2012/11/23(金) - 23:37
今、ハンドメイドシクロクロスバイクがアツい。オーナーの好みに合わせてカスタムされたバイクには独特のオーラと雰囲気が漂うもの。先日開催された野辺山シクロクロスには多くのこだわりマシンが集結した。魅惑のハンドメイドシクロクロスバイクの世界をご紹介。
IRA RYAN CX 杉山統彦さん
アメリカンハンドメイドバイクビルダーの中心地であるオレゴン州ポートランド。その中でも極めてマニア度・希少価値共に高いブランドがアイラ・ライアンだ。マスターズクラスにエントリーした杉山さんの愛車は、恐らく日本初となるアイラ・ライアンのスペシャルフルオーダーバイク。
特徴的なカラーリングとグラフィックは杉山さん自身がスケッチを描き、アイラ・ライアン氏にアレンジをしてもらったというからそのこだわり具合は半端ではない。特別製のステムはインナーワイヤーで、フロントブレーキに対して垂直にケーブルルーティングを取れるシステムになっている。
ハンドルはサルサ製だが、既存の製品を磨きあげポリッシュ仕様にすることでフレームとのバランスをとっている点も杉山さんのお気に入りポイント。クリスキングのチタンヘッドパーツとのコーディネイトも完璧だ。
現在のパーツ構成は暫定仕様で、これからスペシャルオーダーでバイクとのカラーリングを合わせたフィジークのサドルと、クリスキングのハブで組んだカーボンディープリムホイールがアッセンブルされる予定だそうだ。このマシンはレース前日に納車されたばかりで、野辺山シクロクロスが初レースと初乗りだったという。自慢のポイントをとても嬉しそうに話してくれたのが印象的だった。
Independent Fabrication Steel Planet Cross 神谷徹さん
吉田秀夫さんが主宰する、盆栽自転車店のカスタマーである神谷さんの愛車は、ニューハンプシャーのハンドメイドブランド「Independent Fabrication(通称IF)」のスティールクロスバイク。神谷さんのお気に入りポイントは通常のカラーチャートには存在しないスペシャルのブルーペイントで、各所に入れられるIFロゴもカラーを指定しているという。
軽量化を求めたエンヴィ製フロントフォークや、ストロングライト製チェーンリングをアッセンブルするなどバイクの統一感を保ちながら実戦仕様に振っているのが特徴。「パーツはなるべくアメリカ製で統一しています。シクロクロスには高級かと思いましたが、折角のバイクなのでコンポーネントにはスラム・REDを組みました」と語る神谷さん。
吉田さんのカスタムによってコンポーネントの赤い差し色はフレームに合わせたブルーに変更され、ホイールのロゴもマッチングのために取り払われている。ブルー×ブラックにこだわったパーツ構成だが、差し色にホワイトタイヤを使っている点もとても好印象。神谷さんと吉田さんのコダワリが生み出したオリジナリティ溢れるバイクだ。
Condor Terra-X 渡辺将大さん、高橋祐樹さん(CycleClub CX)
C3Aクラスをぶっちぎりで制した渡辺さんとお仲間の高橋さんが駆るのは、イギリスの老舗プロショップ、コンドルサイクルズのオリジナルバイク、コンドル Terra-X。デダチャイのEM2トリプルバテッドスカンジウムパイプを使用したシクロクロスバイクで、ラファとの関係も深いことからラファコンドル・シャープのチームレプリカカラーに彩られる。
渡辺さんのバイクは11速化を見据え、9000系デュラエースのハブで組んだホイールとしていることがポイント。一方でリムは10年以上前のアンブロジオのカーボンディープで、「新旧のパーツが織りなす創世合体(?)」をテーマとしているそう。
シートポストとステムはトムソンのアルミ、ハンドルはジップのカーボン。ピンクのブラケットフードやピンまで真っ黒のチェーンリングはフレームとのカラーマッチングも抜群。高橋さんのバイクはカンパのコンポで組まれるなどこちらもコダワリに満ちたバイクに仕上がっていた。いかにもラファっぽい2台のバイクは野辺山シクロクロスの会場でも大きな注目を集めていた。
RITCHEY swisscross 遠藤健二さん(CycleClub CX)
朱色と赤色の中間のような、絶妙な発色の復刻スイスクロスは遠藤さんの愛車。コンドルのCXバイクを駆る渡辺さんと高橋さんのお仲間だ。今日がほぼ初乗りだったというが、しなやかな乗り味で気に入っているそう。
