2012/08/25(土) - 09:51
MotoGPやルノーワールドシリーズの開催地として知られるアルカニスのモーターランド・アラゴンにゴールするブエルタ・ア・エスパーニャ第7ステージ。チームメイトにアシストされたジョン・デゲンコルブ(ドイツ、アルゴス・シマノ)が持ち前のスピードで3勝目をマークした。
スペイン北東部、アラゴン州をブエルタは南下する。ゴール地点は、モータースポーツ界では有名なアルカニスのモーターランド・アラゴン。2009年に開業した全長5.3kmのサーキットがブエルタに初登場する。スプリンター向けにデザインされた平坦ステージだ。
連日の暑さはこの日も継続。気温35度前後の暑さの中、スタート直後に4名の逃げが決まる。最大5分のリードを得た逃げグループを、スプリンターチームが追いかける展開に。
逃げたのはフランティセク・ラボン(チェコ、オメガファーマ・クイックステップ)、ベルトイヤン・リンデマン(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)、パブロ・レチューガ(スペイン、アンダルシア)、ハビエル・アラメンディア(スペイン)。
一方、メイン集団を率いたのは、ここまでステージ2勝を飾っているジョン・デゲンコルブ(ドイツ)擁するアルゴス・シマノ。全日本チャンピオンの土井雪広もローテーションに加わり、逃げグループとのタイム差を監視する。
チームスカイやレディオシャック・ニッサン、ロット・ベリソルも集団コントロールに加わったが、最も積極的な姿勢を見せたのはアルゴス・シマノ。ゴールまで50kmを残してタイム差は早くも2分を下回る。ゴール15km手前で、メイン集団は逃げグループを捕まえた。
アルゴス・シマノが集団中程に一旦下がって隊列を整える中、カチューシャやアージェードゥーゼル、オリカ・グリーンエッジ、チームスカイが集団先頭に出る。
ラスト10kmで発生した落車によって集団が割れたが、スプリンターチームは構わずペースアップを続行。ハイスピードでモーターランド・アラゴンになだれ込んだ。
ラスト4kmから始まるサーキットコースで主導権を握ったのはチームスカイ。イギリスチャンピオンのイアン・スタナード(イギリス)に続いて、総合エースのクリス・フルーム(イギリス)が強力に集団をリードする。
しかし、最終コーナー通過後に始まった緩い登りで集団は横に広がり、チームスカイがリードを失った状態でスプリントスタート。クーン・デコルト(オランダ)にアシストされたグリーンジャージのデゲンコルブと、フランスチャンピオンジャージを着るナセル・ブアニ(フランス、FDJ・ビッグマット)が先頭でスプリントを開始した。
付き位置をキープしたエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)やアラン・デーヴィス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)が強力な追い上げを見せたが、一枚上手を行ったのがデゲンコルブ。何度かゴールラインの位置を確認し、あとはひたすら頭を下げて踏み続けたデゲンコルブが先着した。
第2ステージと第5ステージに続く今大会3勝目。つまりここまでスプリント全勝。「最高の気分だ」と23歳のジャーマンスプリンター。「ワイルドカード枠で招待してくれたブエルタ主催者に、勝利で恩返ししたい。まだまだ若いので、これからもっと自分を磨きたい」。
勝利に貢献したチームメイトの土井は「僕に与えられている仕事は、ジョンがスプリントできるレースを作ること。本当に大変な仕事だと思う。素晴らしいチームワークだった。グランツール3勝目。そんな素晴らしいメンバーの一人として走っている僕は幸せ者だ」とコメント。チームとしての調子&雰囲気の良さを感じさせる。
デゲンコルブはポイント賞ランキングにおいて断トツのトップ。デゲンコルブは「マドリードまで、1ポイントも無駄にすることなく走りたい」と意気込んだ。
この日、総合4位のリゴベルト・ウラン(コロンビア、チームスカイ)はタイミングの悪いパンクで集団から脱落。1分09秒遅れでゴールしたため、総合15位まで順位を下げている。
選手コメントはレース公式サイトより。
ブエルタ・ア・エスパーニャ2012第7ステージ結果
1位 ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、アルゴス・シマノ) 3h48'30"
2位 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)
3位 アラン・デーヴィス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
4位 ナセル・ブアニ(フランス、FDJ・ビッグマット)
5位 ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、レディオシャック・ニッサン)
6位 ジャンニ・メールスマン(ベルギー、ロット・ベリソル)
7位 デニス・ファンヴィンデン(オランダ、ラボバンク)
8位 ホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター)
9位 ロイド・モンドリー(フランス、アージェードゥーゼル)
10位 ベン・スウィフト(イギリス、チームスカイ)
146位 土井雪広(日本、アルゴス・シマノ) +3'38"
敢闘賞
ハビエル・アラメンディア(スペイン、カハルーラル)
個人総合成績(マイヨロホ)
1位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) 25h53'04"
