2017/01/23(月) - 09:02
シクロクロスレースの楽しさを詰め込んだ、秋ヶ瀬の森バイクロア。6回目の開催となる、バイクカルチュラルな2日間には、それぞれのスタイルが色濃くでたCXバイクたちが集まりました。それでは、バイクロアに集まった個性的な愛車を紹介していきましょう。
栗原一彦さん(チームいちごオレ)リッチー SWISS CROSS
2回目からずっと参加しているというバイクロアフリークの栗原さん。愛車とするのはリッチーのスチールクロス、SWISS CROSSだ。どこが気に入ってます?と尋ねると「シンプルな見た目がかっこいいじゃないですか?ですよね?」と良い勢いで語ってくれた栗原さん。
スチールバイクに憧れがあったという栗原さんの一押しこだわりポイントは、バーエンドに日本酒のキャップを着けているということ。なんとも遊び心あるカスタマイズで、こういったポイントもとてもバイクロアっぽい、という感じが出てますね。
ほかのパーツもフレームカラーに合わせてホワイト&レッドで統一されているのも、非常にきれいにまとまっていて好印象。特にTRPのカンチブレーキはお気に入りとのことでしたし、ハンドル、ステム、シートピラーがすべてイーストンで統一されているのも、自転車好きなんだなと思わされるポイントでした。
中村誠さん(トレックジャパン) トレック Boone
シクロクロスはほぼ初めてなんですが、久しぶりに自転車が楽しい!と思うことができましたね。と語ってくれたのはトレックジャパンの中村さん。もともと宇都宮ブリッツェンで活躍していたこともあり、バイクはピュアレーシング仕様。
愛車は、マイクロサスペンション機構であるIsoSpeedを搭載することで、縦方向への柔軟性を飛躍的に向上させたトレックのカーボンクロスマシン、Booneのカンチブレーキモデル。電動DURA-ACEで組み上げ、ホイールもボントレガーのAeolus3をアセンブルする、隙の無い仕様だ。
チェーンリングもシマノ純正のシクロクロス用で、48✕36Tという構成。フレームにはブリッツェン時代のネームシールやマスコットシールが貼られており、プロバイクのオーラを放つスペシャルな一台でした。
田中延和さん(スピニングガレージ) アラン SUPER CROSS SCUNDIUM
1970年代に世界で初めてアルミフレーム、そしてカーボンフレームを開発したことで自転車の歴史にその名を刻み込んだイタリアンブランド、アラン。そんな歴史的なブランドのシクロクロスバイクを愛車にするのがこちらの田中延和さん(スピニングガレージ)。チーム名を聞いてピンと来る方も少なくないと思うが、神奈川県相模原市にある同名のVW・ゴルフ2専門店の代表であり、今回のバイクロアにクルマを複数台展示して大注目を集めていたその人だ。
アランが得意とする大口径のスカンジウムチューブで構成されたフレームはいかにも走りそうな雰囲気を醸し出す一方で、ワインレッドの車体はどこかクラシックな空気を纏う。テーパードヘッドを採用しているところからも、現代のレースバイクであることは疑う余地はないのだが、オールドスクールなブランドロゴやアルカンシエルは歴史と伝統を主張する。そんな、相反するような二つの要素が同居した不思議な魅力を有する一台だ。
もちろん、そんなバイクを乗る以上組み合わせられるパーツにもこだわりが光る。メインコンポーネントは、同郷のカンパニョーロ ATHENA。今となっては貴重なシルバーカラーのコンポーネントが、車体の魅力を引き立てる。一方で、ホイールは最新スペック。エンヴィのミドルハイトリムにインダストリアルナインのハブを組み合わせ、タイヤはデュガスという組み合わせだ。スタイルも速さも犠牲にしない、お手本のような一台だった。
追記:田中さんとこのアランは不幸にもバイクロア後に左折巻き込まれ事故に遭ってしまい、幸いご自身はむちうち程度で済んだものの、バイクは大きくダメージを受けて再起不能になってしまったとのこと。南無...。
大竹雅一さん(MTBショップオオタケ)オオタケ XC
日本のMTBビルダーの先駆者として名高い大竹雅一さん。もちろん愛車は自らのブランド、オオタケ。今回紹介してもらったのは、オオタケの中でももっとも初期のモデルとなるXCだ。製作したのは1991年、カーボンバイクが今ほど幅を利かせる前の時代に、レーシングマシンとして開発された一台である。
