2019/03/13(水) - 16:18
関西の水がめ、びわ湖を巡る「びわ湖一周ロングライド」が今年も開催された。年々人気の高まる「ビワイチ」へと全国から集まったサイクリストたちが挑戦したレポートをお届けしよう。
日本一大きな湖、びわ湖。肉眼では対岸が見えないほどのスケールの大きな湖に魅せられ、多くのサイクリストたちがびわ湖一周、通称「ビワイチ」へと挑んでいる。特に関西方面のサイクリストにとって、淡路島を一周する「アワイチ」の次の目標として、ビワイチを掲げている方も多いのではないだろうか。
今回シクロワイアードがお邪魔したのは、そんなビワイチをイベントとした「びわ湖一周ロングライド」。今回のスタート/ゴールは歴史ある街並みで知られる長浜。北湖をぐるりと一周するロングライドイベントだ。
新幹線で米原駅まで向かい、そこから在来線で3駅北へ行くと長浜駅へと到着だ。同じように輪行袋を担いだ方々が大勢おり、駅前はちょっとした輪行解除会場の様相を呈している。会場が駅からほど近いのも大きいのだろう、輪行派の占める割合は高めに感じる。
会場となったのは、湖面を見守る長浜城のすぐそば。長浜文化芸術会館に受付が設けられ、明日の大会を走るためのゼッケンやマップを受け取る。受付の横では、びわ湖と霞ヶ浦、浜名湖という日本を代表する3つの湖のPRブースが設けられ、それぞれの魅力をたくさん伝えてくれている。
受付が行われている隣の部屋にはなにやら多くの人が集まっている。何が行われているのだろうかと、気になってのぞき込んでみると、スマートコーチングの安藤代表による自転車クリニックの真っ最中だった。
ビワイチへと初めて挑む方も多い大会だけあって、ロングライドに役立つTipsが盛りだくさん。長距離でも疲れづらく、とっさの反応もしやすい上半身の使い方や、雨天時にあると役立つ装備や補給の取り方など、すぐに役立つ情報が盛りだくさん。こういったセミナーを事前にステージで行う大会も多いが、しっかりと屋内で座って受講できるのは頭にも入ってきやすく、身につきやすそうだ。
他にも、パンク修理講座やNILO&LINDAさんによるコンサート、そして地元の名物がたくさん用意された抽選会など、多くの企画が目白押し。中でもNILO&LINDAさんのコンサートはとても透明感のある歌声で引き込まれるステージでした。
会場の前には、色々な物販や地元の名物を味わえるブースもずらりと展開。大会のスポンサーを務める平和堂のブースでは、カラフルなビワイチTシャツも販売され、明日への気分を高めてくれた。
あくる朝、といってもまだ夜は明けきらない4時半頃から豊公園にピカピカとライトをつけたサイクリストたちが集まってくる。北湖のみといっても148km、マキノへとアプローチするセンチュリーコースでは160kmを走るとあって、スタート時間も早めに設定されている。
ステージでは、長浜市長のあいさつ、そして走行上の諸注意がアナウンスされ、最初のスタートとなるセンチュリーコースの参加者たちがスタートラインへと移動を開始。春分を控えた啓蟄の折でもあり、スタート時刻の5時45分を迎えても空は暗い。
一つ、また一つと集団がスタートしていくたびに、空が白んでくる。いったん薄明に染まりだすと、伊吹山からするすると太陽が顔を出してくるまで時間はそうかからない。豊公園を出て、湖岸沿いを走りだす頃合いには、すっかりと明るくなってきた。長年続く大会の時間設定の妙と言えよう。
びわ湖一周ロングライドのコースは、湖を巡るサイクリングの定跡どおり反時計周り。左側通行で湖を近くに感じられるように考えられている。ということで、びわ湖の西側に位置する長浜をスタートしたら、北上していくこととなる。青色看板には敦賀の文字が踊り、山一つ越えれば日本海なのだと実感。
沖合には、ぽつりと竹生島が小さく見える。小島に見えるのだけれど、実はいくつかのお店や神社があるほど大きな島。びわ湖自体の大きさでスケール感が曖昧になってしまっているようだ。古くから信仰を集める神の島でもあり、竹生島弁財天は江の島神社、厳島神社に並ぶ日本三大弁天の一つでもあるのだとか。ちなみに出発した長浜から船に乗って30分ほどで渡ることも出来る。
湖畔沿いを進んでいき、右手にこんもりとそびえる山本山を過ぎるあたりでいったん湖岸沿いを離れる。余呉川沿いを走り、しばらく行くと歴史の教科書でもおなじみの賤ヶ岳が現れる。といっても、峠があるわけではなくトンネルを通るのだけれども。
この賤ヶ岳トンネル、交通量が多い割には道幅が狭いためビワイチの難所としても知られる箇所でもある。警察との協議の結果、今年は800mほどを押して歩くことに。ロード用ビンディングで来ていると大変ではあるが、安全には代えられない。
とはいえ、そこまで長いトンネルでもないので10分ほどで通過。トンネルを出たら、そこには美しい奥びわ湖の風景が広がっていた。大体の傾向として、びわ湖は北へ行けば行くほど水質が良くなっていく。南のほうが都市化されており、排水などが多いためだ。
もう一つトンネルをくぐり抜けると、その先にこの大会初となるエイドステーションが待っていた。道の駅塩津街道あぢかまに設けられたエイドステーションでは、温かいお味噌汁とおにぎり、そしていのししコロッケが振る舞われた。
道の駅近くの野山で育ったという猪肉をふんだんに使ったコロッケはどこか野趣溢れる味。おにぎりとお味噌汁も心づくしの優しい味わいで、朝一のエイドステーションに相応しいおもてなし。身体も心も温まり、先へ急ぐのであった。
