2024/03/27(水) - 17:00
昨年ツール・ド・フランスのグランデパールを迎えるなど、“世界屈指の自転車熱を誇る地”、バスクに根ざす自転車ブランドがオルベアだ。1840年創設と屈指の歴史を誇る同社は、高性能モデルの開発製造はもちろんのこと、トップチームへの新規サポート、カスタムオーダープログラム「MyO」の充実、オリジナルホイールの開発、さらにはPRや内部体制の強化など、日本を含めた世界中で、今まさに大きく飛躍を遂げようとしている。
オルベアの魅力は、決して「ORCA(オルカ)」や「バスクの伝統」だけではない。知られざる同社のエトセトラを解き明かし、日本のサイクリストに伝えるため、シクロワイアード取材班はオルベア本社を訪問。さらにアンバサダーに就任した別府史之氏と共に今季からオルベアを駆るロット・デスティニーのチームキャンプを共に取材するなど、あらゆる方面から同社の魅力に迫った。
赤白緑の旗、揃いのオレンジ色のウェアやTシャツ、そしてスモーク。ひとたびレースが通れば沿道は熱狂し、山岳地帯を中心に無限に続くアップダウンは、伝統的に世界最高峰の舞台で活躍するクライマーを育て上げてきた。昨夏ツール・ド・フランスを迎えたバスクの州都ビルバオから車で30分の距離にあるマリャビアに、1840年創設と業界屈指の歴史を誇るスペイン最大のスポーツ自転車ブランド、オルベアの本社はあった。
マリャビアは、ものすごく小さくて、静かで、美しい山村だ。その集落から少し離れた、小さな工業団地にオルベアは拠点を置いている。目の前にはつづら折れが続く4km弱の峠道があって、その背後にはMTBモデルの名の由来となったオイス山がそびえている。つまり、山岳スポーツバイクを生み出す上で素晴らしい環境が周囲に広がっているのだ。
1840年に銃火器製造業として設立されたオルベアが、鉄工ノウハウを活かした自転車製造に乗り出したのは1930年のこと。バスクを、そしてスペインを代表するトップブランドとして力を伸ばし、特にここ近年は生産拠点の本社移管や、それに伴うカスタムオーダープログラム「MyO(マイオー)」をスタートしたことで急成長。10年前までわずか社員200人ほどだったオルベアは今や5倍の規模となり、今ヨーロッパではノリに乗る人気ブランドとして認められている。
「オルベアはレーシングブランド。長い歴史の中で、絶えず競争することで我々自身の価値を高めてきたんです」と、今回の取材中に出会い話を聞いた、すべてのオルベアに関わる人たちは言う。それにはレース活動を支えることはもちろん、世界のトップブランドを相手に戦ってきたことも意味している。
例えばブエルタ・ア・エスパーニャには1935年の初回大会からオルベアチームとして参戦し、海外からの個人参加選手にもバイクを提供。近代では純バスクチームであるエウスカルテルを支え、一度チームが立ち消えたのちの復活後も「エウスカルテルとは切っても切れない関係」とサポートを継続している。さらに2024年からはベルギーの老舗チームであるロット・デスティニーへの機材供給を開始。
日本市場に対してはかつてMTB選手として活躍した野口忍氏をマーケティング担当に抜擢し、さらには別府史之氏ともパートナーシップを締結するなど積極的なPR活動によって急速に認知度を向上中。現在のロード全日本女王である與那嶺恵理もエウスカルテルの女子チームである「ラボラル・クチャ」に所属しORCAを使用中だ。
「オルベア・カーボン」の頭文字を組み合わせたORCAの2代目は、文字通りオルカ(シャチ)を思わせるようなラグジュアリーなデザインと、プロを満足させ得る軽さと剛性を備えたレーシングモデルとして一世を風靡した。2008年の北京五輪ではバスクの伝統チームであるエウスカルテルのサムエル・サンチェス(スペイン)がこのORCAを駆りロードで、さらにジュリアン・アブサロン(フランス)がMTBで金メダルを獲得。それはオルベアの絶頂期とも言える時代だった。
