2012/07/22(日) - 19:32
第19ステージは、ボンヌヴァル〜シャルトル間53.5kmの個人TT。中盤に出走したLLサンチェスが好タイムを叩き出すが、終盤出走のフルームとウィギンズが第1・第2計測ポイントで次々とタイムを更新。ウィギンズが1時間04秒12秒の最速タイムでステージ優勝し、本大会の総合優勝も確定させた。
ステージ優勝し、総合優勝が確定したブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)
子どもの頃に自転車に乗り始めた瞬間から、ようやくここまで来られた。自転車に乗ると、誰もがツールで優勝してマイヨジョーヌを着用することを夢見る。しかし、それを実現するとなったら……ゴールラインを越える段階になって、すべてを締めくくろうと拳を突き上げた。
最後の10〜15kmでは、本当にあらゆることを考えていた。子どもの頃から今にいたるまで、子どもの頃に自転車に乗り始めた日々、家族のこと——母、妻と子ども、2年前に死んだ祖父のこと……すべてが本当に彼らのおかげだ。信じられないほどの感情が沸き起こった。そういう思いが自分に力をくれて、さらに力強く前に進んでいけた。アスリートはよく「ゾーンに入る」と言うけど、僕は今日まさにそうだった。これまでに体験したことがないほど力が出た。
すべては生き方の問題だ。この数年のうちに、僕はこういう生き方に変わった。僕の人生では非常に多くのものを犠牲にしてきた。僕の周囲にいる人、つまり僕と一緒に生きている人や僕を知る人だ。今日は彼らの犠牲あってこそのものだ。それはとても大きい。
英国の国旗がコースのいたるところに見えた……とても恐れ多い。ある意味「なぜ僕なんだ?」と思った。路上の人々の嬉しそうな表情を見るのは、信じられない思いだった。
こういうことを考えた理由は、僕がなし得たことの意味がわかったからだ。僕は自転車競技のことはわかるけど、それを適切な言葉で要約することができない。あの場の出来事は、まさに信じられなかった!
これは僕が究極のベストを尽くした結果だ。タイムトライアルはまさに時間との勝負だった。コースは素晴らしかった。僕は単純に堂々と仕事を終わらせたかった。ラスト10kmでは、前に進もうとすると、たくさんの感情がわき起こった。あらゆるものが僕の心を駆け抜けていった。ここまで来るのに何年もかかったこと。昨年のツールで落車し、グルノーブルで今の僕の順位におさまるカデルを見て落胆したことなどのすべて。僕はずっとどういう気分になるかを想像していた。そして今わかるのは、昨年がどういう気分だったかだ。
みんな、これがツールだ。これ以上の大きな存在はない!
(〜ツール・ド・フランスの公式サイトより〜)
今日のTTはウィニングランというまでの余裕はなかった。とても厳しかった。だけど、単純にこの仕事を堂々と終わらせたかった。ラスト10kmではさまざまな感情が沸き起こった。あらゆるものが僕の心を駆け抜けていった。
妻と子ども達、祖父や祖母、母のことを考えていた。彼らへの思いが、ペダルを踏む度に僕に刺激を与えてくれた。
安っぽく思えるだろうけど、自分の人生にこの瞬間が訪れた——つまり、人生における決定的な瞬間だ。子どもの頃に自転車を乗り始めた瞬間からのすべてが、今日のこの日に集約された。
(〜チームスカイの公式リリースより〜)
新人賞・総合5位・ステージ7位と大健闘のティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム)
どうなるかは想像できなかった。つまり、3週間のレースの後の53kmの距離はかなり長い。全力を出して、その結果を見守るつもりだった。ジョン・ルランゲ監督が僕のやる気を引き出してくれた。コースがどうなっているかを教えてくれたんだ。監督のおかげで、必要なときに落ち着けたので一定のペースを保てた……あまり言わないのだけど、本当は死ぬほど辛いところもあった。でも、ジョン監督は確実にやる気を引き出してくれた。
カデル(エヴァンス)は何かの病気じゃないかと思う。このツールの期間中、彼は何らかの問題を抱えていた。でも、僕は彼がまだツールで総合優勝する力があると思う。来年、彼は復活して勝てると思う。そのとき彼をアシストできれば満足だ。
(シャンゼリゼのステージは)驚くようなことが起きると思う。実は、この新人賞ジャージをコロラド州の乱射事件の犠牲者全員に捧げたいと思っている。あれは痛ましいニュースだった。ボルダーの僕の家の近くで起こった。だから、追悼の意を表して、明日のパリでは彼らに思いを寄せたい。
山岳賞を確定したトマ・ヴォクレール(フランス、ユーロップカー)
