2016/07/10(日) - 09:20
6月上旬に開催された日本最大のヒルクライムイベント「Mt.富士ヒルクライム」。今回はモデルやコスプレイヤーとして活動しつつ、JCF公認審判員の資格なども持つ林檎蜜紀さんの実走レポートをお届けします。
こんにちは。モデルでコスプレイヤーのサイクリスト林檎蜜紀です。6月12日に行われた「富士の国やまなし 第13回Mt.富士ヒルクライム」に参加してきました。好天に恵まれた今大会。ゴールのある五合目から見た富士の頂上は快晴の空にくっきりと浮かびあがりその美しさは一生忘れないであろう思い出となりました。そんな達成感に満ちあふれた体験をレポートさせて頂きます。
「富士ヒル」の愛称で親しまれているこの大会は8,000人以上が参加する日本最大級のヒルクライムの祭典です。世界遺産となった富士山を自転車で駆け上がるという特別なイベント。私の周りのサイクリストにもこの大会を1番の目標にして日々練習に励んでいる人が何人もいます。モチベーションを上げるのに一役かっているのが、フィニッシャーリングの存在ではないでしょうか?
ゴールタイムによって貰えるリングの色が変わります。1時間5分以内でゴールド、1時間15分以内でシルバー、1時間30分以内でブロンズ。それ以降完走を果たすとブルー、女性は加えてピンクのリングが貰えます。私も昨年完走を果たし、ブルーとピンクのリングをゲットしました!今年の目標はブロンズ!
と言いたいところですが女性でブロンズを獲得できる人はトップレベルの一部の人のみ……。
私は目標を2時間に設定してレースに挑みます。女性向けに1時間45分等で特別な色のリングがあれば良いのに……!なんて希望がいつか叶えば嬉しいな(笑)
受付は大会前日に会場である富士北麓公園で行われます。CYCLE EXPO2016が同時開催されていてお祭りムードを盛り上げます。様々なブースが出店していて商品の紹介、販売、試乗などが行われていました。ステージではトークショーや講座、抽選会などもありこの日だけでも十分に楽しめる内容となっております。
私も沢山のブースに立ち寄らせて頂きました。
私の愛車、リドレーを扱うジェイピースポーツグループさんのブースでは、自転車の展示は勿論のこと、新作Tシャツやボトルもありテンションがあがりました。
グリコパワープロダクションさんのブースでは「明日、速く走れるようになれませんか?」という私の無茶ぶりにお兄さんの熱いセールストークが冴えわたりサプリメントを購入。これで明日は大丈夫だ!と、いう自己暗示にかかりました(笑)
大会当日、AM3:30起床。女性サイクリストの朝は早い。男性と違い、メイクの時間を要するからです。汗をかいてお化粧なんて崩れてしまうかもしれませんが、それまでの間でも綺麗でありたいと思うものなのです……!
日焼け止めを塗り準備万端!だったはず…が、なんと足にかけ忘れてしまいレーパン焼けが後日くっきりと残ってしまいました(涙)それから虫刺され。ブヨという虫にかまれてしまい皮膚科にお世話になってしまいました(涙涙)富士山には自然がいっぱい!次回は虫よけスプレーも忘れないようにと心に誓いました。
会場に到着し、頂上行きの荷物を預けて一段落。スタートを待ちます。今回の作戦は決まっています。24kmの道のりを2時間で走るには平均時速は12km/h。平均勾配の5.2%で12km/hを目安にして勾配の増減に合わせてスピードを調整。
遅れた分はコースの最後の方にある平坦区間で取り戻すという作戦です。特に3%程度の緩斜面で休まずにペダルを回し平均速度を稼ぐのが大事。というのは、いつもメンテをお願いしている東京・錦糸町のフォーチュンバイクの錦織店長からのアドバイスです。昨日買ったサプリを飲み、愛用のメダリストのジェルをポケットに入れ準備完了です。
スタートの号砲が鳴りました。女性は全員第2ウェーブからのスタートとなります。パレード区間を過ぎ、計測開始地点へ。サイコンのスタートボタンを押しました。序盤は少し勾配がきつめ。登り始めるとヒルクライムのつらさを思い出します。しばらくすると横を第3ウェーブの男性達がもの凄いスピードで抜き去って行きます。本当に坂を登っているの?!と思ってしまうスピードでグイグイ登っていく格好よさには憧れてしまいます。
1合目……、既に苦しくて一杯一杯なのですが苦しさに耐えていると応援の声が聞こえてきました。その中にはチアリーダーの女の子達の姿が。とても可愛くて思わず笑顔になってしまいました。彼女達見たさに、ここで降りて休んでしまおうかな……?と迷った人もいるのではないでしょうか(笑)。
長い1合目を過ぎ、2合目の中盤に差しかかった頃に、足が痛み始めました。筋力の足りなさを実感します。去年よりは息はきれてない様に感じました。きっと先ほど飲んだサプリメント(自己暗示強め)が効いているのだと思います!
