2018/03/17(土) - 08:55
3月12日(日)に開催された明治神宮外苑大学クリテリウムへと出場した、各大学のエースとそのバイクを紹介していきます。大学生レーサーならではの走りに徹したセッティングはきっと参考になるはず。まずは前編からどうぞ。
孫崎大樹(早稲田大学3年)
昨年大会でのバイク紹介にもご登場頂いた早稲田大学の主将、孫崎選手。ジュニア時代からナショナルチームのメンバーとして海外経験を積み、昨年のツアー・オブ・ジャパンでも逃げに乗るなど積極的な走りを身上とする大学3年生だ。
愛車は、早稲田大学のOBである中田真琴さんが代表を務めるBHジャパンからサポートをしてもらっているというG7 PRO。昨年はワンランク下のG6だったが、最終年度となる2018年はいよいよトップモデルにグレードアップ。オレンジレッド眩しいディレクトエネルジーカラーの車体にR9100系デュラエースとカンパニョーロのBORA ONEを組み合わせて神宮クリテリウムに臨んだ。
「G6よりも登りがだいぶ楽だと感じます。剛性面ではほぼ変わらないんですが、G7は軽量なぶん登りで有利。最近のフレームは黒一辺倒ですが、自分の好きな色も赤ですし、成績も目立てるようにあえて派手なカラーリングにしました。走りでは暴れているので、カラーでも暴れたいなと思いまして」とお気に入りの様子。
「大学生として最後の年になるので、自分自身もレベルアップして勝利数を増やしていきたい」と言う彼が見据える目標は、全日本選手権での優勝と、インカレや個人ロードで優勝や表彰台を重ね、RCSランキングで優勝することの2つ。2月に開催されたRCS第8戦では早速勝利を飾っており、目標に向けて好スタートを切っているようだ。
橋本優弥(鹿屋体育大学2年)
日本ナショナルチーム中距離班の一員として、アジア選手権でのチームパーシュート金メダルに貢献した橋本選手。現在競輪学校在学中のオムニアムアジア王者、橋本英也選手の妹で、トラック競技メインとしながらも持ち前のスピードで神宮クリテリウムを制した。
女子レース優勝バイクはキャノンデールが誇るオールラウンドモデル、SUPERSIX EVO Hi-Mod。1世代前の2015年モデルに乗っている理由は、昨年の神宮クリテリウムで落車してマイバイクを割ってしまったから。代用として部内で大切に受け継がれてきた「みんなの愛情が詰まったバイク」を1年間乗ってきたが、新車が近日中に届くため今回が乗り納めレースだったという。
「帰国してオフという意識もあり、このレースは楽しむつもりでした。でもナショナルチームの一員としての責任もあるので内心勝たないといけないと思っていたのでホッとしています」とレース後に答えた橋本選手。チームパーシュートで好記録を連発していることについて聞くと、「去年の自分たちでは考えられないタイムを出せるようになったので成長を感じています。コーチが代わったことが大きいように捉えられるのですが、今までたくさんの方お世話になってきたことが結果として出てきたのかなって思います」と周囲への感謝を語ってくれた。
この先の目標は、4年に一度のアジア大会で優勝して弾みをつけ、2年後に迫った東京オリンピックで表彰台の頂点に立つことだ。「でも、先日出場したトラック世界選手権では予選突破もできず、優勝したアメリカチームとは大きな差を感じました。それでも身体作りから一つ一つ煮詰めていけば叶わない夢でははないと信じています。せっかくの母国開催ですし、結果を出してこと意味がありますから。これからナショナルチームでの合宿や遠征が多くなってくるので、確実に力をつけていきたいと思っています」。
篠田幸希(日本体育大学1年)
ツール・ド・フランスに憧れて高校時代に自転車競技を始めて以降、全日本ロードU17優勝、ナショナルチームの一員として参加したツール・ド・ラビティビでステージ3位に入るなど、スプリンターとして着実に力を伸ばしているのがこの篠田選手。2018年からインタープロ・ストラダリサイクリングチームに加入し、学連と海外UCIレースの双方で成績を狙う19歳だ。
彼が駆るのは、所属するインタープロのスポンサーでもあるアメリカの総合スポーツブランド「ストラダリ」が手掛けるオールラウンドフレーム、RED-PROだ。国内では見慣れないバイクだが「まだ一ヶ月くらいしか乗っていないのですが、コントロールしやすいバイクですね。少し重たいのですが硬めでスプリントも良く掛かりますし、自分の脚には合っているかなと思います」とインプレッションする。
STIレバーにはチームカラーのシェイクスを付け、ステム、ハンドル、シートポストは日仏混成チームらしくフランスのコントロールテックを使う。ホイールやコンポーネントは自前で揃えているという。
「今年はUCIレースでポイントを狙っていきたい」と語る篠田選手の次戦は、インタープロとして参加するツアー・オブ・タイランド(UCI2.1)。神宮クリテリウムのグループ1レースでも集団の頭を獲るなど、スプリンターとしての片鱗を見せつけていた。
村田瑞季(中央大学3年)
