2015/01/20(火) - 13:06
現在にまで続くエアロロードブームのパイオニア的存在であるフェルトが創業以来、約四半世紀に渡って蓄積してきたエアロダイナミクスに関する技術やノウハウを取入れ誕生したのが「AR」シリーズ。昨年登場した「FRD」は最先端の「Ultimate+TeXtreme」カーボンと共にブランド史上最高クラスの走行性能を実現したフラッグシップモデルだ。
フェルトを語る上で大きなキーワードとなるのが「エアロダイナミクス」。自転車と流体力学の結びつきが未だ希薄だった1980年代、ブランドを興す以前より風洞実験などの結果を考慮してフレームの設計を行ってきた。しかし、金属素材が主流だった当時は空力性能向上のために重い翼断面チューブを使用する必要があったことからエアロ化はTT/トライアスロンバイクのみと限定的であった。
そこから暫くの時を経て、そのボトルネックを打破したのは2008年のこと。マテリアルも得意とするフェルトだけあり、当時最先端のカーボンを採用することでプロが満足する軽さと走行性能を実現しつつ、ロードバイクながら優れた空力性能をも兼ね備えた「AR」シリーズを開発。今に続くエアロロード興盛の先鞭をつけた。ただ、その成功に満足すること無くすぐさま新型の開発に着手し、初代の登場から5年後の2014年に2代目を登場させたのだ。
ニューARの開発コンセプトは「実世界におけるエアロダイナミクス」。これまでは正面からの風に対する抵抗のみを軽減していたのに対し、様々な方向から吹き付ける風やホイールによる空気の乱れなどを考慮し設計。自社所有のスーパーコンピューターによる解析、スケールモデルを用いた風洞実験及び幾多に及ぶ実走テストの結果を基にフレームデザインは煮詰められていった。
その結果、全体的に扁平率の高い翼断面チューブを使用した、エアロロードとしてはオーソドックスな直線的な形状に。しかしながら、エアロ効果を高めるためのギミックが多く搭載されている。中でも特徴的なのは「Twin Tail Fork」だ。フォーク根本付近のクラウンを幅広で、いかり肩の様に角ばった形状とすることで、バイクが発生する空気抵抗の中でも大きな割合を占めるフレーム前方部分と前輪の回転による空気の乱れを低減。同時に振動吸収性と剛性、ブレーキング性能の向上を実現している。
一方のリアも一見シンプルながら、エアロダイナミクスを高めるための形状を採用。後輪に沿うようなシートチューブの「Gap Shield Rear Triangle」デザインや、ブレーキブリッジを廃して途中からブレード幅を絞った「Twin Tail Seatstays」によってホイールの回転による乱流をカットしている。また、ブレーキ取り付け位置がシートステーからBB下へと移動したことによって、縦方向の振動吸収性を高めることに成功した。
そして、昨今のエアロロードにおけるキーワードの1つ「扱いやすさ」をいち早く重視した2代目AR。ブレーキは専用品ではなく、フロントは一般的なキャリパータイプ、リアはBB下に取り付けるタイプのダイレクトマウントとし、確実な制動力を確保した。そして、シートポストには前後を入れ替えることでシート角が72.5°と78°で可変するVGOシステムを採用し、ロードレースだけでは無く、TT/トライアスロン用途にも対応。サドル固定部分には1ボルトで固定可能としながら取り付け角度の自由度と固定力の高い3TのDiffLockシステムを取入れた。
更には電動コンポーネントとの組み合わせを想定したケーブルルーティングや、出っ張りを廃した独自のシートクランプ方式によって空気抵抗の削減を追求。オールラウンドモデルであるFシリーズに対して最大31.1%、前ARに対して14.7%という空力性能の向上を達成している。
さて、今回テストするハイエンドモデル「FRD」については素材も大きなトピックスで、チェッカー柄の様に網目の大きい「TeXtreme」カーボンを採用。これはF1や航空宇宙産業に用いられる最新素材であり、通常のカーボンは繊維を編みこむのに対して、シートを編みこむことでカーボン同士の隙間を埋めるレジンの使用量を減らし、強度向上と軽量化に成功したことが特徴だ。
