2012/09/07(金) - 11:10
8月25/26日、夏休み最後の週末に、三重県の鈴鹿サーキットで第29回シマノ鈴鹿ロードレースが開催された。のべ1万人が参加するホビーレーサーの夏の祭典、シマノスズカの2日間のダイジェストレポートをお送りします。
のべ1万人の参加者が真夏の鈴鹿に集い、サーキットを快走する2日間。参加者の動員数や規模においては国内最大級、あるいは世界でも類を見ないロードレースのマンモスイベントがシマノスズカロードだ。
このレースの魅力はレベルを問わず参加できる間口の広さだ。豊富な参加クラスを自由に選べ、ひとりで、あるいは仲間やチームで、その気になれば複数のレースを2日間でたくさん走ることができる。「レースデビューを後押しする大会」として人気だ。
見るレースとしてもステイタスと華がある国際ロード、国内レースで類を見ない参加者数を誇るチームTT、5つのレースをステージレース形式につなげる5ステージ・スズカなど、プロやハイアマチュアが競う。そしてスプリントで争う各レース、エンデューロやサイクルマラソン、ビギナーやレディース、キッズと、あらゆる種目が分刻みでプログラムされている。
ポイント賞初導入 QUOカード賞金3万円をゲット!
今年の鈴鹿ロードのトピックな変更点としてまず挙げられるのがスプリント賞の導入だ。これは規定周回でコースに設けられたポイントラインを上位で通過した選手にポイントが与えられるというもの。積極果敢な走りでレースを盛り上げた完走者で、最も多くポイントを獲得した選手に贈られる。ポイント賞はビギナー、ユース1を除く個人種目各クラスで実施され、ゴールでの着順勝負に加えて争われた。
用意されたのはQUOカードの賞金で、驚くことにトップに送られるその額なんと3万円! これは狙わざるをえない。最後のスプリントだけになりがちな各クラスのレースを活性化させた。そして集団が分裂することで落車事故の減少にもつながったという。
ビギナークラスの改革 本当の入門者に限定
今年のシマノスズカのもうひとつの変更点は、ビギナークラスの改革だ。従来はビギナーと言えない人が入賞(賞品)狙いで参加して他の参加者をぶっちぎるケースが見られ、しばしば批判されてきたが、純粋に入門者のためのレースとなるよう変革された。
まず同クラス参加者にはビギナー講習会の受講が義務付けられ、ダブルエントリーできる種目にも制約が加えられた(ビギナーに出場する人に認められる他の種目は1時間サイクルマラソンと2時間エンデューロのみ)。
また、レース結果としてタイムと着順は発表されるものの、上位の表彰は行わない、といった新方式が採用された。つまり、走れる経験者がビギナークラスに出場してもオイシイ思いをすることはできないから、本当にビギナーたちだけで走るレースを行えることになったのだ。
レースがスタートすると、参加者たちはビギナー講習会で学んだことを復習するかのように走り、フィニッシュを目指した。こうしてレースデビューを果たすというわけだ。
鈴鹿の華、チームTT
鈴鹿ロードの初日の華といえる種目がチームTTだ。4人一組で走る楽しみが味わえるチームTTは、他のレースではあまり種目が用意されること自体少ない。しかもシマノスズカではA1・A2・B、レディース、5ステージスズカの出場チームによる5人組チームTTと、参加者も非常に多いのが特徴だ。
エアロスーツにエアロヘルメット、TTバイクにディスクホイールというプロ顔負けのフル装備で臨むチームも多く、気合いの入りように驚かされる。それでも昨年から新設のレディースクラスの女子チームや、4人揃った仮装で臨むチーム、のんびりペースで完走を目指すビギナーやベテランチームもいるため、真剣組とユニーク組、速い組・遅い組が入り交じってのレースとなる。コース上の密集度は非常に高く、集会を重ねるチームが途切れないため、ドラフティングしないようにコース上で注意するモトマーシャルもたくさん出動している。
登録者によって争われるチームTT・Bには、翌日国際ロードを走る国内有力チームや海外招待選手らも出場した。これを制したのはTTのナショナルチャンピオンジャージを着る西薗良太率いるブリヂストンアンカー。平均時速49.85km/hで並みいる強豪チームを制して栄冠を獲得した。
