世界自転車旅行に出たいという若者に旅費100万円とエキスパートからのノウハウを支援するというプログラムの当選発表会が都内で開催された。来週ヨーロッパに向かうという20歳の溝口さんは、さっそく旅のプランを披露してくれた。



世界自転車旅行に出発する溝口哲也さん(20歳)を囲んで世界自転車旅行に出発する溝口哲也さん(20歳)を囲んで photo:Makoto.AYANO
旅は人生を変えるような経験になるかもしれない。過去の偉人の多くも旅に関する名言を残してきた。旅をすることで何かをつかみたい、そんな若者を応援するキャンペーンを、自転車関連グッズの輸入代理店「ダイアテック」が6月に告知した。自転車で世界旅にチャレンジする若者に100万円を支給。さらにバイクをはじめ、世界旅に関するサポートやレクチャーにより全面的にバックアップしようというもの。

世界⾃転⾞旅支援プログラムについて説明するダイアテックの担当者世界⾃転⾞旅支援プログラムについて説明するダイアテックの担当者 溝口哲也さん(20歳)は豊橋技術科学大学の2年生溝口哲也さん(20歳)は豊橋技術科学大学の2年生


この夢のようなキャンペーンへのエントリーは「29歳までの方で、8月末までに出発し、2~3ヵ月旅の期間をとれる方、かつ世界の自転車旅が初チャレンジの方」という条件。希望する旅の計画や目的を具体的に提示し、過去の自分の旅で撮った写真と作文を提出すること。これを企画の監修を務める自転車旅のエキスパートが審査。選ばれた人には支援金100万円と、ダイアテックが取り扱うBRUNO(ブルーノ)のツーリングバイクほか、ヘルメットやライトなど取り扱い商品が支給される。

世界自転車旅のエキスパートである山下晃和さんとルーカス B.Bさん世界自転車旅のエキスパートである山下晃和さんとルーカス B.Bさん 自転車歴や旅行計画について話す溝口哲也さん自転車歴や旅行計画について話す溝口哲也さん


この企画はノウハウ面も重視しており、過去に世界自転車旅の経験を持つサイクルショップ「サイクルスポット」の松田吉弘さんによるバイクのセットアップサポート、「旅するファッションモデル」のニックネームを持ち、世界自転車旅のエキスパートである山下晃和さんによるアドバイス、また、同様に自転車旅行の経験豊富なルーカス B.Bさん(PAPERSKY 編集長)によるアドバイスを受けられるというもの。

今までの自転車旅行の写真を紹介する溝口さん今までの自転車旅行の写真を紹介する溝口さん 代官山のダイアテックショールームで開催された発表会に登場した当選者は溝口哲也さん(20歳)。自転車旅行と自転車レースを趣味にする豊橋技術科学大学の2年生だ。自転車と同じくモータースポーツやカメラ(写真撮影)も好きで、北海道ツーリングなど自転車旅行中に撮った写真と、計画したヨーロッパ自転車旅への思いを綴った作文が審査員たちの心を捉えたようだ。

この企画が公表される以前から計画していたという具体的なツーリング計画と、文章力、そして美しい写真。ダイアテックと審査員側は旅の期間の発信力についても重視していて、週に1回程度の旅行記と写真の提出が課題として与えられる。溝口さんの力量はSNSやネット時代の今、サポート側にもその価値が十分あると認められたようだ。

8月24日からスタートする西ヨーロッパ自転車旅行のルート図8月24日からスタートする西ヨーロッパ自転車旅行のルート図 第2回めの旅行プランは香港からタイ・バンコクへ第2回めの旅行プランは香港からタイ・バンコクへ


中学生の時、父親の転勤によりタイのバンコクへ引っ越した溝口さんだが、ちょうど反政府デモが勃発するなど政情不安もあり、外出が禁じられる期間が続いた。そのことが海外の国にいながら、「異国を自由に旅してみたい」という思いをつのらせたという。日本に戻り高校生になると日本じゅうを自転車で旅して回った。そして思いは海外の自転車旅に。8月から約2ヶ月間のヨーロッパ自転車旅行を計画していたとき、この企画をネットで知り、応募した。

