11月、台湾で Formosa900と銘打った台湾一周サイクリングツアーが催された。この台湾をめぐる自転車旅に4日間参加、実際に自転車で走ってきたCW編集部・綾野の連載レポートで旅の様子をつづります。

台湾の市街地を走るFormosa900日本隊のメンバーたち台湾の市街地を走るFormosa900日本隊のメンバーたち (c)Makoto.AYANO

Formosa900は台湾一周のサイクリングツアー。台湾はかつて諸外国から「フォルモサ」(美しい国を意味する)と呼ばれていたことからこの名前がついた。台湾一周は約900km。本来9日間の旅だが、私は中途日程の4日間のみ参加することになった。

台湾の海沿いの道を快走する日本隊のメンバー台湾の海沿いの道を快走する日本隊のメンバー (c)Makoto.AYANO台湾といえばジャイアント(少々強引?)。ジャイアント・ジャパンより「この旅をぜひ体験して下さい」とお声がけをいただいた。「いろいろ背景はある」とのことだったが、その趣旨を理解しないうちに参加OKのお返事をした。

走りながら見つける台湾の魅力とは?走りながら見つける台湾の魅力とは? (c)Makoto.AYANO私はかつてツール・ド・台湾のレース取材で台湾を3周、20代の頃に単独自転車旅行で一周、そして30代でなるしまフレンドの選手としてツール・ド・台湾をぐるりと走ったことがある(ただしレースは非UCIの3日間に縮小した規模で開催されていた時期だ)。
2011年にはタロコヒルクライムで久しぶりの再訪を果たしたが、レースの行われた周辺だけに行動範囲は限られていたので、最近、とみに変わったと言われる台湾のことをもっと知りたいというのもあった。私は台湾が大好きだから。

このイベントは、「2012年台灣自転車フェスティバル」のひとつとして行われる。
昨年、台湾では建国百年を祈念して台湾一周を11万人が同時に自転車で走りギネス記録に挑戦する第1回Formosa900が行われて、大成功。それに引き続き今年もイベントを開催することになったそうだ。

日本から行くのは「四国隊」と称する、愛媛県の方々を中心とした約25人ほど。それに乗っかる形でツアーに参加させていただくことになった。
急な参加だったため、背景についての事情がよく飲み込めないままだったが、それも含めて台湾の自転車事情を再び知りたいという思いで台北へと飛んだ。走ってわかった背景の、日本と台湾の特別な関係については話が長くなるので続編のなかで紹介します(笑)。

台湾の女性向けサイクルショップ Livジャイアント1号店を訪問

「歓迎光臨」と迎えられ、東京発の日本隊の皆さんと台北の松山空港に降り立った。
空港に到着して、花蓮に移動するバスを待つ間に皆で空港近くのLivジャイアントのお店に伺うことにした。Livジャイアントは女性専門のサイクルショップで、日本にも二子玉川にお店があるのはCWでも紹介した通り。(記事はこちら

Livジャイアント 台北店1F  すっきりしたディスプレイで自転車のファッション的な側面をアピールLivジャイアント 台北店1F  すっきりしたディスプレイで自転車のファッション的な側面をアピール (c)Makoto.AYANO

台北・松山店は、空港から歩いて10分ほどのところにある。このお店が全世界での1号店ということだそうだ。では、台湾自転車事情はまずショップ視察からはじめよう。

空港近くのビルの1階と地下階で展開するこのLivジャイアント台北は、ジャイアントがグローバルで推し進めるLiv店の世界第1号店。台湾にLiv店は3店あるそうだ。
2008年に開店し、現在で4年目を迎える。

Livジャイアント地下階 広々としたスペースにパステル調バイクが並ぶLivジャイアント地下階 広々としたスペースにパステル調バイクが並ぶ (c)Makoto.AYANOLivジャイアント台北・松山店の店長さんにお話を伺ったLivジャイアント台北・松山店の店長さんにお話を伺った (c)Makoto.AYANO


