2018/05/23(水) - 09:01
本格的なサイクリングシーズンが始まった4月中旬、今年も開催された「うつのみやサイクルピクニック」。地域密着型チーム、宇都宮ブリッツェンがプロデュースするロングライドイベントは、今年も大盛況。シーズンインにぴったりなワンデーライドのレポートをお届けしましょう。
毎年、多くの海外チームが参戦し、日本のサイクルロードレースファンにとっては欠かせないお祭りとなったジャパンカップを筆頭に、先日行われたJBCF宇都宮ロードなど、多くのロードレースイベントが行われている栃木県宇都宮市。
ロードレースの聖地ともいえるロケーションで、毎春行われているのが、このうつのみやサイクルピクニックである。地域に根差すプロロードレースチームとして誕生した宇都宮ブリッツェンが深くかかわり、サイクリスト目線で走りやすく楽しいコースが魅力のイベントだ。
当編集部でも、春と言ったらこの大会!くらいに推させていただいており、毎年取材に伺っているのですが、その人気ぶりに陰りは見えない。今年も、定員は満員御礼。最も人気の100kmコースはすぐに定員に達してしまったようだ。
シクロワイアード編集部はそんな人気大会に今年もお邪魔してくることに。宇都宮ICから約5分とアクセス抜群のろまんちっく村に、関東一円から続々とサイクリストが集まってくる。もちろん車での参加者も多いのだけれど、自走ライダーの割合が(体感で)高いのもこの大会の特徴。
つまり、地元サイクリストの比率が高めということ。環境を作り上げてきた宇都宮ブリッツェン・那須ブラ―ゼンの活動が実を結び、自転車王国・栃木として多くのサイクリストが生まれてきたことが実感できるイベントでもある。
大会会場には、メインスポンサーを務めるネスレが大々的にブースを展開。会員になればエスプレッソマシンが無料で使えるネスカフェアンバサダーのプロモーションの一環として、カフェラテや抹茶の提供が行われていたほか、ちょっとした補給にもピッタリなキットカットのつかみ取りも実施しており、ながーい行列が。
ワコーズのメンテブースやブリッツェン&ブラ―ゼンのグッズ販売などで、スタート前から会場は大盛り上がり。前日には北関東ブルベも開催されており、400kmの旅へと旅立っていた猛者たちが帰ってくるゴールともなっていた。
そんな大盛況のスタート会場から、1000人を越えるサイクリストたちがスタートしていく。最初に走り出すのは、ジャパンカップのコースのハイライトとなる古賀志林道が組み込まれた「ジャパンカップチャレンジ100km」の参加者たちだ。
サポートライダーとなったブリッツェンやブラ―ゼンの選手らとともに、ろまんちっく村をスタート。東北道をくぐって、左へ曲がると一気に景色が変わっていく。それまでが、日本の地方都市のロードサイドといった風情だったのが、一気に長閑な田園風景へと転換するこの瞬間は、何度走ってもワクワクする。
長い冬も明け、暖かくなってきたこの季節。サイクリストにとっては重苦しいアウタージャケットを箪笥の奥へと仕舞い、半袖ジャージの軽さに心躍らせる季節だけれど、農家の皆さんにとっては田植えの時期でもある。水が張られた田んぼには、田植え機が往復し、農作業にいそしむおじいちゃんおばあちゃんの姿が。
しばらくそんな田園地帯の風景を楽しみつつ走っていくと、鬼怒川の雄大な流れが。橋の向こうには巨大な岩が見え、そこに向かって走っていく。実はこの岩、単なる岩ではなく佐貫石仏と呼ばれる大きな摩崖仏なのだ。かなり昔の作で、現在はかなり風化しているとのことだけれど、どこか荘厳な雰囲気は健在。そんな石仏が見守る下を、色とりどりのサイクリストたちが快走していく。
鬼怒川の流れを遡るようにして走っていくと第一エイドとなる道の駅「湧水の里しおや」へと到着。お待ちかねのエイドステーション、今年は何が振舞われるのかな?とワクワクしながらテントへ近づくと、ことしもありました!鮎おにぎり!
