昨年大会から国内UCIレースを席巻するNIPPOはバリアーニを投入し他メンバーもエースクラス。BSアンカーは全員日本人選手で固める。インカレチャンピオンらが参戦する大学生達も注目だ。

2011年大会団体総合時間賞優勝のダンジェロ&アンティヌッチィ・株式会社NIPPO2011年大会団体総合時間賞優勝のダンジェロ&アンティヌッチィ・株式会社NIPPO photo:Hideaki.TAKAGI今年は海外から4チーム、国内は15チームで各5人までの出走で計95人がスタートリストに並ぶ。
注目はやはり昨年にタイトルを総なめしたチームNIPPOだ。今年のツアー・オブ・ジャパンとツール・ド・熊野で個人総合優勝のフォルッナート・バリアーニが参戦。負傷で欠場のマウロ・リケーゼのリザーブとして参加が決まったというほどに贅沢な編成だ。日本人選手は佐野淳哉と内間康平だ。

次の注目はウズベキスタンナショナルチームのムラディヤン・ハルムラトフだ。ハルムラトフは2011年ツアー・オブ・チャイナ個人総合優勝、同年アジア選手権ロードでは優勝した新城幸也とともに逃げて2位に。そして母国の個人TTでは2年連続チャンピオンだ。

今年のコース設定、特に第2ステージの内容から、ヒルクライムに長ける選手が上位有力候補だ。ブリヂストンアンカーの西薗良太、宇都宮ブリッツェンの増田成幸、チーム右京の狩野智也、そしてキャノンデール・スペースゼロポイントの森本誠らが有力。もちろんNIPPOはバリアーニだけでなくマキシミリアーノ・リケーゼ、佐野淳哉らでも勝負できる最強の布陣。レース展開によってシマノレーシングの鈴木譲、マトリックスパワータグのマリウス・ヴィズィアックらが総合力で出てくるだろう。NIPPOの優位はゆるぎないが、ほかの国内チームにとっても今年はチャンスがある。

大学生の力も向上しており、昨年は国内チーム日本人選手の総合上位2名が、なんと大学生だった。今年もインカレチャンピオンが参加、各校ともに強豪選手をそろえ、コンチネンタルチームを凌駕するほどの走りが見られるかもしれない。

以下、9月14日午後に発表されたスタートリストから紹介しよう。

2011年ツアー・オブ・チャイナ個人総合優勝のムラディヤン・ハルムラトフ(ウズベキスタンナショナルチーム)2011年ツアー・オブ・チャイナ個人総合優勝のムラディヤン・ハルムラトフ(ウズベキスタンナショナルチーム) photo:Sonoko.TANAKA<海外チーム>4チーム
ウズベキスタンナショナルチーム
 ムラディヤン・ハルムラトフ 2012ツアー・オブ・タイランド総合2位、2011ツアー・オブ・チャイナ個人総合優勝など。

ジェリーベリーサイクリング
 チャールズ・ハフ 2011ジャパンカップクリテ5位 2010ハイナンステージ優勝など。

ヴェロクラブ・メンドリシオ
 1901年に設立の歴史あるチーム。カデル・エヴァンスが在籍していたことも。

OCBCシンガポールコンチネンタルサイクリングチーム
 レース開催もするシンガポールの銀行がメインスポンサー。今年のツアー・オブ・ジャパンにも出場。


2012年TOJと熊野で個人総合優勝のフォルッナート・バリアーニ(チームNIPPO)2012年TOJと熊野で個人総合優勝のフォルッナート・バリアーニ(チームNIPPO) photo:Hideaki.TAKAGI登坂力と独走力に長ける西薗良太(ブリヂストンアンカー)登坂力と独走力に長ける西薗良太(ブリヂストンアンカー) photo:So.ISOBE国内随一のヒルクライム能力を持つ増田成幸(宇都宮ブリッツェン)国内随一のヒルクライム能力を持つ増田成幸(宇都宮ブリッツェン) photo:Hideaki.TAKAGI順天堂大初のインカレロードチャンピオン、中尾佳祐順天堂大初のインカレロードチャンピオン、中尾佳祐 photo:Hideaki.TAKAGI2011年大会個人総合5位6位の鹿屋体育大学勢(右・黒枝、左・山本)2011年大会個人総合5位6位の鹿屋体育大学勢(右・黒枝、左・山本) photo:Hideaki.TAKAGI<国内チーム>15チーム
チームNIPPO
 フォルッナート・バリアーニ、シモーネ・カンパニャーロ、マキシミリアーノ・リケーゼ、佐野淳哉、内間康平
 連覇を狙うに十分なメンバーを揃える。強力なメンバーから、展開によってエースを決めていくことが考えられる。

