2017/09/02(土) - 09:13
コストパフォーマンスに優れるGPS搭載サイクルコンピューターとして人気のLEZYNE GPS。輸入代理店のダイアテックが改めてその魅力とメリットの説明会を開催した。レザインの開発担当者テリー・クックさんも来場し、GPSサイクルコンピューターのこれからのヴィジョンを説明した。
自転車の機材が進化するとともに電子デバイスも進化の一途を辿り、非常に優れた精度のパワーメーターや高性能なサイクルコンピューター(以下、サイコン)が数多く世の中にリリースされている。数は多くあるがハイスペックなモデルはプロ選手もしくは真剣に競技に取り組むアスリート向けであり、週末のサイクリングを楽しむといったホビーユーザーにとってはトゥーマッチであることも往々にしてあるはずだ。
特にハイエンドサイコンは、サイクリングであったら嬉しいナビゲーション機能を有しているが、パワートレーニング用の機能も備えられており、我々ホビーサイクリストでは持て余してしまう。
ただパワートレーニング、パワー計測がアスリートのためだけのものと言うわけではない。自分の出力基準を知ることで、楽と感じるペース配分をしながら走ることができ、より遠くへ足を運ぶことさえも可能となる。しかし、パワーメーターと対になるサイコンは依然として高価であり手が出しにくい。自転車→ホイールなどパーツ類→デバイス類など段階を踏んでハイスペックなものを揃えていくのが一般的だろう。
そもそもハイエンドのサイコンは何がどう良いのか?どうやって使って楽しめば良いのか?という事がぼんやりとした認識でしか無い。パワーの数値を見てどうするのかもイマイチ把握できていない。レザインGPS、ローター2in powerという2つのデバイスを有する輸入代理店ダイアテックが販促も兼ねた説明会を開いた。
もちろんレザインGPS、ローターQ-Rings、2inPowerの説明が会の中心だ。各製品の良いところの紹介は、GPS搭載サイコンと楕円チェーンリング、パワーメーターのそれぞれのメリットに行き着いた。レザインの説明にはエンジニアのテリー・クックさんも加わり、レザインの目指す方向性などを教えてくれた。
テリーさんは、映画アバターの3Dモーションのエンジニアリングを手がけていたり、NASAでハイブリッドロケットの開発に携わっていたりと、各業界で最先端のテクノロジーに触れてきた人物。そこで得た知見を活かし、レザインでもアドバンスドR&Dとして活躍している。
さて、ダイアテックがレザインのサイコン「LEZYNE GPS」の美点を4つにまとめた。
1、センサー無しでスピード、距離を計測できる手軽さ
2、ナビゲーション機能
3、ライブトラッキング
4、トレーニングに貢献する
項目1はGPS搭載サイコンならば全て備わる機能だ。位置情報とスピード、距離の単なる記録目的以外に欲しくなる機能はナビゲーションだろうか。あれば便利なこの機能が採用されるかされないかがエントリグレードとミドルグレードの分水嶺となっている。
ライブトラッキングはライドの楽しさを拡張してくれる最先端のテクノロジーだ。そしてトレーニングにも活用できるかどうかは、アスリートはもちろん週末のヒルクライムを楽しみにしているホビーサイクリストにとっては重要な項目。
よく見てみると特別目新しい機能わけではなく、各メーカーのグレードによって異なるがGPS搭載サイコンのスタンダードとも言える機能ばかり。つまり、これらの機能がGPS搭載サイコンのメリットと言い換えることもできそうだ。
ではなぜレザインがこの事をプッシュするのかというと、現在用意されている全てのモデルに4項目全て対応しているからだ。通常、項目1を基本とし、その上から様々な付加機能を加えることで、様々なモデルのアイデンティティを生み出している。同時に価格もどんどん上がっていくのだ。そして、GPS搭載サイコンが遠い存在へとなっていく。
しかし、レザインはハイエンドモデルでもアンダー2万円、エントリーモデルでは必要な機能全てが採用されながらも1万2千円という価格に設定されている。GPS搭載サイコンのメリットが比較的安価に享受することができるのだ。
スマートコーチングの安藤隼人コーチによるとStrava Live Segmentが高校生のトレーニングに役立つのだという。「コーチが生徒の状況を把握しやすいのも理由の1つですが、個人間で速さを競うようになるというメリットもあります」と安藤コーチ。特にLEZYNE GPSの場合は比較的安価な価格設定とされているため、高校生にオススメできるのだとか。
価格が安い秘密はハード面での機能やパーツ選択にこだわりがある事に加え、レザインの開発体制にもあるという。「現在サイクルコンピューターは5名のエンジニアによって開発されています。大規模な開発を行っていないため、コストを削減することに成功しているんです」とテリーさんは言う。
少人数体制で開発が行われているLEZYNE GPSだが、バグの修正のみならず機能の拡張などを高頻度で行われている。カスタマーからの要望を細かく拾い上げ、都度反映させているのだという。テリーさんは「GPSサイクルコンピューターに必要なものはランタイム、ストレージ、正確さ、使いやすさだと考えています。現在のLEZYNE GPSの満足度は90%ほどで、残りの10%を満たすためにハードトレーニングする人のための機能や、ライド中のクラッシュを知らせる機能などアップデートを行う予定です」と語る。