鬼怒川といえば、日本でも有数の鮎の産地。宇都宮や日光辺りへ出かけられたことがある方は、あちこちに観光”やな”の看板を見かけたことがあるはず。やなとは、流れの中に設置された巨大なスノコのような罠で、流れ落ちてきた魚が打ち上げられたところを捕まえる漁具で、まあいろんな川魚が取れるのですが、代表的な獲物が鮎なのだ。
もちろん釣り人も多く集まり、シーズン最盛期には多くの鮎師が竿を連ねてオトリ鮎を泳がせている様は見ているだけでも美しい光景。さて、そんな鬼怒川名物の鮎がふんだんに炊き込まれたご飯を使ったおにぎりはまさに絶品。川魚らしい繊細で上品なうまみが口いっぱいに広がって、幸せなことこの上ない。
ほかにも、いろんな種類のおにぎりが選べるようになっているので、川魚がニガテという方でも安心。そして、瑞々しい冷やしトマトやぷち鯛焼きなども用意され、主食に野菜にデザートと、なんだか豪華な第一エイドとなっていた。
さてさて、さっそくのグルメ攻勢にこの大会の人気の秘訣を改めて認識しつつ、先を急いでいくことに。この先目指すのは、2つ目の梵天エイド。基本的なコースは毎年一緒なのだけれど、細かなディテールがブラッシュアップされていることに気づく。
去年、この辺りは車通りが多かったなー、と思うところは見事に外され、ちょっとした裏道を繋いでいくようなコース設定になり、よりストレスフリーで安全なサイクリングイベントへと進化を続けている。やはり地元を知り尽くしたブリッツェンがコース監修に携わっているからだろう。どんどん走りやすくなっているのだから嬉しい限り。特に初めてイベントに出る初心者の方にとっては、もってこいのはず。
開けた田園地帯を通り抜け、たどり着いた梵天エイドはこちらも毎年恒例のイチゴエイドとなっている。机の上に真っ赤な絨毯が敷かれているのかと錯覚するほどびっしりと大粒のとちおとめが並べられ、「いくらでも食べていっていいよ!」と威勢良い掛け声が飛び交う。
ほ、ほんとにいいのですか??と思うほど大ぶりのとちおとめは地元上河内産のもの。ぱくっといただくと、甘酸っぱい果汁がいっぱい。スーパーで買ったら結構しそうだな……なんて下世話な思考を挟みつつ、ついついお代わりしてしまう。ほかの皆さんもお代わりされているようで、次から次へと小皿が取られていくが、次から次へと補充されていき、永遠にイチゴが並べられる魔法の机のよう。
さて、できれば舌が真っ赤になるまでイチゴを食べ続けていたいところだけれど、そろそろ出発せねばならない。後ろ髪をひかれつつ、梵天エイドを後にするのであった。レポートは後編へと続きます。
text&photo:Naoki.Yasuoka
毎年、多くの海外チームが参戦し、日本のサイクルロードレースファンにとっては欠かせないお祭りとなったジャパンカップを筆頭に、先日行われたJBCF宇都宮ロードなど、多くのロードレースイベントが行われている栃木県宇都宮市。
ロードレースの聖地ともいえるロケーションで、毎春行われているのが、このうつのみやサイクルピクニックである。地域に根差すプロロードレースチームとして誕生した宇都宮ブリッツェンが深くかかわり、サイクリスト目線で走りやすく楽しいコースが魅力のイベントだ。
当編集部でも、春と言ったらこの大会!くらいに推させていただいており、毎年取材に伺っているのですが、その人気ぶりに陰りは見えない。今年も、定員は満員御礼。最も人気の100kmコースはすぐに定員に達してしまったようだ。
シクロワイアード編集部はそんな人気大会に今年もお邪魔してくることに。宇都宮ICから約5分とアクセス抜群のろまんちっく村に、関東一円から続々とサイクリストが集まってくる。もちろん車での参加者も多いのだけれど、自走ライダーの割合が(体感で)高いのもこの大会の特徴。
つまり、地元サイクリストの比率が高めということ。環境を作り上げてきた宇都宮ブリッツェン・那須ブラ―ゼンの活動が実を結び、自転車王国・栃木として多くのサイクリストが生まれてきたことが実感できるイベントでもある。
大会会場には、メインスポンサーを務めるネスレが大々的にブースを展開。会員になればエスプレッソマシンが無料で使えるネスカフェアンバサダーのプロモーションの一環として、カフェラテや抹茶の提供が行われていたほか、ちょっとした補給にもピッタリなキットカットのつかみ取りも実施しており、ながーい行列が。
ワコーズのメンテブースやブリッツェン&ブラ―ゼンのグッズ販売などで、スタート前から会場は大盛り上がり。前日には北関東ブルベも開催されており、400kmの旅へと旅立っていた猛者たちが帰ってくるゴールともなっていた。
