2022/04/13(水) - 14:27
創業時から脈々と進化を続けるSPEEDシリーズを筆頭にした、フルクラムのカーボンディープリムホイール。SPEED 40、弟分のWIND 40、そして新規追加された注目モデルAIRBEAT 400を、キナンレーシングチームの畑中勇介と新城雄大・両選手が試した。
プロチームの主力レースホイールとして愛用されるハイエンドホイールが、40mmのリムハイトを持つSPEED 40シリーズだ。
SPEED 40シリーズはフルクラムのハイエンドテクノロジーを結集させたチューブラーモデル「SPEED 40T DB」を筆頭に、2WAY-FIT、つまりチューブレスとクリンチャーに両対応したモデルはCULTベアリングを搭載した「SPEED 40 CMPTZN(コンペティツイオーネ) DB 2WAY」と、USBベアリングを搭載した「SPEED 40 DB」という3モデルが揃う。今回はスタンダードモデルと呼べる「SPEED 40 DB」をテストした。
税込336,600円という、シリーズ中最も手が届きやすいことでも人気を誇るSPEED 40 DB 2WAY-FIT。いうまでもなく40mmハイトのリムはフルクラムの主力を張るオールラウンドハイトであり、ツィルカーボンフィニッシュによる、カーボン目地も美しい仕上がりが所有欲を駆り立てる。
スポークは前後共に21本ずつで、もちろんフルクラムが誇る2:1(Two to One)組。メカニックから高い評価を得てきたスポーキングで、前後共にドライブサイド7本/ブレーキサイド14本、リアはドライブサイド14本/ブレーキサイド7本。ハブはフロントがカーボンボディ+アルミ製オーバーサイズフランジで、リアがアルミ製ボディ+アルミ製オーバーサイズフランジという組み合わせだ。ベアリングはセラミック製ボールを使用したUSBベアリングだが、別売キットを使うことでCULTへのアップグレードも可能となっている。
リムにはフルクラム自慢の2-WAY FITテクノロジーが投入され、スポークホールを排したデザインによってテープを使うことなくチューブレスタイヤを運用できる。もちろん構造的な強度も高く、例えばパリ〜ルーベに代表される過酷な石畳や、グラベル用途までも視野に入れて開発が進められた。
SPEEDシリーズは2016年の登場時(Racing SPEEDからのモデルチェンジ時)にC17(内幅17mm)にアップデートされ、そして2019年のディスクブレーキ化によってC19(リム内幅19mm/外幅26.5mm)へとバージョンアップ。公式に23mmから50mmまでのタイヤを使用することが可能であり、SPEED 40 DB 2WAY-FITはロードユースに限らない、バーサタイルなホイールへと進化を果たしている。(スペックはページ下部へ)
SPEEDシリーズのテクノロジーを受け継ぎつつ、リムやハブなど各所でコストダウンを図ったセカンドグレードがWINDシリーズ。RACING QUATTRO Carbonの後継モデルとして2019年にデビューを飾るや否や、20万円を切るバリュープライスで市民権を得たホイールだ。
40mmと55mmのリムハイトが用意されるのは上位グレードのSPEEDと同じ。モデルチェンジに際して内幅19mm、外幅27mm(外幅はSPEEDよりも0.5mm広い)というワイドかつニップルホールを排したリム設計が取り入れられており、エアロダイナミクスに優れたリム断面形状も共通だ。
剛性に優れるストレートプルスポークはフルクラムが誇る2:1で組まれている。SPEEDが前後共21本組みであるのに対し、WINDは24本組みと、タフユースを見込んで堅牢に設計されていることも特筆される。ノーマルベアリングをセットするハブボディは前後ともにアルミ製だが、駆動効率にダイレクトに影響するリア側はオーバーサイズフランジが投入されている。(スペックはページ下部へ)
今回テストしたモデルの中で、最も注目すべき新作ホイールがこのAIRBEAT(エアビート)400DB 2WAY-Rだろう。一気にディスクブレーキ化が進み、さらに舗装路と未舗装路の境界線が混じり合う現在のトレンドを的確に掴んだ意欲作であり、税込14万円とフルクラムのカーボンホイールの中で最も買い求めやすいプライスを誇る。
