2018/12/16(日) - 11:51
秋も深まる中、山梨県富士川エリアで開催された南アルプスロングライド。2日間に渡って行われたイベントの中でも、2日目に開催されたツール・ド・富士川ステージのレポート後編をお届けしよう。記事最後にはダイジェスト動画も。
林道の中を走る少しテクニカルな下りをこなした後は、46km地点の第2エイドステーションとなる富士川クラフトパークにピットイン。銀杏並木の登り坂の上にある公園で、併設されているカジュアルフレンチレストラン「スヴニール」のシェフが腕によりを掛けたという爽やかレモンパウンドケーキを頂く。
かなり手が込んでいるというケーキは、しっとりとした食感にレモンの風味とほのかな甘さ。まるで初恋の記憶を思い出させるような爽やかな味わいだ。(列に並んでいた参加者の方が仰ってた。)どちらかというと私の初恋の味は確か神戸で食べた紅茶のパウンドケーキなのだが、そんな事は枝葉末節の事柄である。
東京ドーム11個分にも及ぶという富士川クラフトパークの敷地内にはカヌー場や生垣でできた迷路、そしてバラ園などもあり、一休みするにはもってこいの場所。この日は地元のマラソン大会なども開催されており、地域の人々の憩いの場として愛されているようだ。一呼吸置いたら次なるエイドステーションに向かって出発である。
といってもここから次のエイドステーションである久那土体育までは15kmほどの距離。その上、アップダウンも緩めとなっており、平坦っぽい区間と言ってもいいかも知れない。もちろん完全な平坦ではないわけだが。2つの橋を渡り進んでいくと第3エイドステーションとなる久那土体育館に到着である。
この久那土体育館エイドでは待ちに待ったランチタイム。そしてメニューは富士川エリアの食材をふんだんに使用し、地元のお料理屋さんが腕を振るって用意してくれた「こしべんと」。その上、3つの志向の異なるこしべんとがラインアップされており、自分の好きなものをチョイスすることができるのだ。
今回シクロワイアード編集部員が選んだのは市川三郷にお店を構える割烹料理屋さんのとりしんのこしべんとと、富士川町にお店を構えるお寿司屋さん、おかめ鮨のこしべんとだ。それぞれ地元素材を使用した炊き込みご飯やコロッケ、かき揚げなど、富士川エリアの美味しいものをこれでもかと詰め込んだ魅力的なお弁当である。
ロングライドイベントでお昼ご飯にしっかりとボリュームたっぷりのお弁当が出ることは珍しく、その上、3種類の中から選べるというのは至れり尽くせりの高待遇。もちろんそのメニューも工夫に富んでおり、一口一口で幸せな気持ちになることが出来る。我々もあっという間に平らげてしまった。
食休みも兼ねてゆっくりする方も多い久那土体育館。その一角には何故かスポーツ綱渡りのスラックラインが設置されていた。インストラクターの方もおり、気軽に挑戦することが出来るとのことで、ゲストライダーの石垣美帆さんが挑戦。立つのすら難しいと悪戦苦闘。ただその様子を見ていた皆さんからは「足長くていいなぁ」と感嘆の声が漏れていた。
お腹を満たしたら再度出発。この先は全長7km、約400mを登るヒルクライムが待ち受けている。ここまでの道のりでもかなり登ったような気がするが、それらは序の口に過ぎなかったようで、本格的な登りはここからだ。既にかなり足を消耗しているため、このタイミングの峠道は非常にきついものがあるが、黙々とペダルを回し高度を上げていく。最後の直登を登った先には富士川町を見渡す絶景が待っている。
山頂からの眺めを堪能しつつ仲間との合流を果たしたら、市川三郷町まで一気にダウンヒル。そのままのペースで第4エイドステーションとなるみたまの湯を目指す登り区間に突入。先程の登りとは異なり少し緩めの勾配をテンポよくペダルを回しながら上がっていく。程なくしたらみたまの湯に到着だ。
第4エイドステーションとなっているみたまの湯は南アルプスや八ヶ岳の山々と、眼科に広がる甲府盆地を眺めながらお風呂に入れる温浴施設。本大会に参加すると入浴券が貰えるため、走り終わった後に車で寄って汗を流した参加者の方々も多いことだろう。
こちらのエイドでは高級キウイの「レインボーレッド」とにんじん羊羹が用意されている。レインボーレッドはその名の通り、果肉の真ん中が少し赤いのが特徴のキウイで、ただひたすらに甘い。一般的なキウイとは全く異なる味わいとなっているため、是非食べてみて欲しい。そしてにんじん羊羹は鮮やかなキャロットオレンジをしているが、ニンジン要素はほぼゼロ。普通の羊羹のように甘く美味しく頂けるため、疲れた身体に糖分が染み渡る。
その後は最終エイドであり、最後の登りでもあり、最難関かつ、最高の景色が楽しめる「みさき耕舎」へ至る登りへ向かっていく。途中、フィニッシュ地点である道の駅富士川を横目に通過していくため、脚の調子によってはそこでフィニッシュすることも出来る。しかし、以外にもここでフィニッシュする人は少ない。皆さんここまで来たらどんな登りでもどーんと来いという心持ちなのだろうか。