今後のGPSサイクルコンピューターの方向性についてテリーさんに訪ねると、よりクラウドとの繋がりが強化されていくとのことだった。具体的には計測しているデータをリアルタイムでコーチに通信されたりすることだという。インターネットを介すことでサイクルコンピューターの可能性は広がっていくとテリーさんは語った。
ツール・ド・フランスにおいてレースを走る選手たちの位置情報やパワー、スピードなどをリアルタイム配信していたことを考えると、そのようなハイテクノロジーが一般サイクリストにおりてくることも想像できる。遠くない将来に。インターネットに接続したサイコンがどのようにサイクリングに彩りを与えてくれるか楽しみだ。
レザインの説明会が終わると次はローターの説明が始まる。まず、パワートレーニングはホビーライダーにとっても有用であることを改めて説明された。すべての指標となるのはFTP、1時間連続して出し続けることができるワット数。FTPを基準にパワーコントロールすることで、より長時間走り続けることが可能となったりするのだという。
そこから派生し、疲労度の指標として知られるトレーニングストレススコア(TSS)などの確認も可能となるため、平日の仕事に向けて万全の体調を整えることができる。またパワーメーターにかかったエネルギー量も把握できるため、ダイエットを目指す方にもパワートレーニングは有用なのである。もしくはその日のトレーニングのご褒美として、口にできるスイーツやビールなどのカロリー計算も捗るだろう。
と、ライトな説明もされたが、パワートレーニングの話はディープな方向へと進んでいく。ローターの2inpowerではペダリング効率、ペダリングのスムースさ、ピークパワーの測定が行われるという紹介から話は深くなる。引き足がネガティブパワーを発生させる、それを低減させようというのがQ-Ringsなど。
単純なパワーだけではなくペダリングの状況を可視化することで、速くなるためのヒントを得ることが可能となる。ヒントをもとに自分自身の体を強化することで、より速く遠くへ足を運べるようになり、サイクリングの世界がグッと広がってくれるはずだ。
いずれにせよ高価だと思われていたGPS搭載サイクルコンピューターだったが、LEZYNE GPSにより比較的手に入れやすくなり、GPSログを記録する楽しさが身近になったことが明らかになった。そして、パワートレーニングもホビーライダーにとってメリットがあるとわかった説明会だった。
text&photo:Gakuto.Fujiwara
自転車の機材が進化するとともに電子デバイスも進化の一途を辿り、非常に優れた精度のパワーメーターや高性能なサイクルコンピューター(以下、サイコン)が数多く世の中にリリースされている。数は多くあるがハイスペックなモデルはプロ選手もしくは真剣に競技に取り組むアスリート向けであり、週末のサイクリングを楽しむといったホビーユーザーにとってはトゥーマッチであることも往々にしてあるはずだ。
特にハイエンドサイコンは、サイクリングであったら嬉しいナビゲーション機能を有しているが、パワートレーニング用の機能も備えられており、我々ホビーサイクリストでは持て余してしまう。
ただパワートレーニング、パワー計測がアスリートのためだけのものと言うわけではない。自分の出力基準を知ることで、楽と感じるペース配分をしながら走ることができ、より遠くへ足を運ぶことさえも可能となる。しかし、パワーメーターと対になるサイコンは依然として高価であり手が出しにくい。自転車→ホイールなどパーツ類→デバイス類など段階を踏んでハイスペックなものを揃えていくのが一般的だろう。
そもそもハイエンドのサイコンは何がどう良いのか?どうやって使って楽しめば良いのか?という事がぼんやりとした認識でしか無い。パワーの数値を見てどうするのかもイマイチ把握できていない。レザインGPS、ローター2in powerという2つのデバイスを有する輸入代理店ダイアテックが販促も兼ねた説明会を開いた。
もちろんレザインGPS、ローターQ-Rings、2inPowerの説明が会の中心だ。各製品の良いところの紹介は、GPS搭載サイコンと楕円チェーンリング、パワーメーターのそれぞれのメリットに行き着いた。レザインの説明にはエンジニアのテリー・クックさんも加わり、レザインの目指す方向性などを教えてくれた。
テリーさんは、映画アバターの3Dモーションのエンジニアリングを手がけていたり、NASAでハイブリッドロケットの開発に携わっていたりと、各業界で最先端のテクノロジーに触れてきた人物。そこで得た知見を活かし、レザインでもアドバンスドR&Dとして活躍している。
さて、ダイアテックがレザインのサイコン「LEZYNE GPS」の美点を4つにまとめた。
1、センサー無しでスピード、距離を計測できる手軽さ
2、ナビゲーション機能
3、ライブトラッキング
4、トレーニングに貢献する