なんといっても注目のポイントは、カリフォルニア州北部に本拠地を持つパーツブランド、ホワイトインダストリーズのハブで組んだホイールと、同郷のポール・コンポーネントのカンチブレーキを使用している点。コンポーネントはスラムを使い、ハンドルはフレームと同じカラーのリッチー製。シルバーカラーのトムソンのステム・シートポストと合わせることで、レッド×シルバーの統一感あるクラシックなフォルムに整えられている。
「これからは走りのレベルを上げて、表彰台に乗りたいです!」と語ってくれた遠藤さん。こだわりの愛車はこれからずっと、良き相棒となってくれるでしょう。
Hunter Cycles CX 横山誠さん(CRC)
名古屋の自転車ショップ、Circles(サークルズ)に務める横山さんの愛車は、カリフォルニアでリック・ハンター氏が作り上げる「ハンターサイクルズ」のシングルスピードシクロクロスバイク。「よくマシンを壊すからシンプルで壊れにくいシングルスピードにしてるんですよ」笑いながらと語る横山さんだが、マシンのこだわりは半端ではない。
ハードブレーキングを多用するライディングスタイルを踏まえ、TRPのVブレーキに、フォークやフレームの広がりを防いでストッピングパワーを増すブレーキブースター(ポール製!)をリアにアッセンブルする。ギア比は1.8で、コースによっては2.0まで調整するという。エンヴィのディープリムホイールは、「水たまりも楽しく突っ込んでいけるから」お気に入り。
「ウチで入れているブランドだから、というのはあります。でもビルダーのハンターとは何回も会っていて、凄く楽しくていいヤツなんです。乗ってて凄く楽しいですしカッコよく乗れますよね。メチャ気に入っています。」と語ってくれた横山さん。コツコツとカスタマイズを重ねてきたというマシンは、とても良い雰囲気を醸し出していた。
KUALIS SS Disk CX 渡辺誠一さん(八ヶ岳CYCLOCROSS CLUB)
この4月に千葉県市川市に自身のショップ、「&Bicycle(アンドバイシクル)」をオープンさせた渡辺さんは、ロードからMTBまで、幅広いジャンルのハンドメイド系バイクをこよなく愛するお方。好きが高じてショップオーナーとなった渡辺さんだけに、野辺山に持ち込んだバイクも相当のこだわりと心意気が感じられるものだ。
フレームは、日本人ビルダー西川氏がアメリカで展開するブランド「KUALIS(クアリス)」のスチールシングルスピードシクロクロスバイク。ヘッドチューブは下側44mmの大口径で、エンヴィのディスク用カーボンフォークをアッセンブルしたことでコーナーでの安定感を得ているという。
見た目のスッキリ感とホイール交換時のやりやすさを踏まえ、テンショナーではなくエキセントリックBBシステムを選択しているのが大きな特徴だ。ディスクブレーキはシマノのCX75で、ローターはKCNCの軽量パーツで軽さを狙っている。クランクセットはホワイトインダストリー、ハブはクリスキングだ。
「ディスクブレーキは、コンディションが悪くなればなるほど有効ですから、これからの機材として非常にアリだと感じています。これはローター径前後160mmですが、そこまでのストップパワーも必要ないと思いますし、より軽量な140mm規格で落ち着くかと思います。私の好みで日東のダートドロップバーやブルックスのサドルを装着していますが、この辺りは好き好きでよりレーシーにも振ることができます。こんなスタイルもあるよ、という一つの提案ですね」
「ギア比は38×18で2.11。シングルスピードのCXバイクならば、黄金比とも言える2.1~2.3の間で収めるべきでしょう。クアリスのバイクは、オーダーの際はもちろん日本語でのやり取りが可能ですので、細かいところまで自分の思い通りのバイクに仕上がってくれました。とても満足しています」と語る渡辺さん。スカイブルーのカラーリングが青空に映える、とても素敵な一台だった。
Tonic fabrication Magnum CX Japan Team Edition 森本禎介さん(Tonic CX Team Japan)
TKCプロダクションを主宰する森本さんを始め、3名のライダーによって構成されるTonic CX Team Japanチーム。メンバーが駆るのは共に、IFなどをはじめとするアメリカンハンドメイドバイクの中心地に居を構えるビルダーブランド、Tonic fabrications(トニックファブリケーションズ)の Magnum CX Japan Team Edition。