後編に続く。
text&photo:Naoki.Yasuoka
日本一大きな湖、びわ湖。肉眼では対岸が見えないほどのスケールの大きな湖に魅せられ、多くのサイクリストたちがびわ湖一周、通称「ビワイチ」へと挑んでいる。特に関西方面のサイクリストにとって、淡路島を一周する「アワイチ」の次の目標として、ビワイチを掲げている方も多いのではないだろうか。
今回シクロワイアードがお邪魔したのは、そんなビワイチをイベントとした「びわ湖一周ロングライド」。今回のスタート/ゴールは歴史ある街並みで知られる長浜。北湖をぐるりと一周するロングライドイベントだ。
新幹線で米原駅まで向かい、そこから在来線で3駅北へ行くと長浜駅へと到着だ。同じように輪行袋を担いだ方々が大勢おり、駅前はちょっとした輪行解除会場の様相を呈している。会場が駅からほど近いのも大きいのだろう、輪行派の占める割合は高めに感じる。
会場となったのは、湖面を見守る長浜城のすぐそば。長浜文化芸術会館に受付が設けられ、明日の大会を走るためのゼッケンやマップを受け取る。受付の横では、びわ湖と霞ヶ浦、浜名湖という日本を代表する3つの湖のPRブースが設けられ、それぞれの魅力をたくさん伝えてくれている。
受付が行われている隣の部屋にはなにやら多くの人が集まっている。何が行われているのだろうかと、気になってのぞき込んでみると、スマートコーチングの安藤代表による自転車クリニックの真っ最中だった。
ビワイチへと初めて挑む方も多い大会だけあって、ロングライドに役立つTipsが盛りだくさん。長距離でも疲れづらく、とっさの反応もしやすい上半身の使い方や、雨天時にあると役立つ装備や補給の取り方など、すぐに役立つ情報が盛りだくさん。こういったセミナーを事前にステージで行う大会も多いが、しっかりと屋内で座って受講できるのは頭にも入ってきやすく、身につきやすそうだ。
他にも、パンク修理講座やNILO&LINDAさんによるコンサート、そして地元の名物がたくさん用意された抽選会など、多くの企画が目白押し。中でもNILO&LINDAさんのコンサートはとても透明感のある歌声で引き込まれるステージでした。
会場の前には、色々な物販や地元の名物を味わえるブースもずらりと展開。大会のスポンサーを務める平和堂のブースでは、カラフルなビワイチTシャツも販売され、明日への気分を高めてくれた。
あくる朝、といってもまだ夜は明けきらない4時半頃から豊公園にピカピカとライトをつけたサイクリストたちが集まってくる。北湖のみといっても148km、マキノへとアプローチするセンチュリーコースでは160kmを走るとあって、スタート時間も早めに設定されている。
ステージでは、長浜市長のあいさつ、そして走行上の諸注意がアナウンスされ、最初のスタートとなるセンチュリーコースの参加者たちがスタートラインへと移動を開始。春分を控えた啓蟄の折でもあり、スタート時刻の5時45分を迎えても空は暗い。
一つ、また一つと集団がスタートしていくたびに、空が白んでくる。いったん薄明に染まりだすと、伊吹山からするすると太陽が顔を出してくるまで時間はそうかからない。豊公園を出て、湖岸沿いを走りだす頃合いには、すっかりと明るくなってきた。長年続く大会の時間設定の妙と言えよう。
びわ湖一周ロングライドのコースは、湖を巡るサイクリングの定跡どおり反時計周り。左側通行で湖を近くに感じられるように考えられている。ということで、びわ湖の西側に位置する長浜をスタートしたら、北上していくこととなる。青色看板には敦賀の文字が踊り、山一つ越えれば日本海なのだと実感。
沖合には、ぽつりと竹生島が小さく見える。小島に見えるのだけれど、実はいくつかのお店や神社があるほど大きな島。びわ湖自体の大きさでスケール感が曖昧になってしまっているようだ。古くから信仰を集める神の島でもあり、竹生島弁財天は江の島神社、厳島神社に並ぶ日本三大弁天の一つでもあるのだとか。ちなみに出発した長浜から船に乗って30分ほどで渡ることも出来る。
湖畔沿いを進んでいき、右手にこんもりとそびえる山本山を過ぎるあたりでいったん湖岸沿いを離れる。余呉川沿いを走り、しばらく行くと歴史の教科書でもおなじみの賤ヶ岳が現れる。といっても、峠があるわけではなくトンネルを通るのだけれども。
この賤ヶ岳トンネル、交通量が多い割には道幅が狭いためビワイチの難所としても知られる箇所でもある。警察との協議の結果、今年は800mほどを押して歩くことに。ロード用ビンディングで来ていると大変ではあるが、安全には代えられない。
とはいえ、そこまで長いトンネルでもないので10分ほどで通過。トンネルを出たら、そこには美しい奥びわ湖の風景が広がっていた。大体の傾向として、びわ湖は北へ行けば行くほど水質が良くなっていく。南のほうが都市化されており、排水などが多いためだ。
もう一つトンネルをくぐり抜けると、その先にこの大会初となるエイドステーションが待っていた。道の駅塩津街道あぢかまに設けられたエイドステーションでは、温かいお味噌汁とおにぎり、そしていのししコロッケが振る舞われた。
道の駅近くの野山で育ったという猪肉をふんだんに使ったコロッケはどこか野趣溢れる味。おにぎりとお味噌汁も心づくしの優しい味わいで、朝一のエイドステーションに相応しいおもてなし。身体も心も温まり、先へ急ぐのであった。
後編に続く。
text&photo:Naoki.Yasuoka