2011/03/03(木) - 08:03
神宮外苑クリテリウムは、ロードレースカップシリーズ全11戦の最終戦。ここで年間チャンピオンが決定するということで、激しい戦いが繰り広げられた。そこで、いまどき大学生の自転車事情の後編は、そんな熱い戦いを繰り広げた注目レーサーも登場する熱血・男子レーサー編。それでは、いってみよう!
東京大学 2年 荒牧 純平 くん エヴァディオ ヴィーナス
まずは学生らしい、いい味を出しているエヴァディオから「フレームは先輩から譲ってもらいました。部で代々乗り継いだフレームで、僕で3人目のオーナーなんです」よく見ればあちこちに使い込まれた痕跡が。
「キシリウムSLのホイールは、西薗さんから譲ってもらいました。サドルは部室に捨てられていたものですが、まだ使えそうだったんで」。このなんとも大学生らしい感じが微笑ましい。「お金が貯まったらサドルとコンポを変えたいですねぇ」
明星大学 米内 蒼馬 くん グラファイトデザイン メテオ スピード
グラファイトデザインにデュラエース、ボーラに極めつけはSRM!こう言っては何だが、とても学生のバイクとは思えない豪華装備満載のレースバイクに思わず足を止めた。「しなやかな感じが独特のフレームなんですが、自分にはすごく合っていてかなり好きです」。ところでコレ、誰かの貢ぎモノ?それともキミは、学生IT社長か何か??「じつは自分のバイクを壊してしまったので、全て監督さんから借りて、今は乗らせていただいているんです」とのこと。なぜだか少しホッとしたのでした。
東京大学 4年 西薗 良太 くん KOGA キメラロード
すでにシマノレーシングへの加入が決定し、この外苑クリテでシリーズ年間王者に輝くなど、この日最も注目が集まっていた西薗くん。今日のバイクは早くもシマノレーシング仕様のKOGA。さすがー!と思ってよく見るとフレームに「の」の文字。「じつはこのバイクは、野寺監督のお下がりなんです。自分用はもう少し先になるようです」カメラを向けると「ちょっと待ってもらえますか。」とシマノレーシングのアームウォーマーをわざわざ装着するあたり、早くもプロらしい振る舞いを見せていました。
明治学院大学 梅田 尚孝 くん アンカー RHM9RS
今日はアタックを続ける走りをしたいという梅田くん。前に乗っていたRFX-8から、監督の薦めもあって最近このRHM9RSに乗り換えた。「力を受け止めてくれる頼もしいバイクです」ポイントとなっている、ゴールドのフレームとゴールドのバーテープには監督の「優勝してゴールドメダルを」という思いが入っているそう。「このバイクにして入賞できたし、それでクラスも上がることができました!」というアンカーは、梅田くんの成績に大貢献している。
ここでちょっとひと休み。
クルマに自転車って何台積めるの?
会場を回っていて気になる光景に出会ったのがこちら。学生たちがワゴン車の上に自転車を乗せ始めた。1台、2台、3台、4台・・・次から次にどんどん屋根の上に。最終的にその数、なんと12台!こんなに積めるなんて、正直に言って知りませんでした。しかもコレ、まだ屋根の上だけ。室内にも乗せたら、一体何台積めるの?