上位モデルと同じ40mmハイトのリムは、昨今の幅広タイヤ装着を見込んで更にワイド化され、ラインナップ中で唯一の内幅21mm/外幅28mm。25~40mmまでのタイヤに対応し、ホイール強度も万全に確保されているためロードライドはもちろん、グラベルユースでも安定感を発揮するバーサタイルなホイールだ。
もちろん単にコストカットを図っただけでなく、フルクラムの代名詞とも言える2:1スポークパターンを採用してホイールバランスと堅牢さを獲得。クリンチャーとチューブレス・レディに対応する2Way-Fit Rタイプであることもオールラウンドホイールとしての大切な要素と言えるだろう。アルミアクスルなどの採用によってWIND 40 DBから+20g(公称値)と重量増を抑えていることもポイントだ。
UDフルカーボンリムは光の当たり具合でカーボンブラックからネイビーブルーに変化する特殊ペイントが施されていることもポイント。アンダー15万円という価格を覆す、フルクラムの将来性をも映す注目作の走りは如何に。(スペックはページ下部へ)
今回のインプレッションを担当してくれたのはキナンレーシングチームの畑中勇介と新城雄大・両選手。普段からSPEEDシリーズのチューブラーモデルをメインに戦う2人の評価に注目したい。
CW:まずはキナンレーシングチームがレースで使うSPEEDシリーズからお伺いしましょう。SPEED 40TとSPEED 55Tの2モデルが供給されていると聞きますが、その選び方を教えてください。
畑中:オールラウンドに走れるSPEED 40Tが基本で、選手からの評価も非常に高いモデルです。ただしトマ(・ルバ)のようにパワーで押し切る選手はSPEED 55Tを選ぶ割合が高いですね。昨年の全日本選手権で(山本)元喜はフロントSPEED 55T、リアSPEED 40Tという少し変則的な組み合わせでした。
新城:SPEED 55Tはかなり剛性感が強く、僕ら選手でも脚に「くる」んですよね。サーキットエンデューロのようにずっと流れている高速レースならSPEED 55Tですが、絶えず伸び縮みする国内レースは40の方が相性がいいと考えています。
新城:もちろんゴールスプリント勝負で伸びるのはSPEED 55T。中島(康晴)さんは特にクリテリウムでSPEED 55Tをいつも選んでいますね。ただ、アシストを担う時はSPEED 40Tが良い。牽引するときもスピードの持続性が良いし、SPEED 55Tと比べて踏み負けないからアタックが何発も何発も打てるんです。場面はもちろん、選手の走り方、そして役目によって使い分けていますが、やはりSPEED 40Tがいつでも基本ですね。
畑中:あらゆる場面走ることを想定して、どれか一つだけホイールを選べと言われたら、間違いなくSPEED 40Tなんです。ヒルクライムでも使えるし、巡航だって優れているし、とても使いやすいことが特徴です。レースの時、とりあえず基本となるのはSPEED 40Tですからね。ホイール自体も踏みやすいので、アマチュアレーサーにもおすすめしやすい。
新城:今回は2WAY-FITモデルをクリンチャー化して試しましたが、普段僕たちがレースで使うチューブラーモデルと比べた際の性能差は大きくありませんでした。厳密に言えばCULTとUSBベアリングの走りの差、特にホイールによじれる力が掛かった時の動きや、タイヤ特製の違いがありますが、チューブラーモデルを知らずに2WAY-FITだけを乗ったならば、決して文句は出ませんね。
畑中:普段使うものとは違いますが、それでもSPEED 40らしい、オールラウンドに使える軽い走りや、踏んだ時の伸びの良さなど、ハイエンドホイールらしい走りはそのままです。レースだけでなく、予算が許すならば贅沢なロングライド用としても良い選択肢だと思いますね。
CW:軽く、踏みやすいホイールだけにアマチュアユーザーにもオススメということですね。セカンドモデルのWIND 40 DBはいかがでしたか?
