CONTENTS
スイス南西部に位置するヴォー(Vaud)州、別名レマン湖地方とも言われる自然豊かなカントン(地方)はサイクリングに最適なエリア。スイスサイクリング特集Vol.2ではこのヴォー州を満喫するジュラ山脈〜ヴォードワーズ山脈のアルプス峠越えツーリングを紹介します。

美しいジュラアルプスの山里を走り抜けていく photo:Makoto AYANO

vol.1で紹介したワイン&ライドも同じヴォー州の湖水エリア。ラヴォーの葡萄畑をE-bikeで巡ったあと、我ら3人は一路UCI(世界自転車競技連合)がある街エーグル(Aigle)へと向かった。まずは明日から乗るロードバイクをレンタルすることがその目的。

エーグルのDomCycles(ドム・サイクルズ) photo:Makoto AYANO

実は今回のスイスサイクリングツアーではヘルメットとウェア、シューズは日本から持参したものの、自転車は持ってこなかった。スイスで乗る自転車はすべてレンタルで済ませるというのが当初からのプラン。5日間のツアーで、毎日場所を変え、フィールドを変えてサイクリングを楽しむ計画で、乗る自転車も毎日違うという予定。私自身は「果たしてそんなことが可能なのか?」と疑問だったのだが...。

サラさんが借りたのは軽量でスポーティなEロードバイク photo:Makoto AYANO

前日のラヴォーの葡萄畑巡りは誰でもが楽しめるサイクリングだったが、このアルプスの峠越えツーリングはチャレンジしたいサイクリストにオススメだ。このヴォー州にはスイス政府観光局が奨める20以上のバイクルートがあり、その密度はスイス随一を誇っている。つまりスイスのサイクリング・リヴィエラというわけだ。

CW編集部・綾野がレンタルしたBMC TeamMachine SLR photo:Makoto AYANO

今回スイスを旅する3人、フェローサイクルの水澤さん、スイス政府観光局のサラ・ロロフ女史、そして私・シクロワイアード編集部の綾野がまず向かったのはエーグル市内のサイクルショップ。そこでロードバイクをレンタルできるという話だった。店内にあるレンタルバイクから、身体にあったサイズからショップスタッフにお任せで提案してもらった。

綾野に差し出されたのはBMC TeamMachine SLRというカーボンフレームのディスクロードバイク。なんとシマノ・デュラエースのディスクブレーキとDT SWISSのカーボンホイールを装備した150万円以上する最高級モデルだった。

スイス政府観光局のサラさんとレンタルしたウィリエールのEロードバイク photo:Makoto AYANO
CW編集部・綾野とBMC TeamMachine SLR photo:Makoto AYANO


フェローサイクル代表の水澤史さんとスコットADDICT photo:Makoto AYANO
サイクリングガイドのアラン・ランフさん photo:Makoto AYANO


スイスに来る直前に足を怪我してしまい、ペダルを漕ぐことに不安があるサラさんにはイタリアブランドのウィリエールのE-Bikeが提案された。こちらもなんと250万円近くする最高級モデルのEロードバイク! 「こんなに素晴らしいバイクが借りられるなんて!」と、驚きを通り越して大興奮してしまった二人。水澤さんはスコットADDICTのカーボンロードバイクを日本から持参していた。

そしてレンタル料を聞いて2度ビックリ。ロードバイクとE-bikeともに1日70CFR(約10,500円)、2日で110CFR(約16,600円)、1週間でも230CFR(約34,700円)ということで、こんなに高品質なバイクがこんなに手軽な料金でいいのか、と耳を疑ってしまった。これなら荷物料金を支払ってまで飛行機で自身のバイクを持ってくる選択肢は無いほどに安いと思える...(もちろんレンタル料はショップにより異なります)。

フレンドリーなDomCyclesのスタッフたち。サイクリングルートにも詳しい photo:Makoto AYANO
エーグルのDomCycles(ドム・サイクルズ) photo:Makoto AYANO


DomCycles(ドム・サイクルズ)

住所chemin du sillon 2 1860 AIGLE
HPhttps://domcycle.ch/→レンタサイクルのページ


ヴィラール・スル・オロンからツール・ド・フランスの舞台クロワ峠へ

ヴォー州アルプスを代表するマウンテンリゾート、ヴィラール・スル・オロン(Villars-sur-Ollon)のホテルで一夜を過ごし、翌朝に峠越えツアーに出発。ガイドを務めてくれるアラン・ランフ(Alain Rumpf)氏が迎えに来てくれた。アランさんは隣村のグリヨン(Gryon)に住んでいる。