これに加え、一部にはフェルトオリジナルでは最上位グレードとなる「Ultimate」カーボンを適材適所で配置。下側1-1/4インチのテーパードヘッドチューブや、BB30規格のボリューミーなボトムブラケットシェルなど、フレーム形状からも剛性を確保。徹底的に煮詰められたエアロダイナミクス、最先端のカーボン素材と合わせて卓越した走行性能を実現している。
長年に渡って培われてきたエアロダイナミクスと、最先端のカーボン素材「Ultimate+TeXtreme」を組み合わせた至高のレーシングマシン、「AR FRD」。フェルトが有する技術の粋を注ぎ込んだエアロロードは、果たしてどんな走りを魅せてくれるのだろうか。
「高剛性で縦横のバランスも良好 登り性能にも優れる万能なエアロロード」
20km/h後半からバイクがパーンと弾かれたように速度が上がり、あっという間に40km/h以上の高速域へ連れて行ってくれる、加速性能に優れたバイクです。ゼロ加速こそ苦手ですが、一度スピードに乗せてしまえば、それを少ない力で維持してくれると感じました。特に30km/h台からのスピードの伸びが良いことを考えると、理論上だけでは無く実世界においての空力性能を考えて設計したというのにも頷けますね。
この優れた走行性能は高い剛性に依る所が大きいですね。全く同じ形状の下位グレードのARにも乗ったこともありますが、素材が変わるだけで「こうも違うのか!」と驚かされましたし、それだけ桁違いに剛性が向上しています。加えて縦横のバランスも良い影響を与えているのではないでしょうか。外見から受けるイメージ通りに縦方向の硬さはもちろんありながら、BB周りは横方向にも硬さがあり、エアロフレームにありがちなねじれ剛性の不足も感じません。
ダンシングをした際もロスなく推進力に変わっているという印象です。また、薄くて頼りなさそうな見た目のへッドチューブも剛性が確保されており、コーナリングの力を受け止めてくれるため、思った通りのラインをトレースできました。
一般的にエアロロードが苦手とするヒルクライム性能に関しても、AR FRDの場合は優れており、軽快に登ってくれました。ただ、私の様に比較的軽量なライダーは踏み込むダンシングを多用しながら登るとBB剛性に負けてしまうため、シッティングかつ高ケイデンスでこなしてあげると良いでしょう。
一方で、荒れた路面からの突上げを逃しきれずに身体に伝えてくる点はエアロロードバイクらしいですね。それでも、このジャンルの中では快適性は比較的良好ですし、バイク自体は大きく挙動を乱すことも無いので、舗装にヒビが入ったような荒れた下りコーナーでも安心して走ることができました。また、ハイエンドらしく高いペダリングスキルを要求してきますが、クランク位置が3時~5時の間で集中的にグッと踏み込むとうまく進ませることができます。
ブレーキはフロントがノーマルのキャリパーブレーキであるのに対して、リアはBB下に搭載されるダイレクトマウントが採用されていますね。ARはエアロ性能を追求したバイクですので、リアブレーキがメンテナンスしづらい点に関しては購入時にある程度割り切る必要があるでしょう。ただ、そのデメリットを差し引いたとしても、ホビーレーサーにとってARの優れたエアロ性能は非常に魅力的ですね。
用途としてはロードレースからトライアスロンまで幅広く対応してくれるでしょう。ロードレースならば鈴鹿サーキットのようなクローズドサーキットが、トライアスロンならば直線基調のコースがピッタリで、いずれも路面コンディションが良いほどARは真価を発揮してくれます。
パーツアッセンブルについて、まずホイールは45mmハイト程度のディープリムで、フレームの空力性能と軽さを更に引き出したいですね。タイヤは転がり抵抗に優れる25C程度の太いものを履かせてあげると、より性能を発揮してくれますね。
エアロロードながらオールラウンドな乗り味のAR FRD。高い剛性のフレームを求めているライダーには好適ではないでしょうか。その中でも、パワーがあるライダーならば強力な相棒となると感じました。また、軽量級ライダーでもペダリングを工夫すれば充分に対応できるはずです。
「優れたエアロ効果 オールラウンダーさながらの軽やかな踏み出しと登坂性能が魅力」
