2016/09/09(金) - 18:00
これまで4編にわたってお届けしてきたスペシャライズド2017年モデルのスペシャルコンテンツ。第4回となるこのページで紹介するのは、2017年モデルの真打ちであるエンデュランスロード・Roubaix。スペシャライズドらしい奇抜な発想で異次元のスムースネスを手に入れた次世代バイクが今、ベールを脱ぐ。
2004年にデビューを果たしたRoubaix。その名が示すようにパリ~ルーベの荒れた石畳を最速で駆け抜けるために開発されたスペシャルモデルであり、そのために必要な高い快適性と反応性を兼ね備えたバイクであり、エンデュランスバイクというカテゴリーの嚆矢となったシリーズでもある。
過去に5度、「北の地獄」たるパリ~ルーベを制しているRoubaix。2008年、2009年のトム・ボーネンによる連覇、2010年のファビアン・カンチェラーラによる逃げ切り勝利、2012年はボーネンの大会史上タイとなる4度目の勝利を支え、2014年にはニキ・テルプストラの独走によってベロドロームを先頭で通過してきた。
かくも栄光に満ちたRoubaixだが、現行モデルであるRoubaix SL4はデビューから既に4年が経過している。その間、ライバルブランドたちも黙ってはいなかった。荒れた路面を快適に走るため、様々なギミックやマテリアルを搭載した新型バイクを次々に投入してきた。もちろん、Roubaix SL4がそれらに劣っていたわけではない。それは先に挙げた戦績を見れば証明されている。
しかし、スペシャライズドがRoubaixに求めるのは常に先を行く開拓者であること。そして、最高のレースパフォーマンスを示すことだった。かくして、Roubaixは五度、その姿を変えることとなった。
富士山麓のリゾートホテル、その一角に仕切られたシークレットエリアにて姿を見せた新型Roubaixは、一見したところとてもオーソドックス。下方にオフセットされたシートステー集合部を除けば、まるでTarmacかと思うほど、「シュッ」とした流麗なスタイリングを見せた。
これまでのRoubaixのアイコンであり、RoubaixをRoubaixたらしめていたともいえる振動吸収素材"Zelts”の姿はフレーム上には無く、「く」の字型のやぐらが特徴的なコブルコブラーシートピラーに唯一残るのみ。しばらく観察して、一つの違和感に気づく。ステムの下に蛇腹のフードがあるのだ。そう、これこそが新型Roubaixのコアテクノロジー”フューチャーショック”である。
フロントサスを付ければ、確実に快適性は向上する。それも既存のロードバイクではありえなかったレベルで。実際、これまでサスペンションを付けたロードバイクがパリ~ルーベを走ったこともある。しかし、それらが成功を収めることは無かった。その原因は自明で、重かったことと、ハンドリングが損なわれること。レースバイクとしては致命的となるこの2つの壁がロード用サスペンションという夢を阻んできた。
多くのエンデュランスバイクが、サスペンションに変わる振動吸収方法として、フォークの垂直方向への柔軟性を向上させることを選んできた。しかし、ヘッドチューブを支点としてフォークが斜め方向へと動くのみという制約がある以上、その衝撃吸収能力の限界はたかが知れている。
その限界を越えて衝撃吸収能力を飛躍的に高めるためには、フォーク軸方向で衝撃を吸収するサスペンション構造が不可欠だった。しかし、MTBで用いられているようなヘッドチューブの下にサスペンション機構を配置する方式は、複雑になり重量も嵩む。そこでスペシャライズドが採用したのが、ヘッドチューブの上部にサスペンション機構を配置する方式、フューチャーショックだ。
具体的に説明すると、ヘッドパーツによって固定されたステアリングコラムの内側にサスペンションカートリッジを挿入する。スレッドフォークでアヘッド用のステムを使いたい時に使用するアヘッドコンバーターというパーツがあるが、その内部にサスペンション機構を仕込んだものを想像してもらうと分かりやすいかもしれない。
サスペンションカートリッジのストロークは20mm、ダンピング機構は一切無く、入力に対して常にアクティブに動くような設定とされている。3面33個のローラーベアリングによって滑らかに動き、体重などに合わせてスプリングを交換することで、3段階で動き方を調節することができるようになっている。
