2009/06/08(月) - 09:38
6月3日から7日まで開催された第69回ツール・ド・ルクセンブルク(UCI2.HC)。地元のシュレク兄弟(サクソバンク)が揃ってステージ優勝を飾り、兄フランクが総合優勝に輝いた。土井雪広(スキル・シマノ)は第2ステージで強力な動きに乗じて8位の好成績。最終日にも11位に入り、チーム内最高の総合19位でレースを終えた。
プロローグ ルクセンブルク 2.7km
プロローグを走る土井雪広(日本、スキル・シマノ) photo:Cor Vos初日のプロローグは首都ルクセンブルク市内を走る2.7kmの個人タイムトライアル。勾配が20%に達する石畳の上りが登場する市街地コースで、3分46秒のトップタイム(平均42.86km/h)をマークしたグレゴリー・ラスト(スイス、アスタナ)が優勝した。ラストは過去に3度のナショナルTTチャンピオンに輝いている。
2位は2秒差でジョナタン・イヴェール(フランス、スキル・シマノ)。日本人として唯一参戦の土井雪広(スキル・シマノ)は、チェーン脱落で立ち止まってタイムを失いながらも、トップから25秒遅れ89位でゴールしている。
プロローグ結果
1位 グレゴリー・ラスト(スイス、アスタナ)3'46"
2位 ジョナタン・イヴェール(フランス、スキル・シマノ)+02"
3位 ロメン・フェイユ(フランス、アグリチュベル)+04"
4位 アッサン・バザイエフ(カザフスタン、アスタナ)+05"
5位 グスタフエリック・ラーション(スウェーデン、サクソバンク)+06"
89位 土井雪広(日本、スキル・シマノ)+25"
総合首位 グレゴリー・ラスト(スイス、アスタナ)
第1ステージ ルクセンブルク〜モンドルフ・レ・バン 157km
第1ステージを制したダニーロ・ナポリターノ(イタリア、カチューシャ) photo:http://www.aotdl.com/比較的難易度の低い3つの山岳ポイントを越える第1ステージは、25km地点で形成されたアメツ・チュルカ(スペイン、エウスカルテル)ら5名の逃げが5分のリードを広げ、リーダージャージ擁するアスタナがコントロールする大集団が追う展開。
中盤の山岳でペースの上がった集団は分裂するが、ゴールまでの平坦区間で一つに。やがて逃げグループもラスト10kmで吸収された。最後は大集団によるスプリント勝負に持ち込まれ、ダニーロ・ナポリターノ(イタリア、カチューシャ)が今シーズン4勝目を飾った。
第1ステージ結果
1位 ダニーロ・ナポリターノ(イタリア、カチューシャ)3h48'29"
2位 ステフェン・カエトホフェン(ベルギー、アグリチュベル)
3位 トム・フィーラース(オランダ、スキル・シマノ)
4位 ロメン・フェイユ(フランス、アグリチュベル)
5位 ティツィアーノ・ダラントニア(イタリア、CSFグループ・ナヴィガーレ)
67位 土井雪広(日本、スキル・シマノ)
総合首位 グレゴリー・ラスト(スイス、アスタナ)
第2ステージ シフランジュ〜ディフェルダンジュ 188km
地元の星アンディ・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)がステージ優勝 photo:http://www.aotdl.com/アップダウンのある188kmのコースで行なわれた第2ステージ。後半に登場する山岳ポイントを含む周回コースでレースは加熱した。序盤からの逃げを吸収した集団は活発化し、ゴールまで約15kmを残して先頭ではアンディ・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)を含む8名の先頭グループが出来上がる。この中には土井雪広(スキル・シマノ)やアッサン・バザイエフ(カザフスタン、アスタナ)が入った。
最後は先頭グループからアタックを繰り返したAシュレクがゴールまで独走。チームメイトのマッティ・ブレシェル(デンマーク、サクソバンク)が後続の先頭を穫るその前で、Aシュレクが独走勝利を決めた。
Aシュレクの追走に力を使った土井は8位でゴール。名だたる選手が後方から追い上げる中、最後までハイスピードな先頭グループに残ったことは快挙だ。土井はオークラス(超級)レースで8位に入る好成績を残し、総合成績でもチーム内トップの総合14位にジャンプアップした。また、リーダージャージは同じく先頭グループに残ったバザイエフの手に渡った。
第2ステージ結果
1位 アンディ・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)5h00'46"
2位 マッティ・ブレシェル(デンマーク、サクソバンク)
3位 アイトール・ガルドス(スペイン、エウスカルテル)
4位 マルコ・マルカート(イタリア、ヴァカンソレイユ)
5位 ジョフロワ・ルカトル(フランス、アグリチュベル)
8位 土井雪広(日本、スキル・シマノ)
総合首位 アッサン・バザイエフ(カザフスタン、アスタナ)
第3ステージ ヴィルツ〜ディーキルヒ 185km
リーダージャージを獲得したフランク・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)らが表彰台に上がる photo:http://www.aotdl.com/山岳ポイントが6つ設定された今大会最難関の第3ステージは、序盤からジョナタン・イヴェール(フランス、スキル・シマノ)を含む6名が逃げた。最大で5分50秒のリードを広げたこの逃げを追ったのは、リーダージャージのバザイエフやシュレク兄弟(ルクセンブルク、サクソバンク)を含む強力な16名の追走グループ。
