2016/04/04(月) - 09:44
3月18日・19日の2日間に渡って、東京中目黒にて開催されたカステリの一般ユーザー向け展示会「TRY ON!」。「UNFAIR ADVANTAGE」をキャッチコピーに掲げるイタリア屈指のテクニカルウェアブランドを体感することのできたイベントの模様を紹介しよう。
初日から盛況となったcastelli TRY ON !
会場は東京・中目黒にあるNO DESIGN GALLERY
castelli TRY ON ! を記念して製作されたサイクリングキャップ
開花を待つ桜の木が沿道に連なる東京・目黒川のそばにあるギャラリーにて開催されたカステリの展示会「Castelli TRY ON!」。カステリにとって、一般ユーザーへと向けた展示会は今回が初開催となる。まず、「TRY ON!」の模様を紹介する前に、改めてカステリについて紹介していこう。
カステリのキャッチコピーは「UNFAIR ADVANTAGE(=不公平なほどの優位性)」
多くのプロがスポンサー契約を破ってまでも使用するレインウェア「GABBA」 カステリの始まりは約140年前。ミラノの中心地に拠点を置く、AC・ミランやユベントスをサポートしていたVITTORE GIANNIというテーラーがその起源である。VITTORE GIANNIが最初にサイクルウェアを手掛けたのは1910年のことで、ジロ・デ・イタリアを5回制したアルフレッド・ビンダがこれを着用。その後、1939年にアルマンド・カステリ氏によって買収され、サイクルウェア事業を強化していく。この中で、イタリアの国民的英雄でもあるファウスト・コッピやジーノ・バルタリにもウェアを供給する。
そして、1974年にブランド名をカステリに変更すると同時に、赤いサソリのマークが登場する。1977年に世界で初めてライクラ製のサイクリングショーツの市販化に成功すると、サイクリングウェアに次々と革新をもたらしていく。
色付きのビブショーツや、ウェアへの昇華プリント、防風ジャージ、女性専用設計、人体工学に基づいたパッド形状、生地への吸汗処理、空気抵抗を抑えるためのカッティング、ロードレース用のスキンスーツなど、カステリがサイクリングウェア界にもたらしたものは数知れない。また、1980年代から1990年代にかけてはマイヨ・ジョーヌやマリア・ローザの供給も担当している。
近年では、レインウェア「GABBA」がプロレース界を席巻。高速のスプリントでも抵抗にならないほどバタつかず、雨水を弾きながらも的確に透湿してくれる革新的なプロダクトとして、多くのチームが自費購入して使用しているほど。また、ライバルメーカーへの影響も多大で、各メーカーともGABBAに続くレインウェアの開発に注力し始めた。
カステリの国内取り扱いアイテムのほぼ全てが集結。サイズも取り揃えられている
もちろん女性用ウェアも豊富に用意されている
Climbers 2.0ジャージは、プロ仕様と同じく空気抵抗を抑えるエアロフィットと、吸汗速乾性に優れるアンダーウェアの様な生地を採用しながら13,500円というプライスタグ
撥水素材「NanoFlex」を使用した防水仕様のビブショーツ
そんなサイクルウェア界のトレンドメーカーであるカステリが掲げるのが「UNFAIR ADVANTAGE(=不公平なほどの優位性)」。レースの結果をも変えてしまいかねないほどのカステリウェアの優位性を実際に目で見て、触って、着て体感してもらおうというのが「Castelli TRY ON!」の趣旨である。
「根幹にあるのは、カステリの魅力をもっと多くの方に知ってもらいたいという想い。そして、イベントに出展した際に『カステリのウェアを着てみたいけど、実物を確認できる機会が中々ない』という様な意見を下さった方に応えたいと想いもあり、今回の試みにつながりました。」と語るのは、イベントの仕掛け人であるインターマックスの木下雅之さんだ。
Castelli TRY ON!を開催したインターマックスの木下雅之さん
会場となったギャラリーには、カステリの国内展開モデルのほぼ全てが取り揃えられた。ショップでは中々お目にかかれないハイエンドモデルやレディースモデルとて例外ではない。そして、各アイテムとも可能な限りサイズを用意しており、来場者はフィット感や生地感、色味を実際に確認することができた。さらには、ウェアの性能を最大限に引き出すためのアドバイスを受けることもでき、来場者にとってはとても有益な機会となったことだろう。
なお、このイベントでは商品をチェックできるだけではなく、購入予約をすることもできることも大きな特徴だ。来場者が利用する店舗に入荷した際に連絡が行くというシステムが用意され、気になるアイテムを確実に手に入れられるようになった。また、ショップの店頭ではお目にかかれないウェア小物(ソックス、グローブ、キャップ)やロゴ入りTシャツ、お出かけの際に便利なミュゼット、サソリマークのエスプレッソカップなどは、会場での直接販売も行われていた。特に、このイベントを記念して制作されたレインボーストライプのオリジナルキャップは好評を博していた。
デーヴィッド・ミラー(イギリス)とのコラボレーションジャージの展示も
木下さんがイチ押しするバックポケット付きワンピースウェア
種類が豊富なだけに品選びが難しいショーツだが、インターマックスのスタッフが細かく説明してくれた
