2022/04/28(木) - 14:04
フルクラムの特集記事の最終回は、5モデルを乗り比べた2選手による総括をお届け。一番気になったホイールは?ホイール戦国時代におけるフルクラムの価値とは?過酷な状況で酷使されるホイールに携わる、チームメカニック目線からの評価も併せて紹介する。
CW:一気乗りインプレッションお疲れ様でした!なにやら畑中さんは言いたいことがあるようで...?
畑中:今回5モデルをテストさせてもらいましたが、そこで思ったのは「なんて良いブランドのホイールを使わせてもらっているんだろう!」と言うことです(笑)。結構いろいろなことを言わせてもらいましたが、どれもめちゃくちゃ良くて、メリット・デメリットも「強いて言うならレベル」ですから。
新城:本当ですよね(笑)。全部ちょっとずつの差で、基本性能はどれもいい。今回試した中で「うーん」と思うものは一つもありませんでした。その中で脚質や踏み方、走る場所によって、たとえばSPEED 40なのか、55なのか、あるいはレーゼロなのかを、かなりレベルの高いところで選ぶことができる。
畑中:そしてSPEED 40のようなハイエンドホイールは、その「ちょっと」のメリットが大きくて、たとえばレースの最後の最後の差にメリットが出ますよ。タイムトライアルはもちろんですが、ロードレースって50km、100km走る中の僅かな積み重ねが結果に出ますから。昔写真判定で負けたことがありますが、その時に勝てるホイールだな、と。
新城:好みと言うと少し違うかもしれませんが、一番面白かったのはAIRBEATです。性能に対する値段の安さも驚いたし、内幅21mmリムがもたらすフルクラム新時代の走りを試せたのはすごく大きな収穫になりました。
畑中:確かにそうだね。自分はRacing ZERO CARBONが印象的でした。このホイールは本当にレースで使いたいなと思った。バッチリハマればSPEED 40よりメリットが大きい場面は結構あるでしょう。低速になる場面が多いホビーレースなら、かなりの人にフィットするんじゃないかな、と思いますよ。
それに、アルミの「レーゼロ」には昔から根強いファンがいて、レーゼロで良い成績を上げてきた選手も多いんです。例えば山本兄弟もそう。彼らは大学所属時代にサポートを受けていたので、SPEEDを使えなかったのではなく、あえてレーゼロを選んでいた。そういう魅力が今だに強くあることも、特にカーボンモデルを試したことで感じましたね。
新城:個人的にはCULTベアリングの走りの素晴らしさに改めて気付かされました。USBベアリングも同じセラミックボールを使っていますが、ボールレースに特殊な加工が施されているCULTは、特にスプリントのようなホイールに負荷がかかる時によじれが少なくて、バイクが前に進む力が強いんです。今はSPEED 40のCULTベアリング仕様(CMPTZN)も加わりましたし、着実にバリエーションアップをしている印象を受けます。
畑中:個人的には2-WAY FITはすごくアリだなと思うんですよ。チームはレースではチューブラーモデルを使いますが、個人参戦しているシクロクロスでは今季からチューブレスタイヤを運用し始めたんです。シクロクロスに限らずタイヤ交換の楽さは圧倒的だし、シクロクロスも走るホビーレーサーなら夏はロードタイヤ、冬はCXタイヤと両刀使いができますよね。たとえばSPEED 40でチューブラーと2-WAY FITの性能差は少ないし。
畑中:こういってはなんですが、本当にイタリアブランド??と言いたくなるような製品的な精度の高さ、走りのかっちり感を感じますよね。クルマとかの世界ではイタリア車はかっこ良くて速いのにどこか弱いような部分があるけれど、フルクラムホイールにはそれがない。
新城:他ブランドに比べると、ハイエンドならハイエンドで、ミドルならミドルで、各モデル間の走りの味付けが統一されている感じがしますね。基本性能はもちろんレベルが高くて、走りが似ているから、たとえばSPEED 40を好きならレーゼロカーボンも好きになれるはずだし、その逆もしかり。
畑中:確かにそうかもしれない。色々バリエーションがあ流けれど、走りのニュアンスの差はそこまで大きくない。特に今回試したホイールはすごく良かった。どれも値段に対してそれ以上の走りを感じるし。
新城:これ、本当に僕は思っていることなので、脚色なしで言いますが、今まで使ってきたどのホイールブランドよりも、フルクラムは好きです。
畑中:おお。そうなんだ(笑)。ただ、強いて注文をつけるとしたら、ラインナップの中に超軽量ホイールはありませんよね。ライトウェイトとか、昔のジップのような。危うさすら感じる速いホイールは過去に試してきましたが、そういうのがない。それはつまり、質実剛健さを貫いているホイールブランドなんだな、と思いますよ。
今回のインプレッションを通して、改めて今僕たちが使わせてもらっているホイールについて理解を深めることができました。今年もキナンレーシングはフルクラムホイールと共に戦いますので、応援をよろしくお願いします!
