2018/05/07(月) - 08:59
自転車乗り垂涎の駅ビル、PLAYatre土浦が開業した土浦市。関東北部のサイクリストにはなじみ深いヒルクライムスポット、筑波山を戴くつくばりんりんロードを巡るライドに続き、日本第2位の湖である霞ケ浦を堪能するライドレポートをお届けします。
海派と山派、多くのアウトドアアクティビティは、この2つに分けられるはず。自転車も例外ではなくって、ヒルクライムが好きな人もいれば、延々と海岸線を走っていたい、という人もいるだろう。でも、どこにだって走っていける自転車乗りに一番多いのは、きっと両方楽しみたい欲張り派のはず。
そんなサイクリストたちにとっての約束の地、常磐線の先にあるカナンが、ここ土浦。北関東のヒルクライマーが多く練習に集まる筑波山を北にいただき、東には関東最大の面積を誇る霞ケ浦が広がっている。山と海(湖ですが)のどちらにも、駅前からつくば霞ケ浦りんりんロードが繋がっており、ある意味駅直結のサイクリングフィールドと言っても大げさではない。
つくばりんりんロードを北上し、筑波山の麓へと走っていった前回に続き、翌日はもう一つの目的地となる霞ケ浦へと出発。PLAYatre土浦のある西口からは、地下通路で線路をくぐって、東口方面へ。この地下通路はかなり天井が低めなので、ダンシングは厳禁。タクシーの提灯が当たってしまうほど低い「提灯殺し」なんて名付けられた通路が都内にあったけれど、さしづめこちらはヘルメット殺しだな、なんて思いつつくぐっていく。
そうそう、土浦の街がサイクリストフレンドリーというのは、決してPLAYatre土浦の存在だけではない。今回宿泊した西口にあるホテルグリーンコア土浦では、サイクリストプランなるものも用意されており、自転車を部屋に持ち込めるほか、様々な特典もついてくる。多くのサイクリストがこの土浦に魅力を感じているのだということを、そんなところでも実感。
さて、線路を渡り、県道263号線を渡ると、さっそく霞ケ浦に到着。霞ケ浦の西端に位置する土浦港から、霞ケ浦沿いに、つくば霞ケ浦りんりんロードを走っていく。駅周辺から続いているブルーのラインに沿って走ってくれば、迷いなくたどり着くことが出来るのはうれしい配慮だ。
関西出身の私にとって、実は初めての霞ケ浦。琵琶湖よりは小さいんでしょー?なんてタカを括っていたわけですが、目の前に現れた霞ケ浦の風景はほぼ海。いや、まあもちろん琵琶湖も同じくらいのスケール感なのですけれど、ある程度のラインを超えると人間あんまり違いが判らなくなってくるんだなー、なんて思ったり。とにかくこんなに駅から近い場所に非日常な風景が広がっているんだから、土浦のポテンシャルは計り知れない。
湖岸にはブラックバスを狙うアングラーが岸壁に立ち、狙ったスポットにルアーを打ち込んでいる。この日も、結構な人が釣りに興じていたけれど、バスフィッシングブームの頃は、もっと凄かったんだとか。この広い霞ケ浦に多くの釣り客が詰めかけていたのだという。
琵琶湖と少し違うのは、湖岸に沿って設けられたサイクリングロードが車道でもあるということ。1車線になったり2車線になったりするのだけど、釣り客の車が多いので意外に交通量はある印象。でも、飛ばしている車はほとんどいないので、基本的には安心して走っていられる。
風に吹かれて立つ波がキラキラと光っているのを右手に、収穫を終えた蓮畑を左手に見つつ、湖岸の道をひた走る。時々、湖に流れ込む川を渡り、西へ西へ。途中、トイレ休憩を挟みつつゆったり走っていくと、1時間ほどで見えてきたのが霞ケ浦大橋だ。
全長1.1kmという長大な橋が、かすみがうら市と行方市を繋いでいる。奥側にはなんだかとても高い塔が立っている。とても気になりつつも、今日は橋を渡らないコースということで後ろ髪をひかれつつ通り過ぎていく。ちなみに後で調べたところ、道の駅たまつくりにある虹の塔という展望塔だそうで、高さは60mほどなんだとか。太陽の塔が70mということを考えると、そこまで高い塔ではないけれど、周りが開けているせいか、とても印象に残ることは間違いなし。
霞ケ浦にそそぐ菱木川を少しさかのぼり、一つ、丘を登っていくとこのライドの目的地である富士見塚古墳へと到着。霞ケ浦の北側、高浜入りを眼下に眺める丘の上に築かれた前方後円墳で、全長78mと県内屈指の規模を誇る史跡なんだとか。この日は桜も満開で、美しいことこの上なし。用意された地元の専門店「志ち乃」の求肥入りどら焼きをぱくつき、さて折り返しへ。
来た道を引き返していくだけなのだけど、帰りはすこし向かい風基調に。サポートライダーのブリッツェン増田選手と阿部選手が、風除けの大切さを初心者の方々にレクチャーし、列車を形成してお昼ご飯ポイントとなる、「かすみキッチン」へ。
