2019/05/09(木) - 10:33
ウィリエール日本代理店の担当者 キット北村さんの”石畳を制する旅もいよいよ最終回。ベルギー人の仕事仲間たちとクラシックの女王パリ〜ルーベを追いかけ観戦します。北の地獄と言われるパヴェはスリルと危険がいっぱい。そして療養中のテルプストラとの再会も果たします。
パリ〜ルーベをベルギーの仲間達と観戦!
市民レースのパリ〜ルーベチャレンジを走った翌日の日曜日は、ベルギーのウィリエールディーラーのブルノ店長と西フランドルの友達のクリスの友達ら大勢と一緒にパリ〜ルーベの観戦をすることに。
『こんなに大人数でどうやって移動観戦するの?』と思っていたが、大きなバンがやってきて、乗り合いで8人ずつに分かれて石畳を堪能することに。翌日にはブリュッセル空港から帰国するので、この日が最後。楽しい石畳の時間も終わりが近づいてきた。最後の楽しい時間がジェットコースターのような観戦になるとは、この時知る由もない…。
VIPカー?に乗せられ、フランスへ!
第117回パリ〜ルーベ当日の朝。観戦のため、ブルノ店長やクリス、そして砂田弓弦カメラマンのオートバイを運転するシギさんらと共に一路フランスを目指す。
地図を片手にレッツゴー! 最初に観戦するのは一番最初の石畳:セクター29**トロワヴィル~アンシーだそうです。どんな観戦になるのでしょうか?全く見当もつきません!本日の私の身の振り方は全てドライバーさん次第ということなんです(汗)。
VIPカー内はベルギーの自転車好きの酔っ払いの集団に!
車内ではベルギーの自転車好きの酔っ払いがたくさんいます。“キット、隣のお嬢さんに手を出したらダメだぞ(笑)、飲み物はベルギービールで良いよな?”と早くも呑んだくれモード。私はお酒にとても弱いので、小さなベルギービールの缶1本でもう致死量です(汗)。またお酒を飲むとすぐに寝てしまうので、飲まされないように頑張ります。車の中にはコーラと水がありますが、絶対に飲ませてくれません(涙)。
石畳の闘いを見る前に凍えそうです
2時間ほど走って、セクター29**トロワヴィル~アンシーに到着しました!西フランドル出身の皆さんは、寒いのに車外で酒とサンドイッチをつまみながら選手らを待ちます。あと小一時間かかるそうなので、私は車の中へ避難、そして爆睡。『なぜ、車の中で寝てしまうの?私達といるのが楽しくないの?』と、冗談でポぺリンゲの昔乙女らに茶化されますが、ベルギーの友達は本当に私がお酒飲めない体質である事を全く理解出来ないようです(汗)。
30分ほど眠り、選手がそろそろ来そうなので、セクターに観客が続々と集まってきます。カメラマンのオートバイも停車し撮影の準備。電柱にのぼるカメラマンさんを撮影する観客達、微笑ましいです。
先頭集団を見終えると、車でレースを追う観客はダッシュで車に飛び乗ります。
選手達がセクターの出口に突っ込んできます。トタル・ディレクトエネルジーの石畳に強いダミアン・ゴダン選手とアドリアン・プティ選手が集団の前の方にいます。先頭集団が過ぎ去ると、ドライバーから“チーム吞んだくれ”に向けて『ダッシュで車に戻れ!』と号令がかかり、周りの観客も走り出します。正直何が起こっているのか? 分かりません。
車に飛び乗り、少し走るとトータルディレクトエネルジーの車が…本当は停車したいけど、VIPカーは止まってくれません。先へと進みます。
石畳序盤は小競り合いです!
セクター29を後にして、セクター28・27・26をチームカーと共にショートカットします。2番目の観戦ポイントはセクター25**サンピトン出口を過ぎた街中でした。ホイールやボトルを持ったメカニックやマッサーが右往左往しています。激しいレースでボトルを落としてしまう事も多いのでしょう。車の中で酔ってくだを巻いている“チーム吞んだくれ”も『ベルギービールを飲んで、オランダビール・ハイ〇ケンを出すのだ!』とわけのわからない事を言いながら、トイレ小休憩です。
クルマでプロトンを追うが、ラリーカー的運転に車酔いしそうです
石畳中盤ともなるとだんだん距離が長く難易度の高いセクターになってきます。VIPカーの揺れ具合も激しくなってきました。VIPカーよりもスピードを出しているチームカーは車の底を激しく擦っており、1台走行不能になってしまったチームカーも見られました。私の乗っているVIPカーのドライバーのハンドルさばきも右へ左へ。かなりのスピードを出しているので非常に怖いですが、何故か懐かしくも思いました。そうか!思い出しました!ラリーカー的運転を私は過去に経験したことがあるのです。それはNippoの大門宏監督の運転です!