しかし足が重く、坂が長く感じます。ただただ気持ちが折れないようペダルを回すのみです。今年はオリジナルのサイクルジャージで走っていたので私に気付いてくれる人も多く、沢山の方に声をかけて頂きました。応援は本当にうれしいですね!勇気づけられ頑張る気持ちが沸きます。
4合目、登り始めてから1時間は余裕で過ぎています。こんなに長いヒルクライムも富士ヒルクライムの特徴ではないでしょうか。何度も挫けそうになりながら登り続けると、上の方から音が聞こえてきました。太鼓の音だ!今年もここまで登って来たのだと思うと感動で涙が出そうになりました。ここから終盤戦です。気を取り直してさらに登り続けます。
山岳スプリット区間の計測開始地点には「ここからもがけ!」の看板がありました。もがけません!(笑)
足を回したい気持ちはあるのですが、思う様に動かない。周りの人達も苦しそうです。残り2キロ、トンネルをくぐり平坦区間へ入ります。ここでギアを初めてアウターに入れて最後の力を振り絞り全速力!すると……。
足が攣った!落ち着いて緩めて回復して、踏んでは攣っての繰り返しでした。平坦区間を抜けて登り返し。ラストクライムです。「足よつらないで」と、心の中で願いながら最後のひと踏み。
ゴール手前の駐車場には沢山の応援の方がいました。「女の子も頑張って!」という声を貰いとても嬉しかったです。声援に後押しされて足を回し、念願のゴール!目標の2時間には後一歩届きませんでしたが、去年より1分ちょっとタイムを縮める事ができました。ほんの少しの記録更新です。息も絶え絶えに、下山用の荷物の受け取り場所である駐車場にたどりつきました。
しばらくは座り込んで動く事ができない私。荒い息を鎮めながら、ふと上を見上げるとそこには美しい富士の山頂が。2年ぶりの好天に恵まれた今回の富士ヒルは最高のヒルクライム日和でした。この景色は、最後まで諦めずに登ってきた人達への良いご褒美になったはず。山の神に感謝です。この景色は一生忘れません!
すぐに下山に向かう人、仲間達と記念写真を撮る人、ゴール後は皆さん思い思いに過ごされている様でした。そんな中、なにかの行列を発見しました。その先にあったのは、名物「富士山めろんぱん」です。富士山の形をした可愛らしいパンは大人気でした。
さて、余韻を味わったら下山を開始。登っている時には感じなかった肌寒さがあります。スピードは出しすぎず無理な追い抜きは絶対禁止です。ここで落車をして怪我をしてしまったら元も子もありません。レースで勝ったり、良い結果を出す事はとても素敵な事です。ですが私達ホビーレーサーは無事に帰る事も同じくらい、大事だとも思います。
怪我せず帰れればまた何度でも来れますからね!会場に戻ると、富士吉田名物の吉田うどんが参加者全員に振る舞われています。一生懸命走った後に食べるうどんは最高です!
登っている時は本当に辛くて苦しいのですが、ゴールをしてその達成感を味わうと次への意欲が沸いてくるから不思議です。やっぱり来年も出場したいと思います。来年こそ2時間をきれるように鍛えなおしてきます!
