2016/01/08(金) - 18:37
「12月を世界で一番快適に過ごせるカリフォルニアにようこそ! 素敵な2日間を過ごしてもらえると思うよ。」サンフランシスコ国際空港に迎えに来た、サーヴェロのスタッフが満面の笑顔でそう言った。北に向かってハイウェイを1時間ほど。各国からのジャーナリストたちを乗せた大型バンは、カリフォルニアワインの産地として名高いナパバレーの一角へと滑り込んだ。
ぶどう畑とオリーブ畑が無限に広がるカリフォルニア、ナパバレー 「サーヴェロが本気のエンデュランスロードをローンチする?」最初にその話題を聞いた時は、かなり意外な印象を受けた。ことサーヴェロといえば、ロードレースやトライアスロンなど、競技志向のイメージがとにかく強いからだ(これは読者の皆さんにおいても同じだろう)。
しかもオールラウンドロードの「R」、エアロロードの「S」に続く、新たな「C」シリーズとしてデビューするというのだから、その気合たるや相当なものであろう。果たしてベースキャンプには、見慣れないフォルムのC5が我々の到着を待っていた。
カリフォルニアで行われたメディア発表会で披露されたエンデュランスロード、Cシリーズ Photo: Jered Gruber
長いヘッドチューブとホイールベース、寝たヘッドアングルとシートアングル、地面に近いボトムブラケット、コンパクトなリア三角のシートステーは折れてしまいそうなほどに細い。新たな境地に踏み出すサーヴェロは、従来とは全く異なる設計思想をCシリーズに盛り込んだのだ。
Cシリーズのコンセプトは「#ConquerEveryRoad(全ての道を征服するために)」。狙うのはグランツアーの勝利でも、クラシックレースでの勝利でもなく、いかなるコンディションのルートをも走破しうることだ。
MTBのようにも見える特徴的なフレーム。全ては直進安定性と快適性を高めるため Photo: Jered Gruber
延長されたチェーンステーには、傷つきを防ぐ樹脂製のバッシュガードが用意される Photo: Jered Gruber
非常にコンパクトなリア三角。細くアーチを描くように湾曲したシートステーも特徴的だ Photo: Jered Gruber
シートチューブに記されるC5のロゴ。ドットのグラフィックは舗装路と未舗装路の境を表現しているようにも見える Photo: Jered Gruber
フレームはDi2/機械式両対応。無理の無いワーヤー内装処理も美しい Photo: Jered Gruber
「ここ10年ほどでサイクリングの楽しみ方は大きく変化しました。レースありきだったものが、自転車を趣味として楽しむ人が増え、グランフォンドやロングライドがブームになった。その中で軽く、速く、そしてどんな道でも走破できるバイクへのニーズを感じたのです」とジャーナリストたちの前で語ったのは、サーヴェロのシニア製品ディレクターであるフィル・スピアマン氏。
Cシリーズが目指したのは、アグレッシブなレースバイクと、”グラベルグラインダー”の中間的存在だという。ここにサーヴェロのアイデンティティ、つまりレーシングスペックをプラスすることで、最先端のエンデュランスロードが完成したのだ。
まるでMTBのようなフレーム形状は、全て直進安定性と快適性を高めるため。加えてチューブ形状も2009年にデビューしたR5caの「スクオーバル2」をワイド/偏平化させ、高品質なカーボンを投入することで重量を増すことなく、可能な限り柔軟性を高めている。フレーム重量はC5で850g、C3で940g。しかも全ての小物パーツや塗装込みというから恐れ入ってしまう。これを可能としたのは、Rシリーズで培ってきた軽量化のノウハウがあったからに他ならない。
プロジェクト・カリフォルニアによって制作されたフォーク。ディスクブレーキ用としては非常に細い Photo: So.Isobeサーヴェロが誇る最先端エンジニアリングチーム「プロジェクト・カリフォルニア」によって生み出されたフロントフォークも特徴的だ。150本以上というプロトタイプ製作を経ることで、華奢な印象ながら、振動吸収性と剛性、ディスクブレーキに対応する強度を非常に高いレベルで兼ね合わせているという。
ブレードを大きくベンドさせることで、R3 DISCと比較しオフセット量は10mm長い53mmに。71.1°と寝たヘッドチューブと組み合わせることで、直進安定に振ったハンドリングが追求されている。フォーク重量は350gだ。
ディスクブレーキロードの規格が乱立している現在だが、C5はリアエンド142mm、前後12mmスルーアクスルという最先端を行く構成で打って出た。しかもスルーアクスルが慢性的に抱える、フレーム/フォーク両側の穴が完璧に同位置の必要があるという問題にも、独自のアイディアで対策を講じている。
「セミフローティングシステム」と呼ばれるこの対策は、左右の穴にわずかな遊びを持たせ、レバーを締めると全てが固定されるという構造。ホイール固定時や当たり面調整のわずかなズレで生じる、ブレーキパッドとローターの接触の心配をも解消しているという。
フロントは12mmスルーアクスルを採用。華奢に見えるが非常にしっかりとした作りだ
極薄のシートステー。UCIルールにも準拠している Photo: So.Isobe
シートステーに対してチェーンステーはかなり太め。樹脂製のカバーも目に付く Photo: So.Isobe
