2009/06/14(日) - 09:53
山岳ゴールまで独走で逃げ切ったモンクティエがドーフィネリベレでは自身のキャリアで10年ぶり2度目となる勝利を挙げた。激しい攻防を見せたマイヨジョーヌ争いはエヴァンスのアタック虚しく決着を見せず、バルベルデが首位をキープ。コンタドールは牙を見せぬまま2人を見送った。
第7ステージは今大会中最難関山岳ステージ。ツール・ド・フランスでもおなじみガリビエ峠(標高2556m)とクロワ・ド・フェール峠(標高2067m)の、いずれもカテゴリーは超級をこなすことになる。
2つの峠の平均勾配は4~5%程度だが、登坂距離は30kmオーバー。そして最後はマドレーヌ峠の中腹に位置する1級山岳サンフランソワ・ロンシャン(標高 1630m)にゴールする。この日の獲得標高差はなんと4000mを超えるというマンモスステージだ。
スタートしてすぐガリビエ峠に上り始めるこの日、ガリビエ峠の麓続きのロータレ峠からは6人の逃げが構成された。
メンバーは、ローラン・ルフェーヴル(フランス、Bboxブイグテレコム)、ジェローム・コッペル(フランス、フランセーズデジュー)、、クリストフ・ケルヌ(フランス、コフィディス)、ジェローム・コッペル(フランス、フランセーズデジュー)、サイモン・スピラック(スロベニア、ランプレNGC)、ティモシー・ダッガン(アメリカ)、そしてリュドヴィク・テュルパン(フランス、アージェードゥーゼル)。
この6人はガリビエ峠の頂上まで逃げ続け、ツール・ド・フランス創始者のアンリ・デグランジェの記念碑があるポイントをケルヌ、ルフェーブル、コッペルの3人のフランス人が通過した。
下りでこの6人と合流し、20人に膨らんだ逃げ集団。合流したメンバーは、ホセルイス・アリエッタ(スペイン)、リナルド・ノチェンティーニ(イタリア)、マティアス・フランク(スイス、BMCレーシング)、ハビエル・メヒアス(スペイン、フジ・セルヴェット)、ピエリック・フェドリゴ(フランス、Bboxブイグテレコム)、ユーリ・トロフィモフ(ロシア、Bboxブイグテレコム)、レミ・ポリオル(フランス、コフィディス)、クリストフ・ルメヴェル(フランス、フランセーズデジュー)、アレクサンドル・ディアチェンコ(カザフスタン、アスタナ)、フアンマヌエル・ガラーテ(スペイン、ラボバンク)、フアンアントニオ・フレチャ(スペイン、ラボバンク)、イニーゴ・ランダルーチェ(スペイン、エウスカルテル)、エゴイ・マルティネス(スペイン、エウスカルテル)、ミケル・ニエベ(スペイン、エウスカルテル)、ユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、サイレンス・ロット)、アマエル・モワナール(フランス、コフィディス)、ダヴィ・モンクティエ(フランス、コフィディス)。
ガリビエ峠を下りきってから、この逃げグループからテュルパンが単独で飛び出し、逃げる。しかしゴールまで残り71km地点で捕まる。そして逃げグループはさらに人数を増し27人に。
再び標高1630mまで上るゴールの1級山岳サンフランソワ・ロンシャンは、ツール名物のマドレーヌ峠の途中にある。人数が多い逃げグループは、後方で総合争いの選手たちが牽制する間に逃げ切ってステージ優勝を狙いたい意思で統一されていたが、長く厳しいステージのためかペースが上がらない。
逃げグループからは痺れを切らしたマティアス・フランク(スイス、BMCレーシング)とリナルド・ノチェンティーニ(イタリア、アージェードゥーゼル)が下りで飛び出したが、ノチェンティーニが上り勾配が始まるとあえなく脱落。フランクの一人旅になる。
後方からフアンアントニオ・フレチャ(スペイン、ラボバンク)、ユーリ・トロフィモフ(ロシア、Bboxブイグテレコム)、ミケル・ニエベ(スペイン、エウスカルテル)、アマエル・モワナール(フランス、コフィディス)の4人がアタックし、フランクに合流しようとペースアップする。しかりそれも無駄に終わるが、そのペースアップに乗じてダヴィ・モンクティエ(フランス、コフィディス)がアタックし、先行していたフランクに追いつき、さらに前に出る。そしてモンクティエは独走状態に入った。
残り10kmを切り、後方マイヨジョーヌ集団では総合を争う別のバトルが始まっていた。エヴァンスがアタックし、バルベルデとコンタドールが追走するかたちで激しい攻防が始まった。