こだわりはやはりそのジオメトリーにあるという。ヘッドチューブを立てることで、きびきびと進み、曲がるバイクとして設計されているという。ほかにも細やかな気配りが随所に見られる。例えば、当時スタンダードだったフレームポンプの台座がシートチューブの後方に設置されることで、フロント三角に肩を通して担ぎやすいように配慮されている。
パーツも当時のオールドパーツでまとめられている。メインコンポーネントはシマノの初代XTR。よく見れば細かいところに、当時のアイディアパーツがちりばめられている。チェーンステーにはシャークフィン、スプロケットにはマッドスクレイパーと往時を知る人にとってはかなり懐かしいのではないだろうか。
【番外編】磯部聡さん(多摩湖朝練部)キャノンデール SUPER X
シクロワイアード編集部きってのシクロクロッサー磯部聡のバイクも紹介しよう。昨シーズンの野辺山CXで涙のC1昇格を果たした(そしてあまりにも仕事が忙しく来年にはC2に戻りそうな)彼が駆るのは、今年フルモデルチェンジを果たしたばかりのキャノンデールのハイエンドレーサーバイクであるSUPER X。キャノンデール・ジャパンのカズこと山本和弘さんに”磯部さんだったらこれっしょ!”と展示会で言われ、「うん、チョーカッコいいスねコレ。下さい」と即決し、なけなしのボーナスを全額はたいて購入・カスタムしたSUPER衝動買いバイクだ。
このSUPER Xは全米選手権でも優勝したものと同じプロユースフレームだが、国内の販売パッケージは(ガチレーサーにはちょっと?結構?重い)シマノ105完成車仕様のみ。そこでフロントシングル化も含めほぼ全てのパーツを入れ替えようとするも、キャノンデール独自の規格に阻まれ続け、いろいろと紆余曲折を経たバイクでもある。
一番苦労したのは、アシンメトリックインテグレ―ション(Ai)という、リアエンドが右側に6mmもオフセットしている専用規格。MTBのF-Siで初登場したシロモノで、チェーンステーを短く、かつホイール剛性もアップできる画期的なアイディアだが、専用にホイールを組まないといけないという弱点も。どうしてもチューブラータイヤを使いたかったそうで、専用のスペーサーを取り寄せ、Above Bike StoreオリジナルのWICKEDのカーボンホイールを特注。「フロントは24Hにしてもらったのですごく軽く走りますね。ワイドリムなのでクロスタイヤとの相性も良かったですし」とにやにやしながらコメント。
フロントギアはウルフトゥースのチェーンリング(40T、38TだとC1のダッシュについていけないのだとか。踏めてないけど)を用いてシングルに。もともとはデュラエースクランクを投入するつもりが、BB30-83なる世界初のBB規格が採用されていることを知らず、余計な出費をしてしまったそう。まぁ全ては最初に確認しておけば良かった話である。
まだシマノクランク用アダプターも流通しておらず、軽量なキャノンデールオリジナルのSiSLクランクは貯金額が限りなく0に近づいたので手が出ず。そのため完成車のクランクとスパイダーをそのまま使っているが、おいおい見た目を重視して交換していく予定だという。FD台座は取り払い、ボトルケージボルト穴用のゴムキャップを流用してネジ穴を塞いでいる。
コンポーネントは「電気とか無線とかネットバンクとか目に見えないものは信用したくない。料理もガスで作った方が美味い」というwebメディア失格の謎のポリシーによって機械式に。ST-R685や、32Tのスプロケットに対応したロングケージのアルテグラRDなどを組み合わせている。
その他、ドン下げのハンドルが好きだそうで、20mmの高さがある純正ヘッドのトップカバーは、往年のシステムシックス用の極薄タイプに変更。これは上側のベアリング受けが1.5インチ(コラムは1-1/8インチ)もある独自規格であり、市場にはマッチするものがなかったため、キャノンデール・ジャパンからわざわざ取り寄せたものだそう。ちなみにタイヤの「編集部」スタンプは「なんだか印を入れたくなって、デスクにたまたまあったやつを押しただけ」と、特に意味はない。
肝心のSUPER Xのインプレッションに関しては「こんなに細身なのにガッツンブレーキでもたわまず、もともとの軽量も手伝って走りが軽くて驚いた。踏み味は固めでレーサー向き」と、その走りにかなり助けられている様子。まだまだステム・ハンドル・シートポストやサドルなど軽くする余地が残っているそうで、これから理想の形にしていくんだとか。ちなみにメインカットの背後に写り込んでいる手前のVW・ゴルフ2は本人の愛車。上で登場してもらった田中さんのお店で面倒を見てもらっているという。彼の貯金額が増えることは当分無さそうである。