地上階はあっさりしたコンセプトストアのような展示のみだが、地下階へ降りると充実した品ぞろえが目に飛び込んでくる。これが、ほとんど女性向けの商品だというから驚く。バイク、ウェア、アパレル、用品、ジャイアントの自社ブランドの製品が中心だが、アソスやマヴィック、Agu、オージーケーカブトなどの欧州や日本ブランドの製品も豊富においてあるのだ。しかも、女性受けしそうなデザインのものが厳選されていることが一目で伺える。

アクセサリー類も充実 おしゃれな品ぞろえが光るアクセサリー類も充実 おしゃれな品ぞろえが光る (c)Makoto.AYANOお店の一角にはSaecoのエスプレッソマシーンもお店の一角にはSaecoのエスプレッソマシーンも (c)Makoto.AYANO


店長さんに話を聞けば「アメリカ店などアスリート向けの品ぞろえが多い欧米店に比べて、この台湾店ではライフスタイル系の品ぞろえが充実しています」と言う。つまりもっと生活シーンに近いデザインやアパレルなどの自転車用品が多いのだそうだ。

女性ファッションを強く意識したディスプレイ女性ファッションを強く意識したディスプレイ (c)Makoto.AYANO台湾の自転車旅行の魅力を地図を指しながら説明してくれた台湾の自転車旅行の魅力を地図を指しながら説明してくれた (c)Makoto.AYANO


Livジャイアント 1F 細部まで気の配られたディスプレイLivジャイアント 1F 細部まで気の配られたディスプレイ (c)Makoto.AYANOアソスの冬物ジャケットが人気商品 暑い台湾で着るシーンはあるのだろうか…?アソスの冬物ジャケットが人気商品 暑い台湾で着るシーンはあるのだろうか…? (c)Makoto.AYANO


ツール・ド・台湾は歴史があるものの、かつての台湾といえば趣味のサイクリストなど皆無だった。居るのは自転車協会または学校に所属する一部の競技者系の人だけがレースをしているぐらいだった。そんなに市民が? しかも女性サイクリストが居るものだろうか?

淡水河沿いにつけられたサイクリングロードは台北市民に人気だ淡水河沿いにつけられたサイクリングロードは台北市民に人気だ (c)Taipei.Navi店長さんによれば、台湾に自転車ブームが到来したのは2008年。そのきっかけになったのは2007年にジャイアントの劉金標(キング・リュウ)会長が台湾一周サイクリングを敢行したこと。

当時73歳のリュウ氏の自転車旅行はTV等で連日報道され、大きな感動を呼んだ。その翌年から国民の間で「自分も挑戦したい」という人が続出し、自転車ブームに。リュウ氏の旅を再現した映画もつくられ、本も出版され、大いに売れた。

サイクリングロードも続々と整備され、例えば首都・台北市街を流れる淡水(タンシュイ)河のほとりにはナイター照明施設を備えたサイクリングロードができ、市民は暑い日中を避け、ナイトサイクリングを楽しんでいるという。

亜熱帯の暑い台湾で極寒仕様のアソスのウィンタージャケットが売られていることに若干の疑問を残しつつ、我々はお店を後にした。(この疑問は後日解決するが…)

この後、一行はバスに乗って一路花蓮・瑞穗へ。夜中に到着した日本の雰囲気を色濃く残す温泉宿で、乾杯。美味しい台湾料理をたらふくたべて、翌日のスタートを迎える。

美味しい台湾料理の円卓を囲んだ日本隊のメンバー美味しい台湾料理の円卓を囲んだ日本隊のメンバー (c)Makoto.AYANO台湾の市街地を走る日本隊のメンバー台湾の市街地を走る日本隊のメンバー (c)Makoto.AYANO


今回一緒に走る人たちの紹介も兼ねて、スタート前までの記念写真と、旅の途中の写真を少しだけ掲載しておきます。さて、明日からどんな旅が待っているのでしょうか。再見!

Formosa900 日本隊のメンバーたちFormosa900 日本隊のメンバーたち (c)Makoto.AYANO



photo&text:Makoto.AYANO
撮影・文 綾野 真

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