軽量で、踏み出しも軽やか。いわゆる一般的なハイエンドロードレーサーの乗り味であるというのが第一印象です。翼断面形状を多用したフレーム形状から連想される乗り味とは異なってオールラウンドで、私の場合、ブラインドテストをしたらエアロロードということに気づかないでしょう。
高剛性な中にバネ感を残した絶妙な剛性バランスが、踏み出しの軽さに繋がっているのでしょう。一度スピードに乗った後も、力を掛けた分だけ車体が前へと進んでいってくれます。登坂性能についても素晴らしいですね。一定ペースが得意なのかと思いきや、ダンシングした際も車体のフリが軽く、軽快に前へ進んでくれます。ただ、硬すぎると感じるライダーも中にはいるでしょうし、走り方次第では過度に疲労してしまう可能性もあるという点には留意が必要でしょう。
ハンドリングについてはリアルレーサーらしい味付けですね。エアロロードらしく直進安定性は高めで、軽量バイクに見られる独特なフリの軽さもありましたが、決して危うさがある訳ではなく、コーナー進入時はしっかり安定しています。
もちろん、エアロダイナミクスは非常に高く、40km/hにもなると顕著に効果を体感できます。リアブレーキのダイレクトマウント化など空気抵抗の低減を徹底した設計によって、フレームに当たる空気が滑らかに抜けてくれました。また、翼断面形状を多用しているため、横風に弱そうな印象を受けますが、しっかりフレームが受け流してくれます。
シートポストを反転させればTTバイクとしても使えるという発展性も含め、価格に関してはフレーム性能を考慮すると妥当といえるでしょう。私であればカンパニョーロ BORAの様な50mmハイトのカーボンエアロホイールに、軽さを際立たせられる一方で振動吸収性を補えるチューブラータイヤーというオーソドックスなセットアップにしたいですね。
平地のロードレース、クリテリウムを中心に、アップダウンのあるレースでもオールラウンドに対応してくれるこのバイクは、スピードに自信があるライダーにこそ武器になるはずです。一方、ルックス重視で選んでも間違いでは無いでしょう。網目の大きいカーボン、翼断面チューブやリアブレーキのダイレクトマウント化によってエアロ効果を追求したフォルムなど、一般的なロードバイクにはない特別感が所有欲を満たしてくれる1台です。
フェルトが蓄積してきた空力技術の全てを注ぎ込んだ旗艦エアロロード
フェルトを語る上で大きなキーワードとなるのが「エアロダイナミクス」。自転車と流体力学の結びつきが未だ希薄だった1980年代、ブランドを興す以前より風洞実験などの結果を考慮してフレームの設計を行ってきた。しかし、金属素材が主流だった当時は空力性能向上のために重い翼断面チューブを使用する必要があったことからエアロ化はTT/トライアスロンバイクのみと限定的であった。
そこから暫くの時を経て、そのボトルネックを打破したのは2008年のこと。マテリアルも得意とするフェルトだけあり、当時最先端のカーボンを採用することでプロが満足する軽さと走行性能を実現しつつ、ロードバイクながら優れた空力性能をも兼ね備えた「AR」シリーズを開発。今に続くエアロロード興盛の先鞭をつけた。ただ、その成功に満足すること無くすぐさま新型の開発に着手し、初代の登場から5年後の2014年に2代目を登場させたのだ。
ニューARの開発コンセプトは「実世界におけるエアロダイナミクス」。これまでは正面からの風に対する抵抗のみを軽減していたのに対し、様々な方向から吹き付ける風やホイールによる空気の乱れなどを考慮し設計。自社所有のスーパーコンピューターによる解析、スケールモデルを用いた風洞実験及び幾多に及ぶ実走テストの結果を基にフレームデザインは煮詰められていった。
その結果、全体的に扁平率の高い翼断面チューブを使用した、エアロロードとしてはオーソドックスな直線的な形状に。しかしながら、エアロ効果を高めるためのギミックが多く搭載されている。中でも特徴的なのは「Twin Tail Fork」だ。フォーク根本付近のクラウンを幅広で、いかり肩の様に角ばった形状とすることで、バイクが発生する空気抵抗の中でも大きな割合を占めるフレーム前方部分と前輪の回転による空気の乱れを低減。同時に振動吸収性と剛性、ブレーキング性能の向上を実現している。
