2015/01/20(火) - 13:07
1980年代のブランド創設期より他に先駆けていち早くアルミ素材を導入し、イーストンの開発にも参画してきたフェルト。「F75」は長年に渡って培ってきたアルミに関するノウハウの多くを注ぎ込み開発された1台であり、「F」シリーズであることからも分かる通りレーシングバイクである。
カーボン製の「F」シリーズ同様に、丸断面チューブとセミスローピングスタイルというオーソドックスなフォルムの「F75」。一見しただけだと、他ブランドのアルミ製エントリーグレードと大きな差異は無いようにも思える。しかしながら、チューブの寸法をサイズごとに変えて剛性を調整するなど、ジャーマンブランドらしくエンジニアリングの基本に忠実な設計を施し、走行性能を高めたレーサーなのだ。
素材には航空機などにも採用されるほど高い強度をもつA7005合金を採用。大幅な変形を伴うハイドロフォーミング加工等は施されていないものの、パイプの内外にバテッド加工を行い、サイズごとに厚みと位置の関係を細かく調整している。
これによって、特に小さいサイズのアルミフレームでありがちな過剛性を解消すると同時に振動吸収性を確保。過度な疲労を低減し、ロングライドやレースの後半で力を残すことが可能に。また、従来モデルより大幅な軽量化に成功し、ヒルクライム性能も向上しているという。
フロントフォークは、上位モデルにフレーム素材として多く採用されている「UHC Advanced」カーボン製。フレームとフォークのしなりを計算して設計を行い、フレームサイズによってオフセットを変えることでコーナリング性能やブレーキング性能を高めている。
また、使い勝手の良さもF75の特徴の1つ。シフトとブレーキのどちら共、ワイヤーは引きの軽さが期待でき、メンテナンス性に優れる外装式とする。ボトムブラケットは音鳴り等のトラブルが少ないネジ切り式としている。また、ホイールのニップルやワイヤーキャップなどの小物とフレームのカラーを統一させるなど、完成車としてのパッケージングにもこだわっている点もトピックスだ。
メインコンポーネントにリア11速のシマノ105を採用。オリジナルの手組ホイールはフロント28本/リア32本と前後でスポーク数を変え、チューブレスレディのリムを採用するなど、ハイバリューな構成だ。その他乗り心地を高めるUHC Performanceカーボン製のシートポスト、ミドルグレードのタイヤとしては定番モデルの1つであるヴィットリア RUBINO PRO SLICKをスペックインしている。
その結果、他ブランドの同グレードよりも軽量な8.65kgをマークしながらも、158,000円とコストパフォーマンにも優れるF75。レースも楽しみたいと考えているビギナーにとって有力な選択肢の1つと言えるだろう。
「レース指向のビギナーにオススメな1台 アルミならではの反応性が魅力」
ゼロ加速が非常に気持ちいいバイクです。パリっと乾いたアルミならではの高い剛性感による反応性の良さは、他社のアルミ製レーシングモデルを意識して作っているということを伝えてきますね。フェルトのアルミバイクを試乗するのは今回が初めてでしたが、その走行性能の高さには驚かされました。
高いケイデンスでペダルを回す、ハイパワーで踏み込む。どのようなペダリングでもバイクがしっかりと反応し、気持ちのいい加速を見せてくれます。特に30km/hまでのスピードの伸びに優れていますね。入力に対して素直に応えてくれるので、登りにおいてもバイクの前進する力が強いです。ヘッド周りの剛性が高いため、下りのコーナーもシャープに曲がることができました。
決して細くないチューブでホリゾンタルに近いフレーム形状としているにも関わらず、アルミバイクの中では振動吸収性に優れていると感じます。上下方向の振動減衰は主にチューブのバテッド加工と、カーボンフォーク、スポーク数の多い純正ホイールによるものでしょう。これにより接地感が向上していると感じました。荒れた路面でも不安感を覚えることは稀です。上記のバテッド加工を始め、ネジ切りタイプのBBとバンド式のフロントディレイラーを採用して信頼性を高めたり、ねじ類とフレームカラーを統一させるなど、フェルトらしい、手を抜かないモノづくりポリシーを至るところに見ることができますね。
シマノ105をメインにしたパーツ構成も良いですね。ノーブランドながらブレーキキャリパーに制動力不足はありませんし、純正ホイールの回転性能も優れています。完成車の状態でレースに臨んで、カーボンバイクに乗る周りのレーサーを負かすことができる位のアッセンブリーですね。そこから更にステップアップを目指してカスタムするのであれば、コントロール性能を高めるためにブレーキやタイヤから変更すると良いでしょう。さらに上級になればクランクの歯数を標準の50-34Tから52-36Tにアップグレードしてもいいかもしれません。