星野:アルミしかり、カーボンしかり、とにかく製品公差が少なく、しっかりと組み上げられたホイールだなと言う印象が強いですね。納品されたものは必ず全部フレや歪みを確認するのですが、フルクラムはビタッと全て真っ直ぐ。そこに関してはかなり信頼できます。
CW:選手が使っていても壊れることが少ないと聞きましたが、実際のところはいかがですか?
星野:落車破損を除けば故障や破損は私がチームに関わってから一度もないんです。これは私自身驚かされました。ホイールはレース後はもちろん、定期的なチェックを行うんですが、フレ取り作業をした記憶すらほとんどありません。
トレーニングで使うアルミのRacing ZEROは年間2.5万キロ、場合によっては3万キロ以上を、それも高い強度で走ります。もちろんベアリングは一定期間を走ったら打ち替えますが、スポーク交換やリム破損は今まで一度もありません。構造的にホイールの振れは絶対出るはずなんですが、フルクラムのホイールは、リムの歪みが少ないからニップルに負担が掛からず、結果振れづらいんでしょうね。リムもスポークもすごく頑丈だし、これには2:1スポークも影響していると感じます。これはカーボンもアルミも共通。びっくりでした。
CW:フルクラムのホイールはグリスアップや玉押し調整が前提となっていますが、その部分に関してはいかがでしょう?
星野:敷居が高いと思われがちな部分ですが、メカニック目線から見るとカップ&コーン方式ですから分解は簡単だし、手間もかかりません。どんなホイールでもメンテナンスは必要ですから、逆にメンテフリーを謳うホイールよりもよっぽど信頼できる。長い目で見るならすごく良いと思います。
ディスクブレーキ化してもハブの玉押し調整は簡単なままですし、レースシーンだと何度も確認・調整する場面がある中で、他社ホイールを使うチームよりも確実に作業が楽だし有利なんです。簡単だからこそ、しっかりメンテナンスに目がむきますよね。
レース強度でガシガシ使われているホイールですら綻びがありませんし、非常に信頼をおけるブランドです。安さを謳っているブランドではありませんが、長く所有する上では真っ先に有力候補に挙げたいと思います。
「フルクラムのホイール、なんだか良さそうだな」「SPEEDシリーズを試してみたい」「キナンの選手みたいにレースで使いたい!」。
本特集記事に目を通して、そんなふうに興味を持った方も少なくないことだろう。同社の日本正規販売代理店を務めるカワシマサイクルサプライでは、そんな声に応えるべく各モデルをたっぷりと試せるレンタルプラン「FULCRUM GO」を実施している。
Racing ZEROシリーズはもちろんのこと、ハイエンドのSPEEDシリーズや、リムブレーキモデルも取り揃えられており、1モデルを10泊11日で借りるプランと、2モデルをなんと15泊16日で乗り比べできる2つのプランが用意されているのだ。しかも料金は前者が6,000円、後者ですら11,000円(どちらもブレーキ調整/スプロケ着脱込み)と超格安で、サイクルイベントやヒルクライムレースで使うこともできるのだ。レンタルホイールの種類や日程の確認はフルクラムのHPから確認でき、申し込みはフルクラム提携のプロショップから行う(詳しくはこちらから確認してほしい)。
憧れのフルクラムホイールを思う存分試せるチャンスをお見逃しなく。
FULCRUM GO ホィールレンタルサービス
インプレッション総括:フルクラムホイールの価値を探る
「基本性能が高くて、その中で各モデルを選べる」
CW:一気乗りインプレッションお疲れ様でした!なにやら畑中さんは言いたいことがあるようで...?
