2011/10/20(木) - 11:56
トレックはボントレガーやサイクルオプスなどのパーツブランドを傘下に持つことで知られる。そこで今回は、ボントレガーの2012コレクションを中心に、注目の新製品を紹介したい。
レースXライトは、新開発のinForm熱成形フットベッドを採用。土踏まずの部分に当たる熱成形フォームをオーブンなどで100℃で2分間加熱し、シューズに入れて履くだけで自分の足型にあったインソールが成形でき、従来のモデルに比べてよりフィット感が向上している。シューズに同梱されるが、フットベッド単体での販売も行うという。
また、ジャストフィットを追求したinForm PROラストや、1.5mm刻みという細かさで調整可能なマイクロフィットバックルなど、上位モデルのテクノロジーも継承。軽量で強度に優れたゴールドシリーズカーボンソールの採用で、重量もわずか260g(42サイズ)に抑えている。
ラスト(足型)も2種類用意。ノーマルモデルに加え、日本人に多い幅広の脚に対応するinFormワイドラストを採用したワイドモデルも選択可能だ。なお、カラーはノーマルモデルがホワイト、ワイドモデルがブラックの各1色展開となる。
レースXライト
軽量さもさることながら、微調整を行いやすいマイクロフィットバックルや、かかとをすっぽりと覆う360°ヒールカップ、かかとの内側に滑りにくい特殊生地などを採用し、ペダリング時にも優れたフィット感と、足入れの時に感じる履き心地の良さを実現している。
パワー伝達性能の高さは、PowerWaveテクノロジー採用のカーボンアウトソールによるところが大きい。カーボンソールに凹凸を付け、ソール剛性を高めながら極限まで肉厚を下げるこのテクノロジーによって、プロ選手の強力なペダリングに耐える強靱さと軽さを両立している。レディオシャックのクリス・ホーナーらが使用していることも、このシューズの性能の高さを裏付けている。
レースXXXライトには、バックルを廃するなどして195g(サイズ42)という最軽量クラスの軽さを手に入れたリミテッドエディションモデルも存在する。詳しくは下記のインプレッションをごらんいただきたい。
レースXXXライト ロードシューズ
中でもシューズは、重量の影響が大きなアイテムだと思う。1回のレースで数百回から数千回、ロングライドでは数万回もペダルとともに回転させるからだ。シューズの重さは、脚に負荷をかけるウエイトのようなものだから、重量は軽ければ軽いほどよい。
その点、レースXXXライト ロードシューズのリミテッドエディションは、42サイズでわずか195gという軽さを実現しており、重量に関しては申し分ない。手に持った時の軽さは衝撃もので、「これでクリートが本当についているのか?」と思わず裏返して見てしまったほどだ。
断っておくと、ノーマルモデルのレースXXXライトロードシューズも42サイズで235gと十分に軽量だ。そこから40gもの軽量化を実現するにあたり、文字通りの身を削るようなダイエットが行われている。
例えば、ノーマルモデルに採用されているバックルはリミテッドエディションでは廃されている。バックルはシューズフィッティングの微調整を容易にし、走行中にも操作できるため、多くのメーカーで上位モデルに採用されている。しかし、重量面では通常のベルクロ式に劣るため、リミテッドエディションではあえて軽量なベルクロ式が採用されたのだ。
また、ノーマルモデルにも採用されているのが、最大限のホールド力を実現する360°ヒールカップだ。パンチング加工が施され、通気性の確保と軽量化を達成している。
このほか、素材の使用量を最小限に抑えるZero XSデザインや、アッパー部に多用されている軽量なライトニングメッシュ、軽さと剛性の高さを両立するPower Waveテクノロジー採用のカーボンソールなど、軽さと機能性を両立したテクノロジーを随所に満載している。
実際にシューズを履いてバイクを走らせると、かっちりしたソールに対してアッパーのソフトさが印象的だった。ボントレガーのシューズは比較的細身のラスト(足型)を採用しているが、どちらかといえば甲高な筆者の足にもジャストフィットした。ただし、ペダリングを考慮すると、ベルクロは比較的きつめに閉めた方が良さそうだ。