これからロードバイクに乗ろうと考えているビギナーの中でも、ロードバイク=スピードと考えているレース志向な方にオススメです。購入後、まず乗り込んでほしいですね。F75がロードバイク本来の楽しさを伝えてくれるでしょう。
「カーボンに通ずる走りの軽さ 学生レーサーにもオススメな高コストパフォーマンスの1台」
状況を選ばずオールマイティに走れる特徴はカーボンのFシリーズとも共通しています。上位モデルと比較すると重量増は避けられませんが、実際に走ってみると加速反応性に優れ、車重を感じさせない走りの軽さがありました。アルミならではの剛性による脚の疲労は丁寧なペダリングを心がけることで、軽減させられると感じました。平地の巡航性はもちろん、登りでも軽やかに走ってくれます。恐らく素材に起因する独特なリズム感にはまれば、気持よく加速してくれます。特に、中速域からのスピードの伸びはこのバイクの大きな武器ですね。
ハンドリングはカーボン製のフォークとテーパードヘッドにより、レーシングバイクのクイックさと狙ったラインをトレースできる正確さを兼ね備えた仕上がりになっています。そのため、高速コーナーでも安心してコーナーを攻めることができました。制動力にも過不足なく、しっかりと効かせられるため、ライディング時に不安感を覚えることは少ないでしょう。
振動吸収性に関しては従来からのアルミに対するイメージ通りで、さすがに荒れた路面ではバイクが跳ねてしまいました。それでもライダー自身が丁寧なライディングを心がけたり、タイヤの空気圧を調整すれば、改善されて乗りやすくなるはずです。
このバイクは軽快な走行感を追求し、全体のバランスを整えた完成車パッケージとなっているため、レース志向のエントリーライダーにピッタリですね。JIS規格のBBの採用などメンテナンス性が高いことも評価できるポイントです。コストパフォーマンスも良好ですから、高校生やガツガツ乗り込む系のライダーにはピッタリではないでしょうか。
また、ホイールやコンポーネントのグレードアップによって更にフレームのポテンシャルを引き出せると思います。私がホイールを変えるとするならば、リアが弾む傾向を抑えながら走りの軽快さを活かせる、やや硬めなモデルを選びます。例としてはカンパニョーロのZONDAやEURUSあたりでしょうか。機材を載せ替えて長い期間にわたって乗り込みたいバイクですね。
中村:全体として先ずデザインがシンプルというのが第一印象です。ただ、シンプルなデザインを目指したというよりは、ロードレーサーとして速く走るためのバイクを追求した結果なのでしょう。今回、オールラウンド系のF、エアロ系のAR、エンデュランス系のZと形状的には大きく異なる3シリーズのトップグレードを乗り比べましたが、良い意味で特定の性能に突出し過ぎていませんね。つまり、どのバイクも基本的な走行性が高いレベルにあった上で、少しだけ味付けを変えているという印象です。
吉田:中村さんと同じく、非常にシンプルな造りが特徴的ですね。その最たる例がFシリーズで、ロードレーサーに必要とされる要素が上手くミックスされているという印象で、それは素材の違いに関わらずカーボン製のF1にもアルミ製のF75にも共通していました。
FRDはやや異なりますが、レーシーではあるけれど剛性が高すぎることが無く、私の様な体重が軽めなライダーでも充分に扱いきれるというのが全体的に共通する乗り味でしょうか。乗り込めば乗り込むほど、ライダーのポテンシャルを引き出してくれそうですね。
AR FRDについては素材の影響力を強く感じる部分もあり、カーボンの素材が異なるだけで2ランク以上グレードが上がったと思えるほどに剛性感の高いバイクになるのだな、と感じましたね。総じて、初めてのロードバイクを買うというビギナーさんでも、2台目という方でも様々な層のサイクリストに満足して頂けますね。
ーデザインがシンプルな一方で、AR FRDとF1には最先端のTeXtremeカーボンが使用されていますね
吉田:これまでフェルトについては共通のデザインを採用するエントリー~ミドルグレードのバイクに乗ったことはありましたが、今回のAR FRDとF1については乗った瞬間に中村さんと顔を見合わせて笑ってしまったほど乗り味が軽かったですね。良い意味で期待を裏切られましたし、やはり素材の違いはとても大きいのだな、と再認識させられました。
ー一般的にコストパフォーマンスが高いと言われるフェルトですが如何でしょうか?