最後の登りのみ「ヒルクライムチャレンジ」と称した計測区間となっている。とは言っても計測機材などを使用しているわけではなく、あくまで自らのストップウォッチで自己計測してくださいという緩めのルール。しかし完走後には表彰もされるため全力で走りたいところだ。
とはいってもここまで100kmほどを走破している訳で、とても脚に余裕があるとは言えない状況。流石にどなたも疲労の色を隠せないが、ヒルクライマーの血がそうさせるのか、前だけを見て登り続ける。タイミングが合わず会うことが出来なかったが、エース栗原さんはこの登りをランニングで登ったというから驚きだ。
序盤の鬱蒼とした森セクションを抜けると集落区間に入る。ここまで来ると斜度は少し落ち着きを見せる。フィニッシュ地点となるみさき耕舎の姿も確認することができ、自然と力が入る。そして雄大な富士山の姿が見える区間も。しかし登っている間はそれどころではなく、ただペダルを回すのみ。フィニッシュが近づくと山梨学院大学自転車競技部の主将が「回せ回せー!」と学生らしい応援をしてくれるので、あともう少しとペダルに力を込め、フィニッシュラインに転がり込む。
タイムを係の人に伝えたらヒルクライムチャレンジは完了。標高が高く、日が傾き始めていることもあり、肌寒くなっているので、ウインドブレーカーを着込む。そして第5エイドのグルメ頂くことに。ここでは温かいゆず湯とラ・フランスが頂ける。ゆず湯は甘い砂糖水にゆずピールを入れたもので、糖分とクエン酸が身体に染み渡る。加えてラ・フランスはフレッシュ&ジューシーで美味しい。
もうここがゴールでいいのではないか?という気分にもなるが、そういうわけにもいかないので、サクッと下り道の駅富士川へ。太陽も今日の役目を終えようとしたタイミングでフィニッシュゲートをくぐる。フィニッシュ後にはヒルクライムチャレンジの表彰式などもあり入賞した方には豪華賞品が。また、土曜日と同じように郷土料理の「みみ」も振る舞われ、冷えた身体を温めてくれる。
こしべんとに代表される美味しいグルメと、ビギナーからベテランまで楽しめる走りごたえのあるコースで、山梨県の魅力を堪能出来る南アルプスロングライド。サイクリングシーズンの締めとして毎年参加したくなるような魅力的なイベントであった。
text&photo:Kosuke.Kamata
photo:Gakuto.Fujiwara
林道の中を走る少しテクニカルな下りをこなした後は、46km地点の第2エイドステーションとなる富士川クラフトパークにピットイン。銀杏並木の登り坂の上にある公園で、併設されているカジュアルフレンチレストラン「スヴニール」のシェフが腕によりを掛けたという爽やかレモンパウンドケーキを頂く。
かなり手が込んでいるというケーキは、しっとりとした食感にレモンの風味とほのかな甘さ。まるで初恋の記憶を思い出させるような爽やかな味わいだ。(列に並んでいた参加者の方が仰ってた。)どちらかというと私の初恋の味は確か神戸で食べた紅茶のパウンドケーキなのだが、そんな事は枝葉末節の事柄である。
東京ドーム11個分にも及ぶという富士川クラフトパークの敷地内にはカヌー場や生垣でできた迷路、そしてバラ園などもあり、一休みするにはもってこいの場所。この日は地元のマラソン大会なども開催されており、地域の人々の憩いの場として愛されているようだ。一呼吸置いたら次なるエイドステーションに向かって出発である。
といってもここから次のエイドステーションである久那土体育までは15kmほどの距離。その上、アップダウンも緩めとなっており、平坦っぽい区間と言ってもいいかも知れない。もちろん完全な平坦ではないわけだが。2つの橋を渡り進んでいくと第3エイドステーションとなる久那土体育館に到着である。
この久那土体育館エイドでは待ちに待ったランチタイム。そしてメニューは富士川エリアの食材をふんだんに使用し、地元のお料理屋さんが腕を振るって用意してくれた「こしべんと」。その上、3つの志向の異なるこしべんとがラインアップされており、自分の好きなものをチョイスすることができるのだ。
今回シクロワイアード編集部員が選んだのは市川三郷にお店を構える割烹料理屋さんのとりしんのこしべんとと、富士川町にお店を構えるお寿司屋さん、おかめ鮨のこしべんとだ。それぞれ地元素材を使用した炊き込みご飯やコロッケ、かき揚げなど、富士川エリアの美味しいものをこれでもかと詰め込んだ魅力的なお弁当である。
ロングライドイベントでお昼ご飯にしっかりとボリュームたっぷりのお弁当が出ることは珍しく、その上、3種類の中から選べるというのは至れり尽くせりの高待遇。もちろんそのメニューも工夫に富んでおり、一口一口で幸せな気持ちになることが出来る。我々もあっという間に平らげてしまった。