サスペンションカートリッジの重量は200g程度となっており、重量の増加はほぼ気にならないレベルに抑えられている。フィッティングに関しても考えられており、標準で5mmのスペーサーが3枚用意されるほか、ヘッドセットカバーが0mmか20mmが選択できるようになっており、30mmの範囲でハンドルの高さを調整できる。
このフューチャーショックによって、新型Roubaixは垂直方向への追従性を大幅に向上させた。数値にして、前作から2000%以上という圧倒的な数字を叩き出している。また、実走行においても、大きなアドバンテージを持っており、40kmの走行でRoubaix SL4に対して3秒縮めることが可能となった。
そして、リアバックの衝撃吸収性を高めるため、シートクランプの位置が大幅に下げられている。Tarmacと比較すると65mmも下げられることで、シートポストのたわみ量をより増加させることに成功している。シートクランプの上側のシートチューブはシートピラーに干渉しないようになっているため、水などの侵入を防ぐゴムカバーが装備されている。
BB30を採用するボトムブラケットは、従来よりも2mm低くされており、安定感の向上と、タイヤクリアランスの増加を実現している。タイヤ幅は最大で32cまで対応しているため、グラベルやダートライドへの適性も大きい。
一方ジオメトリーはかなりレーシーな味付けとなっており、Tarmacのそれへと近づけられた。特にフォークレイクやヘッドアングルは完全に同一とされており、ハンドリングの感覚はほぼ共通となるように設計されている。ブレーキはディスクブレーキのみで、フロント12×100mm、リア12×142mmのスルーアクスル仕様とされている。台座もディスクロードの主流となりつつあるフラットマウントだ。それでは、編集部員によるインプレッションをお届けしよう。
今回も試乗会場内と、その傍に伸びる林道のみのテストであることを最初にお断りしておきたいが、個人的主観で申し上げるならば、新Roubaixは前作と全くの別物(もはや当然だとは思うが)であり、従来の「エンデュランスロード」という枠、いや、ロードバイクという枠を遥かに飛び出してしまった乗り物とさえ思う。
そう思わせる要素の最たる部分は、やはりステム下で存在感を放ってやまないフューチャーショック。サスペンションだから当然かもしれないが、今までのどんなエンデュランスロードと比較してもハンドルへの衝撃は少なく、写真のようにチェーンが大きく暴れるエグいひび割れに高速で突っ込んでも、トトンッと何事も無かったかのように通過してしまう。もちろんリアセクションやコブルコブラーシートピラーの働きも大いに感じるのだが、それ以上にショックのスムースさが見た目以上に目立っている。
試乗ではお馴染み竹谷賢二さんのアテンドで舗装林道を往復したのだが、特に下りをハイペースで飛ばしている時には、衝撃吸収能力の高さゆえ、浮遊感と言うか、飛行機が離陸した時の「あの感じ」と言うか…どう表現して良いか分からない、今までどんなバイクにも無かった不思議な感覚を味わえた。その感覚が強いため、最初はグリップ感が掴めずビビったものの、慣れてしまえば病みつきになるほどに気持ちが良い。
そんなに動くサスペンションが付いていて大丈夫なの?という声が聞こえてきそうだが、その答えは「人による」、が適切かもしれない。プレゼンテーションでも語られていたが、あくまでRoubaixは石畳のクラシックレースを走るレーシングバイクであり、乗り手も正しいポジション、正しい乗り方であることが前提だ。だからハンドルにどっかり体重を預ける乗り方だと、一つ一つの動作に対して余計にサスペンションが動いてしまって落ち着きが無い。しかしある程度基本ができている方ならば、必要な時に、必要なだけ動いてくれるのだ。
そんなに衝撃吸収性が高いんだから、グラベル用にぴったりなんじゃないか。
答えはNo。もちろん大きな石が敷かれた駐車場を走ってみても走破性は十分すぎるほどだが、フレームそのもの、特にリアセクションの粘りによって生まれる推進力は非常にしなやかかつ上質で、硬質なVengeやTarmacのそれとは異なるものの、Roubaixの走りっぷりはまさしくレーシングバイクのそれである。
だからグラベル用と決めつけるのはあまりに勿体無いし、この振動吸収性はハイペースで飛ばしている際にふと現れる大きな段差やひび割れ(そしてもちろん石畳)に対してこそ、最も威力を発揮してくれるものだと思う。そういう意味でも、Roubaixはリアルレーシングだ。
