2017/09/16(土) - 08:50
カナダ発祥のノースショアスタイルを原点に持つオフロードバイクブランド「KONA」。8月23日に東京都渋谷区に拠点を構えるレッドブル・ジャパンの本社にて、2018年モデルの新車発表会が開催された。展示会の様子をレポートしよう。
ヒカリエの竣工以来、再開発が進む東京都の渋谷駅東側。以前バスロータリーがあった場所や渋谷警察署の対面に建設されはじめたビルを横目に、宮益坂を登り、青山方面へ向かったところにレッドブル・ジャパンの本社が構えられている。
今回、そのレッドブル・ジャパンでMTBを中心に展開するバイクブランドKONA(コナ)の新車発表会が開催された。なぜ飲料メーカーが持つスペースでバイクブランドの展示会が開かれるのか。レッドブルは世界的にエクストリーム系からクロスカントリー系まであらゆるMTBの活動を支援しており、日本でもDOWNHILL SERIESに協力していたり、ホーリーライドを開催するなどMTBとの関わりは深い。そういった縁もあり、今回レッドブル・ジャパンのホールで展示会が開かれることとなった。
世界でも有数の知名度を誇るエナジードリンクブランドのHQで開催されるというだけあり、来場者はレッドブル飲み放題という特典付き。飲みたくなったら備え付けられている冷蔵庫から取り出しても良いのだとか。これ以上無いおもてなしを受けながら、最新自転車を眺められる時間というのは至高以外の何物でも無い。
2018年モデルのKONAで最も注目のモデルはオールマウンテン系の「PROCESS(プロセス)」だ。欧米でエンデューロレースを闘うためのマシン、下りを最大限に楽しみつつ登りもこなせるトレイルバイクがフルモデルチェンジを果たしたのだ。
大きな変更点はリアショックユニットをトラニオンマウントとしたこと。近年フルサスXCモデルで多く見られるようになったマウント規格を採用することで、ネジレ剛性を獲得しつつ低重心化を実現。下りでは安定し、登りではダンシングでバイクが振りやすくかつ、ペダリングパワーが効率よく推進力に変換してくれる性能を備えた。
ラインアップにはカーボンモデルが新しく追加され、アルミモデルと合わせ2種類のフレームが揃うことに。カーボンモデルは完成車2種類の展開となり、いずれも1×12のスラム Eagleシリーズをコンポーネントに採用している。「来季はDOWNHILL SERIESやエンデューロシリーズでこのバイクを使用することになりそうです」とは日本のダウンヒル界を牽引する人物の1人であり、アキファクトリーレーシングの選手権監督の井手川直樹さんだ。
「海外のエンデューロレースでは登りが厳しいところも多く、12速が必要になることがあるんです。日本でも里山などを走り回っているとキツい登りがでてくると思いますが、そんなシチュエーションにあっていると思います」とも。
カーボンモデルはケーブルが内装となり、ダウンチューブにボトルケージ台座が設定された。またケーブル出口のカバー部分には予備リアエンドを忍ばせることができる。リアエンドを曲げてしまっても速やかに修理し走行に復帰することで、レースやトレイルライドで最後まで走りきることが可能となった。
展開する2車種ともに27.5インチのカーボンモデルに対して、アルミモデルには29erが用意された。近年、ダウンヒルバイクでも29インチホイールのモデルがリリースされはじめたところであり、KONAもその流れにエンデューロバイクからではあるがいち早く乗った。
ダウンヒルバイクであるOPERATORもリアショックユニットをトラニオンマウントへ変更。XCレース用のHEI HEIは12速コンポーネントであるスラム Eagleが搭載されたモデルが登場するなど各種アップデートが加えられている。ハードテールのエンデューロやトレイル用バイクHONZOにはMTBビギナー最初の一台として最適なアルミモデルが登場。
ドロップハンドルのROVEシリーズにはROVE LTD、ROVE NRB RLという2車種が新たに追加された。ROVE LTDは、レイノルズ853チューブが使用されたフレームにカーボンフォーク、650BホイールとWTB horizonを組合せた1台だ。対してROVE NRB RLはアルミフレームとカーボンフォークがセットのモデル。足回りはLTDと同様のパーツがアッセンブルされる。
昨年から継続モデルとなるSUTRA LTDだが、リアエンドがスルーアクスル化するなどマイナーチェンジを果たしている。アッセンブルされるタイヤも昨年は40Cだったところを、2018年モデルでは50C(約5cm幅)というMTBに近いタイヤへと切り替え、よりダートでの安定感や舗装路での快適性を高めている。
ROVE LTDなど新モデルも登場しラインアップが充実したアドベンチャーラインアップ。自由気ままにMTBを楽しむカナダ・ノースショアスタイルの影響を受けているKONAというブランドだけあり、このシリーズは肩肘張らず、気軽に自転車に乗りたい方にオススメのバイクだ。「峠道だけではなく一本奥の林道まで足を運ぶことで、いつもと違う世界を見ることができるはずです。」と担当者の方はいう。
