2016/12/14(水) - 09:09
朝晩の冷え込みが厳しくなった12月3日。常夏の楽園サイパン島でローカルレース「ヘルオブマリアナ」が開催された。日本から参加しやすいファンレースの様子をレポート。前編はヘルオブマリアナの概要とレース前日までの様子をお届け。
太平洋に浮かぶサイパン島。年間平均気温27℃という常夏の島は、アメリカ合衆国の自治領である北マリアナ諸島における中心地であり、日本から最も近いビーチリゾートとして、日本から数多くの人が日頃の疲れを癒やすべく訪れる観光地だ。
エメラルドグリーンの海に囲まれたサイパン島の魅力は、マリンスポーツをはじめトレッキングやサイクリング、ゴルフなど様々なアクティビティを楽しめる環境が揃っていること。ダイナミックな自然の中で体を動かし、疲れを吹き飛ばすには最適なリゾート地だ。もちろん遥か彼方の水平線をぼんやりと眺め、日本の喧騒を忘れてしまっても良いだろう。
そんなサイパン島を舞台にロードレースイベント「ヘルオブマリアナ・センチュリーサイクル(以下、ヘルオブマリアナ)」が12月3日に開催された。スーサイドクリフやグロット、ラオラオベイ・ゴルフ&リゾートなどサイパンを代表するスポットを巡りながら、日本の小豆島(約153キロ平米)よりも小さいサイパン島(約115キロ平米)を1周。距離・約100kmで獲得標高・約1,700mを走破するタフなレースだ。
このイベントの面白いところは、目を三角にして走る選手からのんびりとマイペースで走る選手まで、様々なタイプの参加者がいること。加えて、MTBでの参戦も可能となっている。
シャカリキに走る選手たちは、全員がオープン(プロ)カテゴリーにエントリーしており、全参加者の中でも1割程度となる。アジア諸国やロシアから目の色を変えた武闘派ライダー達が、賞金獲得を目指してライバルとしのぎを削る。過去にMTBからロード、シクロクロスまで幅広く活躍した山本和弘や、2015年の全日本タイムトライアルチャンピオンである中村龍太郎が優勝を果たしたのも、このカテゴリー。
10回目の開催となる今年は、昨年からの2連覇を目指す中村龍太郎と、誰もがご存知トップヒルクライマーの森本誠がメンズカテゴリーに、ロードからシクロクロスまで幅広く活躍する福本千佳がレディースカテゴリーにエントリーし、アジアの選手たちと闘うことに。
大会参加者の大多数は年代別レースカテゴリーにエントリーする。このカテゴリーは、レースというよりはロングライドのように淡々と己のペースを守り、フィニッシュを目指すことになる。制限時間や関門も設けられるが、50kmポイントで3時間、フィニッシュでは7時間とかなり余裕のある設定となっており、初心者でも完走しやすくなっている。
ヘル(=hell/地獄)という物騒なネーミングが指し示す通り、サイパン島のアップダウンに富む地形と気温が、参加者全員に襲い掛かってくる。年間平均気温27℃という暑さ、日差し、ときおり見舞われるスコールに耐えなければならないのが、「南の地獄」ヘルオブマリアナだ。
「南の地獄」取材の機会に恵まれたシクロワイアード編集部からは、私こと藤原がサイパンへ飛んだ。今回は、木曜にサイパン入り、金曜に試走と受付、土曜にレース本番、日曜はバカンスという余裕を十分に取ったスケジュールで現地入り。なお金曜にサイパン入り、日曜に帰国という2泊3日でも参加することもできる。
現在、日本からサイパン島へ向かう航空便は、デルタ航空が提供している成田国際空港からサイパン国際空港間の往復それぞれ1日1便のみ。1日1便だと不便に感じるかもしれないが、移動の時間が決まっていることで旅のスケジュールも立案しやすいというメリットも。
デルタ航空の日本―サイパン間の便には日本人の乗務員がサービスをしてくれるため、英語を上手く発音できずWhat?と聞き返される心配もない。周りの乗客も日本人ばかりで、約3時間半の空の旅は「沖縄へ向かっているのかな?」と錯覚するほどリラックスできる。