例えば降雪地帯の道は想像以上に荒れているし、よほど舗装敷きたてでない限り、どんな場面でも多少の凹凸は存在する。実際に乗ってみて気づいたが、乗り心地ゆえに目線が安定し、衝撃と共に恐怖心さえカットしてくれるのだ。もちろん低速度でも機能するし、距離を重ねた時の有効性も従来とは段違いだろう。
さらに言えば、積極的にサスペンションを使うことで、MTBのような3Dの走りだって可能だ。コーナーで車体を倒し込んだ際に路面をより掴んでくれる感覚もあるし、シッティングからダンシングに切り替える際にも身体が起き上がる助走を付けてくれる。サスペンションはブレーキングやコーナリング時に多少ボトムするが、ニュートラルな乗り方を心掛けていれば全く問題にならない範疇と言える。
正直なところフューチャーショックには風変わりな印象を抱いたが、実際に乗ってみるとその存在価値は高く、マッチするユーザーも少なくないと思う。そして何よりその土台には、フレームそのものが発するハイレベルな運動性能があることを忘れてはならない。この不思議で、気持ち良い、新しいフィーリングを是非多くの人に試して頂きたい。
Impression:So.Isobe
※インプレッションに使用した車両は実際の製品とアッセンブルされるパーツが異なります。
エンデュランスロードのパイオニア スペシャライズド、Roubaix
2004年にデビューを果たしたRoubaix。その名が示すようにパリ~ルーベの荒れた石畳を最速で駆け抜けるために開発されたスペシャルモデルであり、そのために必要な高い快適性と反応性を兼ね備えたバイクであり、エンデュランスバイクというカテゴリーの嚆矢となったシリーズでもある。
過去に5度、「北の地獄」たるパリ~ルーベを制しているRoubaix。2008年、2009年のトム・ボーネンによる連覇、2010年のファビアン・カンチェラーラによる逃げ切り勝利、2012年はボーネンの大会史上タイとなる4度目の勝利を支え、2014年にはニキ・テルプストラの独走によってベロドロームを先頭で通過してきた。
かくも栄光に満ちたRoubaixだが、現行モデルであるRoubaix SL4はデビューから既に4年が経過している。その間、ライバルブランドたちも黙ってはいなかった。荒れた路面を快適に走るため、様々なギミックやマテリアルを搭載した新型バイクを次々に投入してきた。もちろん、Roubaix SL4がそれらに劣っていたわけではない。それは先に挙げた戦績を見れば証明されている。
しかし、スペシャライズドがRoubaixに求めるのは常に先を行く開拓者であること。そして、最高のレースパフォーマンスを示すことだった。かくして、Roubaixは五度、その姿を変えることとなった。
過去と常識を振り切った”New Roubaix”
一昨年にデビューしたTarmac以降、スペシャライズドのバイク開発はそれまでと明らかに異なるアプローチを見せてきた。剛性や空気抵抗といった数値をゴールとしてきた過去と決別し、実際のライドフィーリングをいかに高めるか。「ライダーファーストエンジニアード」として、サイクリストに寄り添った開発が行われ、高い評価と実績を積み上げてきたこの2年は、スペシャライズドにとってのニュージェネレーション。そこに最後に加わったピースが”New Roubaix”だ。富士山麓のリゾートホテル、その一角に仕切られたシークレットエリアにて姿を見せた新型Roubaixは、一見したところとてもオーソドックス。下方にオフセットされたシートステー集合部を除けば、まるでTarmacかと思うほど、「シュッ」とした流麗なスタイリングを見せた。
これまでのRoubaixのアイコンであり、RoubaixをRoubaixたらしめていたともいえる振動吸収素材"Zelts”の姿はフレーム上には無く、「く」の字型のやぐらが特徴的なコブルコブラーシートピラーに唯一残るのみ。しばらく観察して、一つの違和感に気づく。ステムの下に蛇腹のフードがあるのだ。そう、これこそが新型Roubaixのコアテクノロジー”フューチャーショック”である。
ハンドリングを犠牲にしない唯一のロード用サスペンション フューチャーショック