積み込みをしていた日本大学の学生に聞いてみたところ、今日はこれでもまだ少ないそうです。40台以上をクルマ3台に積み込んで移動することもあるそう。
鹿屋体育大学 1年 山本 元喜 くん キャノンデール スーパーSIX Hi-MOD
2010年のU23全日本チャンピオンに輝き、大学生にしてツール・ド・北海道をステージ優勝するなど、すでに大学生を超えた実力を発揮する山本 元喜くん。彼の足下を支えるバイクは、キャノンデール スーパーSIX「すごく軽くてよく進むし最高のバイクです!」と絶賛する。高校時代から使っているという真っ赤なフルクラムレーシングZEROと、鹿屋体育大学メンバーお揃いの赤いフレームは、まるで全日本チャンピオンカラーのようです。
中央大学 2年 勝谷 勝治 くん イリベ オーダーバイク
黒字にゴールドの文字、トップチューブに漢字で入る名前。学生らしからぬ渋いバイクは、奈良の自転車工房イリベのフルオーダーバイク。「体に合ったバイクが欲しかったので、イリベでオーダーしました。コロンバス スターシップのアルミフレームです」「このブラックとゴールドも自分でチョイスしたんです。でもいま大学選手権に同じカラーのイリベが僕を含めて3人いるんです。みんな強い先輩たちなんで頑張らないと」。派手なメーカーバイクに混じって目立っていた。
中京大学 2年 中根 英登 くん デ・ローザ キング3
デ・ローザ キングが目に止まり、思わず声をかけたのは中京大学の中根くん。「まだ大学選手権で同じバイクに出会ったことありません」そりゃそうでしょう。誰もが憧れるデ・ローザのしかもキング3なんだから。「たまたま格安で手に入れることができたんです。こんな立派なバイクに乗れるなんて幸せです。自分には勿体ないくらいですよ」と謙遜する彼、じつはチームユーラシアにも所属する将来を期待された選手なんです。今日はピセイのチームユーラシアジャージで決めている。
ここでちょっと番外編。学生たちの大先輩の自転車をご紹介。
早稲田大学OB 小梁さん 土屋製作所 エベレスト チャンピオン
後輩たちを応援に来た小梁さん。自らも大学生レーサーだったそう。その当時のバイクで会場に来られていました。「土屋製作所で、45年前に作った自転車だよ。今から43年前の国体を走って落車してさあ、頭に来たからすぐに競技辞めちゃったんだよ。もう自転車なんか見るのも嫌でね、そのまま部屋に放っておいたんだ。でも最近また乗ろうと思って直したんだ」「ほら、この辺の傷なんか、そのときの傷そのまんま」
最後に、会場で発見した壊れモノたち
カタチあるもの、いつかは壊れる。激しいレースの世界では、アクシデントだって付きもの。できればあんまり出会いたくはないけれど、会場で出会った壊れ物をキャッチしてきました。
最初は見事にアルミスポーク2本が折れたホイールと、奥に見えるのはフレームのハンガーごと折れてしまったリアディレーラー。ちょっと調整の甘かったリアディレーラーがスポークを巻き込んでこんなことに。
次は、カーボンフロントフォークが無惨にちぎれてしまっているコレ。グループ1のレースで起きた序盤の落車に巻き込まれてこんな無惨な姿に。こんな状態になってしまうなんて、相当な衝撃が加わったことが予想される。幸いライダーには大きな怪我はなかったらしい。
いかがでしたか、2回に渡ってお届けした、「神宮外苑クリテリウムに見る いまどき大学生の自転車事情」
快く取材に応じてくれた皆さまに、この場を借りてお礼申し上げます。
Text&Photo: Takashi.KAYABA
東京大学 2年 荒牧 純平 くん エヴァディオ ヴィーナス
まずは学生らしい、いい味を出しているエヴァディオから「フレームは先輩から譲ってもらいました。部で代々乗り継いだフレームで、僕で3人目のオーナーなんです」よく見ればあちこちに使い込まれた痕跡が。
「キシリウムSLのホイールは、西薗さんから譲ってもらいました。サドルは部室に捨てられていたものですが、まだ使えそうだったんで」。このなんとも大学生らしい感じが微笑ましい。「お金が貯まったらサドルとコンポを変えたいですねぇ」
明星大学 米内 蒼馬 くん グラファイトデザイン メテオ スピード
グラファイトデザインにデュラエース、ボーラに極めつけはSRM!こう言っては何だが、とても学生のバイクとは思えない豪華装備満載のレースバイクに思わず足を止めた。「しなやかな感じが独特のフレームなんですが、自分にはすごく合っていてかなり好きです」。ところでコレ、誰かの貢ぎモノ?それともキミは、学生IT社長か何か??「じつは自分のバイクを壊してしまったので、全て監督さんから借りて、今は乗らせていただいているんです」とのこと。なぜだか少しホッとしたのでした。
東京大学 4年 西薗 良太 くん KOGA キメラロード
すでにシマノレーシングへの加入が決定し、この外苑クリテでシリーズ年間王者に輝くなど、この日最も注目が集まっていた西薗くん。今日のバイクは早くもシマノレーシング仕様のKOGA。さすがー!と思ってよく見るとフレームに「の」の文字。「じつはこのバイクは、野寺監督のお下がりなんです。自分用はもう少し先になるようです」カメラを向けると「ちょっと待ってもらえますか。」とシマノレーシングのアームウォーマーをわざわざ装着するあたり、早くもプロらしい振る舞いを見せていました。
明治学院大学 梅田 尚孝 くん アンカー RHM9RS
今日はアタックを続ける走りをしたいという梅田くん。前に乗っていたRFX-8から、監督の薦めもあって最近このRHM9RSに乗り換えた。「力を受け止めてくれる頼もしいバイクです」ポイントとなっている、ゴールドのフレームとゴールドのバーテープには監督の「優勝してゴールドメダルを」という思いが入っているそう。「このバイクにして入賞できたし、それでクラスも上がることができました!」というアンカーは、梅田くんの成績に大貢献している。
ここでちょっとひと休み。
クルマに自転車って何台積めるの?