京都、北桑田高校出身で、持ち前のスプリント力で地元レースの美山ロードを制したこともある中央大学3年の村田選手。トラック競技の短距離種目をメインに活動し、最後のシーズンとなる今年は「もともとインターハイの団抜きで優勝しているので、大学生最後のシーズンは中距離で結果を出して、中大が団体種目で優勝できるよう頑張りたい」と意気込む。
そんな村田選手の愛車は、中央大カラーの赤と黒でまとめられたサーヴェロのS3。トラック競技でサーヴェロを使っていることと、エアロロードらしい特性をスプリントや高速巡行時の武器にしたかったから選んでいるという。フレームはもちろん、駆動系が美しく整備されていることからも愛着が伝わってくる。
コンポーネントは6870系アルテグラDi2だが、クランクとブレーキキャリパーはデュラエースに換装して剛性と制動力をアップさせている。「もう全然デュラエースとアルテグラだとクランクの剛性が違いますね。特にスプリントでの加速の立ち上がりで差が出るのですが、デュラエースは8割ぐらいの力なのにアルテグラを全力で踏んだ時と同じような伸びを感じるんです。脚コンピュータ計測ですが…(笑)」とのこと。
他にもスプリンタースイッチを装備したり、内向けのブラケット、ドン下げのステムなど、各所にスピードマンらしいセッティングが見て取れる。グループ1のレースでは序盤に生まれた勝ち逃げに乗り5位入賞を飾った。
佐藤遼(法政大学3年)
神宮クリテリウムのグループ1では積極的に集団前方へと位置取りしていた法政大学3年の佐藤選手。小学生時代に自転車レースを走っていたが中学高校時代は中断、友達の影響で高校3年生から軽い気持ちで乗り始めたものの、気づけばRCSランキングでもトップ5以内に入るようになっていたという力の持ち主だ。
ヒルクライムが得意と言う彼の愛車は、タイムのエアロロードであるSKYLON。「セールだったので買えたんです。以前はデローザのSUPERKINGに乗っていたのですが、それよりも硬くて調子がいいですね」とインプレッション。取材時にはフルクラムのRACING SPEED XLRを装着していたが、レースはBORA ULTRA35で走っていた。
コンポーネントは6870系アルテグラDi2で、クランクセットは楕円チェーンリングを用いたROTOR。ハンドル位置を下げるための17度ステムがセッティング上で目立つ部分だ。ブラックベースにレッドを挿し色にした精悍なルックスが目を引く。
「もう就職活動が始まっているのですが、できるのであればプロ選手になってみたい気持ちもあります」と言う佐藤選手。大学生として最後となる来シーズンは、エースとして更なる期待が掛かっている。
text&photo:So.Isobe
孫崎大樹(早稲田大学3年)
昨年大会でのバイク紹介にもご登場頂いた早稲田大学の主将、孫崎選手。ジュニア時代からナショナルチームのメンバーとして海外経験を積み、昨年のツアー・オブ・ジャパンでも逃げに乗るなど積極的な走りを身上とする大学3年生だ。
愛車は、早稲田大学のOBである中田真琴さんが代表を務めるBHジャパンからサポートをしてもらっているというG7 PRO。昨年はワンランク下のG6だったが、最終年度となる2018年はいよいよトップモデルにグレードアップ。オレンジレッド眩しいディレクトエネルジーカラーの車体にR9100系デュラエースとカンパニョーロのBORA ONEを組み合わせて神宮クリテリウムに臨んだ。
「G6よりも登りがだいぶ楽だと感じます。剛性面ではほぼ変わらないんですが、G7は軽量なぶん登りで有利。最近のフレームは黒一辺倒ですが、自分の好きな色も赤ですし、成績も目立てるようにあえて派手なカラーリングにしました。走りでは暴れているので、カラーでも暴れたいなと思いまして」とお気に入りの様子。
「大学生として最後の年になるので、自分自身もレベルアップして勝利数を増やしていきたい」と言う彼が見据える目標は、全日本選手権での優勝と、インカレや個人ロードで優勝や表彰台を重ね、RCSランキングで優勝することの2つ。2月に開催されたRCS第8戦では早速勝利を飾っており、目標に向けて好スタートを切っているようだ。
橋本優弥(鹿屋体育大学2年)
日本ナショナルチーム中距離班の一員として、アジア選手権でのチームパーシュート金メダルに貢献した橋本選手。現在競輪学校在学中のオムニアムアジア王者、橋本英也選手の妹で、トラック競技メインとしながらも持ち前のスピードで神宮クリテリウムを制した。
女子レース優勝バイクはキャノンデールが誇るオールラウンドモデル、SUPERSIX EVO Hi-Mod。1世代前の2015年モデルに乗っている理由は、昨年の神宮クリテリウムで落車してマイバイクを割ってしまったから。代用として部内で大切に受け継がれてきた「みんなの愛情が詰まったバイク」を1年間乗ってきたが、新車が近日中に届くため今回が乗り納めレースだったという。
