2012/10/14(日) - 06:26
大会最後の山岳でアタックしたライダー・ヘジダル(カナダ、ガーミン・シャープ)に食らいついたスティーブ・クミングス(イギリス、BMCレーシングチーム)。メイン集団を17秒引き離して逃げ切った2人による勝負は、クミングスに軍配が上がった。
ツアー・オブ・北京最終日は、北京北部の昌平(チャンピン)から平谷(ピングー)までの182.5km。前半から2級と3級のカテゴリー山岳を越え、平坦区間を経て2級と1級山岳へ。標高719mの1級山岳がフィニッシュラインの29km手前に佇んでいる。
前半の山岳地帯で積極的に動いたのは、山岳賞ジャージを着るダニエル・マーティン(アイルランド、ガーミン・シャープ)。ジャパンカップ参戦予定のマーティンは2つのカテゴリー山岳を先頭で越え、山岳賞トップの座を揺るぎないものにした。
しかしマーティンの誤算が続くスプリントポイントで発生する。スプリントポイントを2番手通過した総合4位のエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、チームスカイ)がボーナスタイム3秒獲得に成功。マーティンはボアッソンハーゲンに総合3位の座を奪われてしまう。
こうした山岳賞とボーナスタイムを懸けた前半バトルが一段落すると、ようやくこの日の逃げが決まる。ミハイル・イグナチエフ(ロシア、カチューシャ)やマヌエーレ・ボアーロ(イタリア、サクソバンク・ティンコフバンク)、そしてスティーブ・クミングス(イギリス、BMCレーシングチーム)を含む12名の大きな逃げグループが先行した。その一方でアンディ・シュレク(ルクセンブルク、レディオシャック・ニッサン)は40km地点でバイクを降りている。
オメガファーマ・クイックステップがコントロールするメイン集団は、逃げグループを射程圏内に抑え込む。そして後半の2級山岳の登りが始まると、総合で1分30秒遅れのヘジダルがアタック。今年ジロ・デ・イタリア制覇を成し遂げたカナダ人は、単独で先頭グループに追いついた。
最後の1級山岳でヘジダルの登坂力に対応出来たのはクミングスのみ。こうして先頭はヘジダルとクミングスに絞られた状態で1級山岳をクリアし、30秒ほどのリードでダウンヒルに突入する。
「100%総合成績に集中していた」というヘジダルが下りを果敢に攻め、クミングスがこれに続く。連続する登りで30名ほどに絞られたメイン集団が40秒遅れで追走。オメガファーマ・クイックステップの他、アスタナやチームスカイが集団コントロールに加わった。
脚の揃ったヘジダルとクミングスは協力してハイスピードを維持。メイン集団を振り切って平谷のゴール地点へとやってくる。総合時間を稼ぐために積極的に前を引いたヘジダルにステージ優勝を争う力は残っておらず、クミングスがスプリントで先着した。
「今日の逃げは人数が揃っていて、ペースを落とすことなくメイン集団にプレッシャーを与え続けた。長い一日の最後を勝利で締めくくることが出来て嬉しいよ」。シーズン最後に2勝目を掴んだクミングスは語る。ブエルタ・ア・エスパーニャに続く、ワールドツアーレースでのステージ優勝だ。
17秒遅れでゴールにやってきたメイン集団は、ボアッソンハーゲンを先頭にゴール。ボアッソンハーゲンはボーナスタイムにより総合3位に浮上。しかし最後までトニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ)の王座は揺るがなかった。
最終的にフランチェスコ・ガヴァッツィ(イタリア、アスタナ)との総合タイム40秒を守ったマルティンは、大会連覇を喜ぶ。「多くの人から連覇を期待されていたけど、今年はタイムトライアルが無く、いつもより大きなプレッシャーがのしかかっていた。月にも登る気分。スーパーハッピーだ」。
最終的に新人賞はラファル・マイカ(ポーランド、サクソバンク・ティンコフバンク)が獲得。リクイガス・キャノンデールがチーム総合成績トップに輝いた。
レース展開や選手コメントはレース公式リリースより。
ツアー・オブ・北京2012第5ステージ結果
1位 スティーブ・クミングス(イギリス、BMCレーシングチーム) 4h05'08"
2位 ライダー・ヘジダル(カナダ、ガーミン・シャープ) +02"
3位 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、チームスカイ) +17"
4位 ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、レディオシャック・ニッサン)
5位 ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・ベリソル)
6位 フランチェスコ・ガヴァッツィ(イタリア、アスタナ)
7位 トムイェルテ・スラグテル(オランダ、ラボバンク)
8位 ラファル・マイカ(ポーランド、サクソバンク・ティンコフバンク)
9位 マティアス・フランク(スイス、BMCレーシングチーム)
10位 サイモン・クラーク(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
個人総合成績
1位 トニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ) 17h16'56"
2位 フランチェスコ・ガヴァッツィ(イタリア、アスタナ) +40"
3位 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、チームスカイ) +46"
4位 ダニエル・マーティン(アイルランド、ガーミン・シャープ) +50"
5位 エロス・カペッキ(イタリア、リクイガス・キャノンデール) +52"
6位 リナルド・ノチェンティーニ(イタリア、アージェードゥーゼル) +56"
7位 ラファル・マイカ(ポーランド、サクソバンク・ティンコフバンク)
8位 トマシュ・マルチンスキー(ポーランド、ヴァカンソレイユ・DCM)
9位 ルイ・コスタ(ポルトガル、モビスター) +1'00"
10位 ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・ベリソル)
ポイント賞
エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、チームスカイ)
山岳賞
ダニエル・マーティン(アイルランド、ガーミン・シャープ)
新人賞
ラファル・マイカ(ポーランド、サクソバンク・ティンコフバンク)