およそ11年前に大門宏監督の車にイタリアで乗せて頂いて、暗闇の中ありえないスピードで地元民しか知らないようなローカル道路を走った夜の事を思い出しました。この日アルコールも入っているせいか、正直少しちびってしまいました(汗)。
さて、レースの方はCCCチームが優勝候補のグレッグ・ヴァンアーヴェルマート選手を牽引し、集団をふるいにかけていました。新しいチームカラーであるスパークリングブルーのCento10Proを積んだトタル・ディレクトエネルジーのチームカーが見れたので大満足です。
移動・観戦・猛ダッシュの繰り返しです!
チームカーと共にプロトンの先を走り、観戦ポイントへ。観戦しては猛ダッシュで車に戻り、猛スピードで次の観戦ポイントへ。その繰り返しな一日です。全く落ち着きません! セクターを越える度に先頭集団も小さくなってきました。セクター11*****モンサン・ペヴェルあたりで、優勝候補のペテル・サガン選手やフィリップ・ジルベール選手等の鍵となる選手が目立つ小集団に。
多くの選手の前に立ちはだかる決戦の地:カルフール・ド・ラルブルへ
VIPカーによる観戦ツアーの最終観戦ポイントは、最大難所カルフール・ド・ラルブルです。前日に自分が走ったこのコースを、どんなスピードでプロの選手達が駆け抜けるのか?想像しただけでもワクワクします。
カルフール・ド・ラルブルはサングラスメーカーとして有名なオークリーがブースを作っており、プロトンを待っている間も巨大なスクリーンでレースの展開が分かります。ここが一番の観戦ポイントなのでしょう。目の肥えたパリ〜ルーベの観客たちでごった返しています。鉄柵が無いので、選手やチームカーと距離が無くかなり危険です。
トップ選手達が凄い勢いで熱い観客の中を駆け抜けます。選手が来ると地響きのような歓声と撮影のヘリコプターの音でえらいことになっています。パリ〜ルーベは私の知る“チームで戦うロードレース”ではないように思います。“個 vs 個”のマウンテンバイクのような戦いです。信じられるのは自分の腕のみ!といったような戦いではないでしょうか?
小柄なアントニー・テュルギス選手もチェント10NDRに乗っています。大柄なニキ・テルプストラ選手やダミアン・ゴダン選手やアドリアン・プティ選手が石畳でもチェント10Proに乗っているので、チェント10NDRの宣伝には彼の写真を使う事にします!
この旅の終わりに
今回、シクロワイアードに執筆させてもらったことで、国内自転車メディア界の5大モニュメント(?):“サイクルスポーツ”、“チクリッシモ”、“バイシクルクラブ”、“ファンライド(休刊中)”そして“シクロワイアード”の最後のピースを埋めることが出来ました。20年かけて自転車メディア界の5大モニュメントを制覇です!嬉しい!
最後に私は仕事柄、海外出張が多いのですが、プライベートな海外旅行は久しぶり。いつもは仕事ですから神経を擦り減らして、ストレスフルな海外生活ですが、この旅はベルギーやオランダの友達のサポートでスケジュールを決めず、ケ・セラ・セラな楽しい日々を過ごす事が出来ました!
Dank U Wel, “Team Wilier Triestina-Elro Sport-Covemaecker-Physical Therapy Chris Wheaton.be”& “My Friends in Belgium and Neatherlands”!!!
そして、この記事を日本で書き終えた5月。今度は仕事で訪れることになったイタリアのウィリエール本社で、なんと療養中のニキ・テルプストラ選手に会うことができました。ロンドとルーベを走れなかったぶん、ツール・ド・フランスを頑張るそうです。期待しましょう。
シクロワイアード読者の皆様またいつの日か、私のロード5大モニュメント参戦記の続編を読んで頂けたら幸いです。ありがとうございました。(不肖 北村圭介)
北村圭介(Keisuke “Kitto” Kitamura)プロフィール
若い時にはマウンテンバイクが大好きで、世界中を走り回る。現在はウィリエール・トリエスティーナ、プロロゴ、リッチー、モトレックス等を扱う輸入販売代理店:服部産業株式会社に勤める。元・高校理科教師として日本とアメリカで教鞭をふるった異色の経歴の持ち主。ヨーロッパで走る際には“Team Wilier Triestina-Elro Sport-Covemaecker-Physical Therapy Chris Wheaton.be”に所属する。
photo&text:Keisuke “Kitto” Kitamura
パリ〜ルーベをベルギーの仲間達と観戦!