中村:F1の様にトップグレードで実際に乗って驚きがあるバイクが、フレームセットで30万円を切っている点など良心的な設定だと思います。完成車で買ってもパーツのアッセンブリーを含めて満足感があると思います。
吉田:基本的にお求めやすい価格設定ですし、ブレーキやクランクなど後々交換が必要になるパーツが少なく、しっかりツボを抑えている点も評価できるポイントですね。
ー今回試乗した4モデルともシンプルながら機能性高い造りが目立ちました
中村:組立作業は非常にやりやすいと思います。内蔵ケーブルであってもインナーワイヤーが出しやすい様に工作してあったり、フレームのカットサンプルを見ても分かるのですが、カーボンフレームの場合には内部の成型用バルーンなどが完全に除去されているため、そもそもワイヤーは引っかかりづらいのは作業する側として嬉しいポイントです。
今回試乗したFシリーズは、昨今多くのブランドが内蔵としているブレーキケーブルを外出しとしていて、フォークを1周ぐるっと回してもフレームと干渉しない。フェルトのどのバイクにも言えることなのですが、美観のために余計な処理を施すのではなく、割りきって機能性を第一に、細部まで考え抜いて設計されていますね。
吉田:エアロバイクのARについては組立が難しそうな印象を覚えますが、インナーワイヤーも直ぐに通せますから、実際に見た目以上に作業しやすいバイクですね。
ーZ2のディスクブレーキについて
吉田:ロードディスクが普及していく可能性については、なんとも言えないというのが個人的な予測ですが、雨の日や下りでの安定感、レバーの軽いストロークのみで制動力を自在にコントロールできることなど、メリットは多いと思います。そこで今回試乗したZ2については、フレームがそのロードディスクのポテンシャルを引き出せていると感じることができました。
カーボンモデルの流れを汲むオーソドックスデザインのアルミレーサー
カーボン製の「F」シリーズ同様に、丸断面チューブとセミスローピングスタイルというオーソドックスなフォルムの「F75」。一見しただけだと、他ブランドのアルミ製エントリーグレードと大きな差異は無いようにも思える。しかしながら、チューブの寸法をサイズごとに変えて剛性を調整するなど、ジャーマンブランドらしくエンジニアリングの基本に忠実な設計を施し、走行性能を高めたレーサーなのだ。
素材には航空機などにも採用されるほど高い強度をもつA7005合金を採用。大幅な変形を伴うハイドロフォーミング加工等は施されていないものの、パイプの内外にバテッド加工を行い、サイズごとに厚みと位置の関係を細かく調整している。
これによって、特に小さいサイズのアルミフレームでありがちな過剛性を解消すると同時に振動吸収性を確保。過度な疲労を低減し、ロングライドやレースの後半で力を残すことが可能に。また、従来モデルより大幅な軽量化に成功し、ヒルクライム性能も向上しているという。
フロントフォークは、上位モデルにフレーム素材として多く採用されている「UHC Advanced」カーボン製。フレームとフォークのしなりを計算して設計を行い、フレームサイズによってオフセットを変えることでコーナリング性能やブレーキング性能を高めている。
また、使い勝手の良さもF75の特徴の1つ。シフトとブレーキのどちら共、ワイヤーは引きの軽さが期待でき、メンテナンス性に優れる外装式とする。ボトムブラケットは音鳴り等のトラブルが少ないネジ切り式としている。また、ホイールのニップルやワイヤーキャップなどの小物とフレームのカラーを統一させるなど、完成車としてのパッケージングにもこだわっている点もトピックスだ。
メインコンポーネントにリア11速のシマノ105を採用。オリジナルの手組ホイールはフロント28本/リア32本と前後でスポーク数を変え、チューブレスレディのリムを採用するなど、ハイバリューな構成だ。その他乗り心地を高めるUHC Performanceカーボン製のシートポスト、ミドルグレードのタイヤとしては定番モデルの1つであるヴィットリア RUBINO PRO SLICKをスペックインしている。
その結果、他ブランドの同グレードよりも軽量な8.65kgをマークしながらも、158,000円とコストパフォーマンにも優れるF75。レースも楽しみたいと考えているビギナーにとって有力な選択肢の1つと言えるだろう。
インプレッション
