2018/03/21(水) - 08:58
3月の外苑を盛り上げた、神宮クリテリウムに出場した各校エースのバイク紹介後編。若き日本代表選手のバイクや、フロントシングルギアを搭載したユニークなバイクまで、バラエティに富んだセットアップは必見です。
沢田桂太郎(日本大学2年)
蛍光ピンク眩しい日本大学チームからご登場頂いたのは、2年生の沢田桂太郎選手。これまでロードレースでは全日本選手権2勝、ジュニアオリンピック優勝、アジア選手権優勝と輝かしい実績を持ち、現在はトラック競技ナショナルチームの一員として活躍、アジア選手権でのチームパーシュート金メダル獲得に大きく貢献したスピードマンだ。
2018年1月からチームブリヂストンサイクリングに加入し、学業の傍らプロ選手として走るようになった沢田選手。彼が駆るバイクのヘッドチューブには五輪マークが燦然と輝いている。「五輪マークに恥じない走りをしなければいけないので若干プレッシャーではあるんですが、良い緊張感を保つことが大切だと思います。オリンピックへの出場枠は限られているので、ブリヂストンでもナショナルチームでも切磋琢磨することで全体のレベルアップにも繋げたい」と言う。
そんな彼が駆るロードバイクは、BRIDGESTONEロゴ(供給品専用パターン)が入るアンカーのRS9。R9150系デュラエースを基本にPROのハンドル&ステムなど、チームのサプライヤーであるシマノ製品で固められている。クランクのみパイオニアのペダリングモニターを搭載したFC-9000だった。シートポストにフラッシュライトを装備している理由は「学連で義務づけられている反射板が好きじゃないですし、より安全なものを、と思って」とのこと。メカいじりが好きで、バイク整備も自分で行うという沢田選手のバイクはピカピカに磨き上げられていた。
今後の目標は、4年に一度のアジア大会でしっかりと記録を残すこと。今後はナショナルチームでの合宿やレースが忙しくなってくるので着実に力をつけていきたい、と意気込みを語ってくれた。
徳田匠(鹿屋体育大学2年)
チーム右京に所属する鍛造・優を兄に持つ、徳田兄弟の末弟が、鹿屋体育大学の徳田匠選手。「モガきだったら兄には絶対負けません」と言うだけにスプリントを得意とし、アジア学生大会のクリテリウムで2位、国体のケイリンで4位といった成績を持つ2年生だ。ロードレースはもちろん、各種トラック競技、そしてシクロクロスと幅広くこなす徳田選手の目標は競輪選手になること。
バイクはキャノンデールのオールラウンドモデルであるSUPERSIXで、Hi-Modではないミドルグレードを駆る。若干濃いめのキャノンデールグリーンが目立つ一台で、マヴィックのコスミックカーボン40Cホイール、パナレーサーのRACE D EVO3タイヤといったサポートブランドの製品をアッセンブル。コンポーネントは6870系アルテグラDi2で、2018年からサポートリスト入りしたキャノンデールのSiSL2クランクセットを組み合わせている。
「クセがないのでとても扱いやすいバイクですね。自分のスプリントに応えてくれますし、クランクも見た目が細いのでモガきにはどうかな?と思っていましたが、実際には何の問題もありません。全てにおいて信頼ある自転車になっています」とインプレッション。
シクロクロスバイクのようにSTIレバーを上向きに取り付けている理由は、「冬場に肘を骨折しまったこともあって、肘が伸びきらないように手首を上向きにしている」から。ドロップ量が大きいハンドルを選んでいるため、上ハンドルではリラックス、下ハンドルでは攻めのポジションができるよう工夫しているのだという。多くの人の参考になりそうなセッティングだ。
隈園郷史(明治大学3年)
独創的なフォルムが目を引くチポッリーニのハイエンドモデル、RB1Kを駆るのは、明治大学自転車競技部の主将を務める隈園郷史選手。全日本選手権でチームスプリント優勝、インカレの1kmTT優勝とトラック競技で華々しい成績を挙げつつ、昨年のツール・ド・とちぎでも完走するなど、ロードレースでも結果を残す3年生だ。