ヴィラール・スル・オロン(Villars-sur-Ollon)を出発! photo:Makoto AYANO

荷物をサポートカーに預け、いざ出発。朝からあいにくの雨模様だが、軽い雨で気温も低くないためツアーは決行。少しの不安を持っていざクロワ峠(Col de la Croix)へと登り始めた。

クロワ峠までは7km、約400mアップだ photo:Makoto AYANO
小雨の中クロワ峠を目指して走り出した photo:Makoto AYANO


まず最初の難関、ヴォードワーズ山脈のクロワ峠(1,776m)は、先の7月のツール・ド・フランス2022第9ステージでもコースに採用された峠で(ツール・ド・フランスでは周辺国も訪問する)、綾野は2ヶ月前にも撮影で訪れている。標高1360m地点のホテルから1,776mのクロワ峠頂上までは距離7km、平均勾配4%、獲得標高差420mというプロフィール。アランさん曰く、「プロレーサーたちが通った峠ということで心配するなかれ、急勾配の箇所が無いのがクロワ峠の良いポイント。一定ペースで淡々と登ることができますよ」とのこと。

クロワ峠への道はクルマも少なくヒルクライムに集中できた photo:Makoto AYANO

肌寒い小雨のなか走り出したが、すぐに身体は温まり、ジャケットは脱ぐことに。サラさんはEロードバイクでスイスイ進んでいくし、水澤さんも調子が良さそう。アランさんは「今日のメンバーは心配ないね」と笑っている。

標高が高くなるにつれ森林限界を超え、樹林帯を抜けて草原地帯へと出るため一気に展望が開ける。その景観の素晴らしさがアルプスサイクリングの魅力だ。途中でMTBトレールなどの案内道標が何本も現れる。そのどこを走ってもごきげんなトレイルなのだろう。

ルートのあちこちにサイクリングルートの道標があった photo:Makoto AYANO

森林限界を超えてジュラ山脈の荒々しい山肌が迫ってきた photo:Makoto AYANO

クロワ峠には1時間ほどで到着。アランさんは「ここはクルマも少なくて、とても走りやすい峠。スイスには有名な峠が多いけれど、観光地として人気なだけでなく交通の要所のため、クルマが多く、とくにバカンス中などは自転車では走りにくいことも多い。その点クロワ峠は主要な都市も結んでいないためクルマが少なく、ハイカー以外の観光客も少ない。だからサイクリング向きの峠としてピックアップしたんです」。なるほど、納得。ヒルクライム中もずっとおしゃべりが楽しめたのは、勾配が適度で厳しくなく、クルマもほとんど通らないからだった。

クロワ峠(1778m)山頂に到着! photo:Makoto AYANO

クロワ峠の山小屋レストラン Chez Francine(シェ・フランシーヌ) photo:Makoto AYANO

クロワ峠の脇の広場に山小屋レストラン「Chez Francine(シェ・フランシーヌ)」がある。実は出発前からここで朝食をいただくことにしていた4人。小屋のなかは暖かく、チーズにハム、温かいカフェオレをいただき、小屋の女性主人と楽しい談笑の時間。本日2度めの朝食はとても充実したものだった。

チーズや手作りハム、ソーセージなどの朝食 photo:Makoto AYANO
ツール・ド・フランスがクロワ峠を通過した記念に作られたカップ photo:Makoto AYANO


「クロワ峠で2度めの朝食を」を目標に登った。小屋の中は暖かかった photo:Makoto AYANO

九十九折れの下りを経て、モス峠を目指す

峠からはオルモン=デス(Ormont Dessous)までのダウンヒル。雨は小止みのまま肌寒いが、レインジャケットを着込んで下った。九十九折れのコーナーごとに山岳のパノラマが展開する。

クロワ峠からのダウンヒル。ヴォードワーズ山脈の荒々しい山容が迎えてくれる photo:Alain Rumpf

ヴォードワーズ山脈の山容に抱かれてクロワ峠をダウンヒル photo:Alain Rumpf

下りきったら2つ目の峠、モス峠(Col des Mosses)にチャレンジ。モス峠(標高1445m)もツール・ド・フランスで通過した峠だ(ただし進行方向は逆だった)。Route de Pillon(ピヨン道路)からRoute de Mosse(モス道路)を走り、麓からは距離8km、獲得標高差約300m。アラン氏の案内でメインルートから外れた細道で向かう。このショートカットルートは風景が良く、のどかで走りやすかった。モス峠はなだらかな道沿いの見晴らしの良い峠だ。