無愛想な入国管理官に別れを告げ屋外へ出ると、ムワッと南国らしい湿気が体にぶつかり、取り出したカメラのレンズを一瞬で曇らせてしまう。出国前に編集長からレンズが曇るハプニングのことを聞かされていたが、日本では考えられないようなサイパンの湿気に面食らう。12月はサイパンの乾季にあたるが、今回の取材では何度かスコールに見舞われることに。
今回の宿はスタート/ゴール地点とされているマリアナリゾート&スパ。フィリピン海を一望できる豪華な部屋を気が済むまで見て回ったのち(なにせこんな豪華なホテルに泊まったことがないのだ)、持ち込んだバイクをチェック。マイバイクを飛行機輪行で海外へ持ち運ぶのは初めてで、輪行袋を開封するまでは非常にハラハラしていたが、愛車は無傷でホッと胸をなでおろす。
そして翌日、金曜日はコースの下見へ。コースの全容が明らかとなり、非常にタフであると判断した私は、実走取材を諦める決断を下した。参加者と同じコースを走り、感じたことを筆に叩きつけられればと思っていたが、私一人が集団から遅れてしまい参加者を写真に収めることができないのでは?という恐怖を感じたからにほかならない。山の神・森本さん評して曰く「おきなわ(市民210km)の厳しさを凝縮した」というコースに萎縮してしまったのだ。
そしてマリアナリゾート&スパで受付が始まると、どこからともなくライダーたちが集まってくる。受付に現れた人は、高級ロードバイクに乗り、レーサー然とした出で立ちの参加者から、グループ全員がジャイアント・アルペシンのジャージに身を包み、ジャイアントMTBで揃えた人たちまでバラエティ豊か。シャカリキに走るだけのイベントではないと受付で実感させられる。
大会運営スタッフも「待ってたよ!」と言わんばかりの笑顔で参加者を迎え入れ、ヘルオブマリアナ特製Tシャツを手渡してくれる。受付会場では1年ぶりの再開を祝いハグする人たちが多く、アットホームな感じが心地よい。受付を終えることができれば、あとは準備して寝るだけ。天気予報は晴れであることを確認し、目を閉じる。
レース準備に役立つサイパンのショップをご紹介
今回の取材では、レースに加えてマリアナ政府観光局の案内で地元スーパーとバイクショップを紹介してもらった。ヘルオブマリアナ参戦のためにサイパンへ訪れた際は、下記店舗をぜひ活用してレースの準備を行ってみてはいかがだろうか。
ジョーテン・ハファ・アデイ ショッピングセンター(ガラパン店)
サイパンの中心地であるガラパン地域でも大規模なスーパーが「ジョーテン・ハファ・アデイ ショッピングセンター」。地元の住民も利用するこのスーパーには、生鮮食品からお土産まで様々な製品が取り揃えられているため、必要なものを一通りジョーテンで購入できる。営業時間は朝8時から夜23時までと長いため、突然のトラブルにも対応できそうだ。
この店舗には勤続年数33年の日本人スタッフ伊藤さんが勤務している。伊藤さんは「私がいる時はいつでも歓迎しますよ。ギフトコーナーにいるはずですので、見つけて声を掛けていただければ、案内させていただきます」と語る。英語に不安がある方は、ジョーテンで伊藤さんにアドバイスを受けながら買い物を進めても良いだろう。
住所:Beach Rd, Garapan, Saipan 96950
営業時間:8:00~23:00
サイパン・バイクプロ
取材班に紹介された自転車屋さんはサイパン・バイクプロ。ガラパンのジョーテンから南へ5km降った地点にあるプロショップは、もちろん旅行者のトラブルやメンテナンスも行ってくれるという。ジャイアントを主力ブランドとし、様々なバイクにも対応する。
サイパン・バイクプロのおすすめコースは、交通量が少なく眺めが良い北部地域だという。サイパンにはオフロードのテクニカルトレイルも。サイパン・バイクプロで1日25ドルでマウンテンバイクをレンタルしているため、ヘルオブマリアナでロード、レース後MTBをレンタルし未舗装路を遊ぶのも良いだろう。
住所:CDA Bldg ( Morgen Bldg ), Beach Rd, Oleai, Saipan 96950
営業日:月~土(日曜は定休日)