さわやかなパステルブルーが目印で、りんりんロードを走っていれば、その存在を知らなくともフラフラと吸い寄せられそうな建物には、この日も多くのサイクリストが集まっていた。1階は入りやすくもおしゃれな雰囲気を持ったカフェスペース、そしてレンタサイクルがずらりと並ぶ。そして、霞ケ浦の眺望を楽しめる2階には地産地消×ヘルシーをモットーにしたレストランが。
ここで、茨城名物の蓮根を食べて育った広原畜産の蓮根豚のハンバーグランチを頂き向かい風で消費したエネルギーを一気に補給。ちなみに、1階のカフェには地元の農園でとれたイチゴやベリーを使ったアイスやスムージー、コッペパンなどもあり、手軽な補給にもうってつけ。
さて、ここまでくればあとひと踏み。最後の休憩スポットでは、蓮根の粉末を練り込んだれんこんサブレ―を頂き、土浦駅へと帰還。中にはPLAYatre土浦でレンタルしたロードバイクで参加された方もおり、初心者でもしっかり楽しんだライドとなった。
会場では、じゃんけん大会や各ブランドの試乗会なども行われ、大盛り上がり。また、補助輪無しで自転車に乗れるようになるための特訓コーナーなども用意され、大人から子供まで自転車を楽しむことが出来る一日に。
そして、両日ともりんりんロードの楽しみ方と銘打ったトークショーも行われ、宇都宮ブリッツェンの廣瀬GMと那須ブラ―ゼンの若杉社長が1日目に、2日目はブリッツェンの増田選手と阿部選手がそれぞれゲストとして、りんりんロードのこれからについて、地元商工会の皆さんと語り合う時が持たれた。
その中で、共通して語られたのは、このPLAYatre土浦とりんりんロードが持つポテンシャルの大きさ。これから自転車を始めたいなという人、また周りにそういう人がいて、どこかで体験させてあげたいという人にとって、第一候補に挙がるようなスポットにこのエリアが育っていくのではないか、とヴィジョンが語られることに。そして、いくいくは茨城を拠点とするプロチームやレースが出来ればいいですね、とも。
大人も子供も、ビギナーもベテランも。それぞれが自転車の楽しみ方を見つけ出せる土浦。PLAYatre土浦の開業をきっかけに、その魅力に触れる人がどんどん増えていくはずだ。そんなパワーと期待を感じる新たな基地のこれからに注目していきたい。
text&photo:Naoki.YASUOKA
海派と山派、多くのアウトドアアクティビティは、この2つに分けられるはず。自転車も例外ではなくって、ヒルクライムが好きな人もいれば、延々と海岸線を走っていたい、という人もいるだろう。でも、どこにだって走っていける自転車乗りに一番多いのは、きっと両方楽しみたい欲張り派のはず。
そんなサイクリストたちにとっての約束の地、常磐線の先にあるカナンが、ここ土浦。北関東のヒルクライマーが多く練習に集まる筑波山を北にいただき、東には関東最大の面積を誇る霞ケ浦が広がっている。山と海(湖ですが)のどちらにも、駅前からつくば霞ケ浦りんりんロードが繋がっており、ある意味駅直結のサイクリングフィールドと言っても大げさではない。
つくばりんりんロードを北上し、筑波山の麓へと走っていった前回に続き、翌日はもう一つの目的地となる霞ケ浦へと出発。PLAYatre土浦のある西口からは、地下通路で線路をくぐって、東口方面へ。この地下通路はかなり天井が低めなので、ダンシングは厳禁。タクシーの提灯が当たってしまうほど低い「提灯殺し」なんて名付けられた通路が都内にあったけれど、さしづめこちらはヘルメット殺しだな、なんて思いつつくぐっていく。
そうそう、土浦の街がサイクリストフレンドリーというのは、決してPLAYatre土浦の存在だけではない。今回宿泊した西口にあるホテルグリーンコア土浦では、サイクリストプランなるものも用意されており、自転車を部屋に持ち込めるほか、様々な特典もついてくる。多くのサイクリストがこの土浦に魅力を感じているのだということを、そんなところでも実感。
さて、線路を渡り、県道263号線を渡ると、さっそく霞ケ浦に到着。霞ケ浦の西端に位置する土浦港から、霞ケ浦沿いに、つくば霞ケ浦りんりんロードを走っていく。駅周辺から続いているブルーのラインに沿って走ってくれば、迷いなくたどり着くことが出来るのはうれしい配慮だ。
関西出身の私にとって、実は初めての霞ケ浦。琵琶湖よりは小さいんでしょー?なんてタカを括っていたわけですが、目の前に現れた霞ケ浦の風景はほぼ海。いや、まあもちろん琵琶湖も同じくらいのスケール感なのですけれど、ある程度のラインを超えると人間あんまり違いが判らなくなってくるんだなー、なんて思ったり。とにかくこんなに駅から近い場所に非日常な風景が広がっているんだから、土浦のポテンシャルは計り知れない。
