2018/11/13(火) - 12:10
全国津々浦々でロングライドイベントを開催するグレイトアース。そのルーツともなったのが、今回レポートする石垣島ライド。ついに11年目を迎えたライドイベントが今年もスタートを切った。
前代未聞の、少なくとも国内イベントでは寡聞にして聞いたことがない、洋上での前夜祭というなんともラグジュアリーな一夜からあくる朝7時ごろ。ロングライドイベントとしてはすこしゆったりめの時間に、メイン会場となる舟蔵公園へ続々とサイクリスト達が集まってくる。
新たな10年の第一歩を歩み始めたグレイトアースを祝うかのような雲一つない澄明な空。降り注ぐ陽差しはぽかぽかとしていて、半袖ジャージでも肌寒さは感じない。南国らしい軽装は心を軽やかに、グレイトアース恒例のラジオ体操で身体も軽やかに。125kmへと挑む準備は万端だ。
コースは石垣島の南西端に位置するスタート地点から、最北端にある平久保崎を目指して往復するというもの。基本的には海沿いを走るためわかりやすく、そして美しい大海原を楽しめるコースでもある。
さて、8時のスタート時刻と同時に第1グループが出発。舟蔵公園を左へ出て、時計回りに島を北へと向かっていく。前夜祭で海の上から見ていた道を自転車で走り抜けていくのは、不思議な気分。
リゾートらしい砂浜が広がるビーチが見えたかと思えば、これもまた南国情緒満点のマングローブ林となったり、海沿いを走っていくだけでも、景色はどんどんと移り変わっていく。
そんな情景を楽しみつつ、海沿いの平坦路を快適に走り抜けていく……とはならなかった。そう、石垣島の南側に位置していた台風のおかげ(?)で、かなり強めの北風(つまり北へと進む私たちには向かい風だ)が吹きつけており、単独走は相当辛い状態に。
写真を撮りつつ走っていくと、海岸線の向こうに集団の姿が。エアロポジションで踏みまくり、どうにか集団に追いつくと圧倒的に楽で、もうここから抜け出すことなんて考えられない居心地の良さである。
その居心地の良さを作ってくれているのが、「おーりとーり隊」と名付けられたサポートライダーの方々。地元を知り尽くしたライダーがしっかりとアテンドしてくれる集団は、最高に走りやすい。ちなみに自分のいた集団では、延々と先頭を牽いてくれる無尽蔵の体力を見せつけてくれた。
更に、海沿いといっても平坦というわけではなく、岬の区間はかなりパンチの効いたアップダウンの連続。それでも登りでペースを上げ過ぎず、下りでも休みすぎず、絶妙なペースメイクに、おーりとーり隊のレベルの高さを実感。
そんなベテランライダーにエスコートされて名蔵湾を一周し、石垣島最西端となる御神崎を走り抜いて、第1エイドへと到着。とんとことんとこ、と太鼓を叩いて地元の子どもたちが迎えてくれるのを見ると、自然に僕らも笑顔になってしまう。
こちらで用意されていたのは、石垣島産のひとめぼれを使った「じゅうしいおにぎり」や「赤米おにぎり」、地元産のパインジャムを添えたヨーグルトムースに、ホッと一息つける冬瓜ノスープ。並べるとちょっとした朝ごはん風のラインアップだけれど、強い向かい風とアルデンヌクラシックのようなアップダウンによって、かなりカロリーを消費した身体にはちょうど良い。
もう一つおにぎりを頂くか、後ろ髪を引かれながら再スタート。ここからしばらくは県道79号線をずっと走っていく。観光スポットひしめく石垣島の中でもひと際高い人気を誇る川平湾を左に望みつつ、アップダウンをこなしていく。
いくつもの丘を越えて第2エイドの米原ビーチへ。サンゴが削れることで作り上げられた白砂が広がるビーチでは、シュノーケリングなども楽しめる人気のスポットなのだとか。こちらでは沖縄のロングライドイベントに欠かせないサーターアンダギーを頂く。外はサクサク、中はしっとりとしたサーターアンダギーは何度食べてもおいしいもの。
甘味で元気をもらったら、まだまだ北へとペダルを回す。米子焼の巨大なシーサー像が見守る米原市街を通りすぎて、いくつもの丘へと再び挑んでいく。2分ほど踏んで登って、下って、を繰り返す。時たま現れる平坦も向かい風なので、ある程度のペースで走ると結構な強度になる。さながらLTインターバルの様で、がっつり走りたい派もかなり満足できそうだ。聞いたところによれば、ツール・ド・おきなわに向けて南国の気候に慣れておくためにわざわざ参加する強者もいるのだとか。