これまでのRoubaixがZeltsを配置することによる素材の振動吸収性に重きを置いていたのに対し、新型Roubaixは発想を180°転換。フロントにサスペンションを設ける事で劇的に快適性を向上させた。こう書くととても簡単なことに思えるかもしれない。しかし、そこには大きな問題があった。フロントサスを付ければ、確実に快適性は向上する。それも既存のロードバイクではありえなかったレベルで。実際、これまでサスペンションを付けたロードバイクがパリ~ルーベを走ったこともある。しかし、それらが成功を収めることは無かった。その原因は自明で、重かったことと、ハンドリングが損なわれること。レースバイクとしては致命的となるこの2つの壁がロード用サスペンションという夢を阻んできた。
多くのエンデュランスバイクが、サスペンションに変わる振動吸収方法として、フォークの垂直方向への柔軟性を向上させることを選んできた。しかし、ヘッドチューブを支点としてフォークが斜め方向へと動くのみという制約がある以上、その衝撃吸収能力の限界はたかが知れている。
その限界を越えて衝撃吸収能力を飛躍的に高めるためには、フォーク軸方向で衝撃を吸収するサスペンション構造が不可欠だった。しかし、MTBで用いられているようなヘッドチューブの下にサスペンション機構を配置する方式は、複雑になり重量も嵩む。そこでスペシャライズドが採用したのが、ヘッドチューブの上部にサスペンション機構を配置する方式、フューチャーショックだ。
具体的に説明すると、ヘッドパーツによって固定されたステアリングコラムの内側にサスペンションカートリッジを挿入する。スレッドフォークでアヘッド用のステムを使いたい時に使用するアヘッドコンバーターというパーツがあるが、その内部にサスペンション機構を仕込んだものを想像してもらうと分かりやすいかもしれない。
サスペンションカートリッジのストロークは20mm、ダンピング機構は一切無く、入力に対して常にアクティブに動くような設定とされている。3面33個のローラーベアリングによって滑らかに動き、体重などに合わせてスプリングを交換することで、3段階で動き方を調節することができるようになっている。
サスペンションカートリッジの重量は200g程度となっており、重量の増加はほぼ気にならないレベルに抑えられている。フィッティングに関しても考えられており、標準で5mmのスペーサーが3枚用意されるほか、ヘッドセットカバーが0mmか20mmが選択できるようになっており、30mmの範囲でハンドルの高さを調整できる。
このフューチャーショックによって、新型Roubaixは垂直方向への追従性を大幅に向上させた。数値にして、前作から2000%以上という圧倒的な数字を叩き出している。また、実走行においても、大きなアドバンテージを持っており、40kmの走行でRoubaix SL4に対して3秒縮めることが可能となった。
ライダーファーストエンジニアードを採用したフレームはよりレーシーに
フューチャーショックにばかり目が行きがちだが、フレーム自体も大幅に手が入れられている。新世代スペシャライズドの象徴であるライダーファーストエンジニアードを採用することで、ついにRoubaixも全サイズ共通の乗り味を実現した。そして、リアバックの衝撃吸収性を高めるため、シートクランプの位置が大幅に下げられている。Tarmacと比較すると65mmも下げられることで、シートポストのたわみ量をより増加させることに成功している。シートクランプの上側のシートチューブはシートピラーに干渉しないようになっているため、水などの侵入を防ぐゴムカバーが装備されている。
BB30を採用するボトムブラケットは、従来よりも2mm低くされており、安定感の向上と、タイヤクリアランスの増加を実現している。タイヤ幅は最大で32cまで対応しているため、グラベルやダートライドへの適性も大きい。
一方ジオメトリーはかなりレーシーな味付けとなっており、Tarmacのそれへと近づけられた。特にフォークレイクやヘッドアングルは完全に同一とされており、ハンドリングの感覚はほぼ共通となるように設計されている。ブレーキはディスクブレーキのみで、フロント12×100mm、リア12×142mmのスルーアクスル仕様とされている。台座もディスクロードの主流となりつつあるフラットマウントだ。それでは、編集部員によるインプレッションをお届けしよう。
インプレッション:「サスだけではない、フレーム全体が生むしなやかな走り心地」