会場を回っていて気になる光景に出会ったのがこちら。学生たちがワゴン車の上に自転車を乗せ始めた。1台、2台、3台、4台・・・次から次にどんどん屋根の上に。最終的にその数、なんと12台!こんなに積めるなんて、正直に言って知りませんでした。しかもコレ、まだ屋根の上だけ。室内にも乗せたら、一体何台積めるの?
積み込みをしていた日本大学の学生に聞いてみたところ、今日はこれでもまだ少ないそうです。40台以上をクルマ3台に積み込んで移動することもあるそう。
鹿屋体育大学 1年 山本 元喜 くん キャノンデール スーパーSIX Hi-MOD
2010年のU23全日本チャンピオンに輝き、大学生にしてツール・ド・北海道をステージ優勝するなど、すでに大学生を超えた実力を発揮する山本 元喜くん。彼の足下を支えるバイクは、キャノンデール スーパーSIX「すごく軽くてよく進むし最高のバイクです!」と絶賛する。高校時代から使っているという真っ赤なフルクラムレーシングZEROと、鹿屋体育大学メンバーお揃いの赤いフレームは、まるで全日本チャンピオンカラーのようです。
中央大学 2年 勝谷 勝治 くん イリベ オーダーバイク
黒字にゴールドの文字、トップチューブに漢字で入る名前。学生らしからぬ渋いバイクは、奈良の自転車工房イリベのフルオーダーバイク。「体に合ったバイクが欲しかったので、イリベでオーダーしました。コロンバス スターシップのアルミフレームです」「このブラックとゴールドも自分でチョイスしたんです。でもいま大学選手権に同じカラーのイリベが僕を含めて3人いるんです。みんな強い先輩たちなんで頑張らないと」。派手なメーカーバイクに混じって目立っていた。
中京大学 2年 中根 英登 くん デ・ローザ キング3
デ・ローザ キングが目に止まり、思わず声をかけたのは中京大学の中根くん。「まだ大学選手権で同じバイクに出会ったことありません」そりゃそうでしょう。誰もが憧れるデ・ローザのしかもキング3なんだから。「たまたま格安で手に入れることができたんです。こんな立派なバイクに乗れるなんて幸せです。自分には勿体ないくらいですよ」と謙遜する彼、じつはチームユーラシアにも所属する将来を期待された選手なんです。今日はピセイのチームユーラシアジャージで決めている。
ここでちょっと番外編。学生たちの大先輩の自転車をご紹介。
早稲田大学OB 小梁さん 土屋製作所 エベレスト チャンピオン
後輩たちを応援に来た小梁さん。自らも大学生レーサーだったそう。その当時のバイクで会場に来られていました。「土屋製作所で、45年前に作った自転車だよ。今から43年前の国体を走って落車してさあ、頭に来たからすぐに競技辞めちゃったんだよ。もう自転車なんか見るのも嫌でね、そのまま部屋に放っておいたんだ。でも最近また乗ろうと思って直したんだ」「ほら、この辺の傷なんか、そのときの傷そのまんま」
最後に、会場で発見した壊れモノたち
カタチあるもの、いつかは壊れる。激しいレースの世界では、アクシデントだって付きもの。できればあんまり出会いたくはないけれど、会場で出会った壊れ物をキャッチしてきました。
最初は見事にアルミスポーク2本が折れたホイールと、奥に見えるのはフレームのハンガーごと折れてしまったリアディレーラー。ちょっと調整の甘かったリアディレーラーがスポークを巻き込んでこんなことに。
次は、カーボンフロントフォークが無惨にちぎれてしまっているコレ。グループ1のレースで起きた序盤の落車に巻き込まれてこんな無惨な姿に。こんな状態になってしまうなんて、相当な衝撃が加わったことが予想される。幸いライダーには大きな怪我はなかったらしい。
いかがでしたか、2回に渡ってお届けした、「神宮外苑クリテリウムに見る いまどき大学生の自転車事情」
快く取材に応じてくれた皆さまに、この場を借りてお礼申し上げます。
Text&Photo: Takashi.KAYABA
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