2014/08/28(木) - 12:01
「史上最軽量のロードバイクを作ること」から始まったエモンダ
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トレックはロードのラインナップの中に「軽量」「エアロ」「エンデュランス」という3つの柱を打ち立てた。つまりそれぞれ「エモンダ」「マドン」「ドマーネ」が該当する。用途に合わせた三種のフラッグシップが揃った。
やはりここでは「史上最軽量のロードバイクを作ること」を至上命題として開発がスタートし、それを実現させたエモンダにスポットライトを当てたい。「トレック最軽量ロードラインナップ」は如何にして生み出されたのだろうか。
トレックの3つのフラッグシップロードバイク | ||
EMONDA | 最軽量ロード | LIGHT |
MADONE | エアロロード | AERO |
DOMANE | エンデュランスロード | SMOOTH |

2012年に開発がスタートし、プロライダーの意見を取り入れながら製品開発が行なわれたエモンダ。机上の解析を経て何百本というテストフレームが生み出され、レディオシャックや現トレックファクトリーレーシングの選手たちが徹底的にテストした。
一見「マドンとリアブレーキ位置が異なるだけ」と思われるかも知れないが、その中身は全くの別物だ。トレック曰くエモンダは「これまでで最も精巧に作られたチューブ形状」を有している。それはカーボン素材を最大限活かすための形状だ。
Emondaはフランス語で「剥ぎ取る」「削ぎ落とす」を意味するEmonderが語源となっており、その名の通り不要なものを削ぎ落とし、必要なものだけを残した。その結果、世界最軽量の市販バイクが完成した。
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最高グレードのSLRはフレーム690g、フォーク280gという軽量性を誇る。フラッグシップモデルのエモンダSLR 10は「10ポンド」というネーミングが示す通り、わずか4.65kg。実用的なアイオロスホイールを装着しても5kgを少し上回る程度だ。
他ブランドの軽量バイクとは一線を画すのは、製造上の問題に対して補償を行なう「ライフタイム・ワランティ(生涯補償)」を採用していることだろう。そこにトレックの自信を感じずにはいられない。その軽量性だけに注目が集まりがちだが、サイズ毎にコントロールされたライドクオリティやトータルバランスも忘れてはいけないポイントだ。
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エモンダを駆る別府史之「ペガサスに乗っているよう」

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「マドンも充分に完成されたバイク。ダンシングでパワーを込めた時に一気に加速するキレがある。『バイクが自分で前に進む』ような、すごく凶暴で攻撃的なイメージです」。シーズン中盤までマドンを乗り続けたフミはそうコメントする。「でもマドン特有のリズムがあって、そのキレを持続するためにはスキルが必要。かなりのパワーで踏み続けないといけない」
現在の相棒であるエモンダに関しては「ペガサスに乗っているよう」と評する。「マドンから乗り換えた時に感じたのは、踏んだ分だけ進むという感覚です。自分のリズムで長い時間ダンシングを続け、淡々とペースで走ることが出来る。特筆すべきは登りの性能だけじゃなくて、総合力がとても高い。コーナリングもエレガントで安定している。ヒルクライムが人気の日本では、登りはもちろんのこと、安心して下りを走ることが出来るのでお勧めしたいですね」。
提供:トレック・ジャパン photo/text:Kei Tsuji 制作:シクロワイアード