アランさんのガイドでマイナールートを選んでモス峠を目指す photo:Makoto AYANO

モス峠(標高1445m)の頂上は視界が拓けていた photo:Makoto AYANO


アルプス麓の製造所で、芳醇なスイスチーズを味わう

モス峠から標高1100mまで下ったところにレティバ(L'Etivaz)のチーズ製造所兼販売店La Maison de L’Etivaz(メゾン・ド・レティバ)がある。ここはスイスチーズのブランドとして有名な「レティバ(スイスチーズ協会HP)」の製造所兼ストアで、訪問者がチーズ造りの様子を見学することができるのだ。四方を山に囲まれた自然の真っ只中で、そんなところにあるとは驚き。

メゾン・ド・レティバ(La Maison de L’Etivaz) photo:Makoto AYANO

白衣とキャップをまとい、ガイドさんに製造所内を案内してもらった。草原で草を食む牛からとれた生乳と近隣地で採取される岩塩と清冽な水を使い、チーズが生産されていく。棚で熟成が進む円盤状のチーズに圧倒される。

職員さんにガイドしていただきチーズ造りの工程を説明してもらう photo:Makoto AYANO

ずらりと並んだレティバのチーズ photo:Makoto AYANO
丁寧に時間をかけてチーズが熟成される photo:Makoto AYANO


視覚で食欲を刺激された後は外のテラスでチーズをメインにしたランチを頂く。プレートにぎっしり載った色々な種類のチーズは少なくとも30ヶ月以上熟成されたもの。製造所で生産されるすべての種類のチーズをいただいた。繊細なアルプスハーブの豊穣なアロマと、独特のスパイシーでフルーティーな味わいがあり、若干ナッツのような風味も。もちろんラヴォー産の白ワイン「シャスラ」とあわせて味わった。

レティバのチーズが可愛く並んだプレートでランチ photo:Makoto AYANO

レティバのチーズ三昧のランチをボナペティ! photo:Makoto AYANO

La Maison de L’Etivaz(メゾン・ド・レティバ)

住所Route des Mosses 72 1660 L'Etivaz
HPhttps://www.etivaz-aop.ch



高地に村が点在するヴォー地方を走り抜ける photo:Makoto AYANO

奇岩が続く渓谷沿いの回廊を走る photo:Makoto AYANO

ランチと工場見学を済ませると、外はすっかり雨が上がって青空が広がっていた。緑の山肌がみずみずしい緑色に輝く。やはり天気は良いに越したことはない。

カウベルが鳴り響く牧草地帯を走り抜けていく photo:Makoto AYANO

Etivasからダイナミックなダウンヒルを経てさらに下り、山間の街シャトー・デー(Château-d'Œx)に到着。この街が今日のフィニッシュで宿泊地。石造りの大通りを歩いた街の真ん中のHotel de Ville(オテル・ド・ヴィル)という名前のホテルに泊まる。

シャトー・デーの石造りのメインストリート photo:Makoto AYANO

Hotel de Villeが今日のホテル。それ自体が有名な歴史的建造物だ photo:Makoto AYANO

ここでアランさんとはお別れ。聞けば驚くことにアランさんは来た道を戻り、また別の峠越えルートで自身の住むグリヨン村まで自転車で帰るという。その距離60km。日がまだ高く、9時頃まで明るいスイスとはいえ、そのタフさに驚く3人。

サイクリングガイドのアラン・ランフ(Alain Rumpf)さん photo:Makoto AYANO

アランさんはプロフェッショナルな走りの最高のガイド、郷土愛と自転車への情熱を感じる素敵なサイクリストでした。またお会いしましょう。なおアランさんが主宰するウェブサイト A SWISS WITH A PULSEではアランさんが実際に走って奨める本格的サイクリングコースが各エリアに渡って紹介されている。ヴォー州周辺を走りたいサイクリストは必見だ。条件が合えばアランさんにガイドを頼むこともできる。

そして今回はアランさんがアレンジしてくれたツアーにより、レンタルしたロードバイクは荷物を運んでくれたサポートカーが回収してエーグルのDomCycleに返却してくれることに。

アランさんのサイト A SWISS WITH A PULSE

https://www.aswisswithapulse.com/


E-MTBをレンタルしたシャトーデーのORIGINE SPORTS(オリジンスポーツ) photo:Makoto AYANO

ホテルでシャワーを浴びて、夕食前に近くのアウトドアスポーツ店 ORIGINE SPORTS(オリジンスポーツ)に伺い、明日の朝レンタルするマウンテンバイクの予約をした。そのお店はシャトー・デーの街の中心部のホテルから徒歩2分のところにあり、フレンドリーな店主さんが案内してくれ、手続きも簡単だった。お借りするMTBはもちろんE-Bike。スイスの山の街ではアウトドアスポーツショップがレンタルバイクをしていることが多く一般的なため、スキー場(夏場はトレッキングやMTBライドの基地となる)の近くにはこうした形態のお店が多く見つかる(レンタサイクルを借りるのも簡単だ)。