栗原一彦さん(チームいちごオレ)リッチー SWISS CROSS
2回目からずっと参加しているというバイクロアフリークの栗原さん。愛車とするのはリッチーのスチールクロス、SWISS CROSSだ。どこが気に入ってます?と尋ねると「シンプルな見た目がかっこいいじゃないですか?ですよね?」と良い勢いで語ってくれた栗原さん。
スチールバイクに憧れがあったという栗原さんの一押しこだわりポイントは、バーエンドに日本酒のキャップを着けているということ。なんとも遊び心あるカスタマイズで、こういったポイントもとてもバイクロアっぽい、という感じが出てますね。
ほかのパーツもフレームカラーに合わせてホワイト&レッドで統一されているのも、非常にきれいにまとまっていて好印象。特にTRPのカンチブレーキはお気に入りとのことでしたし、ハンドル、ステム、シートピラーがすべてイーストンで統一されているのも、自転車好きなんだなと思わされるポイントでした。
中村誠さん(トレックジャパン) トレック Boone
シクロクロスはほぼ初めてなんですが、久しぶりに自転車が楽しい!と思うことができましたね。と語ってくれたのはトレックジャパンの中村さん。もともと宇都宮ブリッツェンで活躍していたこともあり、バイクはピュアレーシング仕様。
愛車は、マイクロサスペンション機構であるIsoSpeedを搭載することで、縦方向への柔軟性を飛躍的に向上させたトレックのカーボンクロスマシン、Booneのカンチブレーキモデル。電動DURA-ACEで組み上げ、ホイールもボントレガーのAeolus3をアセンブルする、隙の無い仕様だ。
チェーンリングもシマノ純正のシクロクロス用で、48✕36Tという構成。フレームにはブリッツェン時代のネームシールやマスコットシールが貼られており、プロバイクのオーラを放つスペシャルな一台でした。
田中延和さん(スピニングガレージ) アラン SUPER CROSS SCUNDIUM
1970年代に世界で初めてアルミフレーム、そしてカーボンフレームを開発したことで自転車の歴史にその名を刻み込んだイタリアンブランド、アラン。そんな歴史的なブランドのシクロクロスバイクを愛車にするのがこちらの田中延和さん(スピニングガレージ)。チーム名を聞いてピンと来る方も少なくないと思うが、神奈川県相模原市にある同名のVW・ゴルフ2専門店の代表であり、今回のバイクロアにクルマを複数台展示して大注目を集めていたその人だ。
アランが得意とする大口径のスカンジウムチューブで構成されたフレームはいかにも走りそうな雰囲気を醸し出す一方で、ワインレッドの車体はどこかクラシックな空気を纏う。テーパードヘッドを採用しているところからも、現代のレースバイクであることは疑う余地はないのだが、オールドスクールなブランドロゴやアルカンシエルは歴史と伝統を主張する。そんな、相反するような二つの要素が同居した不思議な魅力を有する一台だ。
もちろん、そんなバイクを乗る以上組み合わせられるパーツにもこだわりが光る。メインコンポーネントは、同郷のカンパニョーロ ATHENA。今となっては貴重なシルバーカラーのコンポーネントが、車体の魅力を引き立てる。一方で、ホイールは最新スペック。エンヴィのミドルハイトリムにインダストリアルナインのハブを組み合わせ、タイヤはデュガスという組み合わせだ。スタイルも速さも犠牲にしない、お手本のような一台だった。
追記:田中さんとこのアランは不幸にもバイクロア後に左折巻き込まれ事故に遭ってしまい、幸いご自身はむちうち程度で済んだものの、バイクは大きくダメージを受けて再起不能になってしまったとのこと。南無...。
大竹雅一さん(MTBショップオオタケ)オオタケ XC
日本のMTBビルダーの先駆者として名高い大竹雅一さん。もちろん愛車は自らのブランド、オオタケ。今回紹介してもらったのは、オオタケの中でももっとも初期のモデルとなるXCだ。製作したのは1991年、カーボンバイクが今ほど幅を利かせる前の時代に、レーシングマシンとして開発された一台である。
こだわりはやはりそのジオメトリーにあるという。ヘッドチューブを立てることで、きびきびと進み、曲がるバイクとして設計されているという。ほかにも細やかな気配りが随所に見られる。例えば、当時スタンダードだったフレームポンプの台座がシートチューブの後方に設置されることで、フロント三角に肩を通して担ぎやすいように配慮されている。