持ち味の軽さが真価を発揮するのは、やはり高ケイデンスを保つような走り方。履き慣れたいつものシューズより明らかに軽く、同じギア比だと気分的に脚が軽く回る気がした。それでも足首を中心にしっかりしたホールド感があり、高回転で回してもシューズ内でかかとが浮き上がるようなことはなかった。これは360°ヒールカップと、かかとの内側に採用されているヒールスリップ防止の特殊素材の恩恵だろう。
ではトルク型のペダリングには対応しないのかというと、決してそうではない。Power Waveテクノロジー採用のカーボンソールは、軽いのに剛性感があり、大トルクで踏み込んだときにもみじんも頼りなさを感じさせない。力をかけた分だけしっかりペダルにトルクが伝わっている印象だ。
長距離を走る時間はなかったが、個人的な印象では長時間履き続けてもストレスは少なそうだと感じた。軽さを生かせるヒルクライムはもちろん、ロードレースにも十分対応すると感じた。
あえて重箱の隅をつつくように気になった点を挙げるとすると、カラーバリエーションの少なさぐらい。ノーマル仕様のホワイトに対し、リミテッドエディションでは鮮やかなレッドの1色展開だ。潔いと言えば潔いが、フレームやウエアの色によってはカラーコーディネートしにくい。性能は申し分ないので、今後カラバリが増えることに期待したい。
優れた空力性能を誇るアイオロスD3ほか
ラインナップは、リムハイト35mmのアイオロス3 D3、50mmのアイオロス5 D3、70mmのアイオロス7 D3、90mmのアイオロス9 D3の4種類。5にのみチューブラー仕様とクリンチャー仕様が用意され、3、7、9の各モデルはチューブラー仕様のみとなる。リムはいずれもOCLVカーボンによるワンピース構造で、剛性が格段にアップしている。
D3とは「デュアル・ディレクショナル・デザイン」の頭文字をとったもの。ほかのホイールがホイール前側のみで空気抵抗を低減する設計であるのに対し、ホイールの前側と後側の両方でドラッグ(空気抵抗)の発生を抑え、空気抵抗を低減させようというものだ。これにより、ほかのエアロホイールより低いリムハイトで同等のエアロ効果が得られるという。
より低いリムハイトで同等のエアロ効果が実現できるということは、平地での巡航性能の高さはそのままに、バイクの軽量化がはかれるということだ。すなわち、上りで出力をセーブでき、加速性能も向上し、横風の影響も受けにくくなる。トレック・ジャパンの野口忍氏も「日本のロードレースなら35mmハイトモデルがあればほぼカバーできるはず」と太鼓判を押す。
いずれのモデルも、スターラチェット内蔵のDT製カーボンハブに加え、DTエアロライトスポークを採用。軽さ、空力性能、加速時の掛かりの良さ、剛性を高い次元で兼ね備えたホイールとなっている。
リムハイトの豊富さもさることながら、各モデルに9色のカラーバリエーションがあることも見逃せない。フレームカラーとコーディネートが可能で、愛車を足元から華やかに見せてくれることだろう。
なお、アイオロス3 D3については、トレックワールド・ジャパンの会場に1ペアだけサンプルが届いていたため、試乗する機会を得たのでミニインプレッションを行った。各モデルの主なスペックについては下表の通りだ。
このモデルは、6061アルミとユニディレクショナルカーボンを組み合わせた50mmハイトのACC(アルミ・カーボン・コンストラクション)リムを採用。リムサイドがアルミとなっているため、雨天時の制動力に優れ、タイヤの収まりもよく、しかも軽量なのが特徴だ。
スポークはアイオロスD3シリーズと同じDTエアロライト。前18本、後24本という剛性と空力性能のバランスに優れたスポーク本数を採用する。
フリーハブボディは、標準でシマノおよびスラムに対応。カンパニョーロにも別売のフリーボディで対応する。
オーラ5ACC カーボンロード
トレックワールド・ジャパン開催時にはまだ試乗可能なサンプルがほとんどなかったアイオロスD3シリーズ。1ペアだけ用意していただいたリムハイト35mmのアイオロス3 D3に試乗できたので、その模様をブリーフインプレッションとしてお伝えしたい。
アイオロスがD3シリーズに進化したことによる最大の変更点は、リム形状にある。リムのタイヤ接着面が23cのタイヤ幅よりやや広めになっており、ブレーキ面より内側でリム幅は最大となる。そして緩やかにアールを描きながらリムの内周に達するが、そのリムの内周も、断面で見るとややボリュームと丸みのある形状になっているのがポイントだ。