食休みも兼ねてゆっくりする方も多い久那土体育館。その一角には何故かスポーツ綱渡りのスラックラインが設置されていた。インストラクターの方もおり、気軽に挑戦することが出来るとのことで、ゲストライダーの石垣美帆さんが挑戦。立つのすら難しいと悪戦苦闘。ただその様子を見ていた皆さんからは「足長くていいなぁ」と感嘆の声が漏れていた。
お腹を満たしたら再度出発。この先は全長7km、約400mを登るヒルクライムが待ち受けている。ここまでの道のりでもかなり登ったような気がするが、それらは序の口に過ぎなかったようで、本格的な登りはここからだ。既にかなり足を消耗しているため、このタイミングの峠道は非常にきついものがあるが、黙々とペダルを回し高度を上げていく。最後の直登を登った先には富士川町を見渡す絶景が待っている。
山頂からの眺めを堪能しつつ仲間との合流を果たしたら、市川三郷町まで一気にダウンヒル。そのままのペースで第4エイドステーションとなるみたまの湯を目指す登り区間に突入。先程の登りとは異なり少し緩めの勾配をテンポよくペダルを回しながら上がっていく。程なくしたらみたまの湯に到着だ。
第4エイドステーションとなっているみたまの湯は南アルプスや八ヶ岳の山々と、眼科に広がる甲府盆地を眺めながらお風呂に入れる温浴施設。本大会に参加すると入浴券が貰えるため、走り終わった後に車で寄って汗を流した参加者の方々も多いことだろう。
こちらのエイドでは高級キウイの「レインボーレッド」とにんじん羊羹が用意されている。レインボーレッドはその名の通り、果肉の真ん中が少し赤いのが特徴のキウイで、ただひたすらに甘い。一般的なキウイとは全く異なる味わいとなっているため、是非食べてみて欲しい。そしてにんじん羊羹は鮮やかなキャロットオレンジをしているが、ニンジン要素はほぼゼロ。普通の羊羹のように甘く美味しく頂けるため、疲れた身体に糖分が染み渡る。
その後は最終エイドであり、最後の登りでもあり、最難関かつ、最高の景色が楽しめる「みさき耕舎」へ至る登りへ向かっていく。途中、フィニッシュ地点である道の駅富士川を横目に通過していくため、脚の調子によってはそこでフィニッシュすることも出来る。しかし、以外にもここでフィニッシュする人は少ない。皆さんここまで来たらどんな登りでもどーんと来いという心持ちなのだろうか。
最後の登りのみ「ヒルクライムチャレンジ」と称した計測区間となっている。とは言っても計測機材などを使用しているわけではなく、あくまで自らのストップウォッチで自己計測してくださいという緩めのルール。しかし完走後には表彰もされるため全力で走りたいところだ。
とはいってもここまで100kmほどを走破している訳で、とても脚に余裕があるとは言えない状況。流石にどなたも疲労の色を隠せないが、ヒルクライマーの血がそうさせるのか、前だけを見て登り続ける。タイミングが合わず会うことが出来なかったが、エース栗原さんはこの登りをランニングで登ったというから驚きだ。
序盤の鬱蒼とした森セクションを抜けると集落区間に入る。ここまで来ると斜度は少し落ち着きを見せる。フィニッシュ地点となるみさき耕舎の姿も確認することができ、自然と力が入る。そして雄大な富士山の姿が見える区間も。しかし登っている間はそれどころではなく、ただペダルを回すのみ。フィニッシュが近づくと山梨学院大学自転車競技部の主将が「回せ回せー!」と学生らしい応援をしてくれるので、あともう少しとペダルに力を込め、フィニッシュラインに転がり込む。
タイムを係の人に伝えたらヒルクライムチャレンジは完了。標高が高く、日が傾き始めていることもあり、肌寒くなっているので、ウインドブレーカーを着込む。そして第5エイドのグルメ頂くことに。ここでは温かいゆず湯とラ・フランスが頂ける。ゆず湯は甘い砂糖水にゆずピールを入れたもので、糖分とクエン酸が身体に染み渡る。加えてラ・フランスはフレッシュ&ジューシーで美味しい。
もうここがゴールでいいのではないか?という気分にもなるが、そういうわけにもいかないので、サクッと下り道の駅富士川へ。太陽も今日の役目を終えようとしたタイミングでフィニッシュゲートをくぐる。フィニッシュ後にはヒルクライムチャレンジの表彰式などもあり入賞した方には豪華賞品が。また、土曜日と同じように郷土料理の「みみ」も振る舞われ、冷えた身体を温めてくれる。
こしべんとに代表される美味しいグルメと、ビギナーからベテランまで楽しめる走りごたえのあるコースで、山梨県の魅力を堪能出来る南アルプスロングライド。サイクリングシーズンの締めとして毎年参加したくなるような魅力的なイベントであった。
text&photo:Kosuke.Kamata
photo:Gakuto.Fujiwara
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