一方のリアも一見シンプルながら、エアロダイナミクスを高めるための形状を採用。後輪に沿うようなシートチューブの「Gap Shield Rear Triangle」デザインや、ブレーキブリッジを廃して途中からブレード幅を絞った「Twin Tail Seatstays」によってホイールの回転による乱流をカットしている。また、ブレーキ取り付け位置がシートステーからBB下へと移動したことによって、縦方向の振動吸収性を高めることに成功した。
そして、昨今のエアロロードにおけるキーワードの1つ「扱いやすさ」をいち早く重視した2代目AR。ブレーキは専用品ではなく、フロントは一般的なキャリパータイプ、リアはBB下に取り付けるタイプのダイレクトマウントとし、確実な制動力を確保した。そして、シートポストには前後を入れ替えることでシート角が72.5°と78°で可変するVGOシステムを採用し、ロードレースだけでは無く、TT/トライアスロン用途にも対応。サドル固定部分には1ボルトで固定可能としながら取り付け角度の自由度と固定力の高い3TのDiffLockシステムを取入れた。
更には電動コンポーネントとの組み合わせを想定したケーブルルーティングや、出っ張りを廃した独自のシートクランプ方式によって空気抵抗の削減を追求。オールラウンドモデルであるFシリーズに対して最大31.1%、前ARに対して14.7%という空力性能の向上を達成している。
さて、今回テストするハイエンドモデル「FRD」については素材も大きなトピックスで、チェッカー柄の様に網目の大きい「TeXtreme」カーボンを採用。これはF1や航空宇宙産業に用いられる最新素材であり、通常のカーボンは繊維を編みこむのに対して、シートを編みこむことでカーボン同士の隙間を埋めるレジンの使用量を減らし、強度向上と軽量化に成功したことが特徴だ。
これに加え、一部にはフェルトオリジナルでは最上位グレードとなる「Ultimate」カーボンを適材適所で配置。下側1-1/4インチのテーパードヘッドチューブや、BB30規格のボリューミーなボトムブラケットシェルなど、フレーム形状からも剛性を確保。徹底的に煮詰められたエアロダイナミクス、最先端のカーボン素材と合わせて卓越した走行性能を実現している。
長年に渡って培われてきたエアロダイナミクスと、最先端のカーボン素材「Ultimate+TeXtreme」を組み合わせた至高のレーシングマシン、「AR FRD」。フェルトが有する技術の粋を注ぎ込んだエアロロードは、果たしてどんな走りを魅せてくれるのだろうか。
インプレッション
「高剛性で縦横のバランスも良好 登り性能にも優れる万能なエアロロード」
吉田幸司(ワタキ商工株式会社 ニコー製作所)
20km/h後半からバイクがパーンと弾かれたように速度が上がり、あっという間に40km/h以上の高速域へ連れて行ってくれる、加速性能に優れたバイクです。ゼロ加速こそ苦手ですが、一度スピードに乗せてしまえば、それを少ない力で維持してくれると感じました。特に30km/h台からのスピードの伸びが良いことを考えると、理論上だけでは無く実世界においての空力性能を考えて設計したというのにも頷けますね。この優れた走行性能は高い剛性に依る所が大きいですね。全く同じ形状の下位グレードのARにも乗ったこともありますが、素材が変わるだけで「こうも違うのか!」と驚かされましたし、それだけ桁違いに剛性が向上しています。加えて縦横のバランスも良い影響を与えているのではないでしょうか。外見から受けるイメージ通りに縦方向の硬さはもちろんありながら、BB周りは横方向にも硬さがあり、エアロフレームにありがちなねじれ剛性の不足も感じません。
ダンシングをした際もロスなく推進力に変わっているという印象です。また、薄くて頼りなさそうな見た目のへッドチューブも剛性が確保されており、コーナリングの力を受け止めてくれるため、思った通りのラインをトレースできました。
一般的にエアロロードが苦手とするヒルクライム性能に関しても、AR FRDの場合は優れており、軽快に登ってくれました。ただ、私の様に比較的軽量なライダーは踏み込むダンシングを多用しながら登るとBB剛性に負けてしまうため、シッティングかつ高ケイデンスでこなしてあげると良いでしょう。