report&photo:Gakuto.Fujiwara
取材協力:マリアナ政府観光局
太平洋に浮かぶサイパン島。年間平均気温27℃という常夏の島は、アメリカ合衆国の自治領である北マリアナ諸島における中心地であり、日本から最も近いビーチリゾートとして、日本から数多くの人が日頃の疲れを癒やすべく訪れる観光地だ。
エメラルドグリーンの海に囲まれたサイパン島の魅力は、マリンスポーツをはじめトレッキングやサイクリング、ゴルフなど様々なアクティビティを楽しめる環境が揃っていること。ダイナミックな自然の中で体を動かし、疲れを吹き飛ばすには最適なリゾート地だ。もちろん遥か彼方の水平線をぼんやりと眺め、日本の喧騒を忘れてしまっても良いだろう。
そんなサイパン島を舞台にロードレースイベント「ヘルオブマリアナ・センチュリーサイクル(以下、ヘルオブマリアナ)」が12月3日に開催された。スーサイドクリフやグロット、ラオラオベイ・ゴルフ&リゾートなどサイパンを代表するスポットを巡りながら、日本の小豆島(約153キロ平米)よりも小さいサイパン島(約115キロ平米)を1周。距離・約100kmで獲得標高・約1,700mを走破するタフなレースだ。
このイベントの面白いところは、目を三角にして走る選手からのんびりとマイペースで走る選手まで、様々なタイプの参加者がいること。加えて、MTBでの参戦も可能となっている。
シャカリキに走る選手たちは、全員がオープン(プロ)カテゴリーにエントリーしており、全参加者の中でも1割程度となる。アジア諸国やロシアから目の色を変えた武闘派ライダー達が、賞金獲得を目指してライバルとしのぎを削る。過去にMTBからロード、シクロクロスまで幅広く活躍した山本和弘や、2015年の全日本タイムトライアルチャンピオンである中村龍太郎が優勝を果たしたのも、このカテゴリー。
10回目の開催となる今年は、昨年からの2連覇を目指す中村龍太郎と、誰もがご存知トップヒルクライマーの森本誠がメンズカテゴリーに、ロードからシクロクロスまで幅広く活躍する福本千佳がレディースカテゴリーにエントリーし、アジアの選手たちと闘うことに。
大会参加者の大多数は年代別レースカテゴリーにエントリーする。このカテゴリーは、レースというよりはロングライドのように淡々と己のペースを守り、フィニッシュを目指すことになる。制限時間や関門も設けられるが、50kmポイントで3時間、フィニッシュでは7時間とかなり余裕のある設定となっており、初心者でも完走しやすくなっている。
ヘル(=hell/地獄)という物騒なネーミングが指し示す通り、サイパン島のアップダウンに富む地形と気温が、参加者全員に襲い掛かってくる。年間平均気温27℃という暑さ、日差し、ときおり見舞われるスコールに耐えなければならないのが、「南の地獄」ヘルオブマリアナだ。
「南の地獄」取材の機会に恵まれたシクロワイアード編集部からは、私こと藤原がサイパンへ飛んだ。今回は、木曜にサイパン入り、金曜に試走と受付、土曜にレース本番、日曜はバカンスという余裕を十分に取ったスケジュールで現地入り。なお金曜にサイパン入り、日曜に帰国という2泊3日でも参加することもできる。
現在、日本からサイパン島へ向かう航空便は、デルタ航空が提供している成田国際空港からサイパン国際空港間の往復それぞれ1日1便のみ。1日1便だと不便に感じるかもしれないが、移動の時間が決まっていることで旅のスケジュールも立案しやすいというメリットも。
デルタ航空の日本―サイパン間の便には日本人の乗務員がサービスをしてくれるため、英語を上手く発音できずWhat?と聞き返される心配もない。周りの乗客も日本人ばかりで、約3時間半の空の旅は「沖縄へ向かっているのかな?」と錯覚するほどリラックスできる。
無愛想な入国管理官に別れを告げ屋外へ出ると、ムワッと南国らしい湿気が体にぶつかり、取り出したカメラのレンズを一瞬で曇らせてしまう。出国前に編集長からレンズが曇るハプニングのことを聞かされていたが、日本では考えられないようなサイパンの湿気に面食らう。12月はサイパンの乾季にあたるが、今回の取材では何度かスコールに見舞われることに。