現在、オルベアは7代目に進化したばかりの軽量モデル「ORCA」と、エアロを最重視した「ORCA AERO」をロードラインナップの2本柱に据えている。どちらをも兼ね備える軽量オールラウンダー1モデルに絞るブランドも増えているが、プロダクトマネージャーを務めるホセバ・アリザガ氏の言葉を借りれば「クライマーなら軽さに振ったバイクが欲しいし、ルーラーやスプリンターはエアロに特化したモデルを求めている。二つのニーズを完璧に満たすバイク開発は現時点で難しく、さらにオルベアとしてユーザーの選択肢を絞りたくない」という意図があるのだ(1時間以上に及んだインタビューは次章で紹介します)。
ORCAは”PRAISE THE LIGHT(軽さへの賞賛)”をキャッチフレーズに、オルベアが大切にしてきた山岳での走りに磨きをかけ、フレーム重量750g、フォーク単体360gと2020年代のロードバイクとしてトップクラスの軽さを達成。もちろん数値的な軽さのみならず、剛性やしなり量のバランスを徹底的に煮詰め、僅かながらもエアロ性能を改善するなど実走行でのライドクオリティの向上に努めている。ロードバイク然とした美しく、無駄を削ぎ落としたフォルムに見惚れるクライマーも多いことだろう。
クライマー揃いのエウスカルテルと異なり、グランツールや、特にベルギーのクラシックレースで活躍するロット・デスティニーの主力モデルとなるのがORCA AEROだ。フレーム形状はもちろんエアロ効果を高める専用ボトルケージなど積極的にエアロシェイプを取り入れているものの、ステム下側を這わせるセミ内装ホースなどメンテナンス性にも配慮した。先述したアリザガ氏によれば、「クラシックレースを得意とするロット・デスティニーの意見をORCA AEROの次世代モデルに反映していく」とのことで、より進化した後継機にも期待したいところだ。
製造コストの安いアジアで製品製造を行うことは、自転車業界のみならず全ての製造業で一般的なこと。しかしオルベアは約10年前からアジア製造から自社製造へと舵を切り、開発やマーケティングはもちろんのこと、今や出荷される全バイクの塗装と組みつけ、検査、出荷作業までを一貫して自社製造するようシフトしている。これこそがここ10年で急成長を遂げたオルベアのコアだ。
玄関受付から2階に上がった先は、拡大したばかりなのに、もう手狭になりつつあるというオフィスルーム。カフェスペースやショールームがあって、隣には巨大な工場スペースが続いている。4本の流れラインで構成された組み付けスペースと、オートメーションと手作業を組み合わせた塗装スペース。さらには多数の工作・検査機械が置かれた開発部門の専用ルームもある(そのほとんどは撮影禁止だったが)。
「その工場こそオルベアの心臓部であり、クオリティコントロールやイノベーションが詰まっている場所なのです」とオルベアの開発部長は胸を張る。創業当時から乗り手に合わせた丁寧なモノ造りを心がけてきたオルベアだからこそ、製造拠点を自社シフトしていることに全スタッフが誇りを持っている、とも。今現在はアジアで行われているフレーム製造も将来的に自社製造を見据えているという。
そんな小回りの効く強みを、最も活かしたサービスがオルベアのカスタムオーダープログラム「MyO(マイオー)」(クリックでオルベアのHPのサービスへ)だ。MyOではカラーオーダーはもちろんのこと、ハンドル幅やステム長、クランク長、チェーンリングの歯数といった細かな変更を、全て無料で受けることができるのだ。
ロードバイクはもちろん、TT/トライアスロンバイク、グラベルバイク、マウンテンバイク、e-MTBなど全10車種がMyOにラインナップされ、ハイエンドグレードのみならず、例えばORCAならセカンドグレードのOMRフレームにシマノの機械式105を搭載した「ORCA M35(549,000円)」からカスタムオーダーが可能。しかもORCA M35であれば、460,900円のフレームセットに約9万円を上乗せしただけで完成車になるという破壊的なコストパフォーマンスを誇るのだ。