溝口さんに支給されるBRUNOのツーリングモデル700C Touring Drop World Tour溝口さんに支給されるBRUNOのツーリングモデル700C Touring Drop World Tour
愛用のヘルメットやバッグ類も展示された サポート品とあわせ選択して使用する愛用のヘルメットやバッグ類も展示された サポート品とあわせ選択して使用する 溝口さんは言う。「私が到達してきた場所は、世界地図を見るとほんの一部分でしかありません。世界にはもっと広く遠い場所がたくさんあり、実際に行って、見て、感じてみたいと強く熱望しました。
また、これほど自分の可能性を試す機会は他に無いと考えました。土地、言語、文化や宗教など、今まで日本では当たり前だったことが通用しない世界で、培ってきた経験と知識を頼りにどれほど自分の力が通用するのか。それを試すには時間に余裕のある学生の内しか無いと思いました。

リアのサイドバッグはブルックス製の防水サイドバッグだリアのサイドバッグはブルックス製の防水サイドバッグだ 世界にはまだまだ私の知らない場所や人々がたくさん存在します。今回はそんな場所を自分の力で自転車をこいでいき、そこに住んでいるたくさんの人と出会い、国内から世界へと自分の行動範囲を広げることが目的です。そして今までの自転車旅行と同様に趣味である一眼レフカメラを用いて景色や町並み、出会った人々と写真を撮ることがとても楽しみです」。

ヨーロッパの旅の始点、スペインはバルセロナへは8月24日に出発。ツール・ド・フランスの放送で観た憧れの峠を越え、ヨーロッパ各国を巡る約5,000kmを走る計画だ。大学の夏休みの関係で10月20日には帰国するが、次の旅の計画もすでに練っている。2回めの旅は香港から中国へ、そしてかつて住みながらも旅することが出来なかったタイのバンコクを目指すアジアの旅だ。
100万円の予算は2つの旅を遂行しても余裕があるというが、「旅を続けるための資金になります」と話す。

バイクはBRUNOのツーリングモデル700C Touring Dropをツーリング仕様に仕立てた特別モデル(製品紹介ページはこちら)。これに自身が愛用してきたキャリアやバッグ類などを組み合わせ、カスタムする予定だ。ダイアテックにはBrooksのサドル、Abusのキー&チェーンロック、Giroのヘルメット、Knogのライト類などツーリング関連グッズの取り扱いが多いため、それらから自分好みのものをチョイスして旅のエキップメントとする。ダイアテック側も自由度を認め、すでに使い込んだ自身のブルックス製サドルや日東キャンピーキャリア、三ヶ島のペダルなどを組み合わせるそうだ。このセッティングのサポートにサイクルスポットの松田吉弘さんがあたる。なおブルーノ700C Touring Drop World Tour(価格は7万円/税別)はサイクルスポットだけで150台販売中のストア限定モデルだ。

溝口さん愛用の三ヶ島シルバンツーリング 今回の旅行でも使用するつもりだ溝口さん愛用の三ヶ島シルバンツーリング 今回の旅行でも使用するつもりだ オーダーメイドで造ったフロントバッグとオルトリーブの防水サイドバッグオーダーメイドで造ったフロントバッグとオルトリーブの防水サイドバッグ
キャリアは使い慣れた頑丈な日東キャンピーを使用する予定だキャリアは使い慣れた頑丈な日東キャンピーを使用する予定だ 写真が趣味の溝口さんのデジタル一眼レフカメラ、キヤノンEOS70D写真が趣味の溝口さんのデジタル一眼レフカメラ、キヤノンEOS70D


さっそく8月24日に旅に出発するという溝口さん。この日は準備で買い揃えたテントや用品を抱え、松田さんのショップがある立川へ向かった。一日かけてキャリアの取付などセットアップを行い、自走で静岡へと帰り、翌週には出発する。

溝口さんの旅のレポートは週一回のペースでダイアテックのBRUNOのホームページ内で掲載・更新されるそうだ。その更新情報はシクロワイアードでもTwitterやFacebookなどSNSも活用しつつ紹介していく。旅の様子を読者の皆さんと一緒にリアルタイムで見守ってゆきたい。

世界自転車旅行に出発する溝口哲也さんとBRUNO 700C Touring Drop World Tour世界自転車旅行に出発する溝口哲也さんとBRUNO 700C Touring Drop World Tour

photo&text:Makoto.AYANO

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