「この形状により、ホイールの前側も後ろ側もドラッグ(空気抵抗)の発生を抑え、従来と同じリムハイトでより高い空力性能を実現しているんです」とトレック・ジャパンの野口忍氏は言う。
半信半疑で時速40kmを超える高速域まで一気に加速し、そのまましばらく巡航してみる。すると、リムハイトから受ける印象よりはるかに巡航しやすい。個人的な感覚では、従来のモデルや他社製品の45~50mm相当のエアロ効果があるイメージだ。これがホイールの前側と後ろ側の空気抵抗を減らしている効果なのだろう。
それなのにリムハイトはそれほど高くないので、加速性能や登坂性能も優れている。横風が強い日にコーナーなどでひやりとする場面も減りそうだ。
加速性能や登坂性能の高さについては、ホイールの軽さが大きく影響している。とにかく持った瞬間にその軽さを実感する。何しろ前後ペアで1150gという軽さなのだ。それでいて、価格はペアで23万円。同程度の重量・性能のホイールが他社では30万円近いことを考えると、これは相当お買い得だと思う。
このホイールの特徴を一言で言うなら、「ディープリムとローハイトの軽量リムのいいとこ取りをしたホイール」だ。巡航時にはディープリムホイール、加速時や登坂時にはローハイトの軽量ホイールのようなキャラクターが姿を現す。これ1本でヒルクライムからロードレース、耐久レースまで、幅広いレースをカバーしてくれるはずだ。
「ボントレガー=トレック傘下のパーツブランド」という先入観を捨て、トレックユーザーだけでなく、ほかのブランドのバイクのユーザーも使ってみてほしい。そうすれば、そんなこだわりが実に些細なものに思えることは間違いない。
オラクルの最大の特徴は、カーボンファイバー製の骨組みを採用していること。これによって強度を確保できるため、より開口部を大きくすることが可能となり、軽量化とともに優れた冷却性能を実現している。
また、数値流体力学(CFD)に基づいたコンピュータ解析を行い、空力性能と通気性を両立している。さらに額とヘルメットの間に空間を持たせ、ヘルメット内部に誘導溝を設けるなど、ベンチレーションを高めるためのテクノロジーを満載している。
片手で簡単に調整できるヘッドマスター・フィットシステムや、ロックダウン・ストラップなどのテクノロジーにより、容易にフィット調整も可能。銀イオンによる抗菌・消臭効果を備えたフィットパッドを採用するなど、快適性や付け心地の良さにも配慮している。
オラクル ヘルメット
パワータップとジュールがリニューアル
パワーメーター市場で最もポピュラーな製品のひとつが、後輪のハブにパワーメーターを内蔵したパワータップ。2012年モデルで上位モデルがG3シリーズにリニューアルし、ハブボディがさらに小型・軽量化された。
新モデルの特徴は、ハブ全体の小型・軽量化が図られたこと。旧モデルと比較して、全体的に一回り小さくなっている。その分、ハブフランジも小さくなっているが、フランジ幅を広げることでホイール剛性を保つことに成功している。
内部の電子機器も進化。制度は±1.5%と旧モデルと同じだが、キャップ側にバッテリーや電子部品を内蔵する方式に変更され、メンテナンス性が向上している。
ヘッドユニットやセンサー類は付属せず、その分旧モデルより価格は抑えられている。使用時には後述するサイクルオプス・ジュールやガーミン・EDGEシリーズなど、市販のANT+仕様でパワー表示対応のヘッドユニットと組み合わせて使用する。
G3シリーズとしてラインナップされるのはG3CとG3の2モデル。セラミックベアリングを採用したG3C、ノーマルベアリング採用で値段を抑えたG3だ。
G3Cはセラミックスピード社のセラミックベアリングを採用し、軽量化と回転性能の向上を図ったハイエンドモデル。旧モデルのSLC+に相当する。
その重量はわずか315g。「現在市販されているひずみゲージを利用した直接計測式のパワーメーターで最軽量」(トレック・ジャパン)という。他社のハイエンドクラスのハブと比較してもわずか70g程度の重量増でしかなく、もはやパワータップの最大の弱点だった「上りで後ろに引っ張られる感じ」は解消されたといってもいいだろう。