項目1はGPS搭載サイコンならば全て備わる機能だ。位置情報とスピード、距離の単なる記録目的以外に欲しくなる機能はナビゲーションだろうか。あれば便利なこの機能が採用されるかされないかがエントリグレードとミドルグレードの分水嶺となっている。
ライブトラッキングはライドの楽しさを拡張してくれる最先端のテクノロジーだ。そしてトレーニングにも活用できるかどうかは、アスリートはもちろん週末のヒルクライムを楽しみにしているホビーサイクリストにとっては重要な項目。
よく見てみると特別目新しい機能わけではなく、各メーカーのグレードによって異なるがGPS搭載サイコンのスタンダードとも言える機能ばかり。つまり、これらの機能がGPS搭載サイコンのメリットと言い換えることもできそうだ。
ではなぜレザインがこの事をプッシュするのかというと、現在用意されている全てのモデルに4項目全て対応しているからだ。通常、項目1を基本とし、その上から様々な付加機能を加えることで、様々なモデルのアイデンティティを生み出している。同時に価格もどんどん上がっていくのだ。そして、GPS搭載サイコンが遠い存在へとなっていく。
しかし、レザインはハイエンドモデルでもアンダー2万円、エントリーモデルでは必要な機能全てが採用されながらも1万2千円という価格に設定されている。GPS搭載サイコンのメリットが比較的安価に享受することができるのだ。
スマートコーチングの安藤隼人コーチによるとStrava Live Segmentが高校生のトレーニングに役立つのだという。「コーチが生徒の状況を把握しやすいのも理由の1つですが、個人間で速さを競うようになるというメリットもあります」と安藤コーチ。特にLEZYNE GPSの場合は比較的安価な価格設定とされているため、高校生にオススメできるのだとか。
価格が安い秘密はハード面での機能やパーツ選択にこだわりがある事に加え、レザインの開発体制にもあるという。「現在サイクルコンピューターは5名のエンジニアによって開発されています。大規模な開発を行っていないため、コストを削減することに成功しているんです」とテリーさんは言う。
少人数体制で開発が行われているLEZYNE GPSだが、バグの修正のみならず機能の拡張などを高頻度で行われている。カスタマーからの要望を細かく拾い上げ、都度反映させているのだという。テリーさんは「GPSサイクルコンピューターに必要なものはランタイム、ストレージ、正確さ、使いやすさだと考えています。現在のLEZYNE GPSの満足度は90%ほどで、残りの10%を満たすためにハードトレーニングする人のための機能や、ライド中のクラッシュを知らせる機能などアップデートを行う予定です」と語る。
今後のGPSサイクルコンピューターの方向性についてテリーさんに訪ねると、よりクラウドとの繋がりが強化されていくとのことだった。具体的には計測しているデータをリアルタイムでコーチに通信されたりすることだという。インターネットを介すことでサイクルコンピューターの可能性は広がっていくとテリーさんは語った。
ツール・ド・フランスにおいてレースを走る選手たちの位置情報やパワー、スピードなどをリアルタイム配信していたことを考えると、そのようなハイテクノロジーが一般サイクリストにおりてくることも想像できる。遠くない将来に。インターネットに接続したサイコンがどのようにサイクリングに彩りを与えてくれるか楽しみだ。
レザインの説明会が終わると次はローターの説明が始まる。まず、パワートレーニングはホビーライダーにとっても有用であることを改めて説明された。すべての指標となるのはFTP、1時間連続して出し続けることができるワット数。FTPを基準にパワーコントロールすることで、より長時間走り続けることが可能となったりするのだという。
そこから派生し、疲労度の指標として知られるトレーニングストレススコア(TSS)などの確認も可能となるため、平日の仕事に向けて万全の体調を整えることができる。またパワーメーターにかかったエネルギー量も把握できるため、ダイエットを目指す方にもパワートレーニングは有用なのである。もしくはその日のトレーニングのご褒美として、口にできるスイーツやビールなどのカロリー計算も捗るだろう。
と、ライトな説明もされたが、パワートレーニングの話はディープな方向へと進んでいく。ローターの2inpowerではペダリング効率、ペダリングのスムースさ、ピークパワーの測定が行われるという紹介から話は深くなる。引き足がネガティブパワーを発生させる、それを低減させようというのがQ-Ringsなど。
単純なパワーだけではなくペダリングの状況を可視化することで、速くなるためのヒントを得ることが可能となる。ヒントをもとに自分自身の体を強化することで、より速く遠くへ足を運べるようになり、サイクリングの世界がグッと広がってくれるはずだ。
いずれにせよ高価だと思われていたGPS搭載サイクルコンピューターだったが、LEZYNE GPSにより比較的手に入れやすくなり、GPSログを記録する楽しさが身近になったことが明らかになった。そして、パワートレーニングもホビーライダーにとってメリットがあるとわかった説明会だった。
text&photo:Gakuto.Fujiwara
リンク
Amazon.co.jp