2位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ) +10"
3位 アルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク・ティンコフバンク) +36"
4位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク) +54"
5位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) +54"
6位 ニコラス・ロッシュ(アイルランド、アージェードゥーゼル) +1'04"
7位 バウク・モレマ(オランダ、ラボバンク) +1'12"
8位 ダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ) +1'17"
9位 ファンホセ・コーボ(スペイン、モビスター) +1'34"
10位 セルジオルイス・エナオモントーヤ(コロンビア、チームスカイ) +1'39"
116位 土井雪広(日本、アルゴス・シマノ) +35'03"
ポイント賞(プントス)
1位 ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、アルゴス・シマノ) 76pts
2位 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、リクイガス・キャノンデール) 47pts
3位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) 45pts
山岳賞(モンターニャ)
1位 サイモン・クラーク(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ) 16pts
2位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) 11pts
3位 ピム・リヒハルト(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM) 11pts
複合賞(コンビナーダ)
1位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) 9pts
2位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) 12pts
3位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ) 18pts
チーム総合成績
1位 チームスカイ 77h03'47"
2位 ラボバンク +1'09"
3位 アージェードゥーゼル +3'38"
text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos, Unipublic
スペイン北東部、アラゴン州をブエルタは南下する。ゴール地点は、モータースポーツ界では有名なアルカニスのモーターランド・アラゴン。2009年に開業した全長5.3kmのサーキットがブエルタに初登場する。スプリンター向けにデザインされた平坦ステージだ。
連日の暑さはこの日も継続。気温35度前後の暑さの中、スタート直後に4名の逃げが決まる。最大5分のリードを得た逃げグループを、スプリンターチームが追いかける展開に。
逃げたのはフランティセク・ラボン(チェコ、オメガファーマ・クイックステップ)、ベルトイヤン・リンデマン(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)、パブロ・レチューガ(スペイン、アンダルシア)、ハビエル・アラメンディア(スペイン)。
一方、メイン集団を率いたのは、ここまでステージ2勝を飾っているジョン・デゲンコルブ(ドイツ)擁するアルゴス・シマノ。全日本チャンピオンの土井雪広もローテーションに加わり、逃げグループとのタイム差を監視する。
チームスカイやレディオシャック・ニッサン、ロット・ベリソルも集団コントロールに加わったが、最も積極的な姿勢を見せたのはアルゴス・シマノ。ゴールまで50kmを残してタイム差は早くも2分を下回る。ゴール15km手前で、メイン集団は逃げグループを捕まえた。
アルゴス・シマノが集団中程に一旦下がって隊列を整える中、カチューシャやアージェードゥーゼル、オリカ・グリーンエッジ、チームスカイが集団先頭に出る。
ラスト10kmで発生した落車によって集団が割れたが、スプリンターチームは構わずペースアップを続行。ハイスピードでモーターランド・アラゴンになだれ込んだ。
ラスト4kmから始まるサーキットコースで主導権を握ったのはチームスカイ。イギリスチャンピオンのイアン・スタナード(イギリス)に続いて、総合エースのクリス・フルーム(イギリス)が強力に集団をリードする。
しかし、最終コーナー通過後に始まった緩い登りで集団は横に広がり、チームスカイがリードを失った状態でスプリントスタート。クーン・デコルト(オランダ)にアシストされたグリーンジャージのデゲンコルブと、フランスチャンピオンジャージを着るナセル・ブアニ(フランス、FDJ・ビッグマット)が先頭でスプリントを開始した。
付き位置をキープしたエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)やアラン・デーヴィス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)が強力な追い上げを見せたが、一枚上手を行ったのがデゲンコルブ。何度かゴールラインの位置を確認し、あとはひたすら頭を下げて踏み続けたデゲンコルブが先着した。