チーム総合成績
リクイガス・キャノンデール
text:Kei Tsuji
photo:Tour of Beijing
ツアー・オブ・北京最終日は、北京北部の昌平(チャンピン)から平谷(ピングー)までの182.5km。前半から2級と3級のカテゴリー山岳を越え、平坦区間を経て2級と1級山岳へ。標高719mの1級山岳がフィニッシュラインの29km手前に佇んでいる。
前半の山岳地帯で積極的に動いたのは、山岳賞ジャージを着るダニエル・マーティン(アイルランド、ガーミン・シャープ)。ジャパンカップ参戦予定のマーティンは2つのカテゴリー山岳を先頭で越え、山岳賞トップの座を揺るぎないものにした。
しかしマーティンの誤算が続くスプリントポイントで発生する。スプリントポイントを2番手通過した総合4位のエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、チームスカイ)がボーナスタイム3秒獲得に成功。マーティンはボアッソンハーゲンに総合3位の座を奪われてしまう。
こうした山岳賞とボーナスタイムを懸けた前半バトルが一段落すると、ようやくこの日の逃げが決まる。ミハイル・イグナチエフ(ロシア、カチューシャ)やマヌエーレ・ボアーロ(イタリア、サクソバンク・ティンコフバンク)、そしてスティーブ・クミングス(イギリス、BMCレーシングチーム)を含む12名の大きな逃げグループが先行した。その一方でアンディ・シュレク(ルクセンブルク、レディオシャック・ニッサン)は40km地点でバイクを降りている。
オメガファーマ・クイックステップがコントロールするメイン集団は、逃げグループを射程圏内に抑え込む。そして後半の2級山岳の登りが始まると、総合で1分30秒遅れのヘジダルがアタック。今年ジロ・デ・イタリア制覇を成し遂げたカナダ人は、単独で先頭グループに追いついた。
最後の1級山岳でヘジダルの登坂力に対応出来たのはクミングスのみ。こうして先頭はヘジダルとクミングスに絞られた状態で1級山岳をクリアし、30秒ほどのリードでダウンヒルに突入する。
「100%総合成績に集中していた」というヘジダルが下りを果敢に攻め、クミングスがこれに続く。連続する登りで30名ほどに絞られたメイン集団が40秒遅れで追走。オメガファーマ・クイックステップの他、アスタナやチームスカイが集団コントロールに加わった。
脚の揃ったヘジダルとクミングスは協力してハイスピードを維持。メイン集団を振り切って平谷のゴール地点へとやってくる。総合時間を稼ぐために積極的に前を引いたヘジダルにステージ優勝を争う力は残っておらず、クミングスがスプリントで先着した。
「今日の逃げは人数が揃っていて、ペースを落とすことなくメイン集団にプレッシャーを与え続けた。長い一日の最後を勝利で締めくくることが出来て嬉しいよ」。シーズン最後に2勝目を掴んだクミングスは語る。ブエルタ・ア・エスパーニャに続く、ワールドツアーレースでのステージ優勝だ。
17秒遅れでゴールにやってきたメイン集団は、ボアッソンハーゲンを先頭にゴール。ボアッソンハーゲンはボーナスタイムにより総合3位に浮上。しかし最後までトニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ)の王座は揺るがなかった。
最終的にフランチェスコ・ガヴァッツィ(イタリア、アスタナ)との総合タイム40秒を守ったマルティンは、大会連覇を喜ぶ。「多くの人から連覇を期待されていたけど、今年はタイムトライアルが無く、いつもより大きなプレッシャーがのしかかっていた。月にも登る気分。スーパーハッピーだ」。
最終的に新人賞はラファル・マイカ(ポーランド、サクソバンク・ティンコフバンク)が獲得。リクイガス・キャノンデールがチーム総合成績トップに輝いた。
レース展開や選手コメントはレース公式リリースより。
ツアー・オブ・北京2012第5ステージ結果
1位 スティーブ・クミングス(イギリス、BMCレーシングチーム) 4h05'08"
2位 ライダー・ヘジダル(カナダ、ガーミン・シャープ) +02"
3位 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、チームスカイ) +17"
4位 ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、レディオシャック・ニッサン)
5位 ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・ベリソル)
6位 フランチェスコ・ガヴァッツィ(イタリア、アスタナ)
7位 トムイェルテ・スラグテル(オランダ、ラボバンク)
8位 ラファル・マイカ(ポーランド、サクソバンク・ティンコフバンク)
9位 マティアス・フランク(スイス、BMCレーシングチーム)
10位 サイモン・クラーク(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
個人総合成績
1位 トニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ) 17h16'56"
2位 フランチェスコ・ガヴァッツィ(イタリア、アスタナ) +40"
3位 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、チームスカイ) +46"
4位 ダニエル・マーティン(アイルランド、ガーミン・シャープ) +50"
5位 エロス・カペッキ(イタリア、リクイガス・キャノンデール) +52"
6位 リナルド・ノチェンティーニ(イタリア、アージェードゥーゼル) +56"
7位 ラファル・マイカ(ポーランド、サクソバンク・ティンコフバンク)
8位 トマシュ・マルチンスキー(ポーランド、ヴァカンソレイユ・DCM)
9位 ルイ・コスタ(ポルトガル、モビスター) +1'00"
10位 ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・ベリソル)
ポイント賞
エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、チームスカイ)
山岳賞
ダニエル・マーティン(アイルランド、ガーミン・シャープ)
新人賞
ラファル・マイカ(ポーランド、サクソバンク・ティンコフバンク)
チーム総合成績
リクイガス・キャノンデール
text:Kei Tsuji
photo:Tour of Beijing