林檎蜜紀 プロフィール
モデル、コスプレイヤー。休日はホビーサイクリスト。漫画「弱虫ペダル」を見てロードレースに興味を持つようになりロードバイクを購入。サイクリングの世界の扉を開く。愛車はリドレー FENIXの2014モデル。
近年は自転車のレースやイベントMC、自転車雑誌などで活動中。 マイブームはグルメライドとロードレース観戦。今年2月には自転車競技連盟(JCF)審判3級を取得。ロードバイクの楽しさを伝えていけるよう邁進中。
text:Ringo.Mitsuki
こんにちは。モデルでコスプレイヤーのサイクリスト林檎蜜紀です。6月12日に行われた「富士の国やまなし 第13回Mt.富士ヒルクライム」に参加してきました。好天に恵まれた今大会。ゴールのある五合目から見た富士の頂上は快晴の空にくっきりと浮かびあがりその美しさは一生忘れないであろう思い出となりました。そんな達成感に満ちあふれた体験をレポートさせて頂きます。
「富士ヒル」の愛称で親しまれているこの大会は8,000人以上が参加する日本最大級のヒルクライムの祭典です。世界遺産となった富士山を自転車で駆け上がるという特別なイベント。私の周りのサイクリストにもこの大会を1番の目標にして日々練習に励んでいる人が何人もいます。モチベーションを上げるのに一役かっているのが、フィニッシャーリングの存在ではないでしょうか?
ゴールタイムによって貰えるリングの色が変わります。1時間5分以内でゴールド、1時間15分以内でシルバー、1時間30分以内でブロンズ。それ以降完走を果たすとブルー、女性は加えてピンクのリングが貰えます。私も昨年完走を果たし、ブルーとピンクのリングをゲットしました!今年の目標はブロンズ!
と言いたいところですが女性でブロンズを獲得できる人はトップレベルの一部の人のみ……。
私は目標を2時間に設定してレースに挑みます。女性向けに1時間45分等で特別な色のリングがあれば良いのに……!なんて希望がいつか叶えば嬉しいな(笑)
受付は大会前日に会場である富士北麓公園で行われます。CYCLE EXPO2016が同時開催されていてお祭りムードを盛り上げます。様々なブースが出店していて商品の紹介、販売、試乗などが行われていました。ステージではトークショーや講座、抽選会などもありこの日だけでも十分に楽しめる内容となっております。
私も沢山のブースに立ち寄らせて頂きました。
私の愛車、リドレーを扱うジェイピースポーツグループさんのブースでは、自転車の展示は勿論のこと、新作Tシャツやボトルもありテンションがあがりました。
グリコパワープロダクションさんのブースでは「明日、速く走れるようになれませんか?」という私の無茶ぶりにお兄さんの熱いセールストークが冴えわたりサプリメントを購入。これで明日は大丈夫だ!と、いう自己暗示にかかりました(笑)
大会当日、AM3:30起床。女性サイクリストの朝は早い。男性と違い、メイクの時間を要するからです。汗をかいてお化粧なんて崩れてしまうかもしれませんが、それまでの間でも綺麗でありたいと思うものなのです……!
日焼け止めを塗り準備万端!だったはず…が、なんと足にかけ忘れてしまいレーパン焼けが後日くっきりと残ってしまいました(涙)それから虫刺され。ブヨという虫にかまれてしまい皮膚科にお世話になってしまいました(涙涙)富士山には自然がいっぱい!次回は虫よけスプレーも忘れないようにと心に誓いました。
会場に到着し、頂上行きの荷物を預けて一段落。スタートを待ちます。今回の作戦は決まっています。24kmの道のりを2時間で走るには平均時速は12km/h。平均勾配の5.2%で12km/hを目安にして勾配の増減に合わせてスピードを調整。
遅れた分はコースの最後の方にある平坦区間で取り戻すという作戦です。特に3%程度の緩斜面で休まずにペダルを回し平均速度を稼ぐのが大事。というのは、いつもメンテをお願いしている東京・錦糸町のフォーチュンバイクの錦織店長からのアドバイスです。昨日買ったサプリを飲み、愛用のメダリストのジェルをポケットに入れ準備完了です。
スタートの号砲が鳴りました。女性は全員第2ウェーブからのスタートとなります。パレード区間を過ぎ、計測開始地点へ。サイコンのスタートボタンを押しました。序盤は少し勾配がきつめ。登り始めるとヒルクライムのつらさを思い出します。しばらくすると横を第3ウェーブの男性達がもの凄いスピードで抜き去って行きます。本当に坂を登っているの?!と思ってしまうスピードでグイグイ登っていく格好よさには憧れてしまいます。
1合目……、既に苦しくて一杯一杯なのですが苦しさに耐えていると応援の声が聞こえてきました。その中にはチアリーダーの女の子達の姿が。とても可愛くて思わず笑顔になってしまいました。彼女達見たさに、ここで降りて休んでしまおうかな……?と迷った人もいるのではないでしょうか(笑)。
長い1合目を過ぎ、2合目の中盤に差しかかった頃に、足が痛み始めました。筋力の足りなさを実感します。去年よりは息はきれてない様に感じました。きっと先ほど飲んだサプリメント(自己暗示強め)が効いているのだと思います!