ホストチームのシマノレーシングは38秒差で2位(オープン)。3位(オープン)はアルゴス・シマノの2人と平塚吉光選手の「巨人と小人」と呼ばれた身長差の大きなチーム。チームTT・Aはチーム光で、平均時速は44.40km/hだった。
2時間エンデューロには約1600チーム・3000人以上が出場
日差しの傾きかけた16時にスタートする初日のメインイベントとも言うべき2時間エンデューロには、ソロ・2~5人の人数別、オープン、レディースクラスの合計で約1600チーム・3000人以上が出場した。先頭がスタートしてからも後続は延々と続く様は壮観。レースが進むと、コース上を走る選手は途切れることがない状態となる。
センサーを受け渡すライダー交代が行われるピットでは、チームの仲間同士でわいわいと楽しむ姿が見受けられた。ゴールは18時。汗をたっぷりかいた参加者たちは翌日のレースに備え宿へと帰っていった。
充実の講習会「知っ得講座」
インターマックスの今中大介さん、シマノレーシング監督の野寺秀徳さん、サイクルライフナビゲーターの絹代さんら、豪華講師陣を招いて行われる「知っ得講座」はレース入門者に好評だ。
今中さんは基本的な自転車のポジションの出し方、ペダリング方法、トレーニング方法、鈴鹿サーキットの攻略方法、集団走行の基本、アスリート向けの食生活を解説。
絹代さんは「チャリーナ、集まれ」と題してスポーツバイクで美しく身体をシェイプアップするための方法や、上手に脂肪を燃やすペダリング方法、UV&ヘアケア用アイテムの紹介など、女性がスマートに美しくスポーツバイクに乗るための方法をレクチャー。
野寺さんは「公開!レースの現場」と題して、シマノレーシングの監督として帯同するレースからとっておきの舞台裏シーンの写真によるスライドショーを大公開。レーシングチームの現場での実態を語った。
スズカ名物 スプリント!スプリント!
スズカといえばスプリント。エリート、マスターズ、オープン、インターミディエイトのほとんどのクラスでゴールスプリントで勝負が決まる。ゴールに向かうホームストレートは緩い登り坂。広い道幅いっぱいを使ったスプリント合戦は、ホビークラスといえど見応えがある。落車もつきものだが、火花の散るようなスプリントは日頃のトレーニングで鍛え上げた地脚がなければできない。
そしてそれ以上に、逃げ切りで勝利を飾る選手は大きな拍手で讃えられる。
5ステージ・スズカはイナーメアイランド信濃山形が完全優勝
5ステージ・スズカから今年は40チーム約230人の選手が参加。ステージレース形式でリーダージャージを争う。
第1ステージはフルコース5周回のロードレース、第2ステージは個人TT、第3ステージはチームTT。
2日目はショートコース5周回の第4ステージ、フルコース7周回で行われる最終ステージで争う。2日間あるシマノスズカならではの趣向を凝らしたステージレースで、ホビーレースとしてのレベルとステイタスは年々高くなっている。
1日目、第1ステージは光山英典(天狗党)が勝利するが、1日目終了時点で、個人総合首位のブルージャージを着たのは個人TTで圧倒的な強さを発揮したポール・ソールズベリー(イナーメアイランド信濃山形)。イナーメはチームTTの強さで5人が上位独占した。
2日目はイナーメ対他チームの激戦になったが橋本健がうまくボーナスタイムを稼ぎ、総合首位に。2位ソールズベリー、3位小原賢介と個人総合表彰台を独占。イナーメはチーム総合優勝も獲得し、完全優勝を果たした。
ユース&キッズ ミルキーも充実
すべてのレベルのサイクリストにレースを走る機会を用意するのがシマノスズカだ。小中学生向けの3クラスからなるユース、そして乳母車に乗った乳幼児まで登場する、キッズたちが主役の「バンビーノ」まで用意され、可愛い、しかし真剣なレースに大きな拍手が沸いた。
2日間の鈴鹿ロードレースの様子はとても1記事では伝えきれません。そこで、レース会場で取材した「鈴鹿ロードで目立っていた仲間たち」「ブースレポート」を続けてお届けします。お楽しみに!