とはいえ、別に初心者お断り、というようなハードルの高さではないのでご安心を。あくまでそれなりに走れる人たちの集まった集団の話であって、どの坂も距離は短いのでマイペースで登る分には疲労は少ないはず。もちろん、頑張りすぎるのは禁物だ。
走り応えのあるヒルクライムと紺碧の海へとそのまま飛び込んでしまいそうなダウンヒルをいくつも楽しんでいると、いきなり視界が開ける。石垣牛を育てているだろう草原には牧草ロールが積まれており、先月のグレートアース南北海道ライドを思い出す。これからの季節だと石垣牛のほうが気持ちよく暮らすことが出来そうだな、なんて考えていると、3つ目のエイドに到着。
石垣島がくびれている伊原間湾奥にある船越(フナクヤー)漁港に設けられたエイドステーションの入口では、地元の少年野球チーム「真喜良サンウェーブ」の子供たちが元気よく誘導してくれるので、間違えて通り過ぎるなんてことは100%無い。
相変わらず風は強いのだけれど、湾奥にある漁港の水面はほとんど凪のように穏やか。どうやら少し早く着きすぎたとのことで、準備が整うまでお先に用意されていた請福さんの「飲む酢 シークヮーサー」をいただくことに。
普段、飲む酢なんてあんまり縁がないけれど、このシークヮーサー酢は酸っぱすぎず、飲みやすい。疲れてきた身体に染み入るかのようで、たっぷり入ったクエン酸が活力を与えてくれるのが体感できる。
10分ほど待っていたら「できましたよー!」という呼び声。ぞろぞろと休憩していた参加者のみなさんの手に渡されたのは、ボリュームたっぷりの沖縄そば。普通の沖縄そばよりも麺が細めで黄色いような?と思っていると、「これは八重山そばなんですよ」とのこと。
豚肉が細切れで乗っていたり、ちょっと固めの食感だったりと他にも沖縄そばとはすこし違う印象。どちらかというと、自分はしっかりコシが強い八重山そばのほうが好きかもしれない。じゅーしーのおにぎりと合わせていただくと、八重山そば定食、といわれてもおかしくないほどのボリュームで、後半戦に備えた腹ごしらえができたのだった。
text&photo:Naoki.Yasuoka
前代未聞の、少なくとも国内イベントでは寡聞にして聞いたことがない、洋上での前夜祭というなんともラグジュアリーな一夜からあくる朝7時ごろ。ロングライドイベントとしてはすこしゆったりめの時間に、メイン会場となる舟蔵公園へ続々とサイクリスト達が集まってくる。
新たな10年の第一歩を歩み始めたグレイトアースを祝うかのような雲一つない澄明な空。降り注ぐ陽差しはぽかぽかとしていて、半袖ジャージでも肌寒さは感じない。南国らしい軽装は心を軽やかに、グレイトアース恒例のラジオ体操で身体も軽やかに。125kmへと挑む準備は万端だ。
コースは石垣島の南西端に位置するスタート地点から、最北端にある平久保崎を目指して往復するというもの。基本的には海沿いを走るためわかりやすく、そして美しい大海原を楽しめるコースでもある。
さて、8時のスタート時刻と同時に第1グループが出発。舟蔵公園を左へ出て、時計回りに島を北へと向かっていく。前夜祭で海の上から見ていた道を自転車で走り抜けていくのは、不思議な気分。
リゾートらしい砂浜が広がるビーチが見えたかと思えば、これもまた南国情緒満点のマングローブ林となったり、海沿いを走っていくだけでも、景色はどんどんと移り変わっていく。
そんな情景を楽しみつつ、海沿いの平坦路を快適に走り抜けていく……とはならなかった。そう、石垣島の南側に位置していた台風のおかげ(?)で、かなり強めの北風(つまり北へと進む私たちには向かい風だ)が吹きつけており、単独走は相当辛い状態に。
写真を撮りつつ走っていくと、海岸線の向こうに集団の姿が。エアロポジションで踏みまくり、どうにか集団に追いつくと圧倒的に楽で、もうここから抜け出すことなんて考えられない居心地の良さである。
その居心地の良さを作ってくれているのが、「おーりとーり隊」と名付けられたサポートライダーの方々。地元を知り尽くしたライダーがしっかりとアテンドしてくれる集団は、最高に走りやすい。ちなみに自分のいた集団では、延々と先頭を牽いてくれる無尽蔵の体力を見せつけてくれた。