畑中:今回5モデルをテストさせてもらいましたが、そこで思ったのは「なんて良いブランドのホイールを使わせてもらっているんだろう!」と言うことです(笑)。結構いろいろなことを言わせてもらいましたが、どれもめちゃくちゃ良くて、メリット・デメリットも「強いて言うならレベル」ですから。
新城:本当ですよね(笑)。全部ちょっとずつの差で、基本性能はどれもいい。今回試した中で「うーん」と思うものは一つもありませんでした。その中で脚質や踏み方、走る場所によって、たとえばSPEED 40なのか、55なのか、あるいはレーゼロなのかを、かなりレベルの高いところで選ぶことができる。
畑中:そしてSPEED 40のようなハイエンドホイールは、その「ちょっと」のメリットが大きくて、たとえばレースの最後の最後の差にメリットが出ますよ。タイムトライアルはもちろんですが、ロードレースって50km、100km走る中の僅かな積み重ねが結果に出ますから。昔写真判定で負けたことがありますが、その時に勝てるホイールだな、と。
「一番印象的だったホイールは...」
CW:今回は5種類のホイールを試してもらいました。その中で一番好みだったのはどのモデルですか?新城:好みと言うと少し違うかもしれませんが、一番面白かったのはAIRBEATです。性能に対する値段の安さも驚いたし、内幅21mmリムがもたらすフルクラム新時代の走りを試せたのはすごく大きな収穫になりました。
畑中:確かにそうだね。自分はRacing ZERO CARBONが印象的でした。このホイールは本当にレースで使いたいなと思った。バッチリハマればSPEED 40よりメリットが大きい場面は結構あるでしょう。低速になる場面が多いホビーレースなら、かなりの人にフィットするんじゃないかな、と思いますよ。
それに、アルミの「レーゼロ」には昔から根強いファンがいて、レーゼロで良い成績を上げてきた選手も多いんです。例えば山本兄弟もそう。彼らは大学所属時代にサポートを受けていたので、SPEEDを使えなかったのではなく、あえてレーゼロを選んでいた。そういう魅力が今だに強くあることも、特にカーボンモデルを試したことで感じましたね。
新城:個人的にはCULTベアリングの走りの素晴らしさに改めて気付かされました。USBベアリングも同じセラミックボールを使っていますが、ボールレースに特殊な加工が施されているCULTは、特にスプリントのようなホイールに負荷がかかる時によじれが少なくて、バイクが前に進む力が強いんです。今はSPEED 40のCULTベアリング仕様(CMPTZN)も加わりましたし、着実にバリエーションアップをしている印象を受けます。
畑中:個人的には2-WAY FITはすごくアリだなと思うんですよ。チームはレースではチューブラーモデルを使いますが、個人参戦しているシクロクロスでは今季からチューブレスタイヤを運用し始めたんです。シクロクロスに限らずタイヤ交換の楽さは圧倒的だし、シクロクロスも走るホビーレーサーなら夏はロードタイヤ、冬はCXタイヤと両刀使いができますよね。たとえばSPEED 40でチューブラーと2-WAY FITの性能差は少ないし。
「フルクラムは、質実剛健なブランド」
畑中:こういってはなんですが、本当にイタリアブランド??と言いたくなるような製品的な精度の高さ、走りのかっちり感を感じますよね。クルマとかの世界ではイタリア車はかっこ良くて速いのにどこか弱いような部分があるけれど、フルクラムホイールにはそれがない。
新城:他ブランドに比べると、ハイエンドならハイエンドで、ミドルならミドルで、各モデル間の走りの味付けが統一されている感じがしますね。基本性能はもちろんレベルが高くて、走りが似ているから、たとえばSPEED 40を好きならレーゼロカーボンも好きになれるはずだし、その逆もしかり。
畑中:確かにそうかもしれない。色々バリエーションがあ流けれど、走りのニュアンスの差はそこまで大きくない。特に今回試したホイールはすごく良かった。どれも値段に対してそれ以上の走りを感じるし。
新城:これ、本当に僕は思っていることなので、脚色なしで言いますが、今まで使ってきたどのホイールブランドよりも、フルクラムは好きです。
畑中:おお。そうなんだ(笑)。ただ、強いて注文をつけるとしたら、ラインナップの中に超軽量ホイールはありませんよね。ライトウェイトとか、昔のジップのような。危うさすら感じる速いホイールは過去に試してきましたが、そういうのがない。それはつまり、質実剛健さを貫いているホイールブランドなんだな、と思いますよ。
今回のインプレッションを通して、改めて今僕たちが使わせてもらっているホイールについて理解を深めることができました。今年もキナンレーシングはフルクラムホイールと共に戦いますので、応援をよろしくお願いします!