新城:直進性能が良いと思いましたね。反応が良いし、あまりミドルグレードだと感じさせない。SPEED 40 DBと比べれな若干踏み心地がマイルドなので、より踏みやすさが高まっているかな、と。
畑中:練習で普段から使いたいホイールだと思いました。というのも、レースホイールとして使うSPEED 40に挙動がすごく似ているから。WIND 40 DBはリムハイトや19Cリム、2:1スポークといった基本構造が同じで、SPEED 40に似た走りを味わえます。スペックはもちろんですが、走りもしっかり似た感覚であるのは良いことだと思いますよ。
新城:確かに。僕が感じた直進性能や転がりの良さは、SPEED 40と似ていたからかも。登りでバイクを振った時に「あ、これセカンドグレードだったな」、と思います。確かにSPEED 40の方がより剛性が高いですが、脚当たりが少し柔らかいぶん、より長距離ライドだったり、トライアスロンのような、一定ペースで長時間走る時にはすごくアリですね。
畑中:1本目のカーボンホイールとしては十分な走りですね。20万円台のカーボンホイールはすごく活性化しているカテゴリーですが、その中にあって、しっかり選ばれる理由があるホイールです。それに強度保証も保たれていて公式にグラベルOK。これは僕のシクロクロスシーズン用ホイールの最有力候補になりましたよ(笑)。
CW:値段的にも、話題的にもインプレ前から注目だったのがAIRBEAT 400DB 2WAY-Rですね。
畑中:これはすごく良かった。いい意味で期待を裏切ってくれたホイールです。
新城:あ、同じ意見です(笑)。価格から最初は「どうなんだろう?」と疑問でしたが...。
畑中:パッケージの良さがその理由だと思いますね。C21mmリムと低い空気圧がもたらす安定感がすごい。SPEED 40やWIND 40とは動きがかなり異なっていて、違う系譜にある、あるいはフルクラムの次世代と言えるのかもしれません。1秒を争うホイールではありませんが、これは良いですよ。1セット欲しいですもん。
新城:畑中さんは欲しいってずっと言ってますよね(笑)。安定した走りなので気楽に長距離を走れるし、レースデビューや、たとえば年に一度くらいレースに出るくらいなら全く不満はありませんよ。
畑中:うん、WINDとの価格差が6万円くらいと大きくないので、選び方に悩む人もいると思います。スペック上では分かりませんが、走りが意外と異なるので、迷う場合はそれを見越して選ぶべきでしょうね。
新城:ですね。レース参戦を見据えている人はWINDで、週末ライド中心ならAIRBEAT。走りの質に価格差は関係なくて、走りのタイプで選ぶべきかな、と。
畑中:練習用ホイールとして僕が選ぶならSPEEDに動きが近いWINDですが、AIRBEATもすごくすき。値段を裏切る走りと、グラベルホイールにも力を入れるフルクラムの新しい時代を象徴するアイテムだと感じましたね。
次章では、フルクラムもう一つの代名詞ホイールであるRacing Zeroシリーズ2モデルを特集。ハイエンドのカーボンモデルと、人気のアルミモデルの乗り比べインプレッションを紹介する。
「フルクラムのホイール、なんだか良さそうだな」「SPEEDシリーズを試してみたい」「キナンの選手みたいにレースで使いたい!」。
本特集記事に目を通して、そんなふうに興味を持った方も少なくないことだろう。同社の日本正規販売代理店を務めるカワシマサイクルサプライでは、そんな声に応えるべく各モデルをたっぷりと試せるレンタルプラン「FULCRUM GO」を実施している。
Racing ZEROシリーズはもちろんのこと、ハイエンドのSPEEDシリーズや、リムブレーキモデルも取り揃えられており、1モデルを10泊11日で借りるプランと、2モデルをなんと15泊16日で乗り比べできる2つのプランが用意されているのだ。しかも料金は前者が6,000円、後者ですら11,000円(どちらもブレーキ調整/スプロケ着脱込み)と超格安で、サイクルイベントやヒルクライムレースで使うこともできるのだ。レンタルホイールの種類や日程の確認はフルクラムのHPから確認でき、申し込みはフルクラム提携のプロショップから行う(詳しくはこちらから確認してほしい)。
憧れのフルクラムホイールを思う存分試せるチャンスをお見逃しなく。
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多種多様なラインナップが揃う、フルクラムのカーボンディープホイール群
本章で紹介するのは、40mmハイトのカーボンディープリムホイール3モデル(SPEED 40 DB、WIND 40 DB、AIRBEAT 400 DB)。まずは各モデルの解説から進めたい。フルクラム SPEED 40 DB 2WAY-FIT