「レース指向のビギナーにオススメな1台 アルミならではの反応性が魅力」
吉田幸司(ワタキ商工株式会社 ニコー製作所)
ゼロ加速が非常に気持ちいいバイクです。パリっと乾いたアルミならではの高い剛性感による反応性の良さは、他社のアルミ製レーシングモデルを意識して作っているということを伝えてきますね。フェルトのアルミバイクを試乗するのは今回が初めてでしたが、その走行性能の高さには驚かされました。高いケイデンスでペダルを回す、ハイパワーで踏み込む。どのようなペダリングでもバイクがしっかりと反応し、気持ちのいい加速を見せてくれます。特に30km/hまでのスピードの伸びに優れていますね。入力に対して素直に応えてくれるので、登りにおいてもバイクの前進する力が強いです。ヘッド周りの剛性が高いため、下りのコーナーもシャープに曲がることができました。
決して細くないチューブでホリゾンタルに近いフレーム形状としているにも関わらず、アルミバイクの中では振動吸収性に優れていると感じます。上下方向の振動減衰は主にチューブのバテッド加工と、カーボンフォーク、スポーク数の多い純正ホイールによるものでしょう。これにより接地感が向上していると感じました。荒れた路面でも不安感を覚えることは稀です。上記のバテッド加工を始め、ネジ切りタイプのBBとバンド式のフロントディレイラーを採用して信頼性を高めたり、ねじ類とフレームカラーを統一させるなど、フェルトらしい、手を抜かないモノづくりポリシーを至るところに見ることができますね。
シマノ105をメインにしたパーツ構成も良いですね。ノーブランドながらブレーキキャリパーに制動力不足はありませんし、純正ホイールの回転性能も優れています。完成車の状態でレースに臨んで、カーボンバイクに乗る周りのレーサーを負かすことができる位のアッセンブリーですね。そこから更にステップアップを目指してカスタムするのであれば、コントロール性能を高めるためにブレーキやタイヤから変更すると良いでしょう。さらに上級になればクランクの歯数を標準の50-34Tから52-36Tにアップグレードしてもいいかもしれません。
これからロードバイクに乗ろうと考えているビギナーの中でも、ロードバイク=スピードと考えているレース志向な方にオススメです。購入後、まず乗り込んでほしいですね。F75がロードバイク本来の楽しさを伝えてくれるでしょう。
「カーボンに通ずる走りの軽さ 学生レーサーにもオススメな高コストパフォーマンスの1台」
中村仁(Hi-Bike)
状況を選ばずオールマイティに走れる特徴はカーボンのFシリーズとも共通しています。上位モデルと比較すると重量増は避けられませんが、実際に走ってみると加速反応性に優れ、車重を感じさせない走りの軽さがありました。アルミならではの剛性による脚の疲労は丁寧なペダリングを心がけることで、軽減させられると感じました。平地の巡航性はもちろん、登りでも軽やかに走ってくれます。恐らく素材に起因する独特なリズム感にはまれば、気持よく加速してくれます。特に、中速域からのスピードの伸びはこのバイクの大きな武器ですね。ハンドリングはカーボン製のフォークとテーパードヘッドにより、レーシングバイクのクイックさと狙ったラインをトレースできる正確さを兼ね備えた仕上がりになっています。そのため、高速コーナーでも安心してコーナーを攻めることができました。制動力にも過不足なく、しっかりと効かせられるため、ライディング時に不安感を覚えることは少ないでしょう。
振動吸収性に関しては従来からのアルミに対するイメージ通りで、さすがに荒れた路面ではバイクが跳ねてしまいました。それでもライダー自身が丁寧なライディングを心がけたり、タイヤの空気圧を調整すれば、改善されて乗りやすくなるはずです。
このバイクは軽快な走行感を追求し、全体のバランスを整えた完成車パッケージとなっているため、レース志向のエントリーライダーにピッタリですね。JIS規格のBBの採用などメンテナンス性が高いことも評価できるポイントです。コストパフォーマンスも良好ですから、高校生やガツガツ乗り込む系のライダーにはピッタリではないでしょうか。
また、ホイールやコンポーネントのグレードアップによって更にフレームのポテンシャルを引き出せると思います。私がホイールを変えるとするならば、リアが弾む傾向を抑えながら走りの軽快さを活かせる、やや硬めなモデルを選びます。例としてはカンパニョーロのZONDAやEURUSあたりでしょうか。機材を載せ替えて長い期間にわたって乗り込みたいバイクですね。