市民レースのパリ〜ルーベチャレンジを走った翌日の日曜日は、ベルギーのウィリエールディーラーのブルノ店長と西フランドルの友達のクリスの友達ら大勢と一緒にパリ〜ルーベの観戦をすることに。
『こんなに大人数でどうやって移動観戦するの?』と思っていたが、大きなバンがやってきて、乗り合いで8人ずつに分かれて石畳を堪能することに。翌日にはブリュッセル空港から帰国するので、この日が最後。楽しい石畳の時間も終わりが近づいてきた。最後の楽しい時間がジェットコースターのような観戦になるとは、この時知る由もない…。
VIPカー?に乗せられ、フランスへ!
第117回パリ〜ルーベ当日の朝。観戦のため、ブルノ店長やクリス、そして砂田弓弦カメラマンのオートバイを運転するシギさんらと共に一路フランスを目指す。
地図を片手にレッツゴー! 最初に観戦するのは一番最初の石畳:セクター29**トロワヴィル~アンシーだそうです。どんな観戦になるのでしょうか?全く見当もつきません!本日の私の身の振り方は全てドライバーさん次第ということなんです(汗)。
VIPカー内はベルギーの自転車好きの酔っ払いの集団に!
車内ではベルギーの自転車好きの酔っ払いがたくさんいます。“キット、隣のお嬢さんに手を出したらダメだぞ(笑)、飲み物はベルギービールで良いよな?”と早くも呑んだくれモード。私はお酒にとても弱いので、小さなベルギービールの缶1本でもう致死量です(汗)。またお酒を飲むとすぐに寝てしまうので、飲まされないように頑張ります。車の中にはコーラと水がありますが、絶対に飲ませてくれません(涙)。
石畳の闘いを見る前に凍えそうです
2時間ほど走って、セクター29**トロワヴィル~アンシーに到着しました!西フランドル出身の皆さんは、寒いのに車外で酒とサンドイッチをつまみながら選手らを待ちます。あと小一時間かかるそうなので、私は車の中へ避難、そして爆睡。『なぜ、車の中で寝てしまうの?私達といるのが楽しくないの?』と、冗談でポぺリンゲの昔乙女らに茶化されますが、ベルギーの友達は本当に私がお酒飲めない体質である事を全く理解出来ないようです(汗)。
30分ほど眠り、選手がそろそろ来そうなので、セクターに観客が続々と集まってきます。カメラマンのオートバイも停車し撮影の準備。電柱にのぼるカメラマンさんを撮影する観客達、微笑ましいです。
先頭集団を見終えると、車でレースを追う観客はダッシュで車に飛び乗ります。
選手達がセクターの出口に突っ込んできます。トタル・ディレクトエネルジーの石畳に強いダミアン・ゴダン選手とアドリアン・プティ選手が集団の前の方にいます。先頭集団が過ぎ去ると、ドライバーから“チーム吞んだくれ”に向けて『ダッシュで車に戻れ!』と号令がかかり、周りの観客も走り出します。正直何が起こっているのか? 分かりません。
車に飛び乗り、少し走るとトータルディレクトエネルジーの車が…本当は停車したいけど、VIPカーは止まってくれません。先へと進みます。
石畳序盤は小競り合いです!
セクター29を後にして、セクター28・27・26をチームカーと共にショートカットします。2番目の観戦ポイントはセクター25**サンピトン出口を過ぎた街中でした。ホイールやボトルを持ったメカニックやマッサーが右往左往しています。激しいレースでボトルを落としてしまう事も多いのでしょう。車の中で酔ってくだを巻いている“チーム吞んだくれ”も『ベルギービールを飲んで、オランダビール・ハイ〇ケンを出すのだ!』とわけのわからない事を言いながら、トイレ小休憩です。
クルマでプロトンを追うが、ラリーカー的運転に車酔いしそうです
石畳中盤ともなるとだんだん距離が長く難易度の高いセクターになってきます。VIPカーの揺れ具合も激しくなってきました。VIPカーよりもスピードを出しているチームカーは車の底を激しく擦っており、1台走行不能になってしまったチームカーも見られました。私の乗っているVIPカーのドライバーのハンドルさばきも右へ左へ。かなりのスピードを出しているので非常に怖いですが、何故か懐かしくも思いました。そうか!思い出しました!ラリーカー的運転を私は過去に経験したことがあるのです。それはNippoの大門宏監督の運転です!
