ゴール前がテクニカルであろうと、真っ平らな直線路であろうと、ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)は勝つ。ツール・ド・スイス第6ステージで、サガンが驚きの4勝目をマークした。

ようやく太陽がコースを照らすようやく太陽がコースを照らす photo:Cor Vosサガンは狙ったチャンスを逃さなかった。ツール・ド・スイス最終日まで4ステージを残し、この日が実質的に最後のスプリンター向きステージ。低難易度のカテゴリー山岳が5つ含まれるが、「登れるスプリンター」にとっては問題ないレベル。

ようやく太陽が輝きを取り戻したこの日、30km地点でバーデン・クック(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)ら5人のアタックが決まる。

スイス国旗が沿道で踊るスイス国旗が沿道で踊る photo:Cor Vosスイス国内で人気を誇るルーベンス・ベルトリアーティ(スイス、チームタイプ1)もこの中に入ったが、総合で1分45秒遅れであったため、自らの判断でメイン集団に戻った。

スプリント勝負に持ち込みたいリクイガス・キャノンデールを中心に、モビスターやランプレ・ISDがメイン集団をコントロール。教科書通り、ゴールに向けて逃げグループとのタイム差を詰めていく。

ゴール地点ビショフスツェルを通過するゴール地点ビショフスツェルを通過する photo:Cor Vosアップダウンコースで幾分人数を減らしながらも、メイン集団はスピードを上げて逃げを追いつめる。最後まで粘ったマッテーオ・モンタグーティ(イタリア、アージェードゥーゼル)とトレルス・ヴィンター(デンマーク、チームサクソバンク)もラスト2kmで吸収。テクニカルなビショフスツェルのゴールに差し掛かった。

チームスカイがトレインを組むが、連続するコーナーによって連結は外れる。それでもベン・スウィフト(イギリス、チームスカイ)は持ち前のスピードを活かし、ラスト150mの最終コーナーを先頭で抜ける。その後ろにはミハエル・アルバジーニ(スイス、オリカ・グリーンエッジ)とサガン。

登りスプリントでスウィフトを抜き去るペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)登りスプリントでスウィフトを抜き去るペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール) photo:Cor Vosスウィフト優勢と思われたゴールスプリント。しかし緩やかに登る最終ストレートで、サガンが爆発的な加速を見せる。僅かな隙間を見つけ、ラスト100mからスプリントしたサガンがスウィフトを抜き去る。サガンのガッツポーズが決まった。

6戦4勝。狙ったゴールスプリントは必ず穫る。コースがテクニカルであればあるほど、サガンの強さが際立つ。

独特のポーズでゴールラインを切るペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)独特のポーズでゴールラインを切るペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール) photo:Cor Vos「真っすぐなゴールが無いツール・ド・スイスでは、自分のポジションを見つけるコツが必要なんだ。今日は集団前方で走ることに努め、そしてスプリントした。最終コーナーを抜けてから全開で踏んだ。前を塞がれかけたけど、スウィフトが先にスプリントを開始したときも、僕が勝てると確信していた。そして勝った」と、シーズン12勝目を飾ったサガン。大会4勝目は最多記録タイ。

総合ではすでに大きく遅れているため、サガンは残る山岳ステージを調整として走る。「まだ2つの厳しい山岳ステージが残っている。それらを有効活用して、ツール・ド・フランスに向けてコンディションを整えていきたい」。

総合争いは、ルイ・コスタ(ポルトガル、モビスター)がイエロージャージをキープしたまま佳境に向かう。翌日の第7ステージは34.3kmで行なわれる個人タイムトライアル。ツール・ド・フランスのマイヨジョーヌ争いを占う上で重要な指針になるだろう。

選手コメントはリクイガス・キャノンデール公式リリースより。


ツール・ド・スイス2012第6ステージ結果
1位 ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)   4h30'08"
2位 ベン・スウィフト(イギリス、チームスカイ)
3位 アラン・デーヴィス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
4位 ミハエル・アルバジーニ(スイス、オリカ・グリーンエッジ)
5位 オスカル・フレイレ(スペイン、カチューシャ)
6位 ロイド・モンドリー(フランス、アージェードゥーゼル)
7位 マルコ・マルカート(イタリア、ヴァカンソレイユ・DCM)
8位 アレッサンドロ・バッツァーナ(イタリア、チームタイプ1)
9位 マッティ・ブレシェル(デンマーク、ラボバンク)
10位 フランチェスコ・ガヴァッツィ(イタリア、アスタナ)

個人総合成績
1位 ルイ・コスタ(ポルトガル、モビスター)             25h23'38"
2位 フランク・シュレク(ルクセンブルク、レディオシャック・ニッサン)  +08"
3位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、アスタナ)             +15"
4位 ティボー・ピノ(フランス、FDJ・ビッグマット)           +19"
5位 ニコラス・ロッシュ(アイルランド、アージェードゥーゼル)      +21"
6位 トーマス・ロヴクヴィスト(スウェーデン、チームスカイ)
7位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)          +23"
8位 ジョン・ガドレ(フランス、アージェードゥーゼル)          +24"
9位 ミケル・ニエベ(スペイン、エウスカルテル)             +26"
10位 トム・ダニエルソン(アメリカ、ガーミン・バラクーダ)        +29"

ポイント賞
ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)

山岳賞
ウラディミール・イサイチェフ(ロシア、カチューシャ)

チーム総合成績
エウスカルテル・エウスカディ

text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos

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