パーツも当時のオールドパーツでまとめられている。メインコンポーネントはシマノの初代XTR。よく見れば細かいところに、当時のアイディアパーツがちりばめられている。チェーンステーにはシャークフィン、スプロケットにはマッドスクレイパーと往時を知る人にとってはかなり懐かしいのではないだろうか。
【番外編】磯部聡さん(多摩湖朝練部)キャノンデール SUPER X
シクロワイアード編集部きってのシクロクロッサー磯部聡のバイクも紹介しよう。昨シーズンの野辺山CXで涙のC1昇格を果たした(そしてあまりにも仕事が忙しく来年にはC2に戻りそうな)彼が駆るのは、今年フルモデルチェンジを果たしたばかりのキャノンデールのハイエンドレーサーバイクであるSUPER X。キャノンデール・ジャパンのカズこと山本和弘さんに”磯部さんだったらこれっしょ!”と展示会で言われ、「うん、チョーカッコいいスねコレ。下さい」と即決し、なけなしのボーナスを全額はたいて購入・カスタムしたSUPER衝動買いバイクだ。
このSUPER Xは全米選手権でも優勝したものと同じプロユースフレームだが、国内の販売パッケージは(ガチレーサーにはちょっと?結構?重い)シマノ105完成車仕様のみ。そこでフロントシングル化も含めほぼ全てのパーツを入れ替えようとするも、キャノンデール独自の規格に阻まれ続け、いろいろと紆余曲折を経たバイクでもある。
一番苦労したのは、アシンメトリックインテグレ―ション(Ai)という、リアエンドが右側に6mmもオフセットしている専用規格。MTBのF-Siで初登場したシロモノで、チェーンステーを短く、かつホイール剛性もアップできる画期的なアイディアだが、専用にホイールを組まないといけないという弱点も。どうしてもチューブラータイヤを使いたかったそうで、専用のスペーサーを取り寄せ、Above Bike StoreオリジナルのWICKEDのカーボンホイールを特注。「フロントは24Hにしてもらったのですごく軽く走りますね。ワイドリムなのでクロスタイヤとの相性も良かったですし」とにやにやしながらコメント。
フロントギアはウルフトゥースのチェーンリング(40T、38TだとC1のダッシュについていけないのだとか。踏めてないけど)を用いてシングルに。もともとはデュラエースクランクを投入するつもりが、BB30-83なる世界初のBB規格が採用されていることを知らず、余計な出費をしてしまったそう。まぁ全ては最初に確認しておけば良かった話である。
まだシマノクランク用アダプターも流通しておらず、軽量なキャノンデールオリジナルのSiSLクランクは貯金額が限りなく0に近づいたので手が出ず。そのため完成車のクランクとスパイダーをそのまま使っているが、おいおい見た目を重視して交換していく予定だという。FD台座は取り払い、ボトルケージボルト穴用のゴムキャップを流用してネジ穴を塞いでいる。
コンポーネントは「電気とか無線とかネットバンクとか目に見えないものは信用したくない。料理もガスで作った方が美味い」というwebメディア失格の謎のポリシーによって機械式に。ST-R685や、32Tのスプロケットに対応したロングケージのアルテグラRDなどを組み合わせている。
その他、ドン下げのハンドルが好きだそうで、20mmの高さがある純正ヘッドのトップカバーは、往年のシステムシックス用の極薄タイプに変更。これは上側のベアリング受けが1.5インチ(コラムは1-1/8インチ)もある独自規格であり、市場にはマッチするものがなかったため、キャノンデール・ジャパンからわざわざ取り寄せたものだそう。ちなみにタイヤの「編集部」スタンプは「なんだか印を入れたくなって、デスクにたまたまあったやつを押しただけ」と、特に意味はない。
肝心のSUPER Xのインプレッションに関しては「こんなに細身なのにガッツンブレーキでもたわまず、もともとの軽量も手伝って走りが軽くて驚いた。踏み味は固めでレーサー向き」と、その走りにかなり助けられている様子。まだまだステム・ハンドル・シートポストやサドルなど軽くする余地が残っているそうで、これから理想の形にしていくんだとか。ちなみにメインカットの背後に写り込んでいる手前のVW・ゴルフ2は本人の愛車。上で登場してもらった田中さんのお店で面倒を見てもらっているという。彼の貯金額が増えることは当分無さそうである。
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