プロチームの主力レースホイールとして愛用されるハイエンドホイールが、40mmのリムハイトを持つSPEED 40シリーズだ。
SPEED 40シリーズはフルクラムのハイエンドテクノロジーを結集させたチューブラーモデル「SPEED 40T DB」を筆頭に、2WAY-FIT、つまりチューブレスとクリンチャーに両対応したモデルはCULTベアリングを搭載した「SPEED 40 CMPTZN(コンペティツイオーネ) DB 2WAY」と、USBベアリングを搭載した「SPEED 40 DB」という3モデルが揃う。今回はスタンダードモデルと呼べる「SPEED 40 DB」をテストした。
税込336,600円という、シリーズ中最も手が届きやすいことでも人気を誇るSPEED 40 DB 2WAY-FIT。いうまでもなく40mmハイトのリムはフルクラムの主力を張るオールラウンドハイトであり、ツィルカーボンフィニッシュによる、カーボン目地も美しい仕上がりが所有欲を駆り立てる。
スポークは前後共に21本ずつで、もちろんフルクラムが誇る2:1(Two to One)組。メカニックから高い評価を得てきたスポーキングで、前後共にドライブサイド7本/ブレーキサイド14本、リアはドライブサイド14本/ブレーキサイド7本。ハブはフロントがカーボンボディ+アルミ製オーバーサイズフランジで、リアがアルミ製ボディ+アルミ製オーバーサイズフランジという組み合わせだ。ベアリングはセラミック製ボールを使用したUSBベアリングだが、別売キットを使うことでCULTへのアップグレードも可能となっている。
リムにはフルクラム自慢の2-WAY FITテクノロジーが投入され、スポークホールを排したデザインによってテープを使うことなくチューブレスタイヤを運用できる。もちろん構造的な強度も高く、例えばパリ〜ルーベに代表される過酷な石畳や、グラベル用途までも視野に入れて開発が進められた。
SPEEDシリーズは2016年の登場時(Racing SPEEDからのモデルチェンジ時)にC17(内幅17mm)にアップデートされ、そして2019年のディスクブレーキ化によってC19(リム内幅19mm/外幅26.5mm)へとバージョンアップ。公式に23mmから50mmまでのタイヤを使用することが可能であり、SPEED 40 DB 2WAY-FITはロードユースに限らない、バーサタイルなホイールへと進化を果たしている。(スペックはページ下部へ)
フルクラム WIND 40 DB
SPEEDシリーズのテクノロジーを受け継ぎつつ、リムやハブなど各所でコストダウンを図ったセカンドグレードがWINDシリーズ。RACING QUATTRO Carbonの後継モデルとして2019年にデビューを飾るや否や、20万円を切るバリュープライスで市民権を得たホイールだ。
40mmと55mmのリムハイトが用意されるのは上位グレードのSPEEDと同じ。モデルチェンジに際して内幅19mm、外幅27mm(外幅はSPEEDよりも0.5mm広い)というワイドかつニップルホールを排したリム設計が取り入れられており、エアロダイナミクスに優れたリム断面形状も共通だ。
剛性に優れるストレートプルスポークはフルクラムが誇る2:1で組まれている。SPEEDが前後共21本組みであるのに対し、WINDは24本組みと、タフユースを見込んで堅牢に設計されていることも特筆される。ノーマルベアリングをセットするハブボディは前後ともにアルミ製だが、駆動効率にダイレクトに影響するリア側はオーバーサイズフランジが投入されている。(スペックはページ下部へ)
フルクラム AIRBEAT 400DB 2WAY-R
今回テストしたモデルの中で、最も注目すべき新作ホイールがこのAIRBEAT(エアビート)400DB 2WAY-Rだろう。一気にディスクブレーキ化が進み、さらに舗装路と未舗装路の境界線が混じり合う現在のトレンドを的確に掴んだ意欲作であり、税込14万円とフルクラムのカーボンホイールの中で最も買い求めやすいプライスを誇る。
上位モデルと同じ40mmハイトのリムは、昨今の幅広タイヤ装着を見込んで更にワイド化され、ラインナップ中で唯一の内幅21mm/外幅28mm。25~40mmまでのタイヤに対応し、ホイール強度も万全に確保されているためロードライドはもちろん、グラベルユースでも安定感を発揮するバーサタイルなホイールだ。
もちろん単にコストカットを図っただけでなく、フルクラムの代名詞とも言える2:1スポークパターンを採用してホイールバランスと堅牢さを獲得。クリンチャーとチューブレス・レディに対応する2Way-Fit Rタイプであることもオールラウンドホイールとしての大切な要素と言えるだろう。アルミアクスルなどの採用によってWIND 40 DBから+20g(公称値)と重量増を抑えていることもポイントだ。