インプレッション総括「3シリーズともロードレーサーらしい優れた走行性を持っている」
ー今回はハイエンド3車種とエントリー1車種を乗り比べて頂きましたが、総じてフェルトのロードバイクにどの様な印象を持ちましたでしょうか?中村:全体として先ずデザインがシンプルというのが第一印象です。ただ、シンプルなデザインを目指したというよりは、ロードレーサーとして速く走るためのバイクを追求した結果なのでしょう。今回、オールラウンド系のF、エアロ系のAR、エンデュランス系のZと形状的には大きく異なる3シリーズのトップグレードを乗り比べましたが、良い意味で特定の性能に突出し過ぎていませんね。つまり、どのバイクも基本的な走行性が高いレベルにあった上で、少しだけ味付けを変えているという印象です。
吉田:中村さんと同じく、非常にシンプルな造りが特徴的ですね。その最たる例がFシリーズで、ロードレーサーに必要とされる要素が上手くミックスされているという印象で、それは素材の違いに関わらずカーボン製のF1にもアルミ製のF75にも共通していました。
FRDはやや異なりますが、レーシーではあるけれど剛性が高すぎることが無く、私の様な体重が軽めなライダーでも充分に扱いきれるというのが全体的に共通する乗り味でしょうか。乗り込めば乗り込むほど、ライダーのポテンシャルを引き出してくれそうですね。
AR FRDについては素材の影響力を強く感じる部分もあり、カーボンの素材が異なるだけで2ランク以上グレードが上がったと思えるほどに剛性感の高いバイクになるのだな、と感じましたね。総じて、初めてのロードバイクを買うというビギナーさんでも、2台目という方でも様々な層のサイクリストに満足して頂けますね。
ーデザインがシンプルな一方で、AR FRDとF1には最先端のTeXtremeカーボンが使用されていますね
吉田:これまでフェルトについては共通のデザインを採用するエントリー~ミドルグレードのバイクに乗ったことはありましたが、今回のAR FRDとF1については乗った瞬間に中村さんと顔を見合わせて笑ってしまったほど乗り味が軽かったですね。良い意味で期待を裏切られましたし、やはり素材の違いはとても大きいのだな、と再認識させられました。
ー一般的にコストパフォーマンスが高いと言われるフェルトですが如何でしょうか?
中村:F1の様にトップグレードで実際に乗って驚きがあるバイクが、フレームセットで30万円を切っている点など良心的な設定だと思います。完成車で買ってもパーツのアッセンブリーを含めて満足感があると思います。
吉田:基本的にお求めやすい価格設定ですし、ブレーキやクランクなど後々交換が必要になるパーツが少なく、しっかりツボを抑えている点も評価できるポイントですね。
ー今回試乗した4モデルともシンプルながら機能性高い造りが目立ちました
中村:組立作業は非常にやりやすいと思います。内蔵ケーブルであってもインナーワイヤーが出しやすい様に工作してあったり、フレームのカットサンプルを見ても分かるのですが、カーボンフレームの場合には内部の成型用バルーンなどが完全に除去されているため、そもそもワイヤーは引っかかりづらいのは作業する側として嬉しいポイントです。
今回試乗したFシリーズは、昨今多くのブランドが内蔵としているブレーキケーブルを外出しとしていて、フォークを1周ぐるっと回してもフレームと干渉しない。フェルトのどのバイクにも言えることなのですが、美観のために余計な処理を施すのではなく、割りきって機能性を第一に、細部まで考え抜いて設計されていますね。
吉田:エアロバイクのARについては組立が難しそうな印象を覚えますが、インナーワイヤーも直ぐに通せますから、実際に見た目以上に作業しやすいバイクですね。
ーZ2のディスクブレーキについて
吉田:ロードディスクが普及していく可能性については、なんとも言えないというのが個人的な予測ですが、雨の日や下りでの安定感、レバーの軽いストロークのみで制動力を自在にコントロールできることなど、メリットは多いと思います。そこで今回試乗したZ2については、フレームがそのロードディスクのポテンシャルを引き出せていると感じることができました。
提供:ライトウェイプロダクツジャパン 編集:シクロワイアード