2012年のツール・ド・フランスでイギリス人史上初めて総合優勝を果たしたブラドレー・ウィギンズ(チームスカイ)が、BBCのスポーツパーソナリティー・オブ・ザ・イヤーに輝いた。2013年はジロ・デ・イタリアに加えてツール・ド・フランスにも出場する意向を示している。

第99代マイヨジョーヌに輝いたブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)第99代マイヨジョーヌに輝いたブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ) photo:Cor Vosイギリスの公共放送局であるBBC(英国放送協会)のスポーツパーソナリティー・オブ・ザ・イヤー(年間最優秀スポーツ選手賞)に、チームスカイ所属の32歳ウィギンズが選ばれた。

同賞は、専門委員が12名の候補者を選出し、最終的に視聴者の投票によって決定される。1954年にスタートし、自転車選手としては1965年にトム・シンプソンが初受賞。2008年にクリス・ホイ、2011年にマーク・カヴェンディッシュが同賞を受賞している。

2012年、ウィギンズはパリ〜ニース、ツール・ド・ロマンディ、クリテリウム・ドゥ・ドーフィネを制し、ツール・ド・フランスで優勝。母国イギリスのロンドンで開催されたオリンピック個人タイムトライアルで優勝した。

ロンドンオリンピック陸上の女子七種競技の覇者ジェシカ・エニスと、USオープンテニスの覇者アンディ・マレーを退け、投票全体の30.25%にあたる492,064票を獲得したウィギンズは、授賞式の中で「素晴らしい一年だった。他の候補者と並んでこのステージに立つのは信じられない気持ちだ。支えてくれたチームメイトたちに感謝したい。彼らがいなければ(ツール制覇を)成し遂げることが出来なかった。そしてデーヴ・ブレイルスフォードやコーチたち、ブリティッシュサイクリング、チームスカイ、オリンピック出場者たちに感謝したい」とコメント。チームスカイの代表で、イギリスチームのパフォーマンスディレクターを務めるデーヴ・ブレイルスフォード氏はコーチ・オブ・ザ・イヤーに輝いている。

今回のウィギンズの受賞を受け、英国のデーヴィッド・キャメロン首相は「ブラドレー・ウィギンズを祝福したい。英国のスポーツ界にとってインクレディブルな一年の中で、彼は心から人々に感動を与える勝者だった」と自身のTwitterに書き込んでいる。

2010年のジロ・デ・イタリアでマリアローザを着用したブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)2010年のジロ・デ・イタリアでマリアローザを着用したブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ) photo:Kei Tsuji2013年、ウィギンズはジロ・デ・イタリアへの参戦を表明している。ツールではチームメイトのクリス・フルーム(イギリス)がアシストすると見られていたが、12月に入ってからツールのタイトル防衛に興味を示すコメントが出始めた。

イギリスのガーディアン紙の中でウィギンズは「ツールで2度目の勝利を果たしたいとずっと思っている。自分はディフェンディングチャンピオンだ。ジロ・デ・イタリアで勝利を収めて、ツール・ド・フランスで勝ちたい。2つのグランツールで勝つことは不可能だと言う人も多いだろう。だからこそ挑戦したい」とコメント。ウィギンズは2012年シーズン以上のパフォーマンスを見せることに自信を見せている。

歴史上、ジロとツールを同年に制する「ダブルツール」の達成者は7名。1949年と1952年にファウスト・コッピ、1964年にジャック・アンクティル、1970年、1972年、1974年にエディ・メルクス、1982年と1985年にベルナール・イノー、1987年にステファン・ロッシュ、1992年と1993年にミゲール・インドゥライン、そして1998年にマルコ・パンターニが達成している。

懸念されるのは、2012年ツールでも注目されたウィギンズとフルームの確執。チームのブレイルスフォード代表はBBCのインタビューの中で「ブラドレー(ウィギンズ)の野望が戻ってきたことにワクワクしている。クリス(フルーム)はツールにフォーカスしている。ブラドレーがどんなコンディションでジロを走り終えるかに注視したい。最後に物を言うのは脚だ」と答えている。チームスカイは、コンディションを見極めながらダブルエースの役割を決めることになりそうだ。

text:Kei Tsuji