チポッリーニを選んだ理由の一つが、もともと同ブランドのトラックバイクを使っているから。「チポッリーニのバイクって、どれも直線の中に曲線がある、自転車として一番美しい形じゃないですか。剛性や乗り味の面でトラック競技と同じメーカーのものを乗りたかったのもあり、高校時代からずっとお世話になっているワイズロードにお願いしてお貸りしています」と、マイバイク(仮)にぞっこんのご様子。
クランク長を165mmにしているのも、トラックバイクとペダリングを合わせるため。KMCのブラックチェーンを使うのは、世界屈指のスプリンターであるマーク・カヴェンディッシュ(イギリス)へのリスペクトを込めているからだと言う。
「最高にカッコいいバイク」の乗り味を聞くと、「超絶にスパルタンです。悪路をいなす最近のブームとは対極をなす乗り味で、シート角度も75.5度とトラックフレームばりに立っているのでモガきやすいものの、脚が無い時にはイジメられますね」とのこと。最終年として臨む2018年の目標は、去年逃したインカレでのチームスプリント優勝と、学校対抗ランキングで表彰台に上ること。「有終の美を飾れるよう頑張ります」と意気込んだ。
安彦統賀(日本体育大学1年)
日本体育大学からはVol.1の篠田選手に続いてもう一人をピックアップ。トラックの中距離をメインにこなし、1年生ながらインカレのチームパーシュートとスクラッチに出場する安彦統賀選手が駆るこのトレックのMADONE、なんとフロントシングルギア仕様である。
UCIプロコンチネンタルチームのアクアブルースポートが正式採用したことで話題沸騰中のフロントシングルだが、気になる安彦選手のギアセッティングは、フロント48Tでリアカセットが11-28T。ハイスピードレースを想定しての歯数構成で、普段は44Tのチェーンリングを使っているという。チェーンリングのブランドはシクロクロスやMTBではお馴染みのウルフトゥースだ。
「軽いし、エアロだし、チェーン落ちしないし、そして何よりトラックバイクにも通じるシンプルさが良いですよね」と語る安彦選手。「自分はトラック競技がメインなのでロードレースはクリテリウムくらい。山に行くこともあまり無い自分にはピッタリだと思ったんです。今まで53-39T/12-28Tを使っていたんですが、実際トップギアを使う場面もあまりないので普段なら44-11で問題ないですね」。
「インナーの位置にチェーンリングをセットしていますが、トップギアにかけてもナローワイドなのでチェーン落ちもありません。インナーギア特有のペダリングの軽さも44T程度であれば感じないし、とにかく車体を軽くできるんですよ。フロントディレイラーが無いのでワイヤーも省略できて、軽量パーツを使っていないのに44Tだと実測6.79kgでした」と言う。この先普及率が高まるかに注目されているフロントシングルだけに、彼の走りにより注目が集まるところだ。
木村亮輔(高崎経済大学4年)
非常に珍しいライトスピードのエアロロードバイクの持ち主は、高崎経済大学の木村亮輔選手。「学生生活の締めとして何としても神宮クリテリウムを走っておきたかったので、ギリギリの練習量で間に合わせました」という、社会人デビューを間近に控える4年生だ。
彼の愛車は「決め手は半額だったからです!」と潔い理由で購入した2013年モデルのCi2。「人と被らないものが良かったですし、学連では最後まで見かけませんでした。見た目よりもずっと普通な走りなんですが、かなり古いモデルなので乗り心地だけは良くありません。同じようなエアロロードでも最近のものに乗せてもらうと衝撃が伝わってこないし、よく進むなぁと感心します」と笑う。
卒業後は地元の北海道に戻って社会人生活をスタートさせると言う木村選手。「学連レースを走ったこと、それから最近ではシクロクロスを始めたこともあって、北海道の大学に進むよりもずっと自分の世界が広がりました。関東に来て良かったですし、これからも頑張っていきたいと思います」と語ってくれた。