湖岸にはブラックバスを狙うアングラーが岸壁に立ち、狙ったスポットにルアーを打ち込んでいる。この日も、結構な人が釣りに興じていたけれど、バスフィッシングブームの頃は、もっと凄かったんだとか。この広い霞ケ浦に多くの釣り客が詰めかけていたのだという。
琵琶湖と少し違うのは、湖岸に沿って設けられたサイクリングロードが車道でもあるということ。1車線になったり2車線になったりするのだけど、釣り客の車が多いので意外に交通量はある印象。でも、飛ばしている車はほとんどいないので、基本的には安心して走っていられる。
風に吹かれて立つ波がキラキラと光っているのを右手に、収穫を終えた蓮畑を左手に見つつ、湖岸の道をひた走る。時々、湖に流れ込む川を渡り、西へ西へ。途中、トイレ休憩を挟みつつゆったり走っていくと、1時間ほどで見えてきたのが霞ケ浦大橋だ。
全長1.1kmという長大な橋が、かすみがうら市と行方市を繋いでいる。奥側にはなんだかとても高い塔が立っている。とても気になりつつも、今日は橋を渡らないコースということで後ろ髪をひかれつつ通り過ぎていく。ちなみに後で調べたところ、道の駅たまつくりにある虹の塔という展望塔だそうで、高さは60mほどなんだとか。太陽の塔が70mということを考えると、そこまで高い塔ではないけれど、周りが開けているせいか、とても印象に残ることは間違いなし。
霞ケ浦にそそぐ菱木川を少しさかのぼり、一つ、丘を登っていくとこのライドの目的地である富士見塚古墳へと到着。霞ケ浦の北側、高浜入りを眼下に眺める丘の上に築かれた前方後円墳で、全長78mと県内屈指の規模を誇る史跡なんだとか。この日は桜も満開で、美しいことこの上なし。用意された地元の専門店「志ち乃」の求肥入りどら焼きをぱくつき、さて折り返しへ。
来た道を引き返していくだけなのだけど、帰りはすこし向かい風基調に。サポートライダーのブリッツェン増田選手と阿部選手が、風除けの大切さを初心者の方々にレクチャーし、列車を形成してお昼ご飯ポイントとなる、「かすみキッチン」へ。
さわやかなパステルブルーが目印で、りんりんロードを走っていれば、その存在を知らなくともフラフラと吸い寄せられそうな建物には、この日も多くのサイクリストが集まっていた。1階は入りやすくもおしゃれな雰囲気を持ったカフェスペース、そしてレンタサイクルがずらりと並ぶ。そして、霞ケ浦の眺望を楽しめる2階には地産地消×ヘルシーをモットーにしたレストランが。
ここで、茨城名物の蓮根を食べて育った広原畜産の蓮根豚のハンバーグランチを頂き向かい風で消費したエネルギーを一気に補給。ちなみに、1階のカフェには地元の農園でとれたイチゴやベリーを使ったアイスやスムージー、コッペパンなどもあり、手軽な補給にもうってつけ。
さて、ここまでくればあとひと踏み。最後の休憩スポットでは、蓮根の粉末を練り込んだれんこんサブレ―を頂き、土浦駅へと帰還。中にはPLAYatre土浦でレンタルしたロードバイクで参加された方もおり、初心者でもしっかり楽しんだライドとなった。
会場では、じゃんけん大会や各ブランドの試乗会なども行われ、大盛り上がり。また、補助輪無しで自転車に乗れるようになるための特訓コーナーなども用意され、大人から子供まで自転車を楽しむことが出来る一日に。
そして、両日ともりんりんロードの楽しみ方と銘打ったトークショーも行われ、宇都宮ブリッツェンの廣瀬GMと那須ブラ―ゼンの若杉社長が1日目に、2日目はブリッツェンの増田選手と阿部選手がそれぞれゲストとして、りんりんロードのこれからについて、地元商工会の皆さんと語り合う時が持たれた。
その中で、共通して語られたのは、このPLAYatre土浦とりんりんロードが持つポテンシャルの大きさ。これから自転車を始めたいなという人、また周りにそういう人がいて、どこかで体験させてあげたいという人にとって、第一候補に挙がるようなスポットにこのエリアが育っていくのではないか、とヴィジョンが語られることに。そして、いくいくは茨城を拠点とするプロチームやレースが出来ればいいですね、とも。
大人も子供も、ビギナーもベテランも。それぞれが自転車の楽しみ方を見つけ出せる土浦。PLAYatre土浦の開業をきっかけに、その魅力に触れる人がどんどん増えていくはずだ。そんなパワーと期待を感じる新たな基地のこれからに注目していきたい。
text&photo:Naoki.YASUOKA
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