ORIGINE SPORTS(オリジンスポーツ)

E-bikeレンタル料金半日:64CHF/1日:89CHF、ヘルメット 5CHF
一週間:407CHF、ヘルメット 22CHF
HPhttps://originesports.ch/ (予約や問い合わせ等はHPより)


美しき山里 シャトー・デー周辺をE-MTBで巡る

翌日、地元のシャトー・デー観光協会が手配してくれたMTBガイドさんに案内していただき、朝食後の2時間ほどで周辺から渓谷沿いの村巡りを走ることに。

ペイダンオー地方(Pays-d'Enhaut)の牧草地が広がるのどかな山里の街シャトー・デー。その周辺をE-MTBで巡る観光サイクリングツアー。ただしほぼMTB初心者であるためルートはテクニック的に難しすぎることのないように案内をお願いした。

E-MTBでシャトーデー周辺ライドに出発! photo:Makoto AYANO

今日走るルートをMTBサイクリングマップで確認 photo:Makoto AYANO
走り出す前に高台の教会を訪問 photo:Makoto AYANO


シャトーデーの高台の教会からこの日走るルートを見渡す photo:Makoto AYANO

切り絵で有名な山里シャトー・デー。E-MTBで周るのはルージュモン(Rougemont)やロシニエール(Rossinière)にかけて。標高900mから1100mほどの高地の斜面に集落が点在する牧歌的な風景が広がる山里「ペイダン・オーのリビエラ」エリア。周囲には標高2,000m以上のアルプスが見渡せる。

ライドツアーの始点はシャトー・デーのランドマークともなっているカトリック教会から。周囲を360°パノラマで見渡せるこの教会の小山から走り出した。

水面に近いサリーヌ川沿いのトレイルを走る photo:Makoto AYANO

サリーヌ川沿いのトレイルを走ってRamacleの滝を訪問した photo:Makoto AYANO

MTBトレイル&トレッキングルートにつけられたサイン photo:Makoto AYANO
周辺スポットへの所要時間等が満載の道標 photo:Makoto AYANO


サリーヌ川(Sarine)のほとりに走る小道はトレッキングルートかつMTBルート。目印になる案内道標が随所にあるから一人でも走れなくなないが、やっぱり道案内をしながら村々の話を聞かせてくれるガイドさんに連れてもらって走るのが最高。清冽な流れのサリーヌ川沿いのトレイルを走ってRamacleの滝を訪問したのち、グリーンの牧草地広がる山里を走り抜けてカウベルの音が響き渡る山村巡りの開始だ。

E-MTBで高度のある牧草地に伸びる農道を走る photo:Makoto AYANO

「スイスいち美しい村」のひとつに数えられるルージュモン。この小さな山村には70年代に故ダイアナ妃が在籍していた学校があったことで、農業だけでなく、王侯貴族や著名人、富裕階級向けの観光地としても注目を集めるという。観光名所になっている大きな家「グラン・シャレ」(Grand Chalet)もコース上に組んでもらい、観光も兼ねられた。

E-MTBなら標高差の有る山里の村巡りも楽々だ photo:Makoto AYANO

ヨーロッパで最大の木造住宅建築のひとつであるグラン・シャレ(Grand Chalet) photo:Makoto AYANO

ヨーロッパで最大の木造住宅建築のひとつであるこの大きなシャレー(山小屋)は18世紀にさかのぼるスイスで最も古いシャレーの1つで、20世紀最後の巨匠といわれたフランス国籍の画家バルテュスが晩年を過ごした家。そして今は妻で自身も画家、随筆家、作陶家として活躍する一方、2005年ユネスコ「平和のアーティスト」の称号を授与された日本人女性の節子・クロソフスカ・ド・ローラ夫人が暮らしていることでも知られる。そうしたお話を聞けるのもガイドツアーならでは。

人気のゴールデン・パスエクスプレスがやってきた photo:Makoto AYANO

牧草地に出ると有名なMOB(モントルー・オーベルラン・ベルノワ)鉄道のゴールデン・パス列車が通り過ぎた。パノラマが楽しめることで有名な特急列車はスイスタイムできっちり定刻に現れるので、鉄道に詳しい水澤氏が見物方法を教えてくれたのだ。