主要モデルはフロントシングルとなっており、変速機のトラブルなどの危険性も少なくしているという。アキコーポレーションがサポートするツーリスト西川昌徳さんは「一度フロントシングルを使用すると、ダブルには戻れない」と言い切るほど、前の変速機を使用しないメリットはあるのだという。
今回の展示会は販売店やメディアだけではなく、一般ユーザー向けの開放日が設けられており、仕事帰りの方が数多く訪れた。来場者の中にはこれからMTBをはじめようと考えている方も多かったようで、ロード乗りの新たな遊びとしてMTBが認知されてきたようだ。中にはお世話になっているショップに西伊豆の山伏トレイルへ連れて行ってもらった影響で、MTBの購入を考えている方もおり、真剣にバイクを選んでいる方も。
展示ホールに人が集まってきたところで、我々はソファーがある部屋に通され腰を落ち着けることに。これから始まるのはKONAが撮り溜めたイケイケのムービー鑑賞会。ライダー達が圧倒的なテクニックで欧米のトレイルを攻める短編ムービーが次々と流れていく。新しい動画が始まるごとにアキコーポレーションの柴田さんが笑いありのコメントや簡単な解説を挟んでくれるため、アットホームな雰囲気に包まれた。
上映会の途中には、KONAのバイクに乗るトライアル全日本チャンピオンの西窪友海さんが来場したこともあり、西窪さんが自ら制作したムービーも流される一幕も。ここは絶対に自転車では行けないだろう!と思うような障害をいとも簡単に乗り越えていってしまう西窪さんの姿を見た我々は驚嘆の声を漏らすことができなかった。西窪さんのHPに動画が掲載されているため、気になる方は見てみても良いだろう。
なんとKONAのムービーをすべて見ると2時間は要するのだとか。18時30分に開始された上映会でフル鑑賞すると終わるのは20時30分となる計算だ。流石にお腹も空いてくるよなーと考えていたところで(機会があるなら全てみたい)、上映会は終了。40分ほどだったが、ムービーの内容が濃いだけに短時間でも十分に満足だ。
ムービーを見て感化されたユーザーたちは改めてニューバイクに食い入る様に見つめていた。日が落ちる前から始まった一般開放の時間もあっという間に終了の時間に。我々来場者は光り輝く渋谷の街へふたたび戻るのであった。
text&photo:Gakuto.Fujiwara
ヒカリエの竣工以来、再開発が進む東京都の渋谷駅東側。以前バスロータリーがあった場所や渋谷警察署の対面に建設されはじめたビルを横目に、宮益坂を登り、青山方面へ向かったところにレッドブル・ジャパンの本社が構えられている。
今回、そのレッドブル・ジャパンでMTBを中心に展開するバイクブランドKONA(コナ)の新車発表会が開催された。なぜ飲料メーカーが持つスペースでバイクブランドの展示会が開かれるのか。レッドブルは世界的にエクストリーム系からクロスカントリー系まであらゆるMTBの活動を支援しており、日本でもDOWNHILL SERIESに協力していたり、ホーリーライドを開催するなどMTBとの関わりは深い。そういった縁もあり、今回レッドブル・ジャパンのホールで展示会が開かれることとなった。
世界でも有数の知名度を誇るエナジードリンクブランドのHQで開催されるというだけあり、来場者はレッドブル飲み放題という特典付き。飲みたくなったら備え付けられている冷蔵庫から取り出しても良いのだとか。これ以上無いおもてなしを受けながら、最新自転車を眺められる時間というのは至高以外の何物でも無い。
2018年モデルのKONAで最も注目のモデルはオールマウンテン系の「PROCESS(プロセス)」だ。欧米でエンデューロレースを闘うためのマシン、下りを最大限に楽しみつつ登りもこなせるトレイルバイクがフルモデルチェンジを果たしたのだ。
大きな変更点はリアショックユニットをトラニオンマウントとしたこと。近年フルサスXCモデルで多く見られるようになったマウント規格を採用することで、ネジレ剛性を獲得しつつ低重心化を実現。下りでは安定し、登りではダンシングでバイクが振りやすくかつ、ペダリングパワーが効率よく推進力に変換してくれる性能を備えた。
ラインアップにはカーボンモデルが新しく追加され、アルミモデルと合わせ2種類のフレームが揃うことに。カーボンモデルは完成車2種類の展開となり、いずれも1×12のスラム Eagleシリーズをコンポーネントに採用している。「来季はDOWNHILL SERIESやエンデューロシリーズでこのバイクを使用することになりそうです」とは日本のダウンヒル界を牽引する人物の1人であり、アキファクトリーレーシングの選手権監督の井手川直樹さんだ。
