2016/08/19(金) - 09:19
最高峰のアルミレーシングバイクの代名詞 スペシャライズドAllez
カーボンバイクが主流となっても、根強い人気を集め続ける金属フレーム。独特のしなり感とクラシックなルックスのスチール、耐食性に優れ所有欲を満たしてくれる高級感溢れるチタン、そして切れ味の鋭い乗り味と抜群のコストパフォーマンスが魅力のアルミニウム。
今でこそプロレースの最前線からは姿を消してしまったが、10年ほど前のプロトンは多種多様な素材のフレームが混在していた。その中でも、プロのパワーを受け止める剛性と耐久性を持っていたアルミバイクは多くの戦績を残してきた。カーボンフレームと比べると安価なため、今ではエントリーバイクとしてのイメージが強いアルミフレームだが、歴史的にみればれっきとしたレーシングマテリアルなのだ。
なので、特にベテランのサイクリストにとっては当時のイメージもあるだろう。今でも熱狂的なファンがアルミバイクには存在している。また、基本性能の高さと安価であるというメリットを活かして、落車が避けられないものだと割り切る選手にとっても、アルミレーシングバイクは魅力的な存在である。
エントリーグレードではなく、レースユースに耐えるだけの性能を持ったハイエンドなアルミフレームを求める声は年々大きくなっていった。その声にこたえる形で、スペシャライズドが送り出したのが新型「Allez」である。
2013年にデビューした新型「Allez」は革新的な溶接技術「ダルージオ・スマートウェルド」によって造られる、現代に蘇ったレーシングスペックのアルミバイクとして発表された。それは、2013年にラインアップに、スペシャライズドのプロユースモデルに与えられる「S-Works」の名が与えられたモデルが用意されたことからも窺える。
アルミバイクへの情熱は、2017年モデルでも衰えていない。2016年モデルでデビューしたハイエンドアルミエアロマシン「Allez Sprint」を筆頭に、サガンレプリカモデルが用意されるAllez E5 Eliteなど、充実のラインアップが用意されているのだ。
クリス・ユーとクリス・ダルージオの競演が生み出す奇跡の一台 Allez Sprint
アルミエアロロード。そのカテゴリーに存在するバイクは、各社を見渡してもあまり無い。それは、エアロ形状へと成型することによって生ずる、コストや重量の増加や剛性の低下といったデメリットを打ち消すことが出来たバイクが少ないことを意味している。しかし、ここに一つ。スペシャライズドが満を持して送り出すのが、Allez Sprintだ。2016年にスペシャライズドは二つのエアロロードを送り出した。一つは専用ブレーキを装備し、ワイヤーをフル内装としたVenge ViAS。もうひとつがこのAllez Sprintである。
Vengeで培ったエアロダイナミクスに関するノウハウを惜しみなく注ぎ込まれたAllez Sprintは、その造形の随所にVengeらしさが見て取れる。特に顕著なのは、リアホイールに沿うようなカットオフが施されたシートチューブだろう。アルミニウムとは思えないほどの有機的な曲線を描くチューブは最先端のハイドロフォーミングによって成型されたものだ。
有機的なそれぞれのチューブをつなぐのは、スペシャライズドが特許を取得している溶接方法「ダルージオ・スマートウェルド」。これは単純なパイプを繋ぎ合わせていた従来の製作過程とは異なり、あらかじめハイドロフォーミングでチューブ端の接合部表面に谷間ができるよう整形し、その溝を埋めるように溶接をするというテクノロジー。
これにより、溶接部が薄く軽く仕上がる上、接合部をもっとも応力のかかる部分から遠ざけ、チューブの形状と構造を劇的に変化させることに成功した。アルミバイクとは思えない造形は、この溶接方法あってこそである。
走行性能に大きな影響を与えるフロントフォークには、S-Works Tarmacに用いられるのと同じS-Worksフロントフォークが奢られており、完全なレーシングマシンとして設計されていることが、この部分からも見て取れるだろう。
2017年モデルでは、105完成車のAllez DSW SL Sprint COMPと、ティアグラ完成車のAllez DSW SL Sprint Eliteが用意されている。COMPにはリオオリンピックモデルの「Torch」シリーズを彷彿とさせるオレンジ/イエローと、レーシーなブラック/レッドの2色が、Eliteにはさわやかなメタリックホワイトが用意されている。
Allez DSW SL Sprint COMP
フレーム | Specialized E5 Premium Aluminum w/D'Aluisio Smartweld Sprint Technology, hydroformed aluminum tubing, tapered head tube, OSBB |
フォーク | Specialized FACT carbon, size-specific taper |
コンポーネント | シマノ105 |
ブレーキ | AXIS 2.0 |
クランクセット | Praxis Alba 2D |
ホイール | AXIS 2.0 |
タイヤ | Specialized Turbo Pro, 700x24mm, 60TPI, folding bead, BlackBelt protection 700x25mm |
サドル | Body Geometry Toupé Sport, hollow Steel rails, 143mm |
価格 | 150,000円(希望小売価格) |
フレームに広がる小宇宙(コスモ)Allez E5サガンレプリカ
Allezラインアップの中でも、ベースラインに位置するのがAllez E5だ。しかし、ただのエントリーグレードというわけではない。Allez SprintがVenge譲りのエアロロードであるならば、Allez E5はTarmac直系のオールラウンドアルミレーサーだ。
ボリュームあるダウンチューブ、湾曲したヘッドチューブなど、Tarmacを思わせるチュービングが受け継がれているAllez E5。Allez Sprintに採用されるダルージオ・スマートウェルドこそ採用されていないものの、スムースな溶接は高い強度と剛性を実現している。一方でフレームのマテリアルに採用されているのは、Allez Sprintと共通のE5プレミアムアルミニウム。軽量かつ高剛性なチューブによって、エントリーグレードながらもキビキビとした走行性能を実現している。
そして2017年のAllez E5で最も注目を集めるは、Allez E5 Elite Sagan World Champion Edition。その名の通り、ペーター・サガン(スロバキア)の駆るプロバイクそのもののグラフィックが施されたスペシャルエディションだ。
遠目に見ても、鮮烈な印象を残すユニークでアバンギャルドなグラフィックだが、近くで見るとまた異なった表情を見せてくれる。塗料に練り込まれたラメが光を反射し、ブラックのベースに広がる様はまるで銀河のよう。10万円代前半というプライスで、ここまでプレミアム感のあるペイントが施されたバイクは他に無いだろう。そのコストを掛けるのに見合った性能がAllez E5にはあるという、スペシャライズドからのメッセージが込められたスペシャルな一台に仕上がっている。
Allez E5 Elite Sagan World Champion Edition
フレーム | Specialized E5 Premium Aluminum, fully-manipulated tubing w/smooth welds, 1-1/8" lower bearing |
フォーク | Specialized FACT carbon |
コンポーネント | シマノ Tiagra |
ブレーキ | AXIS 1.0 |
クランクセット | Praxis Alba, 50/34T |
ホイール | AXIS 2.0 |
タイヤ | Specialized Espoir Sport, 700x25mm, 60TPI, wire bead, double BlackBelt protection |
サドル | Body Geometry Toupé Sport, steel rails, 143mm |
価格 | 136,000円(希望小売価格) |
提供:スペシャライズド・ジャパン、製作:シクロワイアード編集部