UDフルカーボンリムは光の当たり具合でカーボンブラックからネイビーブルーに変化する特殊ペイントが施されていることもポイント。アンダー15万円という価格を覆す、フルクラムの将来性をも映す注目作の走りは如何に。(スペックはページ下部へ)
キナンレーシングチームの畑中勇介と新城雄大によるインプレッション
今回のインプレッションを担当してくれたのはキナンレーシングチームの畑中勇介と新城雄大・両選手。普段からSPEEDシリーズのチューブラーモデルをメインに戦う2人の評価に注目したい。
CW:まずはキナンレーシングチームがレースで使うSPEEDシリーズからお伺いしましょう。SPEED 40TとSPEED 55Tの2モデルが供給されていると聞きますが、その選び方を教えてください。
オールラウンドな40、ここぞの時の55T
畑中:オールラウンドに走れるSPEED 40Tが基本で、選手からの評価も非常に高いモデルです。ただしトマ(・ルバ)のようにパワーで押し切る選手はSPEED 55Tを選ぶ割合が高いですね。昨年の全日本選手権で(山本)元喜はフロントSPEED 55T、リアSPEED 40Tという少し変則的な組み合わせでした。
新城:SPEED 55Tはかなり剛性感が強く、僕ら選手でも脚に「くる」んですよね。サーキットエンデューロのようにずっと流れている高速レースならSPEED 55Tですが、絶えず伸び縮みする国内レースは40の方が相性がいいと考えています。
新城:もちろんゴールスプリント勝負で伸びるのはSPEED 55T。中島(康晴)さんは特にクリテリウムでSPEED 55Tをいつも選んでいますね。ただ、アシストを担う時はSPEED 40Tが良い。牽引するときもスピードの持続性が良いし、SPEED 55Tと比べて踏み負けないからアタックが何発も何発も打てるんです。場面はもちろん、選手の走り方、そして役目によって使い分けていますが、やはりSPEED 40Tがいつでも基本ですね。
畑中:あらゆる場面走ることを想定して、どれか一つだけホイールを選べと言われたら、間違いなくSPEED 40Tなんです。ヒルクライムでも使えるし、巡航だって優れているし、とても使いやすいことが特徴です。レースの時、とりあえず基本となるのはSPEED 40Tですからね。ホイール自体も踏みやすいので、アマチュアレーサーにもおすすめしやすい。
レースはもちろん、贅沢なロングライドホイールとしても
新城:今回は2WAY-FITモデルをクリンチャー化して試しましたが、普段僕たちがレースで使うチューブラーモデルと比べた際の性能差は大きくありませんでした。厳密に言えばCULTとUSBベアリングの走りの差、特にホイールによじれる力が掛かった時の動きや、タイヤ特製の違いがありますが、チューブラーモデルを知らずに2WAY-FITだけを乗ったならば、決して文句は出ませんね。
畑中:普段使うものとは違いますが、それでもSPEED 40らしい、オールラウンドに使える軽い走りや、踏んだ時の伸びの良さなど、ハイエンドホイールらしい走りはそのままです。レースだけでなく、予算が許すならば贅沢なロングライド用としても良い選択肢だと思いますね。
CW:軽く、踏みやすいホイールだけにアマチュアユーザーにもオススメということですね。セカンドモデルのWIND 40 DBはいかがでしたか?
WIND 40 DB:ハイエンドと共通する走り
新城:直進性能が良いと思いましたね。反応が良いし、あまりミドルグレードだと感じさせない。SPEED 40 DBと比べれな若干踏み心地がマイルドなので、より踏みやすさが高まっているかな、と。
畑中:練習で普段から使いたいホイールだと思いました。というのも、レースホイールとして使うSPEED 40に挙動がすごく似ているから。WIND 40 DBはリムハイトや19Cリム、2:1スポークといった基本構造が同じで、SPEED 40に似た走りを味わえます。スペックはもちろんですが、走りもしっかり似た感覚であるのは良いことだと思いますよ。
新城:確かに。僕が感じた直進性能や転がりの良さは、SPEED 40と似ていたからかも。登りでバイクを振った時に「あ、これセカンドグレードだったな」、と思います。確かにSPEED 40の方がより剛性が高いですが、脚当たりが少し柔らかいぶん、より長距離ライドだったり、トライアスロンのような、一定ペースで長時間走る時にはすごくアリですね。
畑中:1本目のカーボンホイールとしては十分な走りですね。20万円台のカーボンホイールはすごく活性化しているカテゴリーですが、その中にあって、しっかり選ばれる理由があるホイールです。それに強度保証も保たれていて公式にグラベルOK。これは僕のシクロクロスシーズン用ホイールの最有力候補になりましたよ(笑)。