text&photo:So.Isobe
沢田桂太郎(日本大学2年)
蛍光ピンク眩しい日本大学チームからご登場頂いたのは、2年生の沢田桂太郎選手。これまでロードレースでは全日本選手権2勝、ジュニアオリンピック優勝、アジア選手権優勝と輝かしい実績を持ち、現在はトラック競技ナショナルチームの一員として活躍、アジア選手権でのチームパーシュート金メダル獲得に大きく貢献したスピードマンだ。
2018年1月からチームブリヂストンサイクリングに加入し、学業の傍らプロ選手として走るようになった沢田選手。彼が駆るバイクのヘッドチューブには五輪マークが燦然と輝いている。「五輪マークに恥じない走りをしなければいけないので若干プレッシャーではあるんですが、良い緊張感を保つことが大切だと思います。オリンピックへの出場枠は限られているので、ブリヂストンでもナショナルチームでも切磋琢磨することで全体のレベルアップにも繋げたい」と言う。
そんな彼が駆るロードバイクは、BRIDGESTONEロゴ(供給品専用パターン)が入るアンカーのRS9。R9150系デュラエースを基本にPROのハンドル&ステムなど、チームのサプライヤーであるシマノ製品で固められている。クランクのみパイオニアのペダリングモニターを搭載したFC-9000だった。シートポストにフラッシュライトを装備している理由は「学連で義務づけられている反射板が好きじゃないですし、より安全なものを、と思って」とのこと。メカいじりが好きで、バイク整備も自分で行うという沢田選手のバイクはピカピカに磨き上げられていた。
今後の目標は、4年に一度のアジア大会でしっかりと記録を残すこと。今後はナショナルチームでの合宿やレースが忙しくなってくるので着実に力をつけていきたい、と意気込みを語ってくれた。
徳田匠(鹿屋体育大学2年)
チーム右京に所属する鍛造・優を兄に持つ、徳田兄弟の末弟が、鹿屋体育大学の徳田匠選手。「モガきだったら兄には絶対負けません」と言うだけにスプリントを得意とし、アジア学生大会のクリテリウムで2位、国体のケイリンで4位といった成績を持つ2年生だ。ロードレースはもちろん、各種トラック競技、そしてシクロクロスと幅広くこなす徳田選手の目標は競輪選手になること。
バイクはキャノンデールのオールラウンドモデルであるSUPERSIXで、Hi-Modではないミドルグレードを駆る。若干濃いめのキャノンデールグリーンが目立つ一台で、マヴィックのコスミックカーボン40Cホイール、パナレーサーのRACE D EVO3タイヤといったサポートブランドの製品をアッセンブル。コンポーネントは6870系アルテグラDi2で、2018年からサポートリスト入りしたキャノンデールのSiSL2クランクセットを組み合わせている。
「クセがないのでとても扱いやすいバイクですね。自分のスプリントに応えてくれますし、クランクも見た目が細いのでモガきにはどうかな?と思っていましたが、実際には何の問題もありません。全てにおいて信頼ある自転車になっています」とインプレッション。
シクロクロスバイクのようにSTIレバーを上向きに取り付けている理由は、「冬場に肘を骨折しまったこともあって、肘が伸びきらないように手首を上向きにしている」から。ドロップ量が大きいハンドルを選んでいるため、上ハンドルではリラックス、下ハンドルでは攻めのポジションができるよう工夫しているのだという。多くの人の参考になりそうなセッティングだ。
隈園郷史(明治大学3年)
独創的なフォルムが目を引くチポッリーニのハイエンドモデル、RB1Kを駆るのは、明治大学自転車競技部の主将を務める隈園郷史選手。全日本選手権でチームスプリント優勝、インカレの1kmTT優勝とトラック競技で華々しい成績を挙げつつ、昨年のツール・ド・とちぎでも完走するなど、ロードレースでも結果を残す3年生だ。