サイレンス・ロットはマシュー・ロイド(オーストラリア)がエヴァンスのアシストに加わり、そして前を逃げていたユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー)も下がってきてエヴァンスのアシストとして加勢する。3つ巴を中心に、ウラディミール・エフィムキン(ロシア、アージェードゥーゼル)、ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)が入り混じる闘いとなった。ここからヘーシンクが前へジャンプアップする。
3つ巴のなかではエヴァンスがもっとも積極的で、2人に対してアタックを繰り返す。それに反応するコンタドールは応戦する構え。そしてバルベルデもマイヨジョーヌ保持者のセオリーどおり後方を着いていく。ツール・ド・フランスの予行演習を演じ続けた3人は、結局決着することなくフィニッシュ地点まで達した。
独走を続けた先頭のモンクティエはタイム差を安定して維持し、そのまま逃げ切った。昨ステージのフェドリゴの勝利に続くフランス人の連勝だ。中級山岳のスペシャリストは、これが自身のキャリア10年ぶり2度目のドーフィネ・リベレでのステージ優勝だという。前回のドーフィネの勝利は1999年の第1ステージ、ジュプラーヌ峠でのものだ。
3人の争いはエヴァンスとバルベルデが肩を並べるようにフィニッシュ。エヴァンスが先着したものの、バルベルデにはタイム差を返せなかった。コンタドールは追い込みもせず後方に離れてゴール。自身にとってツールのシュミレーションであることを公言するが、調子が上がりきってはいないことを垣間見せた。
モンクティエは34歳、2007年からずっとコフィディスに在籍するベテランの勝利だ。
「麓で1分30秒のタイム差は十分ではないから、上りながら勝てるとは思っていなかった。今日のようなステージは僕がやったように長い距離の逃げに向いているね。逃げ集団に4人コフィディスのチームメイトがいたのは僕にとって有利だった。前のドーフィネでの勝利から10年たってもまだ僕はやれるってことが見せられて嬉しいね」と語った。
1位 ダヴィ・モンクティエ (フランス、コフィディス) 4h44'26"
2位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、 ラボバンク)+41"
3位 カデル・エヴァンス (オーストラリア、サイレンス・ロット)+41"
4位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、ケースデパーニュ)+41"
5位 ヤコブ・フグルザング(デンマーク、サクソバンク)+53"
6位 アルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)+55"
7位 クリストフ・ルメヴェル (フランス、フランセーズデジュー) +1'28"
8位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス)+2'19"
9位 ユルゲン・ファンデンブロック (ベルギー、サイレンス・ロット) +2'25"
10位 ミケル・アスタルロサ(スペイン、 エウスカルテル)+2'32"
97位 新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム)+10'31"
1位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、ケスデパーニュ) 23h00’53"
2位 カデル・エヴァンス (オーストラリア、サイレンス・ロット) +16"
3位 アルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ) +1'18"
4位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、 ラボバンク) +2'41"
5位 ミケル・アスタルロサ(スペイン、 エウスカルテル) +3'40"
6位 ヤコブ・フグルザング(デンマーク、サクソバンク) +4'08"
7位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス) +4'21"
8位 アイマル・スベルディア (スペイン、アスタナ) +5'05"
9位 デーヴィット・ミラー (イギリス、ガーミン) +5'28"
10位 クリストフ・ルメヴェル (フランス、フランセーズデジュー) +6'19"
101位 新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム) +1h3'18"
カデル・エヴァンス(オーストラリア、サイレンス・ロット)
ピエリック・フェドリゴ(フランス、Bboxブイグテレコム)
アスタナ
