2011/05/23(月) - 15:01
5月21日(土)に神奈川県のさがみ湖リゾートプレジャーフォレストで、シングルギアのMTBによるSSJ(シングル スピード ジャパンオープン)が行われた。初開催となった日本選手権を制したのは、現役XCライダー小野寺 健選手(スペシャライズド・ジャパン)。そして初の仮装コンテストを制したのは、ビッグフットとジャック・スパロウ。どちらも激しい闘い勝ち抜き、見事に日本初の栄冠を手にした。
初開催のシングルスピードMTB日本選手権 SSJ(シングル スピード ジャパンオープン)は、シングルギアMTBによるレースイベント。日本では今回が初開催だが、じつは世界選手権まで行なわれている由緒あるレースだ。
SSWC(シングル スピード 世界選手権)は1995年にアメリカで始まり、現在では毎年1000人もの参加者が集う世界最高峰のシングル スピードMTBレース。2010年は10月にニュージーランドで開催され、2011年はアイルランドでの開催が計画されている。
日本選手権のSSJは、2010年の世界選手権に日本人として初めて参加した北澤コウさん(オルタナティブ バイシクルズ代表)が発起人となって、日本でもシングルスピードMTBの文化と楽しさを広めようと企画された。シクロワイアードでもレポートした1月のプレイベントを経て、今回の本大会の開催となった。
レースはファンレースと日本選手権の2レースが行なわれ、なかでも日本選手権は豪華な面々が揃った。
元MTB-XC選手でオリンピック日本代表も務めた竹谷賢二さん、元MTB世界選手権日本代表で現在は日本代表のコーチを努める小笠原崇裕さん、現役エリートMTBライダーの松本駿選手(トレック)、現役XCライダー小野寺 健選手、アメリカを拠点にレース活動を行なってきたMTBレーサー池田祐樹選手は日本に帰国して初の公式レースという。
SSJ優勝者に送られるハンドメイドのトロフィーと主催者の北澤さん
有名ライダーが闘った日本選手権。レース前の緊張の一瞬!?
今年から日本代表のコーチを務める、オガこと小笠原崇裕もSSJに参戦
ハンサム判治さんの法螺貝の合図で日本選手権がスタート!
一周約4.2kmのコースをファンレースは3周、日本選手権は5周で争われた。コースはアップダウンが繰り返される過酷な設定。朝に試走を行なってみたがギア付きでもキツい上りの連続は、もしやこの大会でシングルスピード嫌いが続出してしまうかも?と要らぬ心配をしてしまうほど。
そのためなのかは知らないが、SSJ独自のルールがある。それは「ビールショートカット!」コースの途中に近道が設定され、そこはレース中にある条件と引き換えに1回だけ通ることができる。その条件とは、その場で缶ビールを飲み干すこと。元はSSWCで行なわれているルールだが、日本大会ではノンアルコールビールにあらためて採用された。レース中にビールをがぶ飲みしてまでショートカットするのが果たして得なのか?は微妙なところ。ライダーたちはその駆け引きも含めてレースを組み立てた。
アメリカ帰りの池田の日本初レースがこのSSJ
マイケル・ライスはシングルスピードバイクで数々の武勇伝をもつ
29erSSについて造詣の深いMTBライダー堂城がビールに舌鼓。ちなみに日本選手権のレース中の光景ですよ!
竹谷賢二のビール補給。でもかなり辛そう
優勝した小野寺はこの日が事実上SSバイクのシェイクダウン。3周目でようやく走り方が判ってきたそう 注目の日本選手権は、現役XCライダー小野寺が序盤から首位を守り見事に優勝。2位争いは竹谷、松本、小笠原が終始デッドヒートを繰り広げるも、最終的には小笠原が2位、松本が3位、竹谷が4位となった。アメリカ帰りのMTBレーサー池田は、ニューマシンを投入するも裸にエプロンのセクシーコスチュームが裏目に出たのか5位となった。
ちなみに優勝の小野寺はビールショートカットは行使せず、そのまま5周をフルコースで走りきった。松本は2周目、竹谷は4周目にそれぞれショートカットを行なっていたが、ノンアルコールとはいえ、ビールを飲み干した直後は炭酸でかなり苦しそうな様子。もしかしたらこれが勝敗を左右する鍵かも。
優勝した小野寺はこの日がほぼシングルスピードMTBデビュー。このバイクも3日前に組み上がったばかりで、事実上ぶっつけ本番のレースに挑んだ。「始めは走り方が判らなくて、ようやく3周目くらいに判ってきました。上りでも平地でも辛くて心拍は上がりっ放し。ビールショートカットはペースを崩しそうなので、あえて行きませんでした。」手堅いレース展開が勝利を掴んだ要因となった。
日本選手権優勝の小野寺健
ゴール直後のこの表情がSSJの全てを物語る。しかし池田祐樹のこのコスチュームが・・・
仮装やロングテールバイクの参加者など、終始笑いが絶えなかったファンクラスは、一森広大選手がスタートから飛び出しそのまま首位を守って優勝。一森はAKB48のコスチュームで参加し、走りも仮装も目立っていた。
仮装部門ではとにかく大きくてインパクトがあったビッグフットと、公開されたばかりの映画「パイレーツ・オブ・カリビアン」のジャック・スパロウ役に扮した2人が、ちょんまげやアフロ、たこやガチャピンとムックなどの並みいる強豪を抑えて受賞。大会を大いに盛り上げた。仮装部門で優勝した2人には、初代SSWC日本代表の北澤さんより自身がSSWCで使用した、ちょんまげと浴衣のチャンピオンコスチュームが贈呈された。