一方、G3は、G3Cの機能はそのままに、ノーマルベアリングに変更したモデル。旧モデルのSL+に相当する。重量は325gだが、それでもSL+と比べておよそ100g軽い。
これまでは練習用として使う人が多かったと予想されるパワータップだが、これならレースにも積極的に投入し、走りを分析してトレーニングにフィードバックする――という使い方もしやすくなるはずだ。
パワータップG3シリーズは、ハブ単体だけでなく、完組ホイールとしても販売される。ENVEのカーボンリム(46mm、65mm)のクリンチャー仕様とチューブラー仕様のほか、アルミリム採用のクリンチャーモデルもラインナップされる。
特筆すべきポイントのひとつは、表示項目の多彩さ。速度やパワー、ケイデンスなどはもちろん、パワートレーニングで日々のトレーニング量を管理するのに欠かせないTSS、NP(上りや急加速による極端なパワー変化を慣らした状態に補正したパワー値)、IF(パワートレーニングの基準となるLTパワーの何%で走っているかを示す)などもリアルタイムで表示可能だ。
もちろん、これらの走行データは、PCにダウンロードし、「パワーエージェント」などのソフトで解析することもできる。直感的でわかりやすい操作性や、表示のカスタマイズの自由度もほかの製品にはないメリットだ。
TSSやNP、IFといった数値をリアルタイムで表示可能なヘッドユニットは現在ほとんどない。そういう意味でも、ジュールはパワートレーニングに最もふさわしいヘッドユニットといえるだろう。
精度は±5%だが、価格はわずか25000円とかなりお手軽。しかも重量も軽い。パワートレーニングをより身近なものにしてくれそうだ。
超軽量シューズに熱成形インソール 充実のシューズラインナップ
レースXライト ロードシューズ
ボントレガーの2012年モデルシューズラインナップの注目モデルは、フルモデルチェンジを果たしたレースXライトロードシューズだ。レースXライトは、新開発のinForm熱成形フットベッドを採用。土踏まずの部分に当たる熱成形フォームをオーブンなどで100℃で2分間加熱し、シューズに入れて履くだけで自分の足型にあったインソールが成形でき、従来のモデルに比べてよりフィット感が向上している。シューズに同梱されるが、フットベッド単体での販売も行うという。
また、ジャストフィットを追求したinForm PROラストや、1.5mm刻みという細かさで調整可能なマイクロフィットバックルなど、上位モデルのテクノロジーも継承。軽量で強度に優れたゴールドシリーズカーボンソールの採用で、重量もわずか260g(42サイズ)に抑えている。
ラスト(足型)も2種類用意。ノーマルモデルに加え、日本人に多い幅広の脚に対応するinFormワイドラストを採用したワイドモデルも選択可能だ。なお、カラーはノーマルモデルがホワイト、ワイドモデルがブラックの各1色展開となる。
レースXライト
サイズ | 37-45(ノーマルモデル)、39W-45W(ワイドモデル) (一部サイズに関しては、限定入荷につき在庫が切れ次第販売終了になるものがあります) |
カラー | ホワイト(ノーマルモデルのみ)、ブラック(ワイドモデルのみ) |
重量 | 260g(サイズ42) |
価格 | 25,000円 |
レースXXXライト ロードシューズ
ロードシューズのハイエンドモデル・レースXXXライトロードシューズは、42サイズで235gという軽さを誇りながら、フィット感やパワー伝達性能にも優れるのが特徴だ。軽量さもさることながら、微調整を行いやすいマイクロフィットバックルや、かかとをすっぽりと覆う360°ヒールカップ、かかとの内側に滑りにくい特殊生地などを採用し、ペダリング時にも優れたフィット感と、足入れの時に感じる履き心地の良さを実現している。
パワー伝達性能の高さは、PowerWaveテクノロジー採用のカーボンアウトソールによるところが大きい。カーボンソールに凹凸を付け、ソール剛性を高めながら極限まで肉厚を下げるこのテクノロジーによって、プロ選手の強力なペダリングに耐える強靱さと軽さを両立している。レディオシャックのクリス・ホーナーらが使用していることも、このシューズの性能の高さを裏付けている。