コストパフォーマンスに優れているのは例に出したORCA M35だけではなく、最上級のOMXフレームにシマノ105DI2とオルベアオリジナルのOQUO(オクオ)RP45LTDホイールを搭載した「ORCA M30i LTD PWR」は891,000円と、やはり別個に買い求めるよりも20〜30万円安価というバリューを誇る。なおOMXフレームにシマノDURA-ACE DI2とOQUOのRP35LTDで武装した最上級モデル「ORCA M10ILTD PWR」も1,689,600円と、現在の市場で見るとリーズナブルであることが分かる。
しかもホイールやハンドル、サドル、タイヤなどのグレードアップ/ダウン(それに伴って価格も変動)も自由自在。ピナレロやウィリエールといった欧州ブランドもカスタムオーダーを受けつけているが、ここまで細かく指定できるのは唯一オルベアだけのこと。
本社訪問では、倉庫のパーツルームではスタッフがオーダーされた品をPOSシステムを使いながら手作業で選びだし、一つのカゴに入れ、それを1階の組み付けスペースで一台のバイクへと組み上げていく様子を見学することが出来た。品質チェックも抜かり無く、ほんの小さな傷も見逃さず補修へと回す。しかも、組みつけからペイントから組み付け、発送までを一括コントロールするからこそ、オーダーしてから平均2〜3ヶ月という短期間で手に届く。
バスク人は進取の気性に富み、とても働き者で、あらゆることに真剣に取り組む人々と言われるが、清廉な工場を見た全員が納得できるはず。ラテンっぽいいい加減さは全く無く、日本人にも共通したメンタリティを感じ取ることが出来た。オルベアのバイクは全て本国スタッフの手を介した"ファクトリーマシン"。それが、こんなにも細かいオーダーとカスタマイズを経て手にできるのは、本当に凄いことなのだ。
次章では今季からオルベアにスイッチしたロット・デスティニーのトレーニングキャンプ訪問レポートをお届け。選手インタビューを含め、既にワールドツアーレースを含む今季7勝、UCIワールドチームを相手にランキング上位に食い込む好調ぶりを見せているベルギーチームが、どうオルベアを評価し、乗り分けているのかを紹介したい。
オルベアの魅力は、決して「ORCA(オルカ)」や「バスクの伝統」だけではない。知られざる同社のエトセトラを解き明かし、日本のサイクリストに伝えるため、シクロワイアード取材班はオルベア本社を訪問。さらにアンバサダーに就任した別府史之氏と共に今季からオルベアを駆るロット・デスティニーのチームキャンプを共に取材するなど、あらゆる方面から同社の魅力に迫った。
バスクの伝統と革新 "レーシング"を守り続けるオルベアブランド
赤白緑の旗、揃いのオレンジ色のウェアやTシャツ、そしてスモーク。ひとたびレースが通れば沿道は熱狂し、山岳地帯を中心に無限に続くアップダウンは、伝統的に世界最高峰の舞台で活躍するクライマーを育て上げてきた。昨夏ツール・ド・フランスを迎えたバスクの州都ビルバオから車で30分の距離にあるマリャビアに、1840年創設と業界屈指の歴史を誇るスペイン最大のスポーツ自転車ブランド、オルベアの本社はあった。
マリャビアは、ものすごく小さくて、静かで、美しい山村だ。その集落から少し離れた、小さな工業団地にオルベアは拠点を置いている。目の前にはつづら折れが続く4km弱の峠道があって、その背後にはMTBモデルの名の由来となったオイス山がそびえている。つまり、山岳スポーツバイクを生み出す上で素晴らしい環境が周囲に広がっているのだ。
1840年に銃火器製造業として設立されたオルベアが、鉄工ノウハウを活かした自転車製造に乗り出したのは1930年のこと。バスクを、そしてスペインを代表するトップブランドとして力を伸ばし、特にここ近年は生産拠点の本社移管や、それに伴うカスタムオーダープログラム「MyO(マイオー)」をスタートしたことで急成長。10年前までわずか社員200人ほどだったオルベアは今や5倍の規模となり、今ヨーロッパではノリに乗る人気ブランドとして認められている。
「オルベアはレーシングブランド。長い歴史の中で、絶えず競争することで我々自身の価値を高めてきたんです」と、今回の取材中に出会い話を聞いた、すべてのオルベアに関わる人たちは言う。それにはレース活動を支えることはもちろん、世界のトップブランドを相手に戦ってきたことも意味している。