ボリューム感のあるボトムブラケット周辺。ダウンチューブ下側には傷つき防止用のパーツが設けられる Photo: So.Isobe
ジオメトリーもかなり特徴的だ。BB下がりはロードバイクとしては他に類を見ない75mmに設定され、トレイル量の大きなフロントフォークとのマッチングによって低重心化と直線安定性を両立。フロントセンターはR3 DISCとの比較で23mm、リアセンターは15mmも延長されている。
未舗装路走行でのフレームの傷つきを防ぐため、ダウンチューブ下部と右チェーンステーに装備された樹脂製のガードの存在も大きな特徴と言えるだろう。タイヤクリアランスに関してもパリ〜ルーベに投入されてきたプロ供給専用のスペシャルモデル「R3 MUD」の経験を活かし、最大31mm幅まで対応するよう工夫が行なわれている。完成車パッケージのデフォルトは28mm幅だ。
「ConquerEveryRoad」全ての道を征服するために photo:cervelo
会場で初めてCシリーズの姿を目にしたジャーナリスト達。その奇抜なフォルムに、正直に言えば「サーヴェロらしい走りは果たして残っているのだろうか?」と懐疑の眼差しが向けられたことは確かだ。しかし、プレス発表会2日目のテストライドで、その疑問は見事に打ち砕かれることになるのであった。
Vol.2に続く。
サーヴェロの新機軸、エンデュランスロード「Cシリーズ」のデビュー
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長いヘッドチューブとホイールベース、寝たヘッドアングルとシートアングル、地面に近いボトムブラケット、コンパクトなリア三角のシートステーは折れてしまいそうなほどに細い。新たな境地に踏み出すサーヴェロは、従来とは全く異なる設計思想をCシリーズに盛り込んだのだ。
Cシリーズのコンセプトは「#ConquerEveryRoad(全ての道を征服するために)」。狙うのはグランツアーの勝利でも、クラシックレースでの勝利でもなく、いかなるコンディションのルートをも走破しうることだ。
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「ここ10年ほどでサイクリングの楽しみ方は大きく変化しました。レースありきだったものが、自転車を趣味として楽しむ人が増え、グランフォンドやロングライドがブームになった。その中で軽く、速く、そしてどんな道でも走破できるバイクへのニーズを感じたのです」とジャーナリストたちの前で語ったのは、サーヴェロのシニア製品ディレクターであるフィル・スピアマン氏。
Cシリーズが目指したのは、アグレッシブなレースバイクと、”グラベルグラインダー”の中間的存在だという。ここにサーヴェロのアイデンティティ、つまりレーシングスペックをプラスすることで、最先端のエンデュランスロードが完成したのだ。
まるでMTBのようなフレーム形状は、全て直進安定性と快適性を高めるため。加えてチューブ形状も2009年にデビューしたR5caの「スクオーバル2」をワイド/偏平化させ、高品質なカーボンを投入することで重量を増すことなく、可能な限り柔軟性を高めている。フレーム重量はC5で850g、C3で940g。しかも全ての小物パーツや塗装込みというから恐れ入ってしまう。これを可能としたのは、Rシリーズで培ってきた軽量化のノウハウがあったからに他ならない。
サーヴェロの最先端技術と独自性の結晶
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ディスクブレーキロードの規格が乱立している現在だが、C5はリアエンド142mm、前後12mmスルーアクスルという最先端を行く構成で打って出た。しかもスルーアクスルが慢性的に抱える、フレーム/フォーク両側の穴が完璧に同位置の必要があるという問題にも、独自のアイディアで対策を講じている。
「セミフローティングシステム」と呼ばれるこの対策は、左右の穴にわずかな遊びを持たせ、レバーを締めると全てが固定されるという構造。ホイール固定時や当たり面調整のわずかなズレで生じる、ブレーキパッドとローターの接触の心配をも解消しているという。
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未舗装路走行でのフレームの傷つきを防ぐため、ダウンチューブ下部と右チェーンステーに装備された樹脂製のガードの存在も大きな特徴と言えるだろう。タイヤクリアランスに関してもパリ〜ルーベに投入されてきたプロ供給専用のスペシャルモデル「R3 MUD」の経験を活かし、最大31mm幅まで対応するよう工夫が行なわれている。完成車パッケージのデフォルトは28mm幅だ。
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会場で初めてCシリーズの姿を目にしたジャーナリスト達。その奇抜なフォルムに、正直に言えば「サーヴェロらしい走りは果たして残っているのだろうか?」と懐疑の眼差しが向けられたことは確かだ。しかし、プレス発表会2日目のテストライドで、その疑問は見事に打ち砕かれることになるのであった。
Vol.2に続く。
提供:東商会 text : 磯部聡 制作:シクロワイアード編集部