更に、海沿いといっても平坦というわけではなく、岬の区間はかなりパンチの効いたアップダウンの連続。それでも登りでペースを上げ過ぎず、下りでも休みすぎず、絶妙なペースメイクに、おーりとーり隊のレベルの高さを実感。
そんなベテランライダーにエスコートされて名蔵湾を一周し、石垣島最西端となる御神崎を走り抜いて、第1エイドへと到着。とんとことんとこ、と太鼓を叩いて地元の子どもたちが迎えてくれるのを見ると、自然に僕らも笑顔になってしまう。
こちらで用意されていたのは、石垣島産のひとめぼれを使った「じゅうしいおにぎり」や「赤米おにぎり」、地元産のパインジャムを添えたヨーグルトムースに、ホッと一息つける冬瓜ノスープ。並べるとちょっとした朝ごはん風のラインアップだけれど、強い向かい風とアルデンヌクラシックのようなアップダウンによって、かなりカロリーを消費した身体にはちょうど良い。
もう一つおにぎりを頂くか、後ろ髪を引かれながら再スタート。ここからしばらくは県道79号線をずっと走っていく。観光スポットひしめく石垣島の中でもひと際高い人気を誇る川平湾を左に望みつつ、アップダウンをこなしていく。
いくつもの丘を越えて第2エイドの米原ビーチへ。サンゴが削れることで作り上げられた白砂が広がるビーチでは、シュノーケリングなども楽しめる人気のスポットなのだとか。こちらでは沖縄のロングライドイベントに欠かせないサーターアンダギーを頂く。外はサクサク、中はしっとりとしたサーターアンダギーは何度食べてもおいしいもの。
甘味で元気をもらったら、まだまだ北へとペダルを回す。米子焼の巨大なシーサー像が見守る米原市街を通りすぎて、いくつもの丘へと再び挑んでいく。2分ほど踏んで登って、下って、を繰り返す。時たま現れる平坦も向かい風なので、ある程度のペースで走ると結構な強度になる。さながらLTインターバルの様で、がっつり走りたい派もかなり満足できそうだ。聞いたところによれば、ツール・ド・おきなわに向けて南国の気候に慣れておくためにわざわざ参加する強者もいるのだとか。
とはいえ、別に初心者お断り、というようなハードルの高さではないのでご安心を。あくまでそれなりに走れる人たちの集まった集団の話であって、どの坂も距離は短いのでマイペースで登る分には疲労は少ないはず。もちろん、頑張りすぎるのは禁物だ。
走り応えのあるヒルクライムと紺碧の海へとそのまま飛び込んでしまいそうなダウンヒルをいくつも楽しんでいると、いきなり視界が開ける。石垣牛を育てているだろう草原には牧草ロールが積まれており、先月のグレートアース南北海道ライドを思い出す。これからの季節だと石垣牛のほうが気持ちよく暮らすことが出来そうだな、なんて考えていると、3つ目のエイドに到着。
石垣島がくびれている伊原間湾奥にある船越(フナクヤー)漁港に設けられたエイドステーションの入口では、地元の少年野球チーム「真喜良サンウェーブ」の子供たちが元気よく誘導してくれるので、間違えて通り過ぎるなんてことは100%無い。
相変わらず風は強いのだけれど、湾奥にある漁港の水面はほとんど凪のように穏やか。どうやら少し早く着きすぎたとのことで、準備が整うまでお先に用意されていた請福さんの「飲む酢 シークヮーサー」をいただくことに。
普段、飲む酢なんてあんまり縁がないけれど、このシークヮーサー酢は酸っぱすぎず、飲みやすい。疲れてきた身体に染み入るかのようで、たっぷり入ったクエン酸が活力を与えてくれるのが体感できる。
10分ほど待っていたら「できましたよー!」という呼び声。ぞろぞろと休憩していた参加者のみなさんの手に渡されたのは、ボリュームたっぷりの沖縄そば。普通の沖縄そばよりも麺が細めで黄色いような?と思っていると、「これは八重山そばなんですよ」とのこと。
豚肉が細切れで乗っていたり、ちょっと固めの食感だったりと他にも沖縄そばとはすこし違う印象。どちらかというと、自分はしっかりコシが強い八重山そばのほうが好きかもしれない。じゅーしーのおにぎりと合わせていただくと、八重山そば定食、といわれてもおかしくないほどのボリュームで、後半戦に備えた腹ごしらえができたのだった。
text&photo:Naoki.Yasuoka