「海外のエンデューロレースでは登りが厳しいところも多く、12速が必要になることがあるんです。日本でも里山などを走り回っているとキツい登りがでてくると思いますが、そんなシチュエーションにあっていると思います」とも。
カーボンモデルはケーブルが内装となり、ダウンチューブにボトルケージ台座が設定された。またケーブル出口のカバー部分には予備リアエンドを忍ばせることができる。リアエンドを曲げてしまっても速やかに修理し走行に復帰することで、レースやトレイルライドで最後まで走りきることが可能となった。
展開する2車種ともに27.5インチのカーボンモデルに対して、アルミモデルには29erが用意された。近年、ダウンヒルバイクでも29インチホイールのモデルがリリースされはじめたところであり、KONAもその流れにエンデューロバイクからではあるがいち早く乗った。
ダウンヒルバイクであるOPERATORもリアショックユニットをトラニオンマウントへ変更。XCレース用のHEI HEIは12速コンポーネントであるスラム Eagleが搭載されたモデルが登場するなど各種アップデートが加えられている。ハードテールのエンデューロやトレイル用バイクHONZOにはMTBビギナー最初の一台として最適なアルミモデルが登場。
ドロップハンドルのROVEシリーズにはROVE LTD、ROVE NRB RLという2車種が新たに追加された。ROVE LTDは、レイノルズ853チューブが使用されたフレームにカーボンフォーク、650BホイールとWTB horizonを組合せた1台だ。対してROVE NRB RLはアルミフレームとカーボンフォークがセットのモデル。足回りはLTDと同様のパーツがアッセンブルされる。
昨年から継続モデルとなるSUTRA LTDだが、リアエンドがスルーアクスル化するなどマイナーチェンジを果たしている。アッセンブルされるタイヤも昨年は40Cだったところを、2018年モデルでは50C(約5cm幅)というMTBに近いタイヤへと切り替え、よりダートでの安定感や舗装路での快適性を高めている。
ROVE LTDなど新モデルも登場しラインアップが充実したアドベンチャーラインアップ。自由気ままにMTBを楽しむカナダ・ノースショアスタイルの影響を受けているKONAというブランドだけあり、このシリーズは肩肘張らず、気軽に自転車に乗りたい方にオススメのバイクだ。「峠道だけではなく一本奥の林道まで足を運ぶことで、いつもと違う世界を見ることができるはずです。」と担当者の方はいう。
主要モデルはフロントシングルとなっており、変速機のトラブルなどの危険性も少なくしているという。アキコーポレーションがサポートするツーリスト西川昌徳さんは「一度フロントシングルを使用すると、ダブルには戻れない」と言い切るほど、前の変速機を使用しないメリットはあるのだという。
今回の展示会は販売店やメディアだけではなく、一般ユーザー向けの開放日が設けられており、仕事帰りの方が数多く訪れた。来場者の中にはこれからMTBをはじめようと考えている方も多かったようで、ロード乗りの新たな遊びとしてMTBが認知されてきたようだ。中にはお世話になっているショップに西伊豆の山伏トレイルへ連れて行ってもらった影響で、MTBの購入を考えている方もおり、真剣にバイクを選んでいる方も。
展示ホールに人が集まってきたところで、我々はソファーがある部屋に通され腰を落ち着けることに。これから始まるのはKONAが撮り溜めたイケイケのムービー鑑賞会。ライダー達が圧倒的なテクニックで欧米のトレイルを攻める短編ムービーが次々と流れていく。新しい動画が始まるごとにアキコーポレーションの柴田さんが笑いありのコメントや簡単な解説を挟んでくれるため、アットホームな雰囲気に包まれた。
上映会の途中には、KONAのバイクに乗るトライアル全日本チャンピオンの西窪友海さんが来場したこともあり、西窪さんが自ら制作したムービーも流される一幕も。ここは絶対に自転車では行けないだろう!と思うような障害をいとも簡単に乗り越えていってしまう西窪さんの姿を見た我々は驚嘆の声を漏らすことができなかった。西窪さんのHPに動画が掲載されているため、気になる方は見てみても良いだろう。
なんとKONAのムービーをすべて見ると2時間は要するのだとか。18時30分に開始された上映会でフル鑑賞すると終わるのは20時30分となる計算だ。流石にお腹も空いてくるよなーと考えていたところで(機会があるなら全てみたい)、上映会は終了。40分ほどだったが、ムービーの内容が濃いだけに短時間でも十分に満足だ。
ムービーを見て感化されたユーザーたちは改めてニューバイクに食い入る様に見つめていた。日が落ちる前から始まった一般開放の時間もあっという間に終了の時間に。我々来場者は光り輝く渋谷の街へふたたび戻るのであった。
text&photo:Gakuto.Fujiwara
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