2017/03/29(水) - 09:00
3月12日(日)に開催された「明治神宮外苑大学クリテリウム」に出場した、各校エースのバイクを中心に紹介していきます。それではこだわりの愛車を見て行きましょう。
野本空(明治大学2年)
2年生ながらRCSランキングで総合優勝を果たし、非凡な才能を見せつけたのがこの野本選手。明治大学としては去年の優勝者である小林和希選手に続く2連覇であり、ここ最近だと4人目という快挙。野本選手は「歴代の偉大な先輩方と同じところに名を連ねたのはとても嬉しいですね」とコメントする。
そんな活躍を支えるバイクは、ジャイアントのエアロロードバイクであるPROPEL。聞けば好んでPROPELばかり乗り継いでいるとのことで、2015、2016、2017モデルとこのバイクで3台目なんだとか。「もともとは苦手な平坦でのスピードを上げるために買ったのですが、気に入っていますね。毎年落車で壊してしまっているのですが(汗)、車種を変えると乗り慣れるまでに2〜3か月は掛かってしまうので、同じモデルの方がストレスが無くてパフォーマンスも安定しますし」と、バイク選びはコンサバティブなご様子。
「大学生は400mmや380mmのハンドル幅が多いのですが、自分は最初のロードバイクが420mmだったので、ずっとそのままですね。比較的珍しいかもしれません」とハンドル幅にはこだわりがあるそう。ホイールも「みんなカーボンディープを使いたがるけれど、自分はキシリウムのクリンチャーの感覚が好きなんです」と、ずっとキシリウムSLSを愛用しているんだとか。
RCSリーダー獲得の他に、全日本トラック選手権のスクラッチで3位、大学選手権ロード4位と成績を残している野本選手の目標は、今年地元愛媛県で開催される国体で勝ち、応援してくれている方々に恩返しをすることだ。「その後は課題の平坦を克服し、プロで通用する実力がついたと判断したらプロを目指していきたいですね。そこに向けて、今回のRCS総合優勝は弾みになると思います。そして今回は偉大な偉大な大先輩方のお陰で総合優勝を獲ることができました。ありがとうございます!」
中井彩子(鹿屋体育大学2年)
残り3周を単独で逃げ切るという圧倒的な力を見せて優勝した鹿屋体育大学2年の中井選手。「今まで勝てたことがあまりなかったので、優勝したという事実が素直に嬉しいです」と勝利の余韻に浸る彼女のバイクは、先輩方のお下がりだというキャノンデールのSUPERSIX EVO Hi-MOD(2014モデル)。フレームサイズは一番小さい44サイズだ。
やはり体格に合わせてハンドル周りのセッティングにこだわっているようで、ハンドルは高校生の頃から愛用しているという東京サンエスのJフィットバーを使用。「身長も小さく手も小さいので普通のハンドルだとブラケットまで届かないことがありますが、コンパクトに出来ているので、届きやすいですし、ドロップ部分の落差が抑えられている点も良いです。更にアルミのハンドルなので、落車しても簡単には壊れず、カーボンより頑丈なので気にいってます」と言う。
コンポーネントは機械式のアルテグラだが、クランクセットのみデュラエース(歯数は52-38T、全日本ロードは登りが厳しいのでもう少し小さいギアが欲しいとのこと)。前編で登場頂いた黒枝選手のバイクと同じく、リアブレーキワイヤーのヘッドチューブ側は蛇腹式アウターを使っている。
今後の目標については、「自分で走れる力。TTであるとか、独走力を高めていきたいです。スプリントも圧倒的に無いので、力をつける必要があると感じています。」とコメント。その上で「学生という括りだけではなく、日本の女子エリートの中で一番上のレベルで走れるように頑張ります」抱負を語った。
孫崎大樹(早稲田大学2年)
高校生の頃から多くの国際大会に出場し、この神宮クリテリウムの翌日にもJCFのU23ネイションズカップ派遣で欧州へ飛ぶという孫崎選手。「40日の欧州遠征でもキープできるパーマにして下さいと頼んだら、かなり爆発気味になってしましました(汗)」と笑う彼の愛車は、BHのエアロロードモデル、G6。早稲田大学のOBである中田真琴さんが代表を務めるBHジャパンからサポートをしてもらっているという。