この日も途中から雨が降り出したが、大満足の一日を終えることが出来た。昼食に街中のレストランでチーズフォンデュを食べ、ホテルへ戻る。この泊まっているHotel de Ville自体が有名な建築物でレストランにもなっているのだ。シャトー・デーは熱気球で有名な街なので、時期が合えばバルーンフェスティバルや熱気球によるクルーズも楽しめる。

ライド後のランチはチーズフォンデュ photo:Makoto AYANO


展望列車でスイスの絶景を堪能

翌朝、帰路は駅から列車に乗ってモントルーへと向かうことに。ここで乗る列車は昨日観た「ゴールデンパス・パノラマエクスプレス」。ベルン州の湖の街インターラーケンとレマン湖沿岸の街モントルーとを結ぶ特急列車で、ここシャトー・デーも停車駅になっているのだ。

シャトーデーのペイダン・オー観光協会オフィス photo:Makoto AYANO
モントルーへの帰路はゴールデンパス・パノラマエクスプレスに乗って photo:Makoto AYANO


スイス国内にはおもに8つの絶景鉄道ルートがある。アルプスの氷河からきらめく湖、山々から美しい街へ。絶景を走る鉄道はそれぞれゴールデンパス、グレイシャー、ベルニナ、ゴッタルド・パノラマエクスプレスと名付けられ、それらの特急列車に乗ること自体が旅の目的となる人気ぶりだ。今回のツアーにはその1区間を旅の帰路に組み込んでいた。必要なのは「スイストラベルパス」だけ。

ゴールデンパス・パノラマエクスプレスの車窓には美しい景観が展開する photo:Makoto AYANO

ゴールデンパス・パノラマエクスプレスの車両は天井部分にも窓が広がり、シートに座ったまま上下左右に展開するパノラマを楽しめる。緑煌めく牧草地にのどかな山村を経て蒼い湖水をたたえるレマン湖畔へ。心地よい揺れに身を任せながら、車窓に広がる景色を堪能する50分間の列車旅だった。

スイスの鉄道絶景ルート紹介ページ(スイス政府観光局)

→スイス・グランドトレインツアー「ロジャー・フェデラーの忘れられない鉄道旅」


UCI ワールドサイクリングセンターを訪問

エーグルにあるUCIワールドサイクリングセンター photo:Makoto AYANO

エーグルには世界国際自転車競技連合/Union Cycliste International)の拠点「UCI ワールドサイクリングセンター」がある。クルマなら高速道路を降りてすぐ、川沿いに銀色に輝くヴェロドロームと併設されたビルがUCIの本拠地だ。

見学時はちょうどWCCチームの選手がトレーニング中だった photo:Makoto AYANO

トラックの内側からは選手が走る様子がよく分かる photo:Makoto AYANO
選手たちがトレーニングする様子を見学できる photo:Makoto AYANO


ヴェロドロームとは室内自転車競技場。「ピスト」と呼ばれる板張りの自転車競技専用トラックは国際レベルの競技が開催されるほか、日常的には各国からの若手選手によって結成されたWCCチームが強化合宿を行っており、その練習風景などが見学できる(日本人選手もよく所属している)。メカニックルームやトレーニングルーム、自転車博物館も併設されており、見学が随時できるようになっている。

ヴェロドロームの脇に展示室やミニミュージアムがある photo:Makoto AYANO

アルカンシェルにペイントされたマチュー・ファンデルプールのシクロクロスバイク photo:Makoto AYANO
マイヨジョーヌなどが飾られたツール・ド・フランス企画展示 photo:Makoto AYANO


展示スペースではツール・ド・フランス展を開催中だった photo:Makoto AYANO
館内をくまなく案内してくれたUCIのスタッフ photo:Makoto AYANO


展示スペースでは過去の有名選手たちが駆った名車やジャージなどがディスプレイされ、テーマに応じた企画展なども開催されており、訪問時はツール・ド・フランス2022の数ステージがスイスで開催されたことを記念する展示が行われていた。UCIはレースだけでなく様々なサイクリングを統括・支援している。ワールドサイクリングセンターはこの地に立ち寄ることがあればぜひ訪問したいスポットだ。

競技機材がストックされたメカニックルームの見学もできた photo:Makoto AYANO

UCI World cycling center

→WEB SITE

ヴォー(VAUD)州でのサイクリングツアーに関する特設サイト

→ The perfect spot for biking
→ The most beautiful bike tours in the canton of Vaud(サイクリング推奨ルート)
text&photo:Makoto.AYANO 提供:スイス政府観光局、Vaud Promotion