text:Makoto.AYANO
photo:CorVos
第7ステージは今大会中最難関山岳ステージ。ツール・ド・フランスでもおなじみガリビエ峠(標高2556m)とクロワ・ド・フェール峠(標高2067m)の、いずれもカテゴリーは超級をこなすことになる。
2つの峠の平均勾配は4~5%程度だが、登坂距離は30kmオーバー。そして最後はマドレーヌ峠の中腹に位置する1級山岳サンフランソワ・ロンシャン(標高 1630m)にゴールする。この日の獲得標高差はなんと4000mを超えるというマンモスステージだ。
スタートしてすぐガリビエ峠に上り始めるこの日、ガリビエ峠の麓続きのロータレ峠からは6人の逃げが構成された。
メンバーは、ローラン・ルフェーヴル(フランス、Bboxブイグテレコム)、ジェローム・コッペル(フランス、フランセーズデジュー)、、クリストフ・ケルヌ(フランス、コフィディス)、ジェローム・コッペル(フランス、フランセーズデジュー)、サイモン・スピラック(スロベニア、ランプレNGC)、ティモシー・ダッガン(アメリカ)、そしてリュドヴィク・テュルパン(フランス、アージェードゥーゼル)。
この6人はガリビエ峠の頂上まで逃げ続け、ツール・ド・フランス創始者のアンリ・デグランジェの記念碑があるポイントをケルヌ、ルフェーブル、コッペルの3人のフランス人が通過した。
下りでこの6人と合流し、20人に膨らんだ逃げ集団。合流したメンバーは、ホセルイス・アリエッタ(スペイン)、リナルド・ノチェンティーニ(イタリア)、マティアス・フランク(スイス、BMCレーシング)、ハビエル・メヒアス(スペイン、フジ・セルヴェット)、ピエリック・フェドリゴ(フランス、Bboxブイグテレコム)、ユーリ・トロフィモフ(ロシア、Bboxブイグテレコム)、レミ・ポリオル(フランス、コフィディス)、クリストフ・ルメヴェル(フランス、フランセーズデジュー)、アレクサンドル・ディアチェンコ(カザフスタン、アスタナ)、フアンマヌエル・ガラーテ(スペイン、ラボバンク)、フアンアントニオ・フレチャ(スペイン、ラボバンク)、イニーゴ・ランダルーチェ(スペイン、エウスカルテル)、エゴイ・マルティネス(スペイン、エウスカルテル)、ミケル・ニエベ(スペイン、エウスカルテル)、ユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、サイレンス・ロット)、アマエル・モワナール(フランス、コフィディス)、ダヴィ・モンクティエ(フランス、コフィディス)。
ガリビエ峠を下りきってから、この逃げグループからテュルパンが単独で飛び出し、逃げる。しかしゴールまで残り71km地点で捕まる。そして逃げグループはさらに人数を増し27人に。
再び標高1630mまで上るゴールの1級山岳サンフランソワ・ロンシャンは、ツール名物のマドレーヌ峠の途中にある。人数が多い逃げグループは、後方で総合争いの選手たちが牽制する間に逃げ切ってステージ優勝を狙いたい意思で統一されていたが、長く厳しいステージのためかペースが上がらない。
逃げグループからは痺れを切らしたマティアス・フランク(スイス、BMCレーシング)とリナルド・ノチェンティーニ(イタリア、アージェードゥーゼル)が下りで飛び出したが、ノチェンティーニが上り勾配が始まるとあえなく脱落。フランクの一人旅になる。
後方からフアンアントニオ・フレチャ(スペイン、ラボバンク)、ユーリ・トロフィモフ(ロシア、Bboxブイグテレコム)、ミケル・ニエベ(スペイン、エウスカルテル)、アマエル・モワナール(フランス、コフィディス)の4人がアタックし、フランクに合流しようとペースアップする。しかりそれも無駄に終わるが、そのペースアップに乗じてダヴィ・モンクティエ(フランス、コフィディス)がアタックし、先行していたフランクに追いつき、さらに前に出る。そしてモンクティエは独走状態に入った。
残り10kmを切り、後方マイヨジョーヌ集団では総合を争う別のバトルが始まっていた。エヴァンスがアタックし、バルベルデとコンタドールが追走するかたちで激しい攻防が始まった。
サイレンス・ロットはマシュー・ロイド(オーストラリア)がエヴァンスのアシストに加わり、そして前を逃げていたユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー)も下がってきてエヴァンスのアシストとして加勢する。3つ巴を中心に、ウラディミール・エフィムキン(ロシア、アージェードゥーゼル)、ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)が入り混じる闘いとなった。ここからヘーシンクが前へジャンプアップする。