やがて追走グループは先頭を捕らえ、人数を揃えるサクソバンクのペースアップによってバザイエフがここから脱落。そして終盤の上りでアンドレアス・クレーデン(ドイツ、アスタナ)とフランク・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)の2人が飛び出し、ラスト2kmでクレーデンを振り切ったFシュレクが独走勝利を収めた。
クレーデンを6秒、後続を2分近く引き離したFシュレクが文句無しのリーダージャージ獲得。前日の弟アンディに続く兄弟連勝で、初の母国ツール・ド・ルクセンブルク総合優勝に王手をかけた。土井はこの日、4分37秒遅れのステージ24位でゴール。総合成績は21位に。
第3ステージ結果
1位 フランク・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)4h43'31"
2位 アンドレアス・クレーデン(ドイツ、アスタナ)+06"
3位 マッティ・ブレシェル(デンマーク、サクソバンク)+1'39"
4位 マルコ・マルカート(イタリア、ヴァカンソレイユ)
5位 グスタフエリック・ラーション(スウェーデン、サクソバンク)
24位 土井雪広(日本、スキル・シマノ)+4'37"
総合首位 フランク・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)
第4ステージ メルシュ〜ルクセンブルク 148km
集団のペースを上げるフランク・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)、後方に土井の姿も photo:http://www.aotdl.com/計7つの山岳ポイントが登場するルクセンブルク最終ステージ。最後はゴール地点クラウセンの上りを含む12kmの周回コースを3周する。レースはツール・ド・熊野でステージ3連勝&総合優勝を果たしたヴァレンティン・イグリンスキーの兄マキシム・イグリンスキー(カザフスタン、アスタナ)ら12名が逃げた。
逃げグループは最大3分のリードを得たが、サクソバンクの集団コントロールによって終盤の周回コースで吸収。サクソバンクは他チームに主導権を与えず、35名ほどに絞られた集団のままゴールに向かい、リーダージャージのFシュレクらに解き放たれたマッティ・ブレシェル(デンマーク、サクソバンク)が上りスプリントを制した。
初総合優勝を飾ったフランク・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク) photo:http://www.aotdl.com/この日も先頭集団に残った土井は11位でゴール。最終的にチーム内最高位の総合19位で5日間を走り終えた。土井は自身のブログで「5月苦しい思いをして自分に厳しくトレーニングを積めたことが自信につながり、結果にまでつながったことが、また大きな自信につながっています」とコメント。ツールのセレクションがかかっていただけに、リスクを負わずに結果を残したいチームメンバーがいる中、土井の積極的な走りが光った。
土井はスキル・シマノの第1次ツールメンバー選抜から外れているが、決してツール出場の道が断たれているわけではない。今回の好成績をチーム首脳陣も評価しているはずだ。
第4ステージ結果
1位 マッティ・ブレシェル(デンマーク、サクソバンク)4h15'02"
2位 アレクサンドル・ウソフ(ベラルーシ、コフィディス)
3位 マルコ・マルカート(イタリア、ヴァカンソレイユ)
4位 ジョフロワ・ルカトル(フランス、アグリチュベル)
5位 アイトール・ガルドス(スペイン、エウスカルテル)
11位 土井雪広(日本、スキル・シマノ)+05"
最終個人総合成績
1位 フランク・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)17h51'49"
2位 アンドレアス・クレーデン(ドイツ、アスタナ)+10"
3位 マルコ・マルカート(イタリア、ヴァカンソレイユ)+1'32"
4位 マッティ・ブレシェル(デンマーク、サクソバンク)+1'34"
5位 アッサン・バザイエフ(カザフスタン、アスタナ)+1'59"
19位 土井雪広(日本、スキル・シマノ)+4'52"
レース展開はレース公式のTwitterライブ、選手コメントはレキップ紙、ならびにシマノレーシングのスキルレポートより。
text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos, www.aotdl.com
プロローグ ルクセンブルク 2.7km
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2位は2秒差でジョナタン・イヴェール(フランス、スキル・シマノ)。日本人として唯一参戦の土井雪広(スキル・シマノ)は、チェーン脱落で立ち止まってタイムを失いながらも、トップから25秒遅れ89位でゴールしている。
プロローグ結果
1位 グレゴリー・ラスト(スイス、アスタナ)3'46"
2位 ジョナタン・イヴェール(フランス、スキル・シマノ)+02"
3位 ロメン・フェイユ(フランス、アグリチュベル)+04"
4位 アッサン・バザイエフ(カザフスタン、アスタナ)+05"
5位 グスタフエリック・ラーション(スウェーデン、サクソバンク)+06"
89位 土井雪広(日本、スキル・シマノ)+25"
総合首位 グレゴリー・ラスト(スイス、アスタナ)
第1ステージ ルクセンブルク〜モンドルフ・レ・バン 157km
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中盤の山岳でペースの上がった集団は分裂するが、ゴールまでの平坦区間で一つに。やがて逃げグループもラスト10kmで吸収された。最後は大集団によるスプリント勝負に持ち込まれ、ダニーロ・ナポリターノ(イタリア、カチューシャ)が今シーズン4勝目を飾った。