およそ11年前に大門宏監督の車にイタリアで乗せて頂いて、暗闇の中ありえないスピードで地元民しか知らないようなローカル道路を走った夜の事を思い出しました。この日アルコールも入っているせいか、正直少しちびってしまいました(汗)。
さて、レースの方はCCCチームが優勝候補のグレッグ・ヴァンアーヴェルマート選手を牽引し、集団をふるいにかけていました。新しいチームカラーであるスパークリングブルーのCento10Proを積んだトタル・ディレクトエネルジーのチームカーが見れたので大満足です。
移動・観戦・猛ダッシュの繰り返しです!
チームカーと共にプロトンの先を走り、観戦ポイントへ。観戦しては猛ダッシュで車に戻り、猛スピードで次の観戦ポイントへ。その繰り返しな一日です。全く落ち着きません! セクターを越える度に先頭集団も小さくなってきました。セクター11*****モンサン・ペヴェルあたりで、優勝候補のペテル・サガン選手やフィリップ・ジルベール選手等の鍵となる選手が目立つ小集団に。
多くの選手の前に立ちはだかる決戦の地:カルフール・ド・ラルブルへ
VIPカーによる観戦ツアーの最終観戦ポイントは、最大難所カルフール・ド・ラルブルです。前日に自分が走ったこのコースを、どんなスピードでプロの選手達が駆け抜けるのか?想像しただけでもワクワクします。
カルフール・ド・ラルブルはサングラスメーカーとして有名なオークリーがブースを作っており、プロトンを待っている間も巨大なスクリーンでレースの展開が分かります。ここが一番の観戦ポイントなのでしょう。目の肥えたパリ〜ルーベの観客たちでごった返しています。鉄柵が無いので、選手やチームカーと距離が無くかなり危険です。
トップ選手達が凄い勢いで熱い観客の中を駆け抜けます。選手が来ると地響きのような歓声と撮影のヘリコプターの音でえらいことになっています。パリ〜ルーベは私の知る“チームで戦うロードレース”ではないように思います。“個 vs 個”のマウンテンバイクのような戦いです。信じられるのは自分の腕のみ!といったような戦いではないでしょうか?
小柄なアントニー・テュルギス選手もチェント10NDRに乗っています。大柄なニキ・テルプストラ選手やダミアン・ゴダン選手やアドリアン・プティ選手が石畳でもチェント10Proに乗っているので、チェント10NDRの宣伝には彼の写真を使う事にします!
この旅の終わりに
今回、シクロワイアードに執筆させてもらったことで、国内自転車メディア界の5大モニュメント(?):“サイクルスポーツ”、“チクリッシモ”、“バイシクルクラブ”、“ファンライド(休刊中)”そして“シクロワイアード”の最後のピースを埋めることが出来ました。20年かけて自転車メディア界の5大モニュメントを制覇です!嬉しい!
最後に私は仕事柄、海外出張が多いのですが、プライベートな海外旅行は久しぶり。いつもは仕事ですから神経を擦り減らして、ストレスフルな海外生活ですが、この旅はベルギーやオランダの友達のサポートでスケジュールを決めず、ケ・セラ・セラな楽しい日々を過ごす事が出来ました!
Dank U Wel, “Team Wilier Triestina-Elro Sport-Covemaecker-Physical Therapy Chris Wheaton.be”& “My Friends in Belgium and Neatherlands”!!!
そして、この記事を日本で書き終えた5月。今度は仕事で訪れることになったイタリアのウィリエール本社で、なんと療養中のニキ・テルプストラ選手に会うことができました。ロンドとルーベを走れなかったぶん、ツール・ド・フランスを頑張るそうです。期待しましょう。
シクロワイアード読者の皆様またいつの日か、私のロード5大モニュメント参戦記の続編を読んで頂けたら幸いです。ありがとうございました。(不肖 北村圭介)
北村圭介(Keisuke “Kitto” Kitamura)プロフィール
若い時にはマウンテンバイクが大好きで、世界中を走り回る。現在はウィリエール・トリエスティーナ、プロロゴ、リッチー、モトレックス等を扱う輸入販売代理店:服部産業株式会社に勤める。元・高校理科教師として日本とアメリカで教鞭をふるった異色の経歴の持ち主。ヨーロッパで走る際には“Team Wilier Triestina-Elro Sport-Covemaecker-Physical Therapy Chris Wheaton.be”に所属する。
photo&text:Keisuke “Kitto” Kitamura
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