ハイビズイエローにオレンジの日章旗デカールが目を引くバイクは、従来のスチールフレームのイメージを覆すようなファットなチュービングが特徴で、44mm径ヘッドチューブとエンヴィの下側1.5インチカーボンフォークをアッセンブルしたマッシブな作りが魅力的。剛性を増し、ブレーキングの安定感とルックスの向上に貢献している。パーツアッセンブルはメンバーによって異なるが、森本さんのバイクはカンパニョーロ製パーツによって組まれ、ソウル88リムやスーパーレコードのリアメカを奢っている点がポイント。
「トニックというブランドは、例えロゴや塗装を剥いでもそれだけでトニックと分かるような、そんな特徴あるバイクづくりをモットーとしています。チームは今季より3名でこぢんまりとスタートしたのですが、反響が大きくて驚いています(笑)。応援よろしくお願いします!」
Speedwangen Team Issue 矢野大介さん (Speedvagen Cyclocross Team)
今季より矢野大介、前田公平両選手を揃え国内での活動を開始したSpeedvagen Cyclocross Team。もちろんチームが駆るのはポートランドでサシャ・ホワイト氏のハンドビルドによって作り上げられるスピードワーゲンのスチールシクロクロスバイク。
今シーズンはゴールド一色にペイントされたバイクを駆り、アメリカより来日した選手のものと合わせて数台のゴールドバイクがブースに並べられた様子は壮観の一言。ハンドメイドバイクファンから熱い視線を浴びていた。
ホイールはエンヴィだが、ゴールドにカラーコーディネイトされるスペシャル品。星条旗と日の丸がロゴにあしらわれる点も特徴だ。タイヤは「ポートランド・バイシクルスタジオ」のレターが入れられるFMBで、ブレーキはポール製をアッセンブル。カタカナ表記で入れられたライダーネームも特徴的だ。
この他にも、まだまだとても紹介しきれないほど数多くの注目バイクが集まっていた野辺山シクロクロス。聞いたところ今シーズンからシクロクロス競技を始めた方も多く、シクロクロスの盛り上がりとともに、シングルスピードやハンドメイドバイクの世界も注目されていることが伺えた。ライダーの数だけ、それぞれのこだわりがそこにはある。そんなことを感じさせる野辺山シクロクロスだった。
text&photo:So.Isobe
IRA RYAN CX 杉山統彦さん
アメリカンハンドメイドバイクビルダーの中心地であるオレゴン州ポートランド。その中でも極めてマニア度・希少価値共に高いブランドがアイラ・ライアンだ。マスターズクラスにエントリーした杉山さんの愛車は、恐らく日本初となるアイラ・ライアンのスペシャルフルオーダーバイク。
特徴的なカラーリングとグラフィックは杉山さん自身がスケッチを描き、アイラ・ライアン氏にアレンジをしてもらったというからそのこだわり具合は半端ではない。特別製のステムはインナーワイヤーで、フロントブレーキに対して垂直にケーブルルーティングを取れるシステムになっている。
ハンドルはサルサ製だが、既存の製品を磨きあげポリッシュ仕様にすることでフレームとのバランスをとっている点も杉山さんのお気に入りポイント。クリスキングのチタンヘッドパーツとのコーディネイトも完璧だ。
現在のパーツ構成は暫定仕様で、これからスペシャルオーダーでバイクとのカラーリングを合わせたフィジークのサドルと、クリスキングのハブで組んだカーボンディープリムホイールがアッセンブルされる予定だそうだ。このマシンはレース前日に納車されたばかりで、野辺山シクロクロスが初レースと初乗りだったという。自慢のポイントをとても嬉しそうに話してくれたのが印象的だった。
Independent Fabrication Steel Planet Cross 神谷徹さん
吉田秀夫さんが主宰する、盆栽自転車店のカスタマーである神谷さんの愛車は、ニューハンプシャーのハンドメイドブランド「Independent Fabrication(通称IF)」のスティールクロスバイク。神谷さんのお気に入りポイントは通常のカラーチャートには存在しないスペシャルのブルーペイントで、各所に入れられるIFロゴもカラーを指定しているという。
軽量化を求めたエンヴィ製フロントフォークや、ストロングライト製チェーンリングをアッセンブルするなどバイクの統一感を保ちながら実戦仕様に振っているのが特徴。「パーツはなるべくアメリカ製で統一しています。シクロクロスには高級かと思いましたが、折角のバイクなのでコンポーネントにはスラム・REDを組みました」と語る神谷さん。