一方で、荒れた路面からの突上げを逃しきれずに身体に伝えてくる点はエアロロードバイクらしいですね。それでも、このジャンルの中では快適性は比較的良好ですし、バイク自体は大きく挙動を乱すことも無いので、舗装にヒビが入ったような荒れた下りコーナーでも安心して走ることができました。また、ハイエンドらしく高いペダリングスキルを要求してきますが、クランク位置が3時~5時の間で集中的にグッと踏み込むとうまく進ませることができます。
ブレーキはフロントがノーマルのキャリパーブレーキであるのに対して、リアはBB下に搭載されるダイレクトマウントが採用されていますね。ARはエアロ性能を追求したバイクですので、リアブレーキがメンテナンスしづらい点に関しては購入時にある程度割り切る必要があるでしょう。ただ、そのデメリットを差し引いたとしても、ホビーレーサーにとってARの優れたエアロ性能は非常に魅力的ですね。
用途としてはロードレースからトライアスロンまで幅広く対応してくれるでしょう。ロードレースならば鈴鹿サーキットのようなクローズドサーキットが、トライアスロンならば直線基調のコースがピッタリで、いずれも路面コンディションが良いほどARは真価を発揮してくれます。
パーツアッセンブルについて、まずホイールは45mmハイト程度のディープリムで、フレームの空力性能と軽さを更に引き出したいですね。タイヤは転がり抵抗に優れる25C程度の太いものを履かせてあげると、より性能を発揮してくれますね。
エアロロードながらオールラウンドな乗り味のAR FRD。高い剛性のフレームを求めているライダーには好適ではないでしょうか。その中でも、パワーがあるライダーならば強力な相棒となると感じました。また、軽量級ライダーでもペダリングを工夫すれば充分に対応できるはずです。
「優れたエアロ効果 オールラウンダーさながらの軽やかな踏み出しと登坂性能が魅力」
中村仁(Hi-Bike)
軽量で、踏み出しも軽やか。いわゆる一般的なハイエンドロードレーサーの乗り味であるというのが第一印象です。翼断面形状を多用したフレーム形状から連想される乗り味とは異なってオールラウンドで、私の場合、ブラインドテストをしたらエアロロードということに気づかないでしょう。高剛性な中にバネ感を残した絶妙な剛性バランスが、踏み出しの軽さに繋がっているのでしょう。一度スピードに乗った後も、力を掛けた分だけ車体が前へと進んでいってくれます。登坂性能についても素晴らしいですね。一定ペースが得意なのかと思いきや、ダンシングした際も車体のフリが軽く、軽快に前へ進んでくれます。ただ、硬すぎると感じるライダーも中にはいるでしょうし、走り方次第では過度に疲労してしまう可能性もあるという点には留意が必要でしょう。
ハンドリングについてはリアルレーサーらしい味付けですね。エアロロードらしく直進安定性は高めで、軽量バイクに見られる独特なフリの軽さもありましたが、決して危うさがある訳ではなく、コーナー進入時はしっかり安定しています。
もちろん、エアロダイナミクスは非常に高く、40km/hにもなると顕著に効果を体感できます。リアブレーキのダイレクトマウント化など空気抵抗の低減を徹底した設計によって、フレームに当たる空気が滑らかに抜けてくれました。また、翼断面形状を多用しているため、横風に弱そうな印象を受けますが、しっかりフレームが受け流してくれます。
シートポストを反転させればTTバイクとしても使えるという発展性も含め、価格に関してはフレーム性能を考慮すると妥当といえるでしょう。私であればカンパニョーロ BORAの様な50mmハイトのカーボンエアロホイールに、軽さを際立たせられる一方で振動吸収性を補えるチューブラータイヤーというオーソドックスなセットアップにしたいですね。
平地のロードレース、クリテリウムを中心に、アップダウンのあるレースでもオールラウンドに対応してくれるこのバイクは、スピードに自信があるライダーにこそ武器になるはずです。一方、ルックス重視で選んでも間違いでは無いでしょう。網目の大きいカーボン、翼断面チューブやリアブレーキのダイレクトマウント化によってエアロ効果を追求したフォルムなど、一般的なロードバイクにはない特別感が所有欲を満たしてくれる1台です。
提供:ライトウェイプロダクツジャパン 編集:シクロワイアード