乗り味に関しては「回転で回すよりも一定のトルクで踏んで行く自分の脚質に合っていて、一踏み一踏み気持ち良く進んでくれるんです」とコメント。特長的なのはハンドルを少ししゃくり気味にすることで、下ハンドルを握ったエアロフォームを取りやすくしている点だろう。ブラケットを持つ場合でも上体が安定するため、集団内で休む時に姿勢が楽だという。
クランクとブレーキはデュラエースを使用し、他の変速系はアルテグラにしておくことで、破損時のコストを抑えつつ、必要な剛性と制動力を確保している点が学生の競技バイクらしい組み合わせ。ホイールは10速のデュラエースのC35を使用していたが、11速に対応していないためキシリウムSLRを使っているとのことだが、調子が良いのでこのまま欧州遠征にも持っていくという。
「ネイションズカップに標準を合わせてきているので、この神宮クリテで良い走りをして、その勢いのままネイションズカップでも良い結果を出していきたい。そして卒業後のプロに繋がるようにしていきたいと思う」と今後の目標を語る。「集団走行が得意で、海外のレースでも引けを取らずに、集団の行きたいところに行けるので、勝負所まで脚を残して生き残り、最後はスプリントで勝負していきたい」。とも語ってくれた。
荒井佑太(法政大学3年)
終始積極的に逃げを打ち、レースをかき回した荒井祐太選手(法政大学)。インカレポイントレースでの優勝や日本ナショナルチームのメンバーとしてアジア大学ロード選手権クリテリウム総合優勝に貢献した実績を持つトラック競技メインのスピードマンだ。
「自分の持ち味であるスピードを活かすため」というバイクチョイスは、スコットのエアロロードであるFoil。ホイールやコンポーネントも含めて既に4年が経とうかという歴戦の友だが、愛情を込めていつも整備をしているとのことで、駆動系も含めてとても美しい状態だった。まさに「愛車」という言葉がぴったりだ。
なるべくトラックバイクのポジションに近づけるべく丸シェイプのハンドルを使う他、トップチューブ長が比較的短いためステムは130mmを選んでいる。使い込まれている感物凄いゼッケンホルダーは国体の際にメカニックが作ってくれたものをずっと使い続けているという。
卒業後も自転車競技を続けるべく、環境探しをしている段階だと言う荒井選手は、「自分を支えてくれている方々がいてくれてこそ今の自分があるので、その感謝を日々忘れないようにしています」と感謝を絶やさない。「去年の夏から海外レースに参加しているのですが、その経験を糧に自転車選手として、人間として成長していきたいですね」。
直井駿太(中央大学3年)
最終コーナーを3番手という好位置で立ち上がり、最高の状況で始まったスプリントを制しクラス2で優勝した直井選手。「”これはもうもらったな”と思ってもがき倒しました。ずっとクラス2で2位、3位、2位と連続で取ってしまって、他大学からもシルバーコレクターと呼ばれる中でやっと、それも神宮で一花咲かせられて良かった」と嬉しさをコメント。
そんな念願の勝利を足元から支えたバイクは、ルックのオールラウンドレーシングモデルである695LIGHTだ。「ヘッドが硬すぎるとか、BBが硬すぎるというように、どこかに剛性が偏ることなく、良い剛性バランスのバイクです」とインプレッションする愛車は、高校3年生の時から使っており、既に4年目。落車による傷が少々入っているものの、「結構丈夫で落車しても壊れたりしませんね」とのこと。
トータルで設計されるLOOKの思想そのままに、純正パーツとデュラエースでまとめている点がこだわり。ハンドルはアルミ製だが、最近カーボンに変えたい欲が出てきているものの、耐久性と軽さの狭間で迷っているそう。バイクのメンテナンスは筑波のHi-Bikeで、ハブやボトムブラケットなど回転系はSpinでケミカルチューニングを施しているそう。バーテープは「自分で巻かないと落ち着かない派」。
「自転車選手として学生のうちに、高校生で成し遂げられなかった全国1位という成績をどんな種目でも良いので1つは取りたいなと考えています」。