第1ステージ結果
1位 ダニーロ・ナポリターノ(イタリア、カチューシャ)3h48'29"
2位 ステフェン・カエトホフェン(ベルギー、アグリチュベル)
3位 トム・フィーラース(オランダ、スキル・シマノ)
4位 ロメン・フェイユ(フランス、アグリチュベル)
5位 ティツィアーノ・ダラントニア(イタリア、CSFグループ・ナヴィガーレ)
67位 土井雪広(日本、スキル・シマノ)
総合首位 グレゴリー・ラスト(スイス、アスタナ)
第2ステージ シフランジュ〜ディフェルダンジュ 188km
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最後は先頭グループからアタックを繰り返したAシュレクがゴールまで独走。チームメイトのマッティ・ブレシェル(デンマーク、サクソバンク)が後続の先頭を穫るその前で、Aシュレクが独走勝利を決めた。
Aシュレクの追走に力を使った土井は8位でゴール。名だたる選手が後方から追い上げる中、最後までハイスピードな先頭グループに残ったことは快挙だ。土井はオークラス(超級)レースで8位に入る好成績を残し、総合成績でもチーム内トップの総合14位にジャンプアップした。また、リーダージャージは同じく先頭グループに残ったバザイエフの手に渡った。
第2ステージ結果
1位 アンディ・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)5h00'46"
2位 マッティ・ブレシェル(デンマーク、サクソバンク)
3位 アイトール・ガルドス(スペイン、エウスカルテル)
4位 マルコ・マルカート(イタリア、ヴァカンソレイユ)
5位 ジョフロワ・ルカトル(フランス、アグリチュベル)
8位 土井雪広(日本、スキル・シマノ)
総合首位 アッサン・バザイエフ(カザフスタン、アスタナ)
第3ステージ ヴィルツ〜ディーキルヒ 185km
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やがて追走グループは先頭を捕らえ、人数を揃えるサクソバンクのペースアップによってバザイエフがここから脱落。そして終盤の上りでアンドレアス・クレーデン(ドイツ、アスタナ)とフランク・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)の2人が飛び出し、ラスト2kmでクレーデンを振り切ったFシュレクが独走勝利を収めた。
クレーデンを6秒、後続を2分近く引き離したFシュレクが文句無しのリーダージャージ獲得。前日の弟アンディに続く兄弟連勝で、初の母国ツール・ド・ルクセンブルク総合優勝に王手をかけた。土井はこの日、4分37秒遅れのステージ24位でゴール。総合成績は21位に。
第3ステージ結果
1位 フランク・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)4h43'31"
2位 アンドレアス・クレーデン(ドイツ、アスタナ)+06"
3位 マッティ・ブレシェル(デンマーク、サクソバンク)+1'39"
4位 マルコ・マルカート(イタリア、ヴァカンソレイユ)
5位 グスタフエリック・ラーション(スウェーデン、サクソバンク)
24位 土井雪広(日本、スキル・シマノ)+4'37"
総合首位 フランク・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)
第4ステージ メルシュ〜ルクセンブルク 148km
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逃げグループは最大3分のリードを得たが、サクソバンクの集団コントロールによって終盤の周回コースで吸収。サクソバンクは他チームに主導権を与えず、35名ほどに絞られた集団のままゴールに向かい、リーダージャージのFシュレクらに解き放たれたマッティ・ブレシェル(デンマーク、サクソバンク)が上りスプリントを制した。
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土井はスキル・シマノの第1次ツールメンバー選抜から外れているが、決してツール出場の道が断たれているわけではない。今回の好成績をチーム首脳陣も評価しているはずだ。
第4ステージ結果
1位 マッティ・ブレシェル(デンマーク、サクソバンク)4h15'02"
2位 アレクサンドル・ウソフ(ベラルーシ、コフィディス)
3位 マルコ・マルカート(イタリア、ヴァカンソレイユ)
4位 ジョフロワ・ルカトル(フランス、アグリチュベル)
5位 アイトール・ガルドス(スペイン、エウスカルテル)
11位 土井雪広(日本、スキル・シマノ)+05"
最終個人総合成績
1位 フランク・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)17h51'49"
2位 アンドレアス・クレーデン(ドイツ、アスタナ)+10"
3位 マルコ・マルカート(イタリア、ヴァカンソレイユ)+1'32"
4位 マッティ・ブレシェル(デンマーク、サクソバンク)+1'34"
5位 アッサン・バザイエフ(カザフスタン、アスタナ)+1'59"
19位 土井雪広(日本、スキル・シマノ)+4'52"
レース展開はレース公式のTwitterライブ、選手コメントはレキップ紙、ならびにシマノレーシングのスキルレポートより。
text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos, www.aotdl.com