日本選手権女子は矢沢みつみが男子にも迫るタイムで優勝
ファンクラス優勝の一森選手はAKB48の仮装で走る
と、ここまでレースレポートを中心に、かなり抑えてまとめてきましたが、これはSSJのほんの一部に過ぎない。SSJの本質はとにかくイベントを楽しむこと。写真にも写っているけれど、会場にはかなりヘンなバイクやヘンな人たちで満載。なんともユルい独特の雰囲気に会場がつつまれていた。
次回はその模様をレポートしよう。
キャッツアイのコスプレで参加の女性ライダー。もちろん3人で参加
シングルなので険しい坂はこんな感じ。それに参加者もこんな感じ
確かにシングルならOKですが、ロングテールバイクですか・・・
仮装部門を制したビッグフットとジャック・スパロウ
日本初開催のSSJ(シングル スピード ジャパンオープン)
text,&photo: Takashi Kayaba
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SSWC(シングル スピード 世界選手権)は1995年にアメリカで始まり、現在では毎年1000人もの参加者が集う世界最高峰のシングル スピードMTBレース。2010年は10月にニュージーランドで開催され、2011年はアイルランドでの開催が計画されている。
日本選手権のSSJは、2010年の世界選手権に日本人として初めて参加した北澤コウさん(オルタナティブ バイシクルズ代表)が発起人となって、日本でもシングルスピードMTBの文化と楽しさを広めようと企画された。シクロワイアードでもレポートした1月のプレイベントを経て、今回の本大会の開催となった。
レースはファンレースと日本選手権の2レースが行なわれ、なかでも日本選手権は豪華な面々が揃った。
元MTB-XC選手でオリンピック日本代表も務めた竹谷賢二さん、元MTB世界選手権日本代表で現在は日本代表のコーチを努める小笠原崇裕さん、現役エリートMTBライダーの松本駿選手(トレック)、現役XCライダー小野寺 健選手、アメリカを拠点にレース活動を行なってきたMTBレーサー池田祐樹選手は日本に帰国して初の公式レースという。
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一周約4.2kmのコースをファンレースは3周、日本選手権は5周で争われた。コースはアップダウンが繰り返される過酷な設定。朝に試走を行なってみたがギア付きでもキツい上りの連続は、もしやこの大会でシングルスピード嫌いが続出してしまうかも?と要らぬ心配をしてしまうほど。
そのためなのかは知らないが、SSJ独自のルールがある。それは「ビールショートカット!」コースの途中に近道が設定され、そこはレース中にある条件と引き換えに1回だけ通ることができる。その条件とは、その場で缶ビールを飲み干すこと。元はSSWCで行なわれているルールだが、日本大会ではノンアルコールビールにあらためて採用された。レース中にビールをがぶ飲みしてまでショートカットするのが果たして得なのか?は微妙なところ。ライダーたちはその駆け引きも含めてレースを組み立てた。
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優勝した小野寺はこの日がほぼシングルスピードMTBデビュー。このバイクも3日前に組み上がったばかりで、事実上ぶっつけ本番のレースに挑んだ。「始めは走り方が判らなくて、ようやく3周目くらいに判ってきました。上りでも平地でも辛くて心拍は上がりっ放し。ビールショートカットはペースを崩しそうなので、あえて行きませんでした。」手堅いレース展開が勝利を掴んだ要因となった。
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仮装やロングテールバイクの参加者など、終始笑いが絶えなかったファンクラスは、一森広大選手がスタートから飛び出しそのまま首位を守って優勝。一森はAKB48のコスチュームで参加し、走りも仮装も目立っていた。
仮装部門ではとにかく大きくてインパクトがあったビッグフットと、公開されたばかりの映画「パイレーツ・オブ・カリビアン」のジャック・スパロウ役に扮した2人が、ちょんまげやアフロ、たこやガチャピンとムックなどの並みいる強豪を抑えて受賞。大会を大いに盛り上げた。仮装部門で優勝した2人には、初代SSWC日本代表の北澤さんより自身がSSWCで使用した、ちょんまげと浴衣のチャンピオンコスチュームが贈呈された。
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と、ここまでレースレポートを中心に、かなり抑えてまとめてきましたが、これはSSJのほんの一部に過ぎない。SSJの本質はとにかくイベントを楽しむこと。写真にも写っているけれど、会場にはかなりヘンなバイクやヘンな人たちで満載。なんともユルい独特の雰囲気に会場がつつまれていた。
次回はその模様をレポートしよう。
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text,&photo: Takashi Kayaba
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