1000枚の写真で振り返るフォトギャラリー
2日間の大会中に撮影した約1000カットに及ぶフォトギャラリーをお楽しみ下さい。
1000枚の写真で振り返る鈴鹿ロード フォトギャラリー(Google Picasaウェブアルバム)
鈴鹿国際ロードレース フォトギャラリー(Google Picasaウェブアルバム)
photo:Makoto.AYANO,Masanao.TOMITA
text:Makoto.AYANO
のべ1万人の参加者が真夏の鈴鹿に集い、サーキットを快走する2日間。参加者の動員数や規模においては国内最大級、あるいは世界でも類を見ないロードレースのマンモスイベントがシマノスズカロードだ。
このレースの魅力はレベルを問わず参加できる間口の広さだ。豊富な参加クラスを自由に選べ、ひとりで、あるいは仲間やチームで、その気になれば複数のレースを2日間でたくさん走ることができる。「レースデビューを後押しする大会」として人気だ。
見るレースとしてもステイタスと華がある国際ロード、国内レースで類を見ない参加者数を誇るチームTT、5つのレースをステージレース形式につなげる5ステージ・スズカなど、プロやハイアマチュアが競う。そしてスプリントで争う各レース、エンデューロやサイクルマラソン、ビギナーやレディース、キッズと、あらゆる種目が分刻みでプログラムされている。
ポイント賞初導入 QUOカード賞金3万円をゲット!
今年の鈴鹿ロードのトピックな変更点としてまず挙げられるのがスプリント賞の導入だ。これは規定周回でコースに設けられたポイントラインを上位で通過した選手にポイントが与えられるというもの。積極果敢な走りでレースを盛り上げた完走者で、最も多くポイントを獲得した選手に贈られる。ポイント賞はビギナー、ユース1を除く個人種目各クラスで実施され、ゴールでの着順勝負に加えて争われた。
用意されたのはQUOカードの賞金で、驚くことにトップに送られるその額なんと3万円! これは狙わざるをえない。最後のスプリントだけになりがちな各クラスのレースを活性化させた。そして集団が分裂することで落車事故の減少にもつながったという。
ビギナークラスの改革 本当の入門者に限定
今年のシマノスズカのもうひとつの変更点は、ビギナークラスの改革だ。従来はビギナーと言えない人が入賞(賞品)狙いで参加して他の参加者をぶっちぎるケースが見られ、しばしば批判されてきたが、純粋に入門者のためのレースとなるよう変革された。
まず同クラス参加者にはビギナー講習会の受講が義務付けられ、ダブルエントリーできる種目にも制約が加えられた(ビギナーに出場する人に認められる他の種目は1時間サイクルマラソンと2時間エンデューロのみ)。
また、レース結果としてタイムと着順は発表されるものの、上位の表彰は行わない、といった新方式が採用された。つまり、走れる経験者がビギナークラスに出場してもオイシイ思いをすることはできないから、本当にビギナーたちだけで走るレースを行えることになったのだ。
レースがスタートすると、参加者たちはビギナー講習会で学んだことを復習するかのように走り、フィニッシュを目指した。こうしてレースデビューを果たすというわけだ。
鈴鹿の華、チームTT
鈴鹿ロードの初日の華といえる種目がチームTTだ。4人一組で走る楽しみが味わえるチームTTは、他のレースではあまり種目が用意されること自体少ない。しかもシマノスズカではA1・A2・B、レディース、5ステージスズカの出場チームによる5人組チームTTと、参加者も非常に多いのが特徴だ。
エアロスーツにエアロヘルメット、TTバイクにディスクホイールというプロ顔負けのフル装備で臨むチームも多く、気合いの入りように驚かされる。それでも昨年から新設のレディースクラスの女子チームや、4人揃った仮装で臨むチーム、のんびりペースで完走を目指すビギナーやベテランチームもいるため、真剣組とユニーク組、速い組・遅い組が入り交じってのレースとなる。コース上の密集度は非常に高く、集会を重ねるチームが途切れないため、ドラフティングしないようにコース上で注意するモトマーシャルもたくさん出動している。
登録者によって争われるチームTT・Bには、翌日国際ロードを走る国内有力チームや海外招待選手らも出場した。これを制したのはTTのナショナルチャンピオンジャージを着る西薗良太率いるブリヂストンアンカー。平均時速49.85km/hで並みいる強豪チームを制して栄冠を獲得した。