レースXXXライトには、バックルを廃するなどして195g(サイズ42)という最軽量クラスの軽さを手に入れたリミテッドエディションモデルも存在する。詳しくは下記のインプレッションをごらんいただきたい。
レースXXXライト ロードシューズ
サイズ | 40-45(一部サイズに関しては、限定入荷につき在庫が切れ次第販売終了になるものがあります) |
カラー | ホワイト(ノーマルモデルのみ)、レッド(リミテッドエディションのみ) |
重量 | 235g(ノーマルモデル)、195g(リミテッドエディション) |
価格 | 30,000円 |
インプレッション
ボントレガー レースXXXライトロードシューズ・リミテッドエディション
自転車レース機材において、“軽さは正義”とされる。バイクの軽さは、上りのパフォーマンスや加速性能に好影響を与えるからだ。そして同様に、ウエアやヘルメット、シューズも、必要最低限の機能と安全性が担保されれば、軽いに越したことはない。ライダーの装備重量も、登坂性能や加速性能に影響を与えるからだ。中でもシューズは、重量の影響が大きなアイテムだと思う。1回のレースで数百回から数千回、ロングライドでは数万回もペダルとともに回転させるからだ。シューズの重さは、脚に負荷をかけるウエイトのようなものだから、重量は軽ければ軽いほどよい。
その点、レースXXXライト ロードシューズのリミテッドエディションは、42サイズでわずか195gという軽さを実現しており、重量に関しては申し分ない。手に持った時の軽さは衝撃もので、「これでクリートが本当についているのか?」と思わず裏返して見てしまったほどだ。
断っておくと、ノーマルモデルのレースXXXライトロードシューズも42サイズで235gと十分に軽量だ。そこから40gもの軽量化を実現するにあたり、文字通りの身を削るようなダイエットが行われている。
例えば、ノーマルモデルに採用されているバックルはリミテッドエディションでは廃されている。バックルはシューズフィッティングの微調整を容易にし、走行中にも操作できるため、多くのメーカーで上位モデルに採用されている。しかし、重量面では通常のベルクロ式に劣るため、リミテッドエディションではあえて軽量なベルクロ式が採用されたのだ。
また、ノーマルモデルにも採用されているのが、最大限のホールド力を実現する360°ヒールカップだ。パンチング加工が施され、通気性の確保と軽量化を達成している。
このほか、素材の使用量を最小限に抑えるZero XSデザインや、アッパー部に多用されている軽量なライトニングメッシュ、軽さと剛性の高さを両立するPower Waveテクノロジー採用のカーボンソールなど、軽さと機能性を両立したテクノロジーを随所に満載している。
実際にシューズを履いてバイクを走らせると、かっちりしたソールに対してアッパーのソフトさが印象的だった。ボントレガーのシューズは比較的細身のラスト(足型)を採用しているが、どちらかといえば甲高な筆者の足にもジャストフィットした。ただし、ペダリングを考慮すると、ベルクロは比較的きつめに閉めた方が良さそうだ。
持ち味の軽さが真価を発揮するのは、やはり高ケイデンスを保つような走り方。履き慣れたいつものシューズより明らかに軽く、同じギア比だと気分的に脚が軽く回る気がした。それでも足首を中心にしっかりしたホールド感があり、高回転で回してもシューズ内でかかとが浮き上がるようなことはなかった。これは360°ヒールカップと、かかとの内側に採用されているヒールスリップ防止の特殊素材の恩恵だろう。
ではトルク型のペダリングには対応しないのかというと、決してそうではない。Power Waveテクノロジー採用のカーボンソールは、軽いのに剛性感があり、大トルクで踏み込んだときにもみじんも頼りなさを感じさせない。力をかけた分だけしっかりペダルにトルクが伝わっている印象だ。
長距離を走る時間はなかったが、個人的な印象では長時間履き続けてもストレスは少なそうだと感じた。軽さを生かせるヒルクライムはもちろん、ロードレースにも十分対応すると感じた。
あえて重箱の隅をつつくように気になった点を挙げるとすると、カラーバリエーションの少なさぐらい。ノーマル仕様のホワイトに対し、リミテッドエディションでは鮮やかなレッドの1色展開だ。潔いと言えば潔いが、フレームやウエアの色によってはカラーコーディネートしにくい。性能は申し分ないので、今後カラバリが増えることに期待したい。