シマノレーシング
 鈴木譲、青柳憲輝、平塚吉光、野中竜馬、入部正太朗
 青柳がオランダから帰国して参戦。畑中は世界選出場だ。昨年はチームとして第2ステージまでリーダーだった。メンバーは変わるが今年こそはの思いが強い。

チーム右京
 狩野智也、辻善光、斉藤祥太、嶌田義明、倉林巧和
 ヒルクライマーからスプリンターまでバランスよく揃える。トラックのポイントレースなどを得意とする日本体育大学の倉林がスポット参戦。第1・3ステージの辻のスプリント、そして第2・総合での狩野の順位が注目だ。

キャノンデール・スペースゼロポイント
 小室雅成、森本誠、遠藤績穂、原川浩介、高田雄太
 ヒルクライムの第一人者、森本を迎えてバランスの取れた編成に。小室のスプリントと、そして森本は第2ステージだけでなく総合も狙える。

宇都宮ブリッツェン
 廣瀬佳正、普久原奨、増田成幸、初山翔、飯野智行
 今季で引退する廣瀬を筆頭に固い結束で臨む。第2ステージは増田だけでなく飯野も上位の可能性があり、チームとしての総合力も高く、NIPPOに対抗できるチームだ。

ブリヂストン・アンカー
 清水都貴、井上和郎、西薗良太、伊丹健治、吉田隼人
 全員日本人選手で固めて参戦。一昨年の総合覇者の清水、ベテランの井上、実績のある伊丹と吉田が心強い。ここはヒルクライム能力と独走力で外国勢に対抗できる西薗の走り、そしていつでも攻撃できる清水に注目だ。

マトリックスパワータグ
 向川尚樹、マリウス・ヴィズィアック、窪木一茂、池部壮太、安原大貴
 タフなレースに強いヴィズィアックはスプリントでも個人総合でもトップを狙える能力を持つ。さらにスピードでは参加選手中トップの力を持つ窪木の走りに期待だ。

パールイズミ・スミタ・ラバネロ
 栂尾大知、大久保陣、藤岡克磨、上村領佑、高塚亮輔
 オールラウンダーの栂尾を中心に若手で編成。Jプロツアーで連続入賞している大久保のスピードにも注目だ。

シエルヴォ奈良プロサイクリングチーム
 辻貴光、日置大介、中西重智、前園浩平、河賀雄大
 辻はプレイングマネージャーとして参戦。日置の粘り、そして大学生3名の走りに期待だ

北海道地域選抜
 ブライアン・バークハウス、松田究、大坪優介、三輪俊史、吉村拓斗
 山岳で逃げるバークハウス、2年ぶり出場の松田らに注目。バークハウスは山岳賞の可能性も。

京都産業大学
 鍵本大地、服部昇平、木村圭佑、吉岡直哉、谷口武史
 学連の出場推薦基準をトップでクリアした京産大。木村、吉岡を中心にU23だけでなくコンチネンタル勢と互角に戦う姿が見られるはず。

中央大学
 郡司昌紀、山本隼、緑川竣一、黒瀬耕平、神開一輝
 独走力に優れる郡司、スピードのある黒瀬ら強豪を揃えて臨む。郡司の第2ステージでの走りに期待。

順天堂大学
 中尾佳佑、布施光、辻本尚希、穂積昂佑、石原裕也
 インカレチャンピオンの中尾を中心に臨む。粘りの走りが身上の中尾、やはり第2ステージに期待したい。

日本大学
 雨宮正樹、板橋義浩、住吉宏太、和田力、清水啓祐
 インカレで驚異の総合30連覇を達成した同大、3年生以下のメンバーで臨む。それぞれがインカレで活躍しており総合力は極めて高い。
 
鹿屋体育大学
 黒枝士揮、山本元喜、高宮正嗣、石橋学、徳田鍛造
 昨年の本大会で、国内チーム日本人選手として総合ワン・ツーの黒枝・山本を中心に戦う。地元凱旋の高宮も4年生最後の出場。U23連覇記録更新だけでなく、一昨年のステージ優勝(山本)や総合上位を目指す走りが注目だ。


photo:Sonoko.TANAKA So.ISOBE Hideaki.TAKAGI
text:Hideaki.TAKAGI
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