3つ巴のなかではエヴァンスがもっとも積極的で、2人に対してアタックを繰り返す。それに反応するコンタドールは応戦する構え。そしてバルベルデもマイヨジョーヌ保持者のセオリーどおり後方を着いていく。ツール・ド・フランスの予行演習を演じ続けた3人は、結局決着することなくフィニッシュ地点まで達した。
独走を続けた先頭のモンクティエはタイム差を安定して維持し、そのまま逃げ切った。昨ステージのフェドリゴの勝利に続くフランス人の連勝だ。中級山岳のスペシャリストは、これが自身のキャリア10年ぶり2度目のドーフィネ・リベレでのステージ優勝だという。前回のドーフィネの勝利は1999年の第1ステージ、ジュプラーヌ峠でのものだ。
3人の争いはエヴァンスとバルベルデが肩を並べるようにフィニッシュ。エヴァンスが先着したものの、バルベルデにはタイム差を返せなかった。コンタドールは追い込みもせず後方に離れてゴール。自身にとってツールのシュミレーションであることを公言するが、調子が上がりきってはいないことを垣間見せた。
モンクティエは34歳、2007年からずっとコフィディスに在籍するベテランの勝利だ。
「麓で1分30秒のタイム差は十分ではないから、上りながら勝てるとは思っていなかった。今日のようなステージは僕がやったように長い距離の逃げに向いているね。逃げ集団に4人コフィディスのチームメイトがいたのは僕にとって有利だった。前のドーフィネでの勝利から10年たってもまだ僕はやれるってことが見せられて嬉しいね」と語った。
ドーフィネ・リベレ2009第7ステージ結果
1位 ダヴィ・モンクティエ (フランス、コフィディス) 4h44'26"
2位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、 ラボバンク)+41"
3位 カデル・エヴァンス (オーストラリア、サイレンス・ロット)+41"
4位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、ケースデパーニュ)+41"
5位 ヤコブ・フグルザング(デンマーク、サクソバンク)+53"
6位 アルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)+55"
7位 クリストフ・ルメヴェル (フランス、フランセーズデジュー) +1'28"
8位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス)+2'19"
9位 ユルゲン・ファンデンブロック (ベルギー、サイレンス・ロット) +2'25"
10位 ミケル・アスタルロサ(スペイン、 エウスカルテル)+2'32"
97位 新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム)+10'31"
総合成績
1位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、ケスデパーニュ) 23h00’53"
2位 カデル・エヴァンス (オーストラリア、サイレンス・ロット) +16"
3位 アルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ) +1'18"
4位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、 ラボバンク) +2'41"
5位 ミケル・アスタルロサ(スペイン、 エウスカルテル) +3'40"
6位 ヤコブ・フグルザング(デンマーク、サクソバンク) +4'08"
7位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス) +4'21"
8位 アイマル・スベルディア (スペイン、アスタナ) +5'05"
9位 デーヴィット・ミラー (イギリス、ガーミン) +5'28"
10位 クリストフ・ルメヴェル (フランス、フランセーズデジュー) +6'19"
101位 新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム) +1h3'18"
ポイント賞
カデル・エヴァンス(オーストラリア、サイレンス・ロット)
山岳賞
ピエリック・フェドリゴ(フランス、Bboxブイグテレコム)
チーム総合成績
アスタナ
text:Makoto.AYANO
photo:CorVos
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