優れた空力性能を誇るアイオロスD3ほか
用途に応じて使い分け可能なホイールラインナップ
アイオロスD3シリーズ
ボントレガーのカーボンホイール、アイオロスに、D3シリーズが新たに仲間入りした。ラインナップは、リムハイト35mmのアイオロス3 D3、50mmのアイオロス5 D3、70mmのアイオロス7 D3、90mmのアイオロス9 D3の4種類。5にのみチューブラー仕様とクリンチャー仕様が用意され、3、7、9の各モデルはチューブラー仕様のみとなる。リムはいずれもOCLVカーボンによるワンピース構造で、剛性が格段にアップしている。
D3とは「デュアル・ディレクショナル・デザイン」の頭文字をとったもの。ほかのホイールがホイール前側のみで空気抵抗を低減する設計であるのに対し、ホイールの前側と後側の両方でドラッグ(空気抵抗)の発生を抑え、空気抵抗を低減させようというものだ。これにより、ほかのエアロホイールより低いリムハイトで同等のエアロ効果が得られるという。
より低いリムハイトで同等のエアロ効果が実現できるということは、平地での巡航性能の高さはそのままに、バイクの軽量化がはかれるということだ。すなわち、上りで出力をセーブでき、加速性能も向上し、横風の影響も受けにくくなる。トレック・ジャパンの野口忍氏も「日本のロードレースなら35mmハイトモデルがあればほぼカバーできるはず」と太鼓判を押す。
いずれのモデルも、スターラチェット内蔵のDT製カーボンハブに加え、DTエアロライトスポークを採用。軽さ、空力性能、加速時の掛かりの良さ、剛性を高い次元で兼ね備えたホイールとなっている。
リムハイトの豊富さもさることながら、各モデルに9色のカラーバリエーションがあることも見逃せない。フレームカラーとコーディネートが可能で、愛車を足元から華やかに見せてくれることだろう。
なお、アイオロス3 D3については、トレックワールド・ジャパンの会場に1ペアだけサンプルが届いていたため、試乗する機会を得たのでミニインプレッションを行った。各モデルの主なスペックについては下表の通りだ。
アイオロスD3シリーズ ラインナップ | |||||
製品名 | 仕様 | スポーク本数 | 対応スプロケット | 前後ペア重量 | 価格 |
アイオロス3 D3 | チューブラー | F18、R24 | シマノ&スラム/カンパニョーロ (別売フリーボディで対応) | 1,150g | F:95,000円、 R:135,000円 |
アイオロス5 D3 | チューブラー | F18、R24 | シマノ&スラム/カンパニョーロ (別売フリーボディで対応) | 1,295g | F:74,000円、 R:125,000円 |
クリンチャー | F18、R24 | シマノ&スラム/カンパニョーロ (別売フリーボディで対応) | 1,550g | F:125,000円、 R:145,000円 | |
アイオロス7 D3 | チューブラー | F18、R24 | シマノ&スラム/カンパニョーロ (別売フリーボディで対応) | 1,500g | F:74,000円、 R:125,000円 |
アイオロス9 D3 | チューブラー | F18、R24 | シマノ&スラム/カンパニョーロ (別売フリーボディで対応) | 1,675g | F:74,000円、 R:125,000円 |
オーラ5ACC カーボンロード
ボントレガーホイールの2012モデルのもうひとつの新製品が「オーラ5ACCカーボンロード」だ。このモデルは、6061アルミとユニディレクショナルカーボンを組み合わせた50mmハイトのACC(アルミ・カーボン・コンストラクション)リムを採用。リムサイドがアルミとなっているため、雨天時の制動力に優れ、タイヤの収まりもよく、しかも軽量なのが特徴だ。
スポークはアイオロスD3シリーズと同じDTエアロライト。前18本、後24本という剛性と空力性能のバランスに優れたスポーク本数を採用する。
フリーハブボディは、標準でシマノおよびスラムに対応。カンパニョーロにも別売のフリーボディで対応する。
オーラ5ACC カーボンロード
スポーク本数 | F18本/R24本 |
重量 | F750g/R970g |