そんな大盛況のスタート会場から、1000人を越えるサイクリストたちがスタートしていく。最初に走り出すのは、ジャパンカップのコースのハイライトとなる古賀志林道が組み込まれた「ジャパンカップチャレンジ100km」の参加者たちだ。
サポートライダーとなったブリッツェンやブラ―ゼンの選手らとともに、ろまんちっく村をスタート。東北道をくぐって、左へ曲がると一気に景色が変わっていく。それまでが、日本の地方都市のロードサイドといった風情だったのが、一気に長閑な田園風景へと転換するこの瞬間は、何度走ってもワクワクする。
長い冬も明け、暖かくなってきたこの季節。サイクリストにとっては重苦しいアウタージャケットを箪笥の奥へと仕舞い、半袖ジャージの軽さに心躍らせる季節だけれど、農家の皆さんにとっては田植えの時期でもある。水が張られた田んぼには、田植え機が往復し、農作業にいそしむおじいちゃんおばあちゃんの姿が。
しばらくそんな田園地帯の風景を楽しみつつ走っていくと、鬼怒川の雄大な流れが。橋の向こうには巨大な岩が見え、そこに向かって走っていく。実はこの岩、単なる岩ではなく佐貫石仏と呼ばれる大きな摩崖仏なのだ。かなり昔の作で、現在はかなり風化しているとのことだけれど、どこか荘厳な雰囲気は健在。そんな石仏が見守る下を、色とりどりのサイクリストたちが快走していく。
鬼怒川の流れを遡るようにして走っていくと第一エイドとなる道の駅「湧水の里しおや」へと到着。お待ちかねのエイドステーション、今年は何が振舞われるのかな?とワクワクしながらテントへ近づくと、ことしもありました!鮎おにぎり!
鬼怒川といえば、日本でも有数の鮎の産地。宇都宮や日光辺りへ出かけられたことがある方は、あちこちに観光”やな”の看板を見かけたことがあるはず。やなとは、流れの中に設置された巨大なスノコのような罠で、流れ落ちてきた魚が打ち上げられたところを捕まえる漁具で、まあいろんな川魚が取れるのですが、代表的な獲物が鮎なのだ。
もちろん釣り人も多く集まり、シーズン最盛期には多くの鮎師が竿を連ねてオトリ鮎を泳がせている様は見ているだけでも美しい光景。さて、そんな鬼怒川名物の鮎がふんだんに炊き込まれたご飯を使ったおにぎりはまさに絶品。川魚らしい繊細で上品なうまみが口いっぱいに広がって、幸せなことこの上ない。
ほかにも、いろんな種類のおにぎりが選べるようになっているので、川魚がニガテという方でも安心。そして、瑞々しい冷やしトマトやぷち鯛焼きなども用意され、主食に野菜にデザートと、なんだか豪華な第一エイドとなっていた。
さてさて、さっそくのグルメ攻勢にこの大会の人気の秘訣を改めて認識しつつ、先を急いでいくことに。この先目指すのは、2つ目の梵天エイド。基本的なコースは毎年一緒なのだけれど、細かなディテールがブラッシュアップされていることに気づく。
去年、この辺りは車通りが多かったなー、と思うところは見事に外され、ちょっとした裏道を繋いでいくようなコース設定になり、よりストレスフリーで安全なサイクリングイベントへと進化を続けている。やはり地元を知り尽くしたブリッツェンがコース監修に携わっているからだろう。どんどん走りやすくなっているのだから嬉しい限り。特に初めてイベントに出る初心者の方にとっては、もってこいのはず。
開けた田園地帯を通り抜け、たどり着いた梵天エイドはこちらも毎年恒例のイチゴエイドとなっている。机の上に真っ赤な絨毯が敷かれているのかと錯覚するほどびっしりと大粒のとちおとめが並べられ、「いくらでも食べていっていいよ!」と威勢良い掛け声が飛び交う。
ほ、ほんとにいいのですか??と思うほど大ぶりのとちおとめは地元上河内産のもの。ぱくっといただくと、甘酸っぱい果汁がいっぱい。スーパーで買ったら結構しそうだな……なんて下世話な思考を挟みつつ、ついついお代わりしてしまう。ほかの皆さんもお代わりされているようで、次から次へと小皿が取られていくが、次から次へと補充されていき、永遠にイチゴが並べられる魔法の机のよう。
さて、できれば舌が真っ赤になるまでイチゴを食べ続けていたいところだけれど、そろそろ出発せねばならない。後ろ髪をひかれつつ、梵天エイドを後にするのであった。レポートは後編へと続きます。
text&photo:Naoki.Yasuoka
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