例えばブエルタ・ア・エスパーニャには1935年の初回大会からオルベアチームとして参戦し、海外からの個人参加選手にもバイクを提供。近代では純バスクチームであるエウスカルテルを支え、一度チームが立ち消えたのちの復活後も「エウスカルテルとは切っても切れない関係」とサポートを継続している。さらに2024年からはベルギーの老舗チームであるロット・デスティニーへの機材供給を開始。
日本市場に対してはかつてMTB選手として活躍した野口忍氏をマーケティング担当に抜擢し、さらには別府史之氏ともパートナーシップを締結するなど積極的なPR活動によって急速に認知度を向上中。現在のロード全日本女王である與那嶺恵理もエウスカルテルの女子チームである「ラボラル・クチャ」に所属しORCAを使用中だ。
山岳軽量モデル"ORCA"が主力 ロードからMTBまで幅広くカバーする
バスクを、そしてスペインを代表するトップブランドとして活動する中で、オルベアを世界的な有名ブランドに押し上げたのが2007年にデビューした第2世代のORCA(オルカ)だ。「オルベア・カーボン」の頭文字を組み合わせたORCAの2代目は、文字通りオルカ(シャチ)を思わせるようなラグジュアリーなデザインと、プロを満足させ得る軽さと剛性を備えたレーシングモデルとして一世を風靡した。2008年の北京五輪ではバスクの伝統チームであるエウスカルテルのサムエル・サンチェス(スペイン)がこのORCAを駆りロードで、さらにジュリアン・アブサロン(フランス)がMTBで金メダルを獲得。それはオルベアの絶頂期とも言える時代だった。
現在、オルベアは7代目に進化したばかりの軽量モデル「ORCA」と、エアロを最重視した「ORCA AERO」をロードラインナップの2本柱に据えている。どちらをも兼ね備える軽量オールラウンダー1モデルに絞るブランドも増えているが、プロダクトマネージャーを務めるホセバ・アリザガ氏の言葉を借りれば「クライマーなら軽さに振ったバイクが欲しいし、ルーラーやスプリンターはエアロに特化したモデルを求めている。二つのニーズを完璧に満たすバイク開発は現時点で難しく、さらにオルベアとしてユーザーの選択肢を絞りたくない」という意図があるのだ(1時間以上に及んだインタビューは次章で紹介します)。
ORCAは”PRAISE THE LIGHT(軽さへの賞賛)”をキャッチフレーズに、オルベアが大切にしてきた山岳での走りに磨きをかけ、フレーム重量750g、フォーク単体360gと2020年代のロードバイクとしてトップクラスの軽さを達成。もちろん数値的な軽さのみならず、剛性やしなり量のバランスを徹底的に煮詰め、僅かながらもエアロ性能を改善するなど実走行でのライドクオリティの向上に努めている。ロードバイク然とした美しく、無駄を削ぎ落としたフォルムに見惚れるクライマーも多いことだろう。
クライマー揃いのエウスカルテルと異なり、グランツールや、特にベルギーのクラシックレースで活躍するロット・デスティニーの主力モデルとなるのがORCA AEROだ。フレーム形状はもちろんエアロ効果を高める専用ボトルケージなど積極的にエアロシェイプを取り入れているものの、ステム下側を這わせるセミ内装ホースなどメンテナンス性にも配慮した。先述したアリザガ氏によれば、「クラシックレースを得意とするロット・デスティニーの意見をORCA AEROの次世代モデルに反映していく」とのことで、より進化した後継機にも期待したいところだ。
開発も、塗装も、組み付けも。自社製造のプライドとメリット
製造コストの安いアジアで製品製造を行うことは、自転車業界のみならず全ての製造業で一般的なこと。しかしオルベアは約10年前からアジア製造から自社製造へと舵を切り、開発やマーケティングはもちろんのこと、今や出荷される全バイクの塗装と組みつけ、検査、出荷作業までを一貫して自社製造するようシフトしている。これこそがここ10年で急成長を遂げたオルベアのコアだ。