チポッリーニを選んだ理由の一つが、もともと同ブランドのトラックバイクを使っているから。「チポッリーニのバイクって、どれも直線の中に曲線がある、自転車として一番美しい形じゃないですか。剛性や乗り味の面でトラック競技と同じメーカーのものを乗りたかったのもあり、高校時代からずっとお世話になっているワイズロードにお願いしてお貸りしています」と、マイバイク(仮)にぞっこんのご様子。
クランク長を165mmにしているのも、トラックバイクとペダリングを合わせるため。KMCのブラックチェーンを使うのは、世界屈指のスプリンターであるマーク・カヴェンディッシュ(イギリス)へのリスペクトを込めているからだと言う。
「最高にカッコいいバイク」の乗り味を聞くと、「超絶にスパルタンです。悪路をいなす最近のブームとは対極をなす乗り味で、シート角度も75.5度とトラックフレームばりに立っているのでモガきやすいものの、脚が無い時にはイジメられますね」とのこと。最終年として臨む2018年の目標は、去年逃したインカレでのチームスプリント優勝と、学校対抗ランキングで表彰台に上ること。「有終の美を飾れるよう頑張ります」と意気込んだ。
安彦統賀(日本体育大学1年)
日本体育大学からはVol.1の篠田選手に続いてもう一人をピックアップ。トラックの中距離をメインにこなし、1年生ながらインカレのチームパーシュートとスクラッチに出場する安彦統賀選手が駆るこのトレックのMADONE、なんとフロントシングルギア仕様である。
UCIプロコンチネンタルチームのアクアブルースポートが正式採用したことで話題沸騰中のフロントシングルだが、気になる安彦選手のギアセッティングは、フロント48Tでリアカセットが11-28T。ハイスピードレースを想定しての歯数構成で、普段は44Tのチェーンリングを使っているという。チェーンリングのブランドはシクロクロスやMTBではお馴染みのウルフトゥースだ。
「軽いし、エアロだし、チェーン落ちしないし、そして何よりトラックバイクにも通じるシンプルさが良いですよね」と語る安彦選手。「自分はトラック競技がメインなのでロードレースはクリテリウムくらい。山に行くこともあまり無い自分にはピッタリだと思ったんです。今まで53-39T/12-28Tを使っていたんですが、実際トップギアを使う場面もあまりないので普段なら44-11で問題ないですね」。
「インナーの位置にチェーンリングをセットしていますが、トップギアにかけてもナローワイドなのでチェーン落ちもありません。インナーギア特有のペダリングの軽さも44T程度であれば感じないし、とにかく車体を軽くできるんですよ。フロントディレイラーが無いのでワイヤーも省略できて、軽量パーツを使っていないのに44Tだと実測6.79kgでした」と言う。この先普及率が高まるかに注目されているフロントシングルだけに、彼の走りにより注目が集まるところだ。
木村亮輔(高崎経済大学4年)
非常に珍しいライトスピードのエアロロードバイクの持ち主は、高崎経済大学の木村亮輔選手。「学生生活の締めとして何としても神宮クリテリウムを走っておきたかったので、ギリギリの練習量で間に合わせました」という、社会人デビューを間近に控える4年生だ。
彼の愛車は「決め手は半額だったからです!」と潔い理由で購入した2013年モデルのCi2。「人と被らないものが良かったですし、学連では最後まで見かけませんでした。見た目よりもずっと普通な走りなんですが、かなり古いモデルなので乗り心地だけは良くありません。同じようなエアロロードでも最近のものに乗せてもらうと衝撃が伝わってこないし、よく進むなぁと感心します」と笑う。
卒業後は地元の北海道に戻って社会人生活をスタートさせると言う木村選手。「学連レースを走ったこと、それから最近ではシクロクロスを始めたこともあって、北海道の大学に進むよりもずっと自分の世界が広がりました。関東に来て良かったですし、これからも頑張っていきたいと思います」と語ってくれた。
text&photo:So.Isobe
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