吉田さんのカスタムによってコンポーネントの赤い差し色はフレームに合わせたブルーに変更され、ホイールのロゴもマッチングのために取り払われている。ブルー×ブラックにこだわったパーツ構成だが、差し色にホワイトタイヤを使っている点もとても好印象。神谷さんと吉田さんのコダワリが生み出したオリジナリティ溢れるバイクだ。
Condor Terra-X 渡辺将大さん、高橋祐樹さん(CycleClub CX)
C3Aクラスをぶっちぎりで制した渡辺さんとお仲間の高橋さんが駆るのは、イギリスの老舗プロショップ、コンドルサイクルズのオリジナルバイク、コンドル Terra-X。デダチャイのEM2トリプルバテッドスカンジウムパイプを使用したシクロクロスバイクで、ラファとの関係も深いことからラファコンドル・シャープのチームレプリカカラーに彩られる。
渡辺さんのバイクは11速化を見据え、9000系デュラエースのハブで組んだホイールとしていることがポイント。一方でリムは10年以上前のアンブロジオのカーボンディープで、「新旧のパーツが織りなす創世合体(?)」をテーマとしているそう。
シートポストとステムはトムソンのアルミ、ハンドルはジップのカーボン。ピンクのブラケットフードやピンまで真っ黒のチェーンリングはフレームとのカラーマッチングも抜群。高橋さんのバイクはカンパのコンポで組まれるなどこちらもコダワリに満ちたバイクに仕上がっていた。いかにもラファっぽい2台のバイクは野辺山シクロクロスの会場でも大きな注目を集めていた。
RITCHEY swisscross 遠藤健二さん(CycleClub CX)
朱色と赤色の中間のような、絶妙な発色の復刻スイスクロスは遠藤さんの愛車。コンドルのCXバイクを駆る渡辺さんと高橋さんのお仲間だ。今日がほぼ初乗りだったというが、しなやかな乗り味で気に入っているそう。
なんといっても注目のポイントは、カリフォルニア州北部に本拠地を持つパーツブランド、ホワイトインダストリーズのハブで組んだホイールと、同郷のポール・コンポーネントのカンチブレーキを使用している点。コンポーネントはスラムを使い、ハンドルはフレームと同じカラーのリッチー製。シルバーカラーのトムソンのステム・シートポストと合わせることで、レッド×シルバーの統一感あるクラシックなフォルムに整えられている。
「これからは走りのレベルを上げて、表彰台に乗りたいです!」と語ってくれた遠藤さん。こだわりの愛車はこれからずっと、良き相棒となってくれるでしょう。
Hunter Cycles CX 横山誠さん(CRC)
名古屋の自転車ショップ、Circles(サークルズ)に務める横山さんの愛車は、カリフォルニアでリック・ハンター氏が作り上げる「ハンターサイクルズ」のシングルスピードシクロクロスバイク。「よくマシンを壊すからシンプルで壊れにくいシングルスピードにしてるんですよ」笑いながらと語る横山さんだが、マシンのこだわりは半端ではない。
ハードブレーキングを多用するライディングスタイルを踏まえ、TRPのVブレーキに、フォークやフレームの広がりを防いでストッピングパワーを増すブレーキブースター(ポール製!)をリアにアッセンブルする。ギア比は1.8で、コースによっては2.0まで調整するという。エンヴィのディープリムホイールは、「水たまりも楽しく突っ込んでいけるから」お気に入り。
「ウチで入れているブランドだから、というのはあります。でもビルダーのハンターとは何回も会っていて、凄く楽しくていいヤツなんです。乗ってて凄く楽しいですしカッコよく乗れますよね。メチャ気に入っています。」と語ってくれた横山さん。コツコツとカスタマイズを重ねてきたというマシンは、とても良い雰囲気を醸し出していた。
KUALIS SS Disk CX 渡辺誠一さん(八ヶ岳CYCLOCROSS CLUB)
この4月に千葉県市川市に自身のショップ、「&Bicycle(アンドバイシクル)」をオープンさせた渡辺さんは、ロードからMTBまで、幅広いジャンルのハンドメイド系バイクをこよなく愛するお方。好きが高じてショップオーナーとなった渡辺さんだけに、野辺山に持ち込んだバイクも相当のこだわりと心意気が感じられるものだ。
フレームは、日本人ビルダー西川氏がアメリカで展開するブランド「KUALIS(クアリス)」のスチールシングルスピードシクロクロスバイク。ヘッドチューブは下側44mmの大口径で、エンヴィのディスク用カーボンフォークをアッセンブルしたことでコーナーでの安定感を得ているという。