カラー | ホワイト、シルバー、プラチナ、プラシッドブルー、ライムグリーン、イエロー、オレンジ、レッド、ピンク |
インプレッション
ボントレガー アイオロスD3 カーボンロードホイール
オールラウンドな性格が光る万能ホイールトレックワールド・ジャパン開催時にはまだ試乗可能なサンプルがほとんどなかったアイオロスD3シリーズ。1ペアだけ用意していただいたリムハイト35mmのアイオロス3 D3に試乗できたので、その模様をブリーフインプレッションとしてお伝えしたい。
アイオロスがD3シリーズに進化したことによる最大の変更点は、リム形状にある。リムのタイヤ接着面が23cのタイヤ幅よりやや広めになっており、ブレーキ面より内側でリム幅は最大となる。そして緩やかにアールを描きながらリムの内周に達するが、そのリムの内周も、断面で見るとややボリュームと丸みのある形状になっているのがポイントだ。
「この形状により、ホイールの前側も後ろ側もドラッグ(空気抵抗)の発生を抑え、従来と同じリムハイトでより高い空力性能を実現しているんです」とトレック・ジャパンの野口忍氏は言う。
半信半疑で時速40kmを超える高速域まで一気に加速し、そのまましばらく巡航してみる。すると、リムハイトから受ける印象よりはるかに巡航しやすい。個人的な感覚では、従来のモデルや他社製品の45~50mm相当のエアロ効果があるイメージだ。これがホイールの前側と後ろ側の空気抵抗を減らしている効果なのだろう。
それなのにリムハイトはそれほど高くないので、加速性能や登坂性能も優れている。横風が強い日にコーナーなどでひやりとする場面も減りそうだ。
加速性能や登坂性能の高さについては、ホイールの軽さが大きく影響している。とにかく持った瞬間にその軽さを実感する。何しろ前後ペアで1150gという軽さなのだ。それでいて、価格はペアで23万円。同程度の重量・性能のホイールが他社では30万円近いことを考えると、これは相当お買い得だと思う。
このホイールの特徴を一言で言うなら、「ディープリムとローハイトの軽量リムのいいとこ取りをしたホイール」だ。巡航時にはディープリムホイール、加速時や登坂時にはローハイトの軽量ホイールのようなキャラクターが姿を現す。これ1本でヒルクライムからロードレース、耐久レースまで、幅広いレースをカバーしてくれるはずだ。
「ボントレガー=トレック傘下のパーツブランド」という先入観を捨て、トレックユーザーだけでなく、ほかのブランドのバイクのユーザーも使ってみてほしい。そうすれば、そんなこだわりが実に些細なものに思えることは間違いない。
レオパード・トレックの選手たちが使うヘルメット"オラクル"
ヘルメットでは、レオパード・トレックの選手たちが使用していたオラクルが、2012年のニューモデルとして登場する。オラクルの最大の特徴は、カーボンファイバー製の骨組みを採用していること。これによって強度を確保できるため、より開口部を大きくすることが可能となり、軽量化とともに優れた冷却性能を実現している。
また、数値流体力学(CFD)に基づいたコンピュータ解析を行い、空力性能と通気性を両立している。さらに額とヘルメットの間に空間を持たせ、ヘルメット内部に誘導溝を設けるなど、ベンチレーションを高めるためのテクノロジーを満載している。
片手で簡単に調整できるヘッドマスター・フィットシステムや、ロックダウン・ストラップなどのテクノロジーにより、容易にフィット調整も可能。銀イオンによる抗菌・消臭効果を備えたフィットパッドを採用するなど、快適性や付け心地の良さにも配慮している。
オラクル ヘルメット
カラー | レオパードトレック、ブラック/ニッケル、ホワイト/シルバー、ホワイト/レッド |
サイズ | S(レオパードトレックのみ)、M、L |
重量 | 310g(Mサイズ) |
価格 | 19,800円 |
パワータップとジュールがリニューアル
さらに進化したサイクルオプスのパワートレーニング関連商品
パワータップG3シリーズ
プロレーサーはもちろん、トップアマチュアの間でも定番になりつつあるパワートレーニング。ライダーの出力をベースに運動強度を決めるこのトレーニングに欠かせないのがパワーメーターだ。パワーメーター市場で最もポピュラーな製品のひとつが、後輪のハブにパワーメーターを内蔵したパワータップ。2012年モデルで上位モデルがG3シリーズにリニューアルし、ハブボディがさらに小型・軽量化された。