text&photo:So.Isobe
野本空(明治大学2年)
2年生ながらRCSランキングで総合優勝を果たし、非凡な才能を見せつけたのがこの野本選手。明治大学としては去年の優勝者である小林和希選手に続く2連覇であり、ここ最近だと4人目という快挙。野本選手は「歴代の偉大な先輩方と同じところに名を連ねたのはとても嬉しいですね」とコメントする。
そんな活躍を支えるバイクは、ジャイアントのエアロロードバイクであるPROPEL。聞けば好んでPROPELばかり乗り継いでいるとのことで、2015、2016、2017モデルとこのバイクで3台目なんだとか。「もともとは苦手な平坦でのスピードを上げるために買ったのですが、気に入っていますね。毎年落車で壊してしまっているのですが(汗)、車種を変えると乗り慣れるまでに2〜3か月は掛かってしまうので、同じモデルの方がストレスが無くてパフォーマンスも安定しますし」と、バイク選びはコンサバティブなご様子。
「大学生は400mmや380mmのハンドル幅が多いのですが、自分は最初のロードバイクが420mmだったので、ずっとそのままですね。比較的珍しいかもしれません」とハンドル幅にはこだわりがあるそう。ホイールも「みんなカーボンディープを使いたがるけれど、自分はキシリウムのクリンチャーの感覚が好きなんです」と、ずっとキシリウムSLSを愛用しているんだとか。
RCSリーダー獲得の他に、全日本トラック選手権のスクラッチで3位、大学選手権ロード4位と成績を残している野本選手の目標は、今年地元愛媛県で開催される国体で勝ち、応援してくれている方々に恩返しをすることだ。「その後は課題の平坦を克服し、プロで通用する実力がついたと判断したらプロを目指していきたいですね。そこに向けて、今回のRCS総合優勝は弾みになると思います。そして今回は偉大な偉大な大先輩方のお陰で総合優勝を獲ることができました。ありがとうございます!」
中井彩子(鹿屋体育大学2年)
残り3周を単独で逃げ切るという圧倒的な力を見せて優勝した鹿屋体育大学2年の中井選手。「今まで勝てたことがあまりなかったので、優勝したという事実が素直に嬉しいです」と勝利の余韻に浸る彼女のバイクは、先輩方のお下がりだというキャノンデールのSUPERSIX EVO Hi-MOD(2014モデル)。フレームサイズは一番小さい44サイズだ。
やはり体格に合わせてハンドル周りのセッティングにこだわっているようで、ハンドルは高校生の頃から愛用しているという東京サンエスのJフィットバーを使用。「身長も小さく手も小さいので普通のハンドルだとブラケットまで届かないことがありますが、コンパクトに出来ているので、届きやすいですし、ドロップ部分の落差が抑えられている点も良いです。更にアルミのハンドルなので、落車しても簡単には壊れず、カーボンより頑丈なので気にいってます」と言う。
コンポーネントは機械式のアルテグラだが、クランクセットのみデュラエース(歯数は52-38T、全日本ロードは登りが厳しいのでもう少し小さいギアが欲しいとのこと)。前編で登場頂いた黒枝選手のバイクと同じく、リアブレーキワイヤーのヘッドチューブ側は蛇腹式アウターを使っている。
今後の目標については、「自分で走れる力。TTであるとか、独走力を高めていきたいです。スプリントも圧倒的に無いので、力をつける必要があると感じています。」とコメント。その上で「学生という括りだけではなく、日本の女子エリートの中で一番上のレベルで走れるように頑張ります」抱負を語った。
孫崎大樹(早稲田大学2年)
高校生の頃から多くの国際大会に出場し、この神宮クリテリウムの翌日にもJCFのU23ネイションズカップ派遣で欧州へ飛ぶという孫崎選手。「40日の欧州遠征でもキープできるパーマにして下さいと頼んだら、かなり爆発気味になってしましました(汗)」と笑う彼の愛車は、BHのエアロロードモデル、G6。早稲田大学のOBである中田真琴さんが代表を務めるBHジャパンからサポートをしてもらっているという。