誰もがその「フューチャーショック」に驚いただろうが、もちろん私も驚いた。情報を聞いて驚き、現物を見てもう一度驚き、実際に触って乗って更に驚き、うなってしまった。恐る恐るハンドルに力を掛けて押し込むと、かなりしなやかにサスペンションが動作する。その感触は一般的なMTB用サスと比べてもかなりソフトで、「えっ、これって動きすぎでは?」と思えてしまうほどだ。今回も試乗会場内と、その傍に伸びる林道のみのテストであることを最初にお断りしておきたいが、個人的主観で申し上げるならば、新Roubaixは前作と全くの別物(もはや当然だとは思うが)であり、従来の「エンデュランスロード」という枠、いや、ロードバイクという枠を遥かに飛び出してしまった乗り物とさえ思う。
そう思わせる要素の最たる部分は、やはりステム下で存在感を放ってやまないフューチャーショック。サスペンションだから当然かもしれないが、今までのどんなエンデュランスロードと比較してもハンドルへの衝撃は少なく、写真のようにチェーンが大きく暴れるエグいひび割れに高速で突っ込んでも、トトンッと何事も無かったかのように通過してしまう。もちろんリアセクションやコブルコブラーシートピラーの働きも大いに感じるのだが、それ以上にショックのスムースさが見た目以上に目立っている。
試乗ではお馴染み竹谷賢二さんのアテンドで舗装林道を往復したのだが、特に下りをハイペースで飛ばしている時には、衝撃吸収能力の高さゆえ、浮遊感と言うか、飛行機が離陸した時の「あの感じ」と言うか…どう表現して良いか分からない、今までどんなバイクにも無かった不思議な感覚を味わえた。その感覚が強いため、最初はグリップ感が掴めずビビったものの、慣れてしまえば病みつきになるほどに気持ちが良い。
そんなに動くサスペンションが付いていて大丈夫なの?という声が聞こえてきそうだが、その答えは「人による」、が適切かもしれない。プレゼンテーションでも語られていたが、あくまでRoubaixは石畳のクラシックレースを走るレーシングバイクであり、乗り手も正しいポジション、正しい乗り方であることが前提だ。だからハンドルにどっかり体重を預ける乗り方だと、一つ一つの動作に対して余計にサスペンションが動いてしまって落ち着きが無い。しかしある程度基本ができている方ならば、必要な時に、必要なだけ動いてくれるのだ。
そんなに衝撃吸収性が高いんだから、グラベル用にぴったりなんじゃないか。
答えはNo。もちろん大きな石が敷かれた駐車場を走ってみても走破性は十分すぎるほどだが、フレームそのもの、特にリアセクションの粘りによって生まれる推進力は非常にしなやかかつ上質で、硬質なVengeやTarmacのそれとは異なるものの、Roubaixの走りっぷりはまさしくレーシングバイクのそれである。
だからグラベル用と決めつけるのはあまりに勿体無いし、この振動吸収性はハイペースで飛ばしている際にふと現れる大きな段差やひび割れ(そしてもちろん石畳)に対してこそ、最も威力を発揮してくれるものだと思う。そういう意味でも、Roubaixはリアルレーシングだ。
例えば降雪地帯の道は想像以上に荒れているし、よほど舗装敷きたてでない限り、どんな場面でも多少の凹凸は存在する。実際に乗ってみて気づいたが、乗り心地ゆえに目線が安定し、衝撃と共に恐怖心さえカットしてくれるのだ。もちろん低速度でも機能するし、距離を重ねた時の有効性も従来とは段違いだろう。
さらに言えば、積極的にサスペンションを使うことで、MTBのような3Dの走りだって可能だ。コーナーで車体を倒し込んだ際に路面をより掴んでくれる感覚もあるし、シッティングからダンシングに切り替える際にも身体が起き上がる助走を付けてくれる。サスペンションはブレーキングやコーナリング時に多少ボトムするが、ニュートラルな乗り方を心掛けていれば全く問題にならない範疇と言える。
正直なところフューチャーショックには風変わりな印象を抱いたが、実際に乗ってみるとその存在価値は高く、マッチするユーザーも少なくないと思う。そして何よりその土台には、フレームそのものが発するハイレベルな運動性能があることを忘れてはならない。この不思議で、気持ち良い、新しいフィーリングを是非多くの人に試して頂きたい。
Impression:So.Isobe
※インプレッションに使用した車両は実際の製品とアッセンブルされるパーツが異なります。
提供:スペシャライズド・ジャパン、製作:シクロワイアード編集部