライドでそれをしたい私は考えどころ。今度レジンのパッドをメタルに換えてみてフィーリングを調整してみようと思っている。
FFWD F6D 240Sのホイールはリムハイト60mmながらリム部が軽量で、転がりも良い。見た目のボリュームに比して重量も軽く、今のところ不満点が挙げられない。クロス組のスポークだからか、ディスクによるハブ軸あたりで生じる制動力がホイール全体に伝わる感じがあって、ラジアル組ホイールにはない、粘るフィーリングを感じるのもマル。
リムが高いので泥や砂の深いところでもOKだろう。砂地獄のシクロクロス東京に出場できなかったのが残念でならない。
今回大いに迷ったのがシフターだ。手持ちであったメカニカル式のアルテグラのレバーでデュラエースのリアメカを動かしている。本当はDi2を採用したかったが、お財布の都合と、Di2が組み付けるタイミングではまだ一気変速に対応していなかったために見送ったのだ。
レースを走った結果、メカ式でも十分だと思っていたが、富士・朝霧高原でのマスターズ選手権のレースのときに考えは変わった。0度近い低温下でレースを走っていて、手の感覚がなくなって変速がほとんどできなくなった時、「あぁ、やっぱり電動だな」とぼやきながら走った。来季はグレードアップを考えます。でも財布が…(苦笑)。
そのあたりはどれだけこの競技に真剣に投資できるかにかかっている。←きっとやらないな(笑)。
ハンドル、ステムには当初アルミ製のロード用を流用したが、カーボン系ハンドルの振動吸収性が欲しくなり、イーストンのEC70SLハンドル&EC90ステムに交換した。強度のあるカーボンハンドルと、がっちりトルクをかけて締め上げられる固定力に定評あるアルミステムの組み合わせだ。レース中によく衝撃でハンドルが下がることがあるので、カーボンを使うなら固定力最優先で選びたい。
サドルは上面がフラットな形状のプロロゴ・ゼロⅡTSを使っているが、激上りなどでサドルの前の方に座ってこぐ、いわゆる「ケツ刺し乗り」がしやすいので気に入っている。フィジークで言えばツンドラ等の形状に近い。折れるのが心配なのでカーボンでなくクロモリ中空レールにした。
こんな感じで年明けから数レース走り、十分いい感じで来季も続けてレースで遊べそうだ。
このシクロクロスバイクという乗り物、レースとその練習でしかほぼ乗らないシロモノ。普段はどうするか?それが問題だ。
そこで、普段もシクロクロスバイクで遊べるようにこの連載は続くのである。
次回はオフロードツーリングやトレイルライドなどの山遊びに使えるカスタマイズを紹介する。決して「クロスバイクって通勤・通学にも使えて便利」としないのがシクロワイアード流である。この連載、わりと長く続くかも(笑)。
photo&text:Makoto.AYANO
写真提供:シクロクロス仲間の皆さん
シクロクロスシーズンは終わったので、記事のアップが遅いと叱られそうだがそこは個人の趣味のページなのでなにぶんお許しを…(汗)。今回の記事では組立の際のお話と、レースを走ってのインプレなどを綴ってみよう。
ヘッド部などには特に念入りにグリスを塗布し、防水性に気を配りながら組み上げてくれた鈴木さん。お気に入りのグリスはヴィプロスのデ・マリーングリース。「耐塩水グリース」というタイプで、シール性が強く、塩分に強いため汗のかかるヘッド部には最適だそうだ。
パーツ組み付けにあたって鈴木店長を困らせたのが駆動系、とくにチェーンホイール周り。手持ちのデュラエースのクランクに42Tのスギノのチェーンリングを取り付けるのだが、かなりマッチョな造りのデュラエースクランクは専用チェーンリングを取りつけるのは簡単でも、サードパーティのギア板を取り付けるには加工が必要だった。
角張ったクランクを削り、リングが通るようにするまで悪戦苦闘してもらった。このへんは「そんなもの使うからだ」という声も聞こえてきそうだが、シクロクロス用チェーンホイールとして発売されたものはやはりギアがアウター46Tと大きすぎて自分には踏めない。
ロードの世界で今やコンパクトクランクがホビーライダーに標準ギアとして定着したように、CXギアも42Tぐらいがホビーの標準と強く提唱しておきたい。シマノさん、来季はそれでつくってください。きっと売れますから。
ギア板が取り付けらたクランクは、角が出っ張ってなんとも不恰好だが、そこはヨーロッパプロみたいで逆にカッコイイと自分を納得させる。ちなみに角を埋めるキャップはプロ限定で配布されているようですが、日本のシマノ関係者に頼んでも手に入れることはできませんでした(笑)。
あと、困ったのはフロントディレイラーだ。アルテグラのFDが余っていたのでそれが使えるだろうと思ったら、取り付けてみれば羽根(プレート)のアールがギア板に合わない。使えないことはないが、そこはCX専用のFDを調達した。
手持ちのロードパーツなどを流用しての組立ができるというイメージがあったのだが、いざ組んでみるとどんどん使えるパーツは減っていくのだ。
ホイールはFFWD F6D 240S をチョイス。ハブにはセンターロックのディスクローターを取り付けるフランジがある。リムはなんとトラック用と兼用だそうだ。ブレーキ当たり面が必要ないからということで驚きながらもナットク。