今回の宿はスタート/ゴール地点とされているマリアナリゾート&スパ。フィリピン海を一望できる豪華な部屋を気が済むまで見て回ったのち(なにせこんな豪華なホテルに泊まったことがないのだ)、持ち込んだバイクをチェック。マイバイクを飛行機輪行で海外へ持ち運ぶのは初めてで、輪行袋を開封するまでは非常にハラハラしていたが、愛車は無傷でホッと胸をなでおろす。
そして翌日、金曜日はコースの下見へ。コースの全容が明らかとなり、非常にタフであると判断した私は、実走取材を諦める決断を下した。参加者と同じコースを走り、感じたことを筆に叩きつけられればと思っていたが、私一人が集団から遅れてしまい参加者を写真に収めることができないのでは?という恐怖を感じたからにほかならない。山の神・森本さん評して曰く「おきなわ(市民210km)の厳しさを凝縮した」というコースに萎縮してしまったのだ。
そしてマリアナリゾート&スパで受付が始まると、どこからともなくライダーたちが集まってくる。受付に現れた人は、高級ロードバイクに乗り、レーサー然とした出で立ちの参加者から、グループ全員がジャイアント・アルペシンのジャージに身を包み、ジャイアントMTBで揃えた人たちまでバラエティ豊か。シャカリキに走るだけのイベントではないと受付で実感させられる。
大会運営スタッフも「待ってたよ!」と言わんばかりの笑顔で参加者を迎え入れ、ヘルオブマリアナ特製Tシャツを手渡してくれる。受付会場では1年ぶりの再開を祝いハグする人たちが多く、アットホームな感じが心地よい。受付を終えることができれば、あとは準備して寝るだけ。天気予報は晴れであることを確認し、目を閉じる。
レース準備に役立つサイパンのショップをご紹介
今回の取材では、レースに加えてマリアナ政府観光局の案内で地元スーパーとバイクショップを紹介してもらった。ヘルオブマリアナ参戦のためにサイパンへ訪れた際は、下記店舗をぜひ活用してレースの準備を行ってみてはいかがだろうか。
ジョーテン・ハファ・アデイ ショッピングセンター(ガラパン店)
サイパンの中心地であるガラパン地域でも大規模なスーパーが「ジョーテン・ハファ・アデイ ショッピングセンター」。地元の住民も利用するこのスーパーには、生鮮食品からお土産まで様々な製品が取り揃えられているため、必要なものを一通りジョーテンで購入できる。営業時間は朝8時から夜23時までと長いため、突然のトラブルにも対応できそうだ。
この店舗には勤続年数33年の日本人スタッフ伊藤さんが勤務している。伊藤さんは「私がいる時はいつでも歓迎しますよ。ギフトコーナーにいるはずですので、見つけて声を掛けていただければ、案内させていただきます」と語る。英語に不安がある方は、ジョーテンで伊藤さんにアドバイスを受けながら買い物を進めても良いだろう。
住所:Beach Rd, Garapan, Saipan 96950
営業時間:8:00~23:00
サイパン・バイクプロ
取材班に紹介された自転車屋さんはサイパン・バイクプロ。ガラパンのジョーテンから南へ5km降った地点にあるプロショップは、もちろん旅行者のトラブルやメンテナンスも行ってくれるという。ジャイアントを主力ブランドとし、様々なバイクにも対応する。
サイパン・バイクプロのおすすめコースは、交通量が少なく眺めが良い北部地域だという。サイパンにはオフロードのテクニカルトレイルも。サイパン・バイクプロで1日25ドルでマウンテンバイクをレンタルしているため、ヘルオブマリアナでロード、レース後MTBをレンタルし未舗装路を遊ぶのも良いだろう。
住所:CDA Bldg ( Morgen Bldg ), Beach Rd, Oleai, Saipan 96950
営業日:月~土(日曜は定休日)
report&photo:Gakuto.Fujiwara
取材協力:マリアナ政府観光局
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