乗り味に関しては「回転で回すよりも一定のトルクで踏んで行く自分の脚質に合っていて、一踏み一踏み気持ち良く進んでくれるんです」とコメント。特長的なのはハンドルを少ししゃくり気味にすることで、下ハンドルを握ったエアロフォームを取りやすくしている点だろう。ブラケットを持つ場合でも上体が安定するため、集団内で休む時に姿勢が楽だという。
クランクとブレーキはデュラエースを使用し、他の変速系はアルテグラにしておくことで、破損時のコストを抑えつつ、必要な剛性と制動力を確保している点が学生の競技バイクらしい組み合わせ。ホイールは10速のデュラエースのC35を使用していたが、11速に対応していないためキシリウムSLRを使っているとのことだが、調子が良いのでこのまま欧州遠征にも持っていくという。
「ネイションズカップに標準を合わせてきているので、この神宮クリテで良い走りをして、その勢いのままネイションズカップでも良い結果を出していきたい。そして卒業後のプロに繋がるようにしていきたいと思う」と今後の目標を語る。「集団走行が得意で、海外のレースでも引けを取らずに、集団の行きたいところに行けるので、勝負所まで脚を残して生き残り、最後はスプリントで勝負していきたい」。とも語ってくれた。
荒井佑太(法政大学3年)
終始積極的に逃げを打ち、レースをかき回した荒井祐太選手(法政大学)。インカレポイントレースでの優勝や日本ナショナルチームのメンバーとしてアジア大学ロード選手権クリテリウム総合優勝に貢献した実績を持つトラック競技メインのスピードマンだ。
「自分の持ち味であるスピードを活かすため」というバイクチョイスは、スコットのエアロロードであるFoil。ホイールやコンポーネントも含めて既に4年が経とうかという歴戦の友だが、愛情を込めていつも整備をしているとのことで、駆動系も含めてとても美しい状態だった。まさに「愛車」という言葉がぴったりだ。
なるべくトラックバイクのポジションに近づけるべく丸シェイプのハンドルを使う他、トップチューブ長が比較的短いためステムは130mmを選んでいる。使い込まれている感物凄いゼッケンホルダーは国体の際にメカニックが作ってくれたものをずっと使い続けているという。
卒業後も自転車競技を続けるべく、環境探しをしている段階だと言う荒井選手は、「自分を支えてくれている方々がいてくれてこそ今の自分があるので、その感謝を日々忘れないようにしています」と感謝を絶やさない。「去年の夏から海外レースに参加しているのですが、その経験を糧に自転車選手として、人間として成長していきたいですね」。
直井駿太(中央大学3年)
最終コーナーを3番手という好位置で立ち上がり、最高の状況で始まったスプリントを制しクラス2で優勝した直井選手。「”これはもうもらったな”と思ってもがき倒しました。ずっとクラス2で2位、3位、2位と連続で取ってしまって、他大学からもシルバーコレクターと呼ばれる中でやっと、それも神宮で一花咲かせられて良かった」と嬉しさをコメント。
そんな念願の勝利を足元から支えたバイクは、ルックのオールラウンドレーシングモデルである695LIGHTだ。「ヘッドが硬すぎるとか、BBが硬すぎるというように、どこかに剛性が偏ることなく、良い剛性バランスのバイクです」とインプレッションする愛車は、高校3年生の時から使っており、既に4年目。落車による傷が少々入っているものの、「結構丈夫で落車しても壊れたりしませんね」とのこと。
トータルで設計されるLOOKの思想そのままに、純正パーツとデュラエースでまとめている点がこだわり。ハンドルはアルミ製だが、最近カーボンに変えたい欲が出てきているものの、耐久性と軽さの狭間で迷っているそう。バイクのメンテナンスは筑波のHi-Bikeで、ハブやボトムブラケットなど回転系はSpinでケミカルチューニングを施しているそう。バーテープは「自分で巻かないと落ち着かない派」。
「自転車選手として学生のうちに、高校生で成し遂げられなかった全国1位という成績をどんな種目でも良いので1つは取りたいなと考えています」。
text&photo:So.Isobe
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