タイヤはハイエンドチューブラーのシュワルベのレーシングラルフをチョイス。鈴木さんのインプレでディスクの制動力にも耐えられそうな高グリップがあることが証明されたからだ。鈴木さんイチオシ(笑)。
タイヤ貼りも鈴木さんにお願いしたが、数日おきにリムセメントを塗り重ねては乾かし、3層以上塗り重ねての貼り付けには3週間かかった。レース中に剥がれないように、隙間から水が侵入しないようにするには、どうしてもそれぐらいはかかるとのこと。チューブラーは大変である。でもこれは仕方ない。
「チューブレスで画期的ないいタイヤが出てこないかなぁ〜」と思ってはいますが、シクロクロスは低圧で走ることがどうしても前提になるので、クリンチャーという選択肢は自分の中にはありません。
完成したシクロクロスバイク リドレーX-FIRE
レースを走ってのインプレ
それではここからはレースを実際走ってのインプレをお届けしよう。
まずはフレームの感想から。24tグレードのカーボンを使用したフレームは、かなりしっかりしたつくりで、走っていてどこにもブレが出ない。とくにハンドル回り、フォーク周りが頑丈で、急なコーナーやドロップオフをこなしても、華奢な感じが皆無でとにかく安心して攻められる。この安心感はまるでMTBのよう。
ディスクブレーキを採用したことで、ブレーキングは独特のものになる。シマノのBR-CX75はシクロクロス用に開発された上級のメカニカルディスク。ディスクを使用することで心配していた、「ブレーキが効きすぎてタイヤのグリップ力が負けてスリップする」という現象が起こらない。シクロクロスに特化したブレーキ特性に設定してあるのか、制動がマイルドで、コントロールしやすい。まさにカンティの良さを再現したようなディスクだった。当て効き状態もいい感じ。かつ泥や水の影響を受けないので、悪条件ほどライバルに差を付けられる。
不満点を挙げるとすれば、それを心配していたのに失礼な話だが「ロックしない」こと。レバーを強く握りこんでもガツッとは効かないので、たとえば急坂下りでハードブレーキングしてもずるずると停まらない。こういうMTB的な乗り方はシクロクロスにはないので問題ないが、普段のライドでそれをしたい私は考えどころ。今度レジンのパッドをメタルに換えてみてフィーリングを調整してみようと思っている。
FFWD F6D 240Sのホイールはリムハイト60mmながらリム部が軽量で、転がりも良い。見た目のボリュームに比して重量も軽く、今のところ不満点が挙げられない。クロス組のスポークだからか、ディスクによるハブ軸あたりで生じる制動力がホイール全体に伝わる感じがあって、ラジアル組ホイールにはない、粘るフィーリングを感じるのもマル。
リムが高いので泥や砂の深いところでもOKだろう。砂地獄のシクロクロス東京に出場できなかったのが残念でならない。
今回大いに迷ったのがシフターだ。手持ちであったメカニカル式のアルテグラのレバーでデュラエースのリアメカを動かしている。本当はDi2を採用したかったが、お財布の都合と、Di2が組み付けるタイミングではまだ一気変速に対応していなかったために見送ったのだ。
レースを走った結果、メカ式でも十分だと思っていたが、富士・朝霧高原でのマスターズ選手権のレースのときに考えは変わった。0度近い低温下でレースを走っていて、手の感覚がなくなって変速がほとんどできなくなった時、「あぁ、やっぱり電動だな」とぼやきながら走った。来季はグレードアップを考えます。でも財布が…(苦笑)。
そのあたりはどれだけこの競技に真剣に投資できるかにかかっている。←きっとやらないな(笑)。
ハンドル、ステムには当初アルミ製のロード用を流用したが、カーボン系ハンドルの振動吸収性が欲しくなり、イーストンのEC70SLハンドル&EC90ステムに交換した。強度のあるカーボンハンドルと、がっちりトルクをかけて締め上げられる固定力に定評あるアルミステムの組み合わせだ。レース中によく衝撃でハンドルが下がることがあるので、カーボンを使うなら固定力最優先で選びたい。
サドルは上面がフラットな形状のプロロゴ・ゼロⅡTSを使っているが、激上りなどでサドルの前の方に座ってこぐ、いわゆる「ケツ刺し乗り」がしやすいので気に入っている。フィジークで言えばツンドラ等の形状に近い。折れるのが心配なのでカーボンでなくクロモリ中空レールにした。
こんな感じで年明けから数レース走り、十分いい感じで来季も続けてレースで遊べそうだ。
このシクロクロスバイクという乗り物、レースとその練習でしかほぼ乗らないシロモノ。普段はどうするか?それが問題だ。
そこで、普段もシクロクロスバイクで遊べるようにこの連載は続くのである。
次回はオフロードツーリングやトレイルライドなどの山遊びに使えるカスタマイズを紹介する。決して「クロスバイクって通勤・通学にも使えて便利」としないのがシクロワイアード流である。この連載、わりと長く続くかも(笑)。
photo&text:Makoto.AYANO
写真提供:シクロクロス仲間の皆さん