玄関受付から2階に上がった先は、拡大したばかりなのに、もう手狭になりつつあるというオフィスルーム。カフェスペースやショールームがあって、隣には巨大な工場スペースが続いている。4本の流れラインで構成された組み付けスペースと、オートメーションと手作業を組み合わせた塗装スペース。さらには多数の工作・検査機械が置かれた開発部門の専用ルームもある(そのほとんどは撮影禁止だったが)。
「その工場こそオルベアの心臓部であり、クオリティコントロールやイノベーションが詰まっている場所なのです」とオルベアの開発部長は胸を張る。創業当時から乗り手に合わせた丁寧なモノ造りを心がけてきたオルベアだからこそ、製造拠点を自社シフトしていることに全スタッフが誇りを持っている、とも。今現在はアジアで行われているフレーム製造も将来的に自社製造を見据えているという。
無料カラーオーダーは当たり前 超コスパを誇るオーダーシステム"MyO(マイオー)"
そんな小回りの効く強みを、最も活かしたサービスがオルベアのカスタムオーダープログラム「MyO(マイオー)」(クリックでオルベアのHPのサービスへ)だ。MyOではカラーオーダーはもちろんのこと、ハンドル幅やステム長、クランク長、チェーンリングの歯数といった細かな変更を、全て無料で受けることができるのだ。
ロードバイクはもちろん、TT/トライアスロンバイク、グラベルバイク、マウンテンバイク、e-MTBなど全10車種がMyOにラインナップされ、ハイエンドグレードのみならず、例えばORCAならセカンドグレードのOMRフレームにシマノの機械式105を搭載した「ORCA M35(549,000円)」からカスタムオーダーが可能。しかもORCA M35であれば、460,900円のフレームセットに約9万円を上乗せしただけで完成車になるという破壊的なコストパフォーマンスを誇るのだ。
コストパフォーマンスに優れているのは例に出したORCA M35だけではなく、最上級のOMXフレームにシマノ105DI2とオルベアオリジナルのOQUO(オクオ)RP45LTDホイールを搭載した「ORCA M30i LTD PWR」は891,000円と、やはり別個に買い求めるよりも20〜30万円安価というバリューを誇る。なおOMXフレームにシマノDURA-ACE DI2とOQUOのRP35LTDで武装した最上級モデル「ORCA M10ILTD PWR」も1,689,600円と、現在の市場で見るとリーズナブルであることが分かる。
しかもホイールやハンドル、サドル、タイヤなどのグレードアップ/ダウン(それに伴って価格も変動)も自由自在。ピナレロやウィリエールといった欧州ブランドもカスタムオーダーを受けつけているが、ここまで細かく指定できるのは唯一オルベアだけのこと。
本社訪問では、倉庫のパーツルームではスタッフがオーダーされた品をPOSシステムを使いながら手作業で選びだし、一つのカゴに入れ、それを1階の組み付けスペースで一台のバイクへと組み上げていく様子を見学することが出来た。品質チェックも抜かり無く、ほんの小さな傷も見逃さず補修へと回す。しかも、組みつけからペイントから組み付け、発送までを一括コントロールするからこそ、オーダーしてから平均2〜3ヶ月という短期間で手に届く。
バスク人は進取の気性に富み、とても働き者で、あらゆることに真剣に取り組む人々と言われるが、清廉な工場を見た全員が納得できるはず。ラテンっぽいいい加減さは全く無く、日本人にも共通したメンタリティを感じ取ることが出来た。オルベアのバイクは全て本国スタッフの手を介した"ファクトリーマシン"。それが、こんなにも細かいオーダーとカスタマイズを経て手にできるのは、本当に凄いことなのだ。
次章では今季からオルベアにスイッチしたロット・デスティニーのトレーニングキャンプ訪問レポートをお届け。選手インタビューを含め、既にワールドツアーレースを含む今季7勝、UCIワールドチームを相手にランキング上位に食い込む好調ぶりを見せているベルギーチームが、どうオルベアを評価し、乗り分けているのかを紹介したい。