リクイガス・キャノンデールからキャノンデール・プロサイクリングへ。増田成幸を含む7カ国の選手が新たに加わり、グローバルチームへと進化を遂げた。パラマウントスタジオの映画館で行なわれたチームプレゼンテーションの模様をお伝えします。

パラマウントスタジオならではのプレゼンテーション

ポーズをとるペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール)ポーズをとるペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール) photo:Kei Tsuji1月12日、日が傾き始めた午後4時、キャノンデール・プロサイクリングの選手たちがリムジンで「パラマウントスタジオ」に到着した。

セレブリティーさながらの決まった格好で、カメラにポーズを取りながら、エントランスに敷かれた真っ黒なカーペットを一人一人歩いて行く。クレーンやレールを駆使した映画撮影用カメラがその姿を追って行く。

ステージに上がるイヴァン・バッソ(イタリア)とペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール)ステージに上がるイヴァン・バッソ(イタリア)とペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール) photo:Kei Tsujiチームプレゼンテーションの会場は、スタジオの一角にある映画館。スポットライトを浴びながら、新しいジャージに身を包んだ選手たちがバイクに乗ってステージに登場する。

ツアー・ダウンアンダーの開幕が迫っていることもあり、プレゼンテーションに出席したのは11名の選手たち。バイクに乗って先頭でステージに飛び込んで来たのは、他でもない増田成幸だった。

「クリミナルマインド」の出演者も同席「クリミナルマインド」の出演者も同席 photo:Kei Tsujiプロ選手として1990年代に活躍したカリフォルニア出身のボブ・ロール氏がマイクを握り、プレゼンテーションを進めて行く。ステージ上でトップチーム一年目の意気込みを問われた増田は「出身地の仙台を含め、2011年の大地震によって日本は大きなダメージを受けた。被災者や日本を元気づけるためにも頑張りたい」と英語で返答。12月のトレーニングキャンプを経て、すでにチームに溶け込んでいる印象だ。

ステージのスクリーンには、12月にイタリアのトレーニングキャンプ中に撮影された映像が、映画館ならではの音響とともに映し出される。「クリミナルマインド」の出演者であるジョー・マンテーニャ氏(ロッシ役)とシェマー・ムーア氏(モーガン氏)もサプライズで登場した。

プレゼンテーション後には、普段映画が撮影されるハリボテのニューヨーク市街地セットを貸し切ったアフターパーティーを開催。アメリカブランドならではのスケールの大きな演出が目立った。

映画「フォレストガンプ」のワンシーン?映画「フォレストガンプ」のワンシーン? photo:Kei Tsujiパラマウントスタジオの一角が「キャノンデールシティー」に!パラマウントスタジオの一角が「キャノンデールシティー」に! photo:Kei Tsuji

"Let's Go to the Movies Cannondale Style"


キャノンデールのバックアップにより転機を迎えたイタリアンチーム

キャノンデールプロサイクリングキャノンデールプロサイクリング photo:Kei Tsujiキャノンデールプロサイクリングの前進であるリクイガスチームは、1999年にその歩みをスタートさせ、2005年にUCIプロツアーチームに昇格。以降、ジロ・デ・イタリアで2度の総合優勝&ステージ通算17勝。ブエルタ・ア・エスパーニャ総合優勝という成績を残して来た。

伝統あるイタリアチームとキャノンデール社のパートナーシップは2006年にスタート。キャノンデール社が同チームに懸ける意気込みは強く、リクイガス社の14年間にわたるスポンサー活動終了に伴い、2013年、ついにアメリカンバイクメーカーがメインスポンサーとしてチームに携わることが決まった。

ロサンゼルス近郊の山岳部を走るキャノンデールプロサイクリングロサンゼルス近郊の山岳部を走るキャノンデールプロサイクリング photo:Kei Tsujiスポンサー契約は2015年までの3年間。「(契約は)自然な流れだった。チームとの関係を強化することを誇りに思う」と、キャノンデール社のボブ・バーバンクGMは語る。

「イノベーションの点でリーダーシップを取ることは我が社のDNAであり、疑いなく素晴らしいパートナーシップになる。それに、新たな才能の発掘や方向性の転換が、レース界の変革に繋がるだろう。世界中から集まった全てのライダーは、このキャノンデールプロサイクリングのコミュニティーに加わったことを誇りに思って欲しい」(バーバンクGM)

隊列の中から飛び出す増田成幸(キャノンデールプロサイクリング)隊列の中から飛び出す増田成幸(キャノンデールプロサイクリング) photo:Kei Tsujiメインスポンサー変更に伴い、チームは大幅にメンバーを入れ替えた。今シーズンはヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア)やダニエル・オス(イタリア)ら、イタリア人選手7名を含む合計10名を放出。前記事でお伝えした通り、カナダ、アルゼンチン、ドイツ、デンマーク、オーストリア、オーストラリア、そして日本の選手を加えた。

イヴァン・バッソ(イタリア、キャノンデールプロサイクリング)がペースを作るイヴァン・バッソ(イタリア、キャノンデールプロサイクリング)がペースを作る photo:Kei Tsuji「イタリアの伝統にキャノンデール社のブランドスピリットが加わることで、どんなレースでも主役を担うようなインターナショナルなチームに生まれ変わる」と、チームをマネジメントするブリクシアスポーツ社のパオロ・ザーニ代表。

チームマネージャーを務めるロベルト・アマディオ氏も「我々には、2005年から築き上げた強固な組織と豊かな経験がある。国際的な影響力を強めながら、若手選手の育成にも力を注ぐ。プロフェッショニズムに溢れたキャノンデール社との関係継続は個人的にも嬉しい限りだ」と歓迎する。なお、監督やスタッフ、マネジメントの体制に大きな変更は無い。

チームのデビュー戦は1月20日にオーストラリアで開幕するツアー・ダウンアンダー(UCIワールドツアー)と、同日開幕のツール・ド・サンルイス(UCI2.1:アルゼンチン)。新加入の増田成幸はアメリカから直接アルゼンチンに向かい、サンルイスで早速レースデビューする予定だ。


Cannondale Pro Cycling - Official Trailer


次ページでは、シーズンインを控えた増田成幸のインタビューをお伝えします。

text&photo:Kei Tsuji