しかし足が重く、坂が長く感じます。ただただ気持ちが折れないようペダルを回すのみです。今年はオリジナルのサイクルジャージで走っていたので私に気付いてくれる人も多く、沢山の方に声をかけて頂きました。応援は本当にうれしいですね!勇気づけられ頑張る気持ちが沸きます。
4合目、登り始めてから1時間は余裕で過ぎています。こんなに長いヒルクライムも富士ヒルクライムの特徴ではないでしょうか。何度も挫けそうになりながら登り続けると、上の方から音が聞こえてきました。太鼓の音だ!今年もここまで登って来たのだと思うと感動で涙が出そうになりました。ここから終盤戦です。気を取り直してさらに登り続けます。
山岳スプリット区間の計測開始地点には「ここからもがけ!」の看板がありました。もがけません!(笑)
足を回したい気持ちはあるのですが、思う様に動かない。周りの人達も苦しそうです。残り2キロ、トンネルをくぐり平坦区間へ入ります。ここでギアを初めてアウターに入れて最後の力を振り絞り全速力!すると……。
足が攣った!落ち着いて緩めて回復して、踏んでは攣っての繰り返しでした。平坦区間を抜けて登り返し。ラストクライムです。「足よつらないで」と、心の中で願いながら最後のひと踏み。
ゴール手前の駐車場には沢山の応援の方がいました。「女の子も頑張って!」という声を貰いとても嬉しかったです。声援に後押しされて足を回し、念願のゴール!目標の2時間には後一歩届きませんでしたが、去年より1分ちょっとタイムを縮める事ができました。ほんの少しの記録更新です。息も絶え絶えに、下山用の荷物の受け取り場所である駐車場にたどりつきました。
しばらくは座り込んで動く事ができない私。荒い息を鎮めながら、ふと上を見上げるとそこには美しい富士の山頂が。2年ぶりの好天に恵まれた今回の富士ヒルは最高のヒルクライム日和でした。この景色は、最後まで諦めずに登ってきた人達への良いご褒美になったはず。山の神に感謝です。この景色は一生忘れません!
すぐに下山に向かう人、仲間達と記念写真を撮る人、ゴール後は皆さん思い思いに過ごされている様でした。そんな中、なにかの行列を発見しました。その先にあったのは、名物「富士山めろんぱん」です。富士山の形をした可愛らしいパンは大人気でした。
さて、余韻を味わったら下山を開始。登っている時には感じなかった肌寒さがあります。スピードは出しすぎず無理な追い抜きは絶対禁止です。ここで落車をして怪我をしてしまったら元も子もありません。レースで勝ったり、良い結果を出す事はとても素敵な事です。ですが私達ホビーレーサーは無事に帰る事も同じくらい、大事だとも思います。
怪我せず帰れればまた何度でも来れますからね!会場に戻ると、富士吉田名物の吉田うどんが参加者全員に振る舞われています。一生懸命走った後に食べるうどんは最高です!
登っている時は本当に辛くて苦しいのですが、ゴールをしてその達成感を味わうと次への意欲が沸いてくるから不思議です。やっぱり来年も出場したいと思います。来年こそ2時間をきれるように鍛えなおしてきます!
林檎蜜紀 プロフィール
モデル、コスプレイヤー。休日はホビーサイクリスト。漫画「弱虫ペダル」を見てロードレースに興味を持つようになりロードバイクを購入。サイクリングの世界の扉を開く。愛車はリドレー FENIXの2014モデル。
近年は自転車のレースやイベントMC、自転車雑誌などで活動中。 マイブームはグルメライドとロードレース観戦。今年2月には自転車競技連盟(JCF)審判3級を取得。ロードバイクの楽しさを伝えていけるよう邁進中。
text:Ringo.Mitsuki
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