シャンゼリゼの最終ステージは、それほど長いというわけではないけど、雰囲気が素晴らしい。最後の周回に入ると、いつもすごく速くなる。でも、とても素晴らしい体験だ。明日はどんな気持ちが沸き起こるかよくわからない。明日になって表彰台から降りたときに、本当に素晴らしい瞬間だと確信することになるだろう。
このツールでのウィギンズの勝ち方には感銘を受けた。彼はこれまでに開催されている他のレースのようにツールを走った。たとえば、パリ〜ニース、ツール・ド・ロマンディのときと同じように——そして、彼はすべてで勝った。素晴らしい。彼のチームは優秀なプロ集団で、総合成績の1位と2位を獲得した。彼らはその勝利に値すると言わざるを得ないだろう……間違いなく。
成績が振るわなかったカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)
僕たちは本当に大きな期待を抱いて(ツールに)参加した。でも、レースが進むごとに僕のチャンスは次第に減っていった。状況に合わせるだけでいっぱいだった。今日になるまで、僕は自分の総合成績をキープできればいいと思っていた。今日は(力が出ない)空虚な状態でスタートした。他にも空虚な日があって、その日は単に限界ギリギリで走っているようなものだった。空虚なときは実際にできることが限られている。
最後のツールとなったジョージ・ヒンカピー(アメリカ、BMCレーシングチーム)
17回もツール・ド・フランスに出場できるとは思わなかった。これはとても誇らしい。僕はこの競技の中で多くの時間を過ごしてきた。あらゆるものをこの競技につぎ込んできた。ずっとこの競技が発展するように活動してきたし、この競技にとってベストだと思うことをやってきた。
(ステージ34位だったことについて)全力は尽くした。沿道のファン全員に感謝したかった。タイムトライアルのあいだは、たくさんの感情が押し寄せてきた。
最終ステージに意欲を見せるチームスカイのショーン・イェーツ監督
あとはパリにゴールするだけでよくなった。そして、我々はステージでもう1勝したい。(シャンゼリゼに向けて)カヴはとても意気込んでいるし、チーム全員も同じ気持ちだ。我々は明日100パーセントを出し尽くして、シャンゼリゼで勝利するつもりだ。
コメントはプレスリリース、チーム公式サイト、選手個人サイト、TVインタビュー、twitterなどより。
text:Taiko YAMASAKI + Seiya YAMASAKI
ステージ優勝し、総合優勝が確定したブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)
子どもの頃に自転車に乗り始めた瞬間から、ようやくここまで来られた。自転車に乗ると、誰もがツールで優勝してマイヨジョーヌを着用することを夢見る。しかし、それを実現するとなったら……ゴールラインを越える段階になって、すべてを締めくくろうと拳を突き上げた。
最後の10〜15kmでは、本当にあらゆることを考えていた。子どもの頃から今にいたるまで、子どもの頃に自転車に乗り始めた日々、家族のこと——母、妻と子ども、2年前に死んだ祖父のこと……すべてが本当に彼らのおかげだ。信じられないほどの感情が沸き起こった。そういう思いが自分に力をくれて、さらに力強く前に進んでいけた。アスリートはよく「ゾーンに入る」と言うけど、僕は今日まさにそうだった。これまでに体験したことがないほど力が出た。
すべては生き方の問題だ。この数年のうちに、僕はこういう生き方に変わった。僕の人生では非常に多くのものを犠牲にしてきた。僕の周囲にいる人、つまり僕と一緒に生きている人や僕を知る人だ。今日は彼らの犠牲あってこそのものだ。それはとても大きい。
英国の国旗がコースのいたるところに見えた……とても恐れ多い。ある意味「なぜ僕なんだ?」と思った。路上の人々の嬉しそうな表情を見るのは、信じられない思いだった。
こういうことを考えた理由は、僕がなし得たことの意味がわかったからだ。僕は自転車競技のことはわかるけど、それを適切な言葉で要約することができない。あの場の出来事は、まさに信じられなかった!
これは僕が究極のベストを尽くした結果だ。タイムトライアルはまさに時間との勝負だった。コースは素晴らしかった。僕は単純に堂々と仕事を終わらせたかった。ラスト10kmでは、前に進もうとすると、たくさんの感情がわき起こった。あらゆるものが僕の心を駆け抜けていった。ここまで来るのに何年もかかったこと。昨年のツールで落車し、グルノーブルで今の僕の順位におさまるカデルを見て落胆したことなどのすべて。僕はずっとどういう気分になるかを想像していた。そして今わかるのは、昨年がどういう気分だったかだ。
みんな、これがツールだ。これ以上の大きな存在はない!