今回メインで展示されたのは、2016年の春夏コレクション。その中でも木下さんがイチ押しするのが、ロードレースに使うことのできるバックポケット付きワンピース。「エアロ効果も大きいのですが、ショーツ部を背中全体のパネルで吊るため圧迫が少なく、とても快適性が高いのが特長ですね」とは木下さん。単体だと値が張るようにも思えるが、同グレードのジャージ+ショーツの価格と比較すればやや安価になっており、今年からはハイエンドモデルのSanRemoに加えて、廉価版のVelocissimoが登場している。
また、カステリのジャージは高価とイメージを持っている方は少なくないと思われるが、意外にも税抜きで1万円台中盤のものを多くラインアップしている。例えばClimber's 2.0ジャージは、プロ仕様と同じく空気抵抗を抑えるエアロフィットと、吸汗速乾性に優れるアンダーウェアの様な生地を採用しながら13,500円というプライスタグ。もちろん、ハイエンド系モデルとの差異はあるが、他社に比べると手軽にプロスペックを体感することができる。
グローブやソックス、キャップなどのアクセサリー類の販売が行われている
サソリのマークが描かれた貴重なエスプレッソカップ
カステリのアイコンであるサソリのマークが描かれたTシャツも
サコッシュやボトルなどのロゴ入りグッズは会場で直接購入することができた
多くの来場者を集めたイベントの最後に木下さんにカステリの魅力について訊いた。「30年以上スポーツバイクに関わっている私にとって、カステリは昔から憧れの存在ですね。マイヨジョーヌやマリアローザを作っていたということに加え、現在のGABBAジャージのように強いプロ選手達がお忍びで使うブランドというイメージが昔からあります。実際のプロダクトにおいては、プロに認められたテクノロジーを市販品に落とし込むまでのスピードが早く、ハイエンド製品だけではなく普及グレードでもプロスペックを体感でき、それでいて価格設定が適切なのが魅力ですね」。
今回はトライアル的に開催された「Castelli TRY ON!」。今後については未定ながらも、東京以外での開催を含めて、インターマックスでは前向きに検討中とのこと。次回の開催に期待したいところだ。
text&photo:Yuya.Yamamoto
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色付きのビブショーツや、ウェアへの昇華プリント、防風ジャージ、女性専用設計、人体工学に基づいたパッド形状、生地への吸汗処理、空気抵抗を抑えるためのカッティング、ロードレース用のスキンスーツなど、カステリがサイクリングウェア界にもたらしたものは数知れない。また、1980年代から1990年代にかけてはマイヨ・ジョーヌやマリア・ローザの供給も担当している。
近年では、レインウェア「GABBA」がプロレース界を席巻。高速のスプリントでも抵抗にならないほどバタつかず、雨水を弾きながらも的確に透湿してくれる革新的なプロダクトとして、多くのチームが自費購入して使用しているほど。また、ライバルメーカーへの影響も多大で、各メーカーともGABBAに続くレインウェアの開発に注力し始めた。
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「根幹にあるのは、カステリの魅力をもっと多くの方に知ってもらいたいという想い。そして、イベントに出展した際に『カステリのウェアを着てみたいけど、実物を確認できる機会が中々ない』という様な意見を下さった方に応えたいと想いもあり、今回の試みにつながりました。」と語るのは、イベントの仕掛け人であるインターマックスの木下雅之さんだ。
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なお、このイベントでは商品をチェックできるだけではなく、購入予約をすることもできることも大きな特徴だ。来場者が利用する店舗に入荷した際に連絡が行くというシステムが用意され、気になるアイテムを確実に手に入れられるようになった。また、ショップの店頭ではお目にかかれないウェア小物(ソックス、グローブ、キャップ)やロゴ入りTシャツ、お出かけの際に便利なミュゼット、サソリマークのエスプレッソカップなどは、会場での直接販売も行われていた。特に、このイベントを記念して制作されたレインボーストライプのオリジナルキャップは好評を博していた。
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また、カステリのジャージは高価とイメージを持っている方は少なくないと思われるが、意外にも税抜きで1万円台中盤のものを多くラインアップしている。例えばClimber's 2.0ジャージは、プロ仕様と同じく空気抵抗を抑えるエアロフィットと、吸汗速乾性に優れるアンダーウェアの様な生地を採用しながら13,500円というプライスタグ。もちろん、ハイエンド系モデルとの差異はあるが、他社に比べると手軽にプロスペックを体感することができる。
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今回はトライアル的に開催された「Castelli TRY ON!」。今後については未定ながらも、東京以外での開催を含めて、インターマックスでは前向きに検討中とのこと。次回の開催に期待したいところだ。
text&photo:Yuya.Yamamoto
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