ホストチームのシマノレーシングは38秒差で2位(オープン)。3位(オープン)はアルゴス・シマノの2人と平塚吉光選手の「巨人と小人」と呼ばれた身長差の大きなチーム。チームTT・Aはチーム光で、平均時速は44.40km/hだった。
2時間エンデューロには約1600チーム・3000人以上が出場
日差しの傾きかけた16時にスタートする初日のメインイベントとも言うべき2時間エンデューロには、ソロ・2~5人の人数別、オープン、レディースクラスの合計で約1600チーム・3000人以上が出場した。先頭がスタートしてからも後続は延々と続く様は壮観。レースが進むと、コース上を走る選手は途切れることがない状態となる。
センサーを受け渡すライダー交代が行われるピットでは、チームの仲間同士でわいわいと楽しむ姿が見受けられた。ゴールは18時。汗をたっぷりかいた参加者たちは翌日のレースに備え宿へと帰っていった。
充実の講習会「知っ得講座」
インターマックスの今中大介さん、シマノレーシング監督の野寺秀徳さん、サイクルライフナビゲーターの絹代さんら、豪華講師陣を招いて行われる「知っ得講座」はレース入門者に好評だ。
今中さんは基本的な自転車のポジションの出し方、ペダリング方法、トレーニング方法、鈴鹿サーキットの攻略方法、集団走行の基本、アスリート向けの食生活を解説。
絹代さんは「チャリーナ、集まれ」と題してスポーツバイクで美しく身体をシェイプアップするための方法や、上手に脂肪を燃やすペダリング方法、UV&ヘアケア用アイテムの紹介など、女性がスマートに美しくスポーツバイクに乗るための方法をレクチャー。
野寺さんは「公開!レースの現場」と題して、シマノレーシングの監督として帯同するレースからとっておきの舞台裏シーンの写真によるスライドショーを大公開。レーシングチームの現場での実態を語った。
スズカ名物 スプリント!スプリント!
スズカといえばスプリント。エリート、マスターズ、オープン、インターミディエイトのほとんどのクラスでゴールスプリントで勝負が決まる。ゴールに向かうホームストレートは緩い登り坂。広い道幅いっぱいを使ったスプリント合戦は、ホビークラスといえど見応えがある。落車もつきものだが、火花の散るようなスプリントは日頃のトレーニングで鍛え上げた地脚がなければできない。
そしてそれ以上に、逃げ切りで勝利を飾る選手は大きな拍手で讃えられる。
5ステージ・スズカはイナーメアイランド信濃山形が完全優勝
5ステージ・スズカから今年は40チーム約230人の選手が参加。ステージレース形式でリーダージャージを争う。
第1ステージはフルコース5周回のロードレース、第2ステージは個人TT、第3ステージはチームTT。
2日目はショートコース5周回の第4ステージ、フルコース7周回で行われる最終ステージで争う。2日間あるシマノスズカならではの趣向を凝らしたステージレースで、ホビーレースとしてのレベルとステイタスは年々高くなっている。
1日目、第1ステージは光山英典(天狗党)が勝利するが、1日目終了時点で、個人総合首位のブルージャージを着たのは個人TTで圧倒的な強さを発揮したポール・ソールズベリー(イナーメアイランド信濃山形)。イナーメはチームTTの強さで5人が上位独占した。
2日目はイナーメ対他チームの激戦になったが橋本健がうまくボーナスタイムを稼ぎ、総合首位に。2位ソールズベリー、3位小原賢介と個人総合表彰台を独占。イナーメはチーム総合優勝も獲得し、完全優勝を果たした。
ユース&キッズ ミルキーも充実
すべてのレベルのサイクリストにレースを走る機会を用意するのがシマノスズカだ。小中学生向けの3クラスからなるユース、そして乳母車に乗った乳幼児まで登場する、キッズたちが主役の「バンビーノ」まで用意され、可愛い、しかし真剣なレースに大きな拍手が沸いた。
2日間の鈴鹿ロードレースの様子はとても1記事では伝えきれません。そこで、レース会場で取材した「鈴鹿ロードで目立っていた仲間たち」「ブースレポート」を続けてお届けします。お楽しみに!
1000枚の写真で振り返るフォトギャラリー
2日間の大会中に撮影した約1000カットに及ぶフォトギャラリーをお楽しみ下さい。
1000枚の写真で振り返る鈴鹿ロード フォトギャラリー(Google Picasaウェブアルバム)
鈴鹿国際ロードレース フォトギャラリー(Google Picasaウェブアルバム)
photo:Makoto.AYANO,Masanao.TOMITA
text:Makoto.AYANO
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