見た目のスッキリ感とホイール交換時のやりやすさを踏まえ、テンショナーではなくエキセントリックBBシステムを選択しているのが大きな特徴だ。ディスクブレーキはシマノのCX75で、ローターはKCNCの軽量パーツで軽さを狙っている。クランクセットはホワイトインダストリー、ハブはクリスキングだ。
「ディスクブレーキは、コンディションが悪くなればなるほど有効ですから、これからの機材として非常にアリだと感じています。これはローター径前後160mmですが、そこまでのストップパワーも必要ないと思いますし、より軽量な140mm規格で落ち着くかと思います。私の好みで日東のダートドロップバーやブルックスのサドルを装着していますが、この辺りは好き好きでよりレーシーにも振ることができます。こんなスタイルもあるよ、という一つの提案ですね」
「ギア比は38×18で2.11。シングルスピードのCXバイクならば、黄金比とも言える2.1~2.3の間で収めるべきでしょう。クアリスのバイクは、オーダーの際はもちろん日本語でのやり取りが可能ですので、細かいところまで自分の思い通りのバイクに仕上がってくれました。とても満足しています」と語る渡辺さん。スカイブルーのカラーリングが青空に映える、とても素敵な一台だった。
Tonic fabrication Magnum CX Japan Team Edition 森本禎介さん(Tonic CX Team Japan)
TKCプロダクションを主宰する森本さんを始め、3名のライダーによって構成されるTonic CX Team Japanチーム。メンバーが駆るのは共に、IFなどをはじめとするアメリカンハンドメイドバイクの中心地に居を構えるビルダーブランド、Tonic fabrications(トニックファブリケーションズ)の Magnum CX Japan Team Edition。
ハイビズイエローにオレンジの日章旗デカールが目を引くバイクは、従来のスチールフレームのイメージを覆すようなファットなチュービングが特徴で、44mm径ヘッドチューブとエンヴィの下側1.5インチカーボンフォークをアッセンブルしたマッシブな作りが魅力的。剛性を増し、ブレーキングの安定感とルックスの向上に貢献している。パーツアッセンブルはメンバーによって異なるが、森本さんのバイクはカンパニョーロ製パーツによって組まれ、ソウル88リムやスーパーレコードのリアメカを奢っている点がポイント。
「トニックというブランドは、例えロゴや塗装を剥いでもそれだけでトニックと分かるような、そんな特徴あるバイクづくりをモットーとしています。チームは今季より3名でこぢんまりとスタートしたのですが、反響が大きくて驚いています(笑)。応援よろしくお願いします!」
Speedwangen Team Issue 矢野大介さん (Speedvagen Cyclocross Team)
今季より矢野大介、前田公平両選手を揃え国内での活動を開始したSpeedvagen Cyclocross Team。もちろんチームが駆るのはポートランドでサシャ・ホワイト氏のハンドビルドによって作り上げられるスピードワーゲンのスチールシクロクロスバイク。
今シーズンはゴールド一色にペイントされたバイクを駆り、アメリカより来日した選手のものと合わせて数台のゴールドバイクがブースに並べられた様子は壮観の一言。ハンドメイドバイクファンから熱い視線を浴びていた。
ホイールはエンヴィだが、ゴールドにカラーコーディネイトされるスペシャル品。星条旗と日の丸がロゴにあしらわれる点も特徴だ。タイヤは「ポートランド・バイシクルスタジオ」のレターが入れられるFMBで、ブレーキはポール製をアッセンブル。カタカナ表記で入れられたライダーネームも特徴的だ。
この他にも、まだまだとても紹介しきれないほど数多くの注目バイクが集まっていた野辺山シクロクロス。聞いたところ今シーズンからシクロクロス競技を始めた方も多く、シクロクロスの盛り上がりとともに、シングルスピードやハンドメイドバイクの世界も注目されていることが伺えた。ライダーの数だけ、それぞれのこだわりがそこにはある。そんなことを感じさせる野辺山シクロクロスだった。
text&photo:So.Isobe
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