(〜ツール・ド・フランスの公式サイトより〜)
今日のTTはウィニングランというまでの余裕はなかった。とても厳しかった。だけど、単純にこの仕事を堂々と終わらせたかった。ラスト10kmではさまざまな感情が沸き起こった。あらゆるものが僕の心を駆け抜けていった。
妻と子ども達、祖父や祖母、母のことを考えていた。彼らへの思いが、ペダルを踏む度に僕に刺激を与えてくれた。
安っぽく思えるだろうけど、自分の人生にこの瞬間が訪れた——つまり、人生における決定的な瞬間だ。子どもの頃に自転車を乗り始めた瞬間からのすべてが、今日のこの日に集約された。
(〜チームスカイの公式リリースより〜)
新人賞・総合5位・ステージ7位と大健闘のティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム)
どうなるかは想像できなかった。つまり、3週間のレースの後の53kmの距離はかなり長い。全力を出して、その結果を見守るつもりだった。ジョン・ルランゲ監督が僕のやる気を引き出してくれた。コースがどうなっているかを教えてくれたんだ。監督のおかげで、必要なときに落ち着けたので一定のペースを保てた……あまり言わないのだけど、本当は死ぬほど辛いところもあった。でも、ジョン監督は確実にやる気を引き出してくれた。
カデル(エヴァンス)は何かの病気じゃないかと思う。このツールの期間中、彼は何らかの問題を抱えていた。でも、僕は彼がまだツールで総合優勝する力があると思う。来年、彼は復活して勝てると思う。そのとき彼をアシストできれば満足だ。
(シャンゼリゼのステージは)驚くようなことが起きると思う。実は、この新人賞ジャージをコロラド州の乱射事件の犠牲者全員に捧げたいと思っている。あれは痛ましいニュースだった。ボルダーの僕の家の近くで起こった。だから、追悼の意を表して、明日のパリでは彼らに思いを寄せたい。
山岳賞を確定したトマ・ヴォクレール(フランス、ユーロップカー)
シャンゼリゼの最終ステージは、それほど長いというわけではないけど、雰囲気が素晴らしい。最後の周回に入ると、いつもすごく速くなる。でも、とても素晴らしい体験だ。明日はどんな気持ちが沸き起こるかよくわからない。明日になって表彰台から降りたときに、本当に素晴らしい瞬間だと確信することになるだろう。
このツールでのウィギンズの勝ち方には感銘を受けた。彼はこれまでに開催されている他のレースのようにツールを走った。たとえば、パリ〜ニース、ツール・ド・ロマンディのときと同じように——そして、彼はすべてで勝った。素晴らしい。彼のチームは優秀なプロ集団で、総合成績の1位と2位を獲得した。彼らはその勝利に値すると言わざるを得ないだろう……間違いなく。
成績が振るわなかったカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)
僕たちは本当に大きな期待を抱いて(ツールに)参加した。でも、レースが進むごとに僕のチャンスは次第に減っていった。状況に合わせるだけでいっぱいだった。今日になるまで、僕は自分の総合成績をキープできればいいと思っていた。今日は(力が出ない)空虚な状態でスタートした。他にも空虚な日があって、その日は単に限界ギリギリで走っているようなものだった。空虚なときは実際にできることが限られている。
最後のツールとなったジョージ・ヒンカピー(アメリカ、BMCレーシングチーム)
17回もツール・ド・フランスに出場できるとは思わなかった。これはとても誇らしい。僕はこの競技の中で多くの時間を過ごしてきた。あらゆるものをこの競技につぎ込んできた。ずっとこの競技が発展するように活動してきたし、この競技にとってベストだと思うことをやってきた。
(ステージ34位だったことについて)全力は尽くした。沿道のファン全員に感謝したかった。タイムトライアルのあいだは、たくさんの感情が押し寄せてきた。
最終ステージに意欲を見せるチームスカイのショーン・イェーツ監督
あとはパリにゴールするだけでよくなった。そして、我々はステージでもう1勝したい。(シャンゼリゼに向けて)カヴはとても意気込んでいるし、チーム全員も同じ気持ちだ。我々は明日100パーセントを出し尽くして、シャンゼリゼで勝利するつもりだ。
コメントはプレスリリース、チーム公式サイト、選手個人サイト、TVインタビュー、twitterなどより。
text:Taiko YAMASAKI + Seiya YAMASAKI
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