「帰国してオフという意識もあり、このレースは楽しむつもりでした。でもナショナルチームの一員としての責任もあるので内心勝たないといけないと思っていたのでホッとしています」とレース後に答えた橋本選手。チームパーシュートで好記録を連発していることについて聞くと、「去年の自分たちでは考えられないタイムを出せるようになったので成長を感じています。コーチが代わったことが大きいように捉えられるのですが、今までたくさんの方お世話になってきたことが結果として出てきたのかなって思います」と周囲への感謝を語ってくれた。
この先の目標は、4年に一度のアジア大会で優勝して弾みをつけ、2年後に迫った東京オリンピックで表彰台の頂点に立つことだ。「でも、先日出場したトラック世界選手権では予選突破もできず、優勝したアメリカチームとは大きな差を感じました。それでも身体作りから一つ一つ煮詰めていけば叶わない夢でははないと信じています。せっかくの母国開催ですし、結果を出してこと意味がありますから。これからナショナルチームでの合宿や遠征が多くなってくるので、確実に力をつけていきたいと思っています」。
篠田幸希(日本体育大学1年)
ツール・ド・フランスに憧れて高校時代に自転車競技を始めて以降、全日本ロードU17優勝、ナショナルチームの一員として参加したツール・ド・ラビティビでステージ3位に入るなど、スプリンターとして着実に力を伸ばしているのがこの篠田選手。2018年からインタープロ・ストラダリサイクリングチームに加入し、学連と海外UCIレースの双方で成績を狙う19歳だ。
彼が駆るのは、所属するインタープロのスポンサーでもあるアメリカの総合スポーツブランド「ストラダリ」が手掛けるオールラウンドフレーム、RED-PROだ。国内では見慣れないバイクだが「まだ一ヶ月くらいしか乗っていないのですが、コントロールしやすいバイクですね。少し重たいのですが硬めでスプリントも良く掛かりますし、自分の脚には合っているかなと思います」とインプレッションする。
STIレバーにはチームカラーのシェイクスを付け、ステム、ハンドル、シートポストは日仏混成チームらしくフランスのコントロールテックを使う。ホイールやコンポーネントは自前で揃えているという。
「今年はUCIレースでポイントを狙っていきたい」と語る篠田選手の次戦は、インタープロとして参加するツアー・オブ・タイランド(UCI2.1)。神宮クリテリウムのグループ1レースでも集団の頭を獲るなど、スプリンターとしての片鱗を見せつけていた。
村田瑞季(中央大学3年)
京都、北桑田高校出身で、持ち前のスプリント力で地元レースの美山ロードを制したこともある中央大学3年の村田選手。トラック競技の短距離種目をメインに活動し、最後のシーズンとなる今年は「もともとインターハイの団抜きで優勝しているので、大学生最後のシーズンは中距離で結果を出して、中大が団体種目で優勝できるよう頑張りたい」と意気込む。
そんな村田選手の愛車は、中央大カラーの赤と黒でまとめられたサーヴェロのS3。トラック競技でサーヴェロを使っていることと、エアロロードらしい特性をスプリントや高速巡行時の武器にしたかったから選んでいるという。フレームはもちろん、駆動系が美しく整備されていることからも愛着が伝わってくる。
コンポーネントは6870系アルテグラDi2だが、クランクとブレーキキャリパーはデュラエースに換装して剛性と制動力をアップさせている。「もう全然デュラエースとアルテグラだとクランクの剛性が違いますね。特にスプリントでの加速の立ち上がりで差が出るのですが、デュラエースは8割ぐらいの力なのにアルテグラを全力で踏んだ時と同じような伸びを感じるんです。脚コンピュータ計測ですが…(笑)」とのこと。
他にもスプリンタースイッチを装備したり、内向けのブラケット、ドン下げのステムなど、各所にスピードマンらしいセッティングが見て取れる。グループ1のレースでは序盤に生まれた勝ち逃げに乗り5位入賞を飾った。
佐藤遼(法政大学3年)
神宮クリテリウムのグループ1では積極的に集団前方へと位置取りしていた法政大学3年の佐藤選手。小学生時代に自転車レースを走っていたが中学高校時代は中断、友達の影響で高校3年生から軽い気持ちで乗り始めたものの、気づけばRCSランキングでもトップ5以内に入るようになっていたという力の持ち主だ。
ヒルクライムが得意と言う彼の愛車は、タイムのエアロロードであるSKYLON。「セールだったので買えたんです。以前はデローザのSUPERKINGに乗っていたのですが、それよりも硬くて調子がいいですね」とインプレッション。取材時にはフルクラムのRACING SPEED XLRを装着していたが、レースはBORA ULTRA35で走っていた。
コンポーネントは6870系アルテグラDi2で、クランクセットは楕円チェーンリングを用いたROTOR。ハンドル位置を下げるための17度ステムがセッティング上で目立つ部分だ。ブラックベースにレッドを挿し色にした精悍なルックスが目を引く。
「もう就職活動が始まっているのですが、できるのであればプロ選手になってみたい気持ちもあります」と言う佐藤選手。大学生として最後となる来シーズンは、エースとして更なる期待が掛かっている。
text&photo:So.Isobe
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