第2ステージと第5ステージに続く今大会3勝目。つまりここまでスプリント全勝。「最高の気分だ」と23歳のジャーマンスプリンター。「ワイルドカード枠で招待してくれたブエルタ主催者に、勝利で恩返ししたい。まだまだ若いので、これからもっと自分を磨きたい」。
勝利に貢献したチームメイトの土井は「僕に与えられている仕事は、ジョンがスプリントできるレースを作ること。本当に大変な仕事だと思う。素晴らしいチームワークだった。グランツール3勝目。そんな素晴らしいメンバーの一人として走っている僕は幸せ者だ」とコメント。チームとしての調子&雰囲気の良さを感じさせる。
デゲンコルブはポイント賞ランキングにおいて断トツのトップ。デゲンコルブは「マドリードまで、1ポイントも無駄にすることなく走りたい」と意気込んだ。
この日、総合4位のリゴベルト・ウラン(コロンビア、チームスカイ)はタイミングの悪いパンクで集団から脱落。1分09秒遅れでゴールしたため、総合15位まで順位を下げている。
選手コメントはレース公式サイトより。
ブエルタ・ア・エスパーニャ2012第7ステージ結果
1位 ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、アルゴス・シマノ) 3h48'30"
2位 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)
3位 アラン・デーヴィス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
4位 ナセル・ブアニ(フランス、FDJ・ビッグマット)
5位 ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、レディオシャック・ニッサン)
6位 ジャンニ・メールスマン(ベルギー、ロット・ベリソル)
7位 デニス・ファンヴィンデン(オランダ、ラボバンク)
8位 ホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター)
9位 ロイド・モンドリー(フランス、アージェードゥーゼル)
10位 ベン・スウィフト(イギリス、チームスカイ)
146位 土井雪広(日本、アルゴス・シマノ) +3'38"
敢闘賞
ハビエル・アラメンディア(スペイン、カハルーラル)
個人総合成績(マイヨロホ)
1位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) 25h53'04"
2位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ) +10"
3位 アルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク・ティンコフバンク) +36"
4位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク) +54"
5位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) +54"
6位 ニコラス・ロッシュ(アイルランド、アージェードゥーゼル) +1'04"
7位 バウク・モレマ(オランダ、ラボバンク) +1'12"
8位 ダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ) +1'17"
9位 ファンホセ・コーボ(スペイン、モビスター) +1'34"
10位 セルジオルイス・エナオモントーヤ(コロンビア、チームスカイ) +1'39"
116位 土井雪広(日本、アルゴス・シマノ) +35'03"
ポイント賞(プントス)
1位 ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、アルゴス・シマノ) 76pts
2位 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、リクイガス・キャノンデール) 47pts
3位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) 45pts
山岳賞(モンターニャ)
1位 サイモン・クラーク(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ) 16pts
2位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) 11pts
3位 ピム・リヒハルト(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM) 11pts
複合賞(コンビナーダ)
1位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) 9pts
2位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) 12pts
3位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ) 18pts
チーム総合成績
1位 チームスカイ 77h03'47"
2位 ラボバンク +1'09"
3位 アージェードゥーゼル +3'38"
text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos, Unipublic
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