レースメカニック目線で見るフルクラム
最後に紹介するのは、キナンレーシングチームの専属メカニックを務める星野貴大さんの談話。年間走行距離2万kmを優に越える、過酷な使われ方をするホイールに携わってきた、メカニック目線で見るフルクラムホイールの価値とは?「とにかく製品精度が高く、頑丈。フレ取り作業もほとんど必要ない」
星野:アルミしかり、カーボンしかり、とにかく製品公差が少なく、しっかりと組み上げられたホイールだなと言う印象が強いですね。納品されたものは必ず全部フレや歪みを確認するのですが、フルクラムはビタッと全て真っ直ぐ。そこに関してはかなり信頼できます。
CW:選手が使っていても壊れることが少ないと聞きましたが、実際のところはいかがですか?
星野:落車破損を除けば故障や破損は私がチームに関わってから一度もないんです。これは私自身驚かされました。ホイールはレース後はもちろん、定期的なチェックを行うんですが、フレ取り作業をした記憶すらほとんどありません。
トレーニングで使うアルミのRacing ZEROは年間2.5万キロ、場合によっては3万キロ以上を、それも高い強度で走ります。もちろんベアリングは一定期間を走ったら打ち替えますが、スポーク交換やリム破損は今まで一度もありません。構造的にホイールの振れは絶対出るはずなんですが、フルクラムのホイールは、リムの歪みが少ないからニップルに負担が掛からず、結果振れづらいんでしょうね。リムもスポークもすごく頑丈だし、これには2:1スポークも影響していると感じます。これはカーボンもアルミも共通。びっくりでした。
CW:フルクラムのホイールはグリスアップや玉押し調整が前提となっていますが、その部分に関してはいかがでしょう?
星野:敷居が高いと思われがちな部分ですが、メカニック目線から見るとカップ&コーン方式ですから分解は簡単だし、手間もかかりません。どんなホイールでもメンテナンスは必要ですから、逆にメンテフリーを謳うホイールよりもよっぽど信頼できる。長い目で見るならすごく良いと思います。
ディスクブレーキ化してもハブの玉押し調整は簡単なままですし、レースシーンだと何度も確認・調整する場面がある中で、他社ホイールを使うチームよりも確実に作業が楽だし有利なんです。簡単だからこそ、しっかりメンテナンスに目がむきますよね。
レース強度でガシガシ使われているホイールですら綻びがありませんし、非常に信頼をおけるブランドです。安さを謳っているブランドではありませんが、長く所有する上では真っ先に有力候補に挙げたいと思います。
たっぷりフルクラムホイールを試せる「FULCRUM GO ホィールレンタルサービス」
「フルクラムのホイール、なんだか良さそうだな」「SPEEDシリーズを試してみたい」「キナンの選手みたいにレースで使いたい!」。
本特集記事に目を通して、そんなふうに興味を持った方も少なくないことだろう。同社の日本正規販売代理店を務めるカワシマサイクルサプライでは、そんな声に応えるべく各モデルをたっぷりと試せるレンタルプラン「FULCRUM GO」を実施している。
Racing ZEROシリーズはもちろんのこと、ハイエンドのSPEEDシリーズや、リムブレーキモデルも取り揃えられており、1モデルを10泊11日で借りるプランと、2モデルをなんと15泊16日で乗り比べできる2つのプランが用意されているのだ。しかも料金は前者が6,000円、後者ですら11,000円(どちらもブレーキ調整/スプロケ着脱込み)と超格安で、サイクルイベントやヒルクライムレースで使うこともできるのだ。レンタルホイールの種類や日程の確認はフルクラムのHPから確認でき、申し込みはフルクラム提携のプロショップから行う(詳しくはこちらから確認してほしい)。
憧れのフルクラムホイールを思う存分試せるチャンスをお見逃しなく。
FULCRUM GO ホィールレンタルサービス