新モデルの特徴は、ハブ全体の小型・軽量化が図られたこと。旧モデルと比較して、全体的に一回り小さくなっている。その分、ハブフランジも小さくなっているが、フランジ幅を広げることでホイール剛性を保つことに成功している。
内部の電子機器も進化。制度は±1.5%と旧モデルと同じだが、キャップ側にバッテリーや電子部品を内蔵する方式に変更され、メンテナンス性が向上している。
ヘッドユニットやセンサー類は付属せず、その分旧モデルより価格は抑えられている。使用時には後述するサイクルオプス・ジュールやガーミン・EDGEシリーズなど、市販のANT+仕様でパワー表示対応のヘッドユニットと組み合わせて使用する。
G3シリーズとしてラインナップされるのはG3CとG3の2モデル。セラミックベアリングを採用したG3C、ノーマルベアリング採用で値段を抑えたG3だ。
G3Cはセラミックスピード社のセラミックベアリングを採用し、軽量化と回転性能の向上を図ったハイエンドモデル。旧モデルのSLC+に相当する。
その重量はわずか315g。「現在市販されているひずみゲージを利用した直接計測式のパワーメーターで最軽量」(トレック・ジャパン)という。他社のハイエンドクラスのハブと比較してもわずか70g程度の重量増でしかなく、もはやパワータップの最大の弱点だった「上りで後ろに引っ張られる感じ」は解消されたといってもいいだろう。
一方、G3は、G3Cの機能はそのままに、ノーマルベアリングに変更したモデル。旧モデルのSL+に相当する。重量は325gだが、それでもSL+と比べておよそ100g軽い。
これまでは練習用として使う人が多かったと予想されるパワータップだが、これならレースにも積極的に投入し、走りを分析してトレーニングにフィードバックする――という使い方もしやすくなるはずだ。
パワータップG3シリーズは、ハブ単体だけでなく、完組ホイールとしても販売される。ENVEのカーボンリム(46mm、65mm)のクリンチャー仕様とチューブラー仕様のほか、アルミリム採用のクリンチャーモデルもラインナップされる。
パワータップG3Cハブ
重量 | 315g |
スポークホール数 | 20、24、28、32 |
フリーボディ仕様 | シマノ/スラム用、カンパニョーロ用 |
価格 | 208,000円 |
パワータップG3ハブ
重量 | 325g |
スポークホール数 | 20、24、28、32 |
フリーボディ仕様 | シマノ/スラム用、カンパニョーロ用 |
価格 | 145,000円 |
ジュール
サイクルオプスのANT+対応ヘッドユニット、ジュールもモデルチェンジ。新デザインを採用し、さらに小型化されただけでなく、機能も充実。新たにGPS機能搭載バージョンも仲間入りした。特筆すべきポイントのひとつは、表示項目の多彩さ。速度やパワー、ケイデンスなどはもちろん、パワートレーニングで日々のトレーニング量を管理するのに欠かせないTSS、NP(上りや急加速による極端なパワー変化を慣らした状態に補正したパワー値)、IF(パワートレーニングの基準となるLTパワーの何%で走っているかを示す)などもリアルタイムで表示可能だ。
もちろん、これらの走行データは、PCにダウンロードし、「パワーエージェント」などのソフトで解析することもできる。直感的でわかりやすい操作性や、表示のカスタマイズの自由度もほかの製品にはないメリットだ。
TSSやNP、IFといった数値をリアルタイムで表示可能なヘッドユニットは現在ほとんどない。そういう意味でも、ジュールはパワートレーニングに最もふさわしいヘッドユニットといえるだろう。
パワーキャル
パワーキャルは、心拍数から出力を算出するという、世界初のパワーメーター機能付きハートレートストラップ。あとはANT+対応のパワー表示機能付きヘッドユニットがあれば、すぐにパワートレーニングが始められる。もちろん、クランクやホイールの交換は不要だ。精度は±5%だが、価格はわずか25000円とかなりお手軽。しかも重量も軽い。パワートレーニングをより身近なものにしてくれそうだ。
提供:トレック・ジャパン レポート:浅野真則、シクロワイアード編集部