フルクラム新時代を感じる、AIRBEAT 400DB
CW:値段的にも、話題的にもインプレ前から注目だったのがAIRBEAT 400DB 2WAY-Rですね。
畑中:これはすごく良かった。いい意味で期待を裏切ってくれたホイールです。
新城:あ、同じ意見です(笑)。価格から最初は「どうなんだろう?」と疑問でしたが...。
畑中:パッケージの良さがその理由だと思いますね。C21mmリムと低い空気圧がもたらす安定感がすごい。SPEED 40やWIND 40とは動きがかなり異なっていて、違う系譜にある、あるいはフルクラムの次世代と言えるのかもしれません。1秒を争うホイールではありませんが、これは良いですよ。1セット欲しいですもん。
新城:畑中さんは欲しいってずっと言ってますよね(笑)。安定した走りなので気楽に長距離を走れるし、レースデビューや、たとえば年に一度くらいレースに出るくらいなら全く不満はありませんよ。
畑中:うん、WINDとの価格差が6万円くらいと大きくないので、選び方に悩む人もいると思います。スペック上では分かりませんが、走りが意外と異なるので、迷う場合はそれを見越して選ぶべきでしょうね。
新城:ですね。レース参戦を見据えている人はWINDで、週末ライド中心ならAIRBEAT。走りの質に価格差は関係なくて、走りのタイプで選ぶべきかな、と。
畑中:練習用ホイールとして僕が選ぶならSPEEDに動きが近いWINDですが、AIRBEATもすごくすき。値段を裏切る走りと、グラベルホイールにも力を入れるフルクラムの新しい時代を象徴するアイテムだと感じましたね。
次章では、フルクラムもう一つの代名詞ホイールであるRacing Zeroシリーズ2モデルを特集。ハイエンドのカーボンモデルと、人気のアルミモデルの乗り比べインプレッションを紹介する。
インプレッションモデルスペック
フルクラム SPEED 40 DB 2WAY-FIT
リム | フルカーボン、ツィルカーボンフィニッシュ、ハイト40mm、内幅19mm |
タイヤタイプ | 2-WAY FIT |
適合タイヤ幅 | 23~50mm |
スポーク | ダブルバテッド・ステンレス・ストレートプル F/21 R/21(2to1) |
フロントハブ | カーボン製、アルミオーバーサイズ・フランジ |
リアハブ | アルミ製、アルミオーバーサイズ・フランジ |
ベアリング | USBセラミック |
重量 | 1,470g |
税込価格 | 336,600円 |
フルクラム WIND 40 DB
リム | UDフルカーボンハイト40mm、内幅19mm |
タイヤタイプ | 2-WAY FIT |
適合タイヤ幅 | 23~50mm |
スポーク | ステンレス・ダブルバテッドF/24 R/24(2to1) |
フロントハブ | アルミ製アルミ・フランジ |
リアハブ | アルミ製アルミオーバーサイズ・フランジ |
重量 | 1,620g |
税込価格 | 198,000円 |
フルクラム AIRBEAT 400DB 2WAY-R
リム | UDフルカーボン、ハイト40mm、内幅21mm |
タイヤタイプ | 2-WAY FIT |
適合タイヤ幅 | 25~40mm |
スポーク | ダブルバテッド・ステンレス・ストレートプル F/24 R/24(2to1) |
ハブ | アルミ製アルミ・フランジ |
重量 | 1,640g |
税込価格 | 140,000円 |
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「フルクラムのホイール、なんだか良さそうだな」「SPEEDシリーズを試してみたい」「キナンの選手みたいにレースで使いたい!」。
本特集記事に目を通して、そんなふうに興味を持った方も少なくないことだろう。同社の日本正規販売代理店を務めるカワシマサイクルサプライでは、そんな声に応えるべく各モデルをたっぷりと試せるレンタルプラン「FULCRUM GO」を実施している。
Racing ZEROシリーズはもちろんのこと、ハイエンドのSPEEDシリーズや、リムブレーキモデルも取り揃えられており、1モデルを10泊11日で借りるプランと、2モデルをなんと15泊16日で乗り比べできる2つのプランが用意されているのだ。しかも料金は前者が6,000円、後者ですら11,000円(どちらもブレーキ調整/スプロケ着脱込み)と超格安で、サイクルイベントやヒルクライムレースで使うこともできるのだ。レンタルホイールの種類や日程の確認はフルクラムのHPから確認でき、申し込みはフルクラム提携のプロショップから行う(詳しくはこちらから確認してほしい)。
憧れのフルクラムホイールを思う存分試